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(22.7.13) 民主党の敗北と財政再建の頓挫

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 11日に実施された参議院選挙で、菅民主党は大敗北を喫して改選議席54を大きく下回る44議席に留まった。参議院は完全なねじれ現象になり、一方与党は衆議院で3分の2の再可決が可能な議席数に足らないため、予算以外の法案は参議院で否決されれば、一切通過が不可能になってしまった。

 管首相は消費税引き上げ発言が与党敗北の原因と認め「十分な説明が不足していた」と陳謝したが、過去消費税引き上げを前面に出して勝利した政党はない。

 97年当時の橋本内閣が消費税を5%にアップしたが、その後の選挙に破れ首相を退陣したし、近くは麻生首相が増税論議を前面に打ち出して民主党に大敗した。
そして今回は菅首相が消費税の10%UPを選挙の争点にして、やはり大敗北を喫してしまった。
日本の国民は常に増税に対してはNOと回答する

(7月14日追加)読者のtakapingさんから「同じく増税を言っている自民党が議席を伸ばしたのだから、国民が必ずしも増税反対ではないのではないか」とのコメントをいただきました。
正確な表現は「政権与党が増税を選挙の争点にすると日本の国民は常に増税に対してはNOと回答すると書くべきでした」

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 管首相としても身体窮まってしまっただろう。先進国の中で最も財政事情が悪く、予算の半分以上を国債発行に頼らざる得ないのに、国債残高を少しでも減らそうと増税を選挙で訴えれば、その政党は必ず選挙で敗北する。
日本では財政再建は不可能なのだろうか?」菅首相ならずとも考え込んでしまうだろう。

 一方で子供手当のようなばら撒き政策を行い、他方で消費税の増税が不可能となれば菅民主党にとって残された道は、国債の増発しかない。
現在でも先進国中最悪の財政事情がますます悪化するが、それ以外に日本と言う国の国政の運営ができないのだ。

 そうなると一体いつまで日本は国債の増発に耐えられるかということになる。
日本の国債発行環境は特殊だ。約94%が日本人が保有しており、これはアメリカの約50%、ドイツの約35%等に比較して圧倒的に国内での保有が多い。
最もそのほとんどが金融機関や保険会社のような機関投資家が購入しているので国民の個人保有は5%程度だ。

 なぜこのように国内保有が多いかといえば、日銀の低金利政策によって預金金利が低く抑えられ、1.5%程度の国債の利回りでも十分に利ざやが稼げるからである。
特にゆうちょ銀行かんぽ生命は国債を購入するためにだけ存続していると言っていいほどだ。

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 だから日本国債の購入者がいる間は菅民主党は国債増発で政権運営を続けられるのだが、それが何年程度可能かを試算したレポートがある。
Voice6月号に掲載されたみずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰成氏の「国債暴落シナリオの現実性」がそれで、上野氏は以下のように論旨を展開した。

① 家計金融資産のネット残高(資産-負債)は09年12月現在約1150兆円
② 中央政府と地方政府のネット債務(負債-資産)は同じく約620兆円
③ したがって国債消化余力は1150兆円-620兆円=530兆円
④ 毎年の国債消化余力の減少ペースは約50兆円(過去3ヵ年平均)
⑤ この結果家計金融資産に余裕がなくなるのは530兆円÷50兆円=10.6年

 この試算では約10年間程度は国内に国債を消化できる余力が残っていることになる。
そうか、まだ10年は国債を今と同じペースで増発しても大丈夫なのか。日本と言う国は底が深い」そう判断するか、
国債の増発スピードが上がっているので、家計金融資産の減少ベースは早くなるだろう。
もし日銀が低金利政策を止めれば、資金は国債から他の資金に移動するはずだから、たとえ国債消化余力があっても、金融機関は国債を購入しなくなるだろう
」と判断するかは政策の分かれ目になる。

 常識的な判断は、まだ10年程度国債消化余力があったとしても、毎年毎年状況は苦しくなるので、何処かの時点で日本国債の信任がなくなり、ギリシャ並みの緊縮財政を強いられるだろう、というところだろう。

 今回国民は菅民主党に増税は反対だと意思表示をした。したがって財政再建は頓挫してしまったが、10年以内に市場からNOのサインがだされ、いたし方なしに増税路線に転換すると言うのが一番ありそうなシナリオだ。

 

 

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評論 日本の政治・経済 国債」カテゴリの記事

コメント

 毎年2.5%のインフレが起きれば、30年で政府負債は半減しますよ。やはり財政再建は経済成長しかないでしょう。

投稿: 地蔵 | 2010年7月30日 (金) 12時35分

 金融資産が毎年50兆円づつ減少するという仮定が疑問です。
チャートをみるとたまたま減少したように見える年がありますが全体的にみると増加していくようにみえます。

 もともと国債を刷って政府が使えば、まわりまわって国民の資産として積み上がると思ってますが・・・。

(山崎)ご指摘感謝いたします。私が上野泰也氏の論述を間違って解釈していました。
ここは「家計金融資産の減少ベース」ではなく、「国債消化余力の減少ベース」でした。

修正をいたします。

投稿: 地蔵 | 2010年7月21日 (水) 09時17分

私は、少し違う見方です。 説明云々よりまず基本を理解しましょう と言いたい!

 1、負債額はみんな理解している
 2、このままでは、消費税増税以外難しい
 3、この負債を作ったのは、誰? 
 
管さんの説明、タイミング云々を説く前に、今ある現場と課題を国民がちゃんとジャッジできない事が最大の問題と思います。

もう少し、国民が、国とは何かに興味を持って学ぶべきでは?

投稿: T | 2010年7月14日 (水) 12時11分

同じ増税派の自民党が議席を伸ばしていたので,国民が増税反対と言うわけではないのでは?
( takaping | 2010年7月13日 (火) 19時19分)・・・・・小生も同感です。菅さんの説明のお粗末さとタイミングの悪さが原因と思います。

投稿: 村瀬克行 | 2010年7月14日 (水) 10時37分

同じ増税派の自民党が議席を伸ばしていたので,国民が増税反対と言うわけではないのでは?

(山崎)政権与党が増税を主張すると負けるという意味で書きました。
野党の場合は基本的に何を言っても政策に反映しないので自由に発言ができます。また有権者もそうしたものとして捉える傾向があります。

投稿: takaping | 2010年7月13日 (火) 19時19分

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