« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »

(22.6.30) 先進国の経済政策が分裂した 景気刺激策か財政再建か 

2262_020_2

 この26日に開催された主要8カ国首脳会議G8)の結果は完全に分裂し世界経済に激震が走った。
アメリカが景気刺激策の継続を訴えたが、一方欧州は財政再建に舵を切ってアメリカの言うなりにはならないとケツをまくった。

 日本は仲裁役に徹し、景気刺激策も財政再建も大事だとしたが、日本経済が二兎追えるほど強靭でない以上、日本も実質的には財政再建に乗り出したといえる。 菅総理の言う消費税率10%の議論や、20年度までに基礎的財務収支を黒字化する提案は、これ以上の景気刺激策が不可能だとの認識から来ている。

 リーマンショック以降、先進各国は一応に金融緩和と財政支出の増大に乗り出したものの、ヨーロッパではギリシャ、スペイン、ポルトガルと言った諸国が財政支出のための国債の発行ができなくなり、景気刺激路線から脱落した。。
市場がこうした経済が破綻しそうな国々から資金を引き上げたからである。

 ドイツフランスが市場に変わってギリシャ、スペイン、ポルトガルの面倒を見ることになったが、どこまで支援が拡大するかわからない。
とうとう最大の支援国ドイツが切れて、それぞれの国が財政再建に取り組むべきだと言い出した。
自分の尻は自分でふけと言うことだ。

 こうしてG8は大分裂してしまったため、為替と株の動きが再び不安定になってきた。株は大幅に低下し始め、ドルもユーロも値下がりし、上がる通貨は元と円しかない。

注)日本の円が強いのは経常収支が常に黒字だからで、資金を海外から調達する必要がないからである。

2262_017

 アメリカは相変わらず景気拡大策を主張しているが、そうでないとアメリカがドルを増刷してこの危機を乗りきることができないからである。

 基軸通貨国には絶対的な特権があり、紙幣の印刷権を持っている。
普通の人はドル札を印刷して配ればインフレーションになると思っているが、必ずしもそうはならない。世界経済が拡大しその取引をドルで行っている限り、ドルに対する需要があり、増刷された紙幣を人々は使用する。

 より正確には基軸通貨国アメリカが世界経済の拡張にあわせてドルを印刷している限りドルの価格低下はない
この増刷されたドルを成長通貨と呼ぶ。

注)紙幣も一つの商品と捕らえ、たとえば自動車との物々交換をしていたと仮定する。自動車が2倍生産されれば、そのままでは自動車の価格が2分の1になってしまう(貨幣に希少性がでるため)。そこで紙幣当局が貨幣を2倍まで印刷すれば自動車の価格は従来と同じで、売上高が2倍になる。
この増刷した部分は紙幣発行者の儲けになる。

 日本の江戸時代においても経済が拡大するにしたがって、出目という一両の金の分量を少なくする政策をとったが、そうしないとデフレに陥って経済が失速したからだ。
出目で増額した部分は幕府の懐に入った。


 基軸通貨国アメリカはドルが基軸通貨である限り、中国や日本からの輸入品に対し、印刷したドルで支払いができる。
いくらでも輸入してやるぞ。支払いはドルだ

 その時重要なのは、物と通貨の間のバランスで、世界経済の拡張を超えてドル札を印刷すると、バランスが崩れてインフレになる。
具体的にはドル安がはじまる。

注1)実際リーマンショック以降の世界経済の失速で、アメリカのドルは円に対して、110円台から90円台までドル安が進んだ。
本来はドルの回収をしなければならなかったのに、ドルの増刷をしたため。

注2)貨幣の世界ではフィッシャーの恒等式が成り立つとされている。式は以下の通りだが、経済が拡張しているときはそれにあわせて通貨の発行が可能なことを意味している。

フィッシャーの貨幣数量説では以下の恒等式が成り立つとされる。 M*V = P*T

M 流通貨幣(通貨)の総量
V は貨幣の"流通速度" 
P は物価水準
T は"取引量"

ここでVとPが一定(短期では一定と考えられている)とすると、取引量が拡大していれば、通貨量を増大させなければならない

2262_034

 一方で基軸通貨でもないユーロはユーロ圏だけの決済通貨なので、対外決済にユーロの印刷という奇手が使えない。
ここでは経常収支を黒字にして、こつこつとドルを溜め込む以外に決済通貨ドルを獲得する方法がない。
ドイツが「各国がドイツをまねて財政再建に取り組め」と言うのは、ユーロを世界が喜んで使用してくれないからである。

 今、アメリカは欧州と手を切り、中国、インド、ブラジルと言った新興諸国の経済発展にかけ、そこからの輸入品に印刷したドルで支払って、アメリカ経済を支えようとしている。

 江戸幕府の財政担当者が出目1両に含まれる金の分量を減らす措置)で幕府財政の財政を支えたように、貿易収支が赤字のアメリカはドルの増刷でアメリカ経済を支えるより他に有効な手段を持たない。

 アメリカは景気刺激策を欧州に求めたが、欧州はNOと言った。
仕方なくアメリカは基軸通貨の特権をまもるために、新興国中国やインドやブラジルの経済の発展にすべてかけることになった。
G8は実質的に崩壊し、G20の時代になった。

 こうして経済のパラダイムが変わろうとしているが、市場はすんなりとこの移行が進むとは思っておらず、為替も株式も大波乱になっている。

注)くどいようだが、通貨量が一定で産出量が増えると物の価格は下落する。一般の人は物の価格が下がって生活が豊かになるが、その時通貨発行者が産出量にあわせて通貨を増刷すれば、こんどは価格は一定で増刷した分は通貨発行者の取り分になる。

 アメリカは世界の通貨の管理者なので、世界の生産量が増大すればその分の通貨発行が可能になる。具体的には国債を発行して中国や日本に購入させてもドルの減価は起こらない。
だから基軸通貨国は自分の経済が不振でも、世界経済全体が拡張するかぎり、生活を豊かに保つことができる。

| | コメント (1)

(22.6.29) 大失敗 私設180km走

2262_005_2
(朝、東京湾にそそぐ川で貝をとっている人がいた

 大失敗だ。180km程度は寝ないで走れると思ったが、そうは問屋が卸さなかった。

 当初は土曜日の朝4時に出発する予定だったが、ブログのチェックやしばらく風呂に入れないと思ってシャワーを浴びているうちに5時になってしまった。
まあ、いいや。気合を入れていこう

 我が家を出発し、国道16号線沿いに千葉の沿岸を南に走り、東京湾フェリーの千葉側の乗り場である浜金谷を目指した。我が家から約65km程度ある。
天候は曇り、太陽が照っていないだけましだが、湿度が相当高い。
走っている間に汗びっしょりになってくる。

2262_015
(アクアラインの入り口

 40km程度で木更津に着いたのだが、いつものいやいや病が始まった。
私はいつも40km程度で走るのがいやになる。
がんばれ、浜金谷まで行けばフェリーに乗れる。フェリーに乗ったら後は神奈川の久里浜だから、いやでも走りとおすことになる」叱咤激励して自分を追い込んだ。

 浜金谷まで約10時間半かかって3時20分に到着した(時速約6.2km)。この頃はやや小雨模様になっていた。
天気予報では曇りなのに、小雨か・・・・・雨具の用意をしなかったのは失敗かな・・・・

2262_038
久里浜のフェリー乗り場

 フェリーは到着と同時に出て、何ともタイミングはいい。久里浜4時ごろ着いたが、外は小雨が降り続いている。
港の前のコンビニでビニールの雨合羽を購入して雨に備えた。

 この東京湾一周のルートは、御園生さんが主催する競技ではかなり複雑なルートを設定するが、私の場合は道を間違えないためにできるだけ単純なコースを選択している。
久里浜から川沿いの134号線を遡れば、横須賀16号線に合流しそのまま横浜までいける。
距離はおよそ40kmだ。

 雨模様だったため7時ごろから暗くなり、周りはほとんど見えない。
ひたすら走っているだけだが、何とも歩みが遅い。
横浜市に入っても金沢区磯子区と延々と続き、みなとみらいのあの高層のビル群はちっとも見えてこない。
一体、横浜の中心はいつ現れるんだ!!」すっかり気がめいってきた。
ようやく横浜駅前に着いたのが夜中の11時だ。40km7時間(時速約5.7km)もかかっている。ひどい失速だ。

2262_045_2
横浜の夜中

 横浜は夜だというのにこの繁華街の人通りの多さはどうだろう。ランナー姿の私は何か一人浮いているみたいだ。

 ここまで約110kmだが、この頃から走るのがすっかりいやになってきた。私はいつもこの100kmあたりから歩きだす。
真夜中に、こんなに苦労して走る意味があるのだろうか・・・・・・」悶々としてきた。
国道1号線を東京に向かって走っているのだが、バス停のベンチがあるとそこで寝転がる頻度がおおくなる。

 小雨模様で寝るとお尻が冷たいが、身体を休めるほうが大事だ。
休み休み走っていたが、どうにも眠たさが高じてきた。ビルのひさしが張り出した場所があったので仮眠をとることにした。
もう、20時間も走っているんだから休んでいいだろう・・・・

 下はコンクリートで雨も吹き込むが、贅沢は言っていられない。約2時間程度寝たら元気が回復していた。
再び走り出たが、しかし回復も中途半端で1時間程度でまた失速した。
こりゃダメだ。何とかまともに寝る場所を探そう

 夜中もやっているマルマル温泉というような施設や、漫画喫茶があれば入って仮眠を取るつもりで探したが、あいにく1号線沿いにはそうした施設が見当たらない。

2262_047
(東京に着いたのは明け方だった

 仕方なく歩いたり走ったりしながらようやく東京に着いたのは朝の6時で、30kmの距離に仮眠を取ったとはいえ、7時間もかかっている。
まだ、千葉までは45kmだ。これじゃ、何時間かかるか見当もつかない・・・」すっかり弱気になった。

 そう思ったとたん足が急激に痛み出した。頭も朦朧とし始める。この種の競技はほとんど気持ちだけでもっているようなものだから、気弱になったらおしまいだ。
今回は残念だがここで止めよう」止める決断は早い。

 36時間で180km走る予定が25時間で135kmで終わってしまった。
思うようには行かないものだ。

(反省点)
個人で24時間を越えるレースを設定するのはかなり無理がある。練習は24時間までとして、萩往還のような2日がかりのレースは火事場のくそ力で乗り切るのが現実的だ。

 

 

 

 

| | コメント (2)

(22.6.28) 我が家の「光の道」 光回線に変えてみて

22620_019_2
(記事とはまったく関係有りませんがオオムラサキの幼虫です)

 我が家の「光の道」構想が悪評だ。
昨年の11月に従来のADSL回線から光回線に変更したのだが、その後電話料金が急激に上がって、かみさんからクレームをつけられている。

おかしいじゃない。料金は高くなるし、コンピュータは早くならないし、前のADSLに戻したら
料金が高くなったのは、従来のメタル回線をそのまま残しておいたためと、光回線の利用料がメタルに比較して約倍の値段になったためである。

注)メタル回線の利用料は約2500円、一方光回線の利用料は約5200円。

 「なぜ、回線料がADSLに比較して倍にもなるのだろうか? しかもADSL 8Mに比較してさほど回線速度が上がったという実感がない・・・・・」
新しい技術は前の技術に比較して安価になる方が多いのに、確かに不思議だ。

 私がADSLに変えた理由は、YouTubeのアップロードが遅すぎてやたらと時間がかかるのがつらかったからだが、最近はYou Tube熱がまったく冷めてしまった。

うぅーん、You Tubeも利用しないのに光に変える必要があったのだろうか・・・・・」自問し始めた。
考えてみればアメリカではメタル回線のADSLが主流で、それでも情報革命の最先端にいるのだから、あえて光回線にかえなくても問題はなさそうだ。

 隣の韓国が国策として光回線網を整備したので、日本もそれをまねているだけなのだろうか。
日本では原口総務相が成長戦略の柱として、2015年までに光回線網を100%整備する「光の道」構想を掲げて激を飛ばしている。

 現状は約90%の世帯が利用可能な状態になっているが、実際に光回線を利用しているのは約30%の世帯だそうだ。
一番の問題は光に変えることに伴うメリットが、通信速度がやや早くなるだけでは、魅力がないからだろう。

22620_002
おゆみ野の森に放ったオオムラサキの成虫

 実際に我が家ではADSLよりは早くはなったが、料金を倍にしてまで導入する価値のあるものとは思われない。
なぜこの程度のものを、国策として導入する必要があるのだろうか」不思議な気がする。

 そう思っていたらソフトバンク孫社長が、「NTT東西が光回線のインフラ部分を別会社にして、平等な条件で通信会社が利用するようにならなければ、光回線の料金は下がらない」と主張していた。

そうか、光回線をNTTが独占しているために料金が高いのか・・・・料金がメタルと同じ程度だったら積極的に光に変えるのに・・・・・
孫社長を応援する気になった。

 料金の高さはそれで分かったが、一方でこの光にするメリットのほうはどうもよく分からない。
早いだけならADSL100Mだって十分早いし、私が使用していたADSL8MでもYou Tubeのアップロード以外は支障なかった。

 何かイメージは高速道路網の整備と同じで、不必要な回線網を無理やり敷設しているようにも見えるが、果たしてこの光回線に将来を託すだけのメリットがあるのだろうか。

注)利用目的として電子教科書や電子カルテの利用があげられていたが、いま一つ説得力がない。なにか特別なブレイクスルーがないと、本当に無駄な高速道路の建設と同じになってしまう。

 

 

 

 

| | コメント (2)

(22.6.27) 私設180km走 東京湾一周

Dscf0018

 前回私設24時間走江戸川120km)を実施してから、すっかりロングランを自分で計画して実行するのが楽しくなってきた。
こんどは36時間かけて、東京湾一周180kmを走ることにした。

 この東京湾一周と言う競技はロングランの主催者御園生さんが定期的に参加者を募集して実施しており、私も過去に3回参加したことがある。
それを今回は自分ひとりで計画し実施することにした。

 御園生さんの競技では日本橋をスタートに横浜回りか、千葉回りで東京湾を一周するのだが、横浜回りの場合は横浜、横須賀、久里浜、東京湾フェリー、金谷、千葉を通り再び日本橋かその周辺にゴールする。

 行程は二泊三日で一日の走行距離は平均60kmであるが、今回私はそれを36時間(1日半)で眠らずに走ることにした
前回の江戸川24時間走で寝ないで走るのに耐性ができているので、今回はそれを36時間にしてみた。

 通常この種の競技では100km程度までは何とか走れるのだが、それを越えてくると走りと歩きが半々になり、最後は歩いてしまう。
最初の24時間で、いつものように130km程度走れれば、あとの50km時速5km程度の早歩き程度で10時間ほどでゴールに到着できる。
まあ、何とかなりそうだ」そんな気持ちだ。

Dscf0024_3

 私がこの種の眠らない競技にこだわるのは、過去に萩往還250km2日間)に3回出場し、3回とも失敗しているからである。
失敗の最大の理由は途中で眠るからであり、反対に眠らなければ必ず完走できる。なにしろ平均時速が5.2kmなのだから、誰でも走れる速さだが、実際は寝たり休憩を多く取ったりして完走ができない。
ちはら台走友会のY会長は、眠らずに走りとおして1回で完走を果たした。
なんとか、眠らないで2日間身体を動かし続けたいものだ!!

 この東京湾180km、36時間走萩往還250kmに挑戦するためのトレーニングとして位置づけている。
もう、この歳だ。再度挑戦して失敗したら後がない

 ただ問題は江戸川の時と異なり交通量が多いので交通事故に注意しなければならない。特に疲れてくると頭が朦朧となって、「こんなに疲れるならいっそのこと自動車に引かれて死んだほうがましだ」という自殺願望に取り付かれるので気持ちをハイに保つ必要がある。

 ちかちかランプ蛍光塗料のチョッキ懐中電灯は必携だ。
天気は晴れると消耗が激しく、一方雨だと雨具や着替えが必要なので荷物がかさばる。曇りが最適だが、この梅雨時にあれこれ言っても始まらない。どんな天候でもいいので今日(26日)、朝4時に我が家をスタートした。

 

| | コメント (1)

(22.6.26) 岡田監督に謝罪する

201006252006250025011  岡田ジャパンの実力を見あまったことに正式に謝罪します。
ワールドカップ前の練習試合で4連敗したのを見て、日本がとてもワールドカップで勝利できないと思い、このブログでもそのように記載しましたが、まったくの私の誤りでした。

 カメルーン戦で1-0で勝利した時も驚きましたが、デンマーク戦で3-1で勝利するとは思いもよりませんでした。
引き分けか勝利で決勝トーナメント出場が可能なので、日本は引き分け狙いではないかと思っていましたが、実に積極的にせめていました。

 カメルーン戦もデンマーク戦も、本田の得点で先行するパターンでしたが、本田選手の活躍には目を見張ります。
特にボールをキープしたり切り替えしたりする能力は世界の選手と引けを取りません。日本にはFWがいないと私はブログで述べましたが、これも撤回いたします。
本田選手は貴重な先取点をカメルーン戦、デンマーク戦と2点もたたき出したのですから、まごうことなきFWと言っていいと思います。

 GK川島は相変わらずすばらしい能力を発揮して好セーブを繰り返していました。とくにPKになった時に一旦はボールを止めたのは立派です。
結果的には跳ね返えったボールを決められてしまいましたが、川島はボールの方向を完全に読んでいました。

20100625070515181  前半の2点フリーキックからの得点で、これが日本の武器であることを実証したと言えます。
遠藤がFKの名手であることは知っていましたが、本田までが名手だとは知りませんでした。
決勝トーナメントになっても、この日本のよさを継続していけば期待が持てます。

 それにしても岡田監督知将だとしみじみ思いました。
練習試合で4連敗して、敵も味方も「日本弱し」と油断させ、一気に予選を突破する手腕は見事と言うしかありません。
まさに孫子の兵法そのもののような手腕です。

 勝利インタビューで岡田監督が目をうるませていましたが、気持ちがよく伝わってきました。
普段は大言壮語をせず、どちらかと言うと陰気な感じで、元気印とは反対の印象を与える岡田監督ですが、予選通過を果たし、実際は知将で立派な仕事師であることを証明しました。

 岡田監督を見て、黒澤明の七人の侍に出た、ストイックな剣豪久蔵(宮口精二) を思い出しました。
男は黙って仕事をする岡田監督のことです。

 何はともあれ決勝トーナメント進出おめでとうございます。
そして岡田監督の手腕を見あまったことを重ねて心からお詫び申し上げます。

 

 

| | コメント (1)

(22.6.25) ユニクロの世界戦略 英語の公用化

22620_029

 やはりと言おうか当然と言おうか、ユニクロが世界戦略の一環として社内で英語の公用化(会議や文書はすべて英語12年3月より実施すると言う。
店長クラスの条件はTOEICの点数が700点以上と言うことだから、本格的な導入と言える。

注)私のTOEICの点数は600点台だったからユニクロの店長にはなれない。

 新卒採用にあたっても外国人優先で、11年度は半数、12年度は3分の2、13年度は4分の3を外国人にし、給与も同一条件にするのだそうだ。
その最大の理由は国内市場が飽和状態になって、今後は海外に進出する以外にユニクロの生き残る道がないからである。

 毎回同じことを言って恐縮だが、人口が減少し高齢化が進む日本においては国内消費は漸減していかざる得ない。
人口が減ればそれだけで消費削減要因だし、老人はそもそも物を買わない。
デパートやスーパーの衣料部門を侵食して拡大してきたユニクロだが、その侵食も限界だ。

22620_022

 ユニクロのビジネスモデルは相対的に高品質で低価格の衣料品の提供だが、今までの日本になかったモデルだったので、日本中を席巻してしまった。
今後はこのビジネスモデルで成長著しい中国やインド等に営業拡大し、20年度までに全売上高の70%を海外が占めるようにするのだと言う。

注)現在の国内店舗数は809店、海外の店舗数は136店

 20年度の目標売上高は現在の7倍の5兆円だというから、達成できればパナソニック並みの堂々たる世界企業になる。
世界企業としての条件の一つは公用語を英語とすることで、今日本で社内の公用語が英語なのは日産楽天と少数だが、今後はこうした企業が激増する。

 なにしろ国内での商売はほとんど限界なのだから、企業が生き残るためには世界企業に脱皮せざるえない。
そうなれば従業員は日本人以外が多くなるのだから、英語を公用語にしなければコミュニケーションがはかれない。

 思えば私などは実に幸運な人生をたどったと言える。日本の国内市場が十分にあった成長期にサラリーマンだったため公用語は日本語ですんだし、企業としてもそれで成り立っていた。
海外支店があったが、スタッフのほとんどが日本人だったから、会議も社内文書も日本語だった。

22620_028

 そうした日本人にとって実に恵まれた条件が今徐々に失われつつある。
今後は日本の若者は英語を話せなければ職業に就くことができないし、さらに海外のガッツのある若者と対等に渡り合わなければならない。
競争に敗れれば、後は自給1000円程度のパートしか仕事は残っていない。

 グローバル化とは日本の若者にとって、世界の若者と張り合わなければならないと言うことで、日本人であることが特別有利な条件にはならない。
日本の大学生は必ずしも学力が高くなく、勉強しなくても卒業できるが、そうした学生はまともな職業にはつけなくなる。
少なくともユニクロには就職できない。

 日本では民主党政権が成長戦略を発表したが、成長するのは海外に市場を求めて積極的に打って出る企業だけで、国内市場を相手にする企業は漸減し職場は限られる。
したがって新規参入する若者は、ユニクロのような企業しか受けいれてくれないが、その受け入れ条件は世界の若者と同一条件だ。

 今、閉ざされた労働市場の時代は終わりを告げ、世界的な就職競争時代になったことをユニクロの英語の公用化戦略が明確に教えてくれた。

 

 

 


 

| | コメント (4)

(22.6.24) 落ちた三色旗 フランスのワールドカップ予選敗退

22620_032

 ワールドカップで信じられないような状況が発生している。
前回準優勝国フランスがA組最下位ではやばやと予選落ちしてしまった。
誰もがフランスの予選通過は確実だと思っていたので、フランス人をはじめ世界が驚いた。

 私などは日本が入っているE組の結果だけに注目し、他の組の状況についてはほとんど関心がなかったが、A組のフランス敗退の原因は内紛だと言う。
フランスは最初の試合でウルグアイ0-0で引き分けたのだが、このあたりまではさして問題がなかった。
後の2試合を勝てば予選通過と思っていたからだ。

 ところが第2戦のメキシコ0-2で負けると内紛の火がついた。
この試合のハーフタイム時に交代を命じられたFWアネルカ選手ドメネク監督に暴言を吐いたことで、フランスサッカー協会はアネルカ選手のチームからの追放と帰国を命じた。

 暴言内容の詳細は不明だが、アネルカ選手が交代を潔しとしなかったであろうことは容易に想像できる。
俺がいないで勝てると思っているのか、監督はバカか!!」そんなところだろう。

6024051_2  ところがこのアネルカ選手の追放措置に怒った他の選手が、今度は練習をボイコットし、主将のエブラ選手がコーチと口論したりして、最終戦の南アフリカとの試合ではメキシコ戦のメンバーからエブラ選手を含め6人が入れ替わった。

 もはやフランスは一体となってワールドカップを戦うことができなくなり、サルコジ大統領まで乗り出したが、南アフリカ2-1で負け、予選最下位でフランスのワールドカップは終わった。
フランスが1勝もできず、あげた得点が1点だけなのだから驚かないほうがおかしい。

 このフランスの思わぬ敗退に世界とフランスのメディアは酷評しており、中国メディアは「W杯史上最大の笑い話」というし、フランスのスポーツ紙は「地獄の底への旅」と見出しを付け、公共ラジオは「恥辱と破局の代表チーム」と散々な評価を下している。
フランス人は口をきくのも、サッカーの話をするのもいやだと言う雰囲気だ。

22620_034

 しかし今回のワールドカップではフランスだけでなく、ヨーロッパの強豪チームが軒並み苦戦している。
イングランド、ドイツ、イタリア、スペインが予選通過に苦しんでおり、まったく問題なく予選通過したのはオランダだけだ。

注)イングランドとドイツは最終戦で勝利して予選を通過した。

 私などは西ヨーロッパのサッカーが世界の最高レベルにあると思っていたが、この4年間に地殻変動が発生したらしい。
特に今回は中南米諸国が快調で、ウルグアイ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルと次々に決勝トーナメント進出を決めている。
それ以外でもパラグアイとチリがグループ1位になっているので、決勝進出の可能性が高い。

 いったい世界のサッカー界に何が起こったのだろうか?
ヨーロッパ経済の停滞と、ブラジルを筆頭とする新興国経済の影響がサッカーにも現れているのだろうか。
世界をリードしてきた西ヨーロッパのサッカーの凋落は何か西洋の没落を意味しているようにも見え、非常に示唆的だ。

注)写真の選手はエブラ主将

 

| | コメント (0)

(22.6.23) 大相撲はどうしたら再生できるだろうか

Dscf0114

 大相撲の野球賭博問題の報道を見るたびに、大相撲はこのままの状態で生き延びることが難しいのではないかと思う。
武蔵川理事長は「現時点では名古屋場所の開催を見送らざるえない可能性がある」と言っていたが、「名古屋場所だけか?」と思わず聞いてしまいそうだ。

 私たちは普段、大相撲が国技だと思っているが、そうなったのは明治時代からで江戸時代の大相撲は河原者の世界だった。
そのことについては以前ブログで以下のように記したことがある。

大相撲は日本の国技と言われて久しく太古から連綿と続いてきて、今後も未来永劫に続くと思われているがそれは誤解だ。
大相撲が本当に国技になったのはここ100年ぐらいの間であり、それまではかなり怪しげな技芸だった。

 江戸時代から江戸と大阪等で相撲は行なわれていたが、力士はほとんど給与はもらえず、一部の人気力士以外は男を売っていたほどである。いわゆる河原者の世界だと思えばいい。

 そのため明治の初期東京府は「裸体禁止令」を出して東京相撲を禁止しようとしたほどだ。
これを救ったのは明治天皇1884年伊藤博文の進言もあり展覧相撲を開催して社会的に相撲を公認した。

 さらに大相撲が本当の意味で国技となったのは1925年に当時摂政宮だった昭和天皇摂政宮賜杯後に天皇杯)賜った時からで、相撲をこよなく愛された昭和天皇がいなかったら、相撲が国技になることはなかっただろう。

 だから大相撲は伝統の上に胡坐(あぐら)をかいていられるほど、
過去から連綿と続いてきたわけではない

Dscf0116

 大相撲が名実共に国技になったのは昭和天皇が心から大相撲を愛されたからである。
相撲記者が「どの力士を陛下はひいきにしておられるのですか」との質問に、「どの力士をひいきにしていることが分かれば、他の力士がかわいそうなので言えない」と答えられておられたが、大相撲を何より好まれたことがその話しぶりから伝わってきた。

 1989年、昭和天皇が崩御され昭和が終わったが、その後は若貴時代を最後のピークとして大相撲は衰退を始めた。
朝青龍のサッカーや暴行問題、時津風部屋での新弟子への暴行致死問題、麻薬問題等立て続けに不祥事が発生し、今回の野球賭博問題で完全にデッドロックに乗り上げた。

 相撲界の問題は色々あるが、一番の問題は相撲協会の役員13名のうち10名が関取出身で外部の監視がほとんど効かない事にある。
すべてを相撲社会のしきたりで判断してきたが、このことが社会の通念と乖離してしまった。

注)外部の組織として横綱審議委員会があるが、これは横綱昇進の可否を主として審議する機関である。
なお、相撲協会の外部理事が導入されたのは08年9月で、時津風部屋力士暴行致死事件を受けて文部科学省の要請で急遽設けたもの。


 暴力団との関係は以前から続いており、そのことが暴力団が主催する野球賭博につながっている。
また外部から見えない閉ざされた部屋制度は、親方や兄弟子による指導と暴行の区別をつけづらくしている。

Dscf0118

 大相撲はどうしたら再生できるだろうか。
相撲協会の理事は全員外部の役員として、親方等を役員から排除するのが改革の第一歩だろう。
幸い現在有識者会議が組織されて野球賭博の実態究明を行っているが、この組織を理事会に格上げすればいい。

 戦後の日本の改革はGHQが行ったが、イメージはそれに近い。親方に従来のしきたりを改革させることは100年河清をまつようなものだ。
今回の野球賭博については関係者をきっちり処分し、その上で再生を図るしか手はない。
あまりに処分者が多い場合は名古屋場所は謹慎の意味で取りやめも致し方ない。

 相撲社会は日本の最も遅れた社会構造をそのまま維持してきた特殊な社会だ。
野球賭博を機会にその古いしきたりをすべて切り捨て、時代に即応する時期が来たようだ。 

 

 

| | コメント (0)

(22.6.22) 中国人民元の為替の弾力化は本当だろうか?

22619_009

 中国人民銀行が今月19日に「人民元の為替の弾力化を高める」と報道したことに伴い、世界各国は一斉に歓迎のコメントを出したが、その期待に反し、実施予定日の21日には若干の元高に留まった。

注)中央値は変わらず、変化幅0.5%以内の6.80元で従来の6.83元から比べると0.4%の元高だった。

 中国の為替制度は日本などの変動相場制と異なり、リーマンショック以降はまったくのドル固定制と言ってよく、1ドルに対し6.83元に張り付いていたので、現状は微修正といった段階だ。

22619_024

 ここにきて中国が為替の弾力性を高めると表明したのは、6月26日にカナダのトロントで開催されるG20首脳会議で、胡錦濤国家主席に恥をかかせないためである。
中国は面子だけで生きているような国で、現在の中国皇帝といえる胡錦濤国家主席が満座の前で非難されたり、そのための弁解をしなければならない立場になることを何としても避けなければならない。

 「中国は為替を人為的に操作し、世界経済に甚大な悪影響を与えている」などとオバマ大統領に言われたら、胡錦濤国家主席の立場がない。
胡錦濤主席に恥をかかせるな」中国人民銀行に指示がとんだ。

注)胡錦濤国家主席は中国では皇帝の立場にある。
外国からの首脳を迎えるスタイルは、自分は動かず静かに立っており顔は無表情を決め込む。
日本の首脳がニコニコ笑って、腰をかがめて握手する様は朝貢外交の使節団のようだ。


 オバマ政権は大量の国債を中国に購入してもらっているてまえ、本音は中国を刺激したくない。
しかし一方民主党が多数派の議会は中国に対し人民元の切り上げを要請している。
中国が何も対応しなければオバマ大統領はG20で厳しい口調で中国を非難しなければならなかったのだから、ほっとして歓迎のコメントを出した。
建設的な一歩だ

注)民主党は基盤であるGM等の工場労働者の職場を守らなければならず、オバマ大統領は民主党議員から元安がアメリカ製品の輸出を阻害していると突き上げられている。

22619_012

 しかし21日から実施すると表明した元の為替相場はほとんど変動せず、為替関係者からは「中国は本気で為替相場の弾力化を測るのだろうか?」と疑問の声が出ている。

 中国としたら元相場の弾力化は痛し痒しだ。
輸出産業保護のためには元安が至上命令だが、一方そのための為替介入で国内には元が溢れかえり、不動産バブルが止めどもなく続いている。国内物価の高騰も気がかりだ。
若干の元高は容認してもいいのじゃないか・・・・・・

注)中国人民銀行は元相場をドルに固定するため、元が上がりそうになるとドルを買って相場を下げてきた。このためドルが急激に溜め込まれ外貨準備は200兆円を越えているが、その分国内には元資金が供給されたことになる。

 
おそらく中国人民銀行は元を若干ずつ切り上げると思うが、その速度はアメリカが期待したものには程遠いだろう。
中国は国内の消費市場の拡大を図っていると宣伝しているものの、実際は政府支出の拡大と金融緩和でどうにか景気を支えているのが実情だ。
だから本音は輸出拡大で、政府支出が限界に達する前に輸出主導型の経済運営に復帰したいと考えている。


注)日本が国内市場の拡大を唱えながら、常に輸出産業の業容回復で不況を脱出してきたように、中国もそれ以外の方法はない。

 
どこの国にもその国の経済運営のパターンと言うものがあり、そこから乖離することなどできないものだ。
胡錦濤国家主席に恥をかかせないために中国人民銀行は元高容認発言をしたが、実際の切り上げの足取りは亀の歩行のように遅いものとなるだろう。


 


 



 

 

| | コメント (0)

(22.6.21) 多重債務者問題は解決するだろうか

22619_011

 この6月18日改正貸金業法が完全施行された。
貸金業法自体は06年12月に法改正が行われたのだが、その後3年半をかけてようやく完全実施にこぎつけた。

 3年半もかけたのは、貸金業者の経営に大きな影響を与えるため、激変緩和措置を設けたものだが、実際にこの間消費者金融の貸出残高は約4分の1程度減少し、貸金業者そのものも半減している。

注)消費者向け貸付残高の推移 06年3月 21兆円 → 09年3月 16兆円。
貸金業者は2年余りで半減し、現在3900社あまりになっている。


 この18日の完全実施の内容は二つあって、
 年収の3分の1を超える新規貸出しの禁止と、
 上限金利を、いわゆるグレーゾーン金利(出資法の29.2%と利息制限法の15%~20%の間の金利)を廃止して、利息制限法の金利に統一する措置である。

 ただし今回の実質的な影響年収の3分の1の規定であり、②グレーゾーン金利については消費者金融大手やカード・信販会社はすでにかなり前から廃止して、利息制限法の上限以下の金利設定になっている。

注)06年1月の最高裁の判決で、グレーゾーン金利のみなし弁済規定借入者が了解すればグレーゾーン金利を適用しても良い)を厳格に運用する判決が出され、それ以降の裁判ではこのみなし弁済規定は実質的に認められなくなった
これにより消費者金融各社は過去に遡って過払い利息の返還請求(29.2%-20%の金利の10年分)に追われ、経営が急速に悪化した。


22619_006

 この年収の3分の1の規定に抵触すると見られる利用者は、消費者金融全利用者約1400万人の半分の700万人相当と見られているため、影響は相当大きい。
消費者金融各社が「法律を見直されなければ業界が消滅する」と悲鳴をあげているのもうなずける。

 実際業界大手のアイフルは実質的に倒産(09年9月 産業活力再生特別措置法に基づく措置を申請)し、武富士は業容が急激に悪化して外資等への身売りが噂されている。

 90年代から06年1月の最高裁判決まで我が世の春を謳歌していた消費者金融のこの凋落は目を覆わんばかりだが、一方このことは日本における消費者金融というものが限界に達し、ビジネスモデルとして成立しないことを意味している。

 通常の消費者が借入金を返せるあては、ボーナスが出るまでのつなぎや、給与の増加が期待される場合だが、日本の場合はどちらもその条件が失われた。
経済は成長せず給与もボーナスも上がらないのだから、返すあてはまったくなく、結局は多重債務者になるより他はない。

 多重債務でも借りている人がいる間は消費者金融は成り立つが、今回の法律の施行で年収の3分の1以上の多重債務者への貸出しを規制されるのだから、結果的に貸す相手がいなくなる。
給与は増加せず、多重債務もだめなら消費者金融は存立できない。

22619_020

 ところで今回の法改正で多重債務者の対応は3通りに分かれそうだ。

① 多重債務者でまだ借入が少ない人は、借入を止め生活を切り詰めることで乗り切ろうとする。
② 借入が多すぎて生活ができない人は、消費者センター等に相談して自己破産の道を選ぶ。
③ 自己破産も生活の切り詰めもできない人は、あくどい闇金融に走る。


注)現在の闇金融の手口は、規制対象外のクレジットカードを利用したものが多い。これはカードで50万円のパソコンを購入させて、それを30万円で引き取ると言うようなもので、この場合の実質の利回りは67%になる。

 多重債務者700万人のうちそれぞれの割合が3分の1づつと想定すると、約230万人程度はあくどい闇金融の餌食になりそうで、今後はそうした多重債務者が社会問題になるだろう。

 しかし何度も繰り返すが、GDPの成長が止まった社会では、ボーナスも給与も伸びないのだから、消費者は返済財源を持たない。
その結果消費者金融の残された道は、日本をあきらめ成長著しい新興国での営業に乗り出すことだけで、実際にプロミスは中国への進出を図ろうとしている。

 時代が変わったと言うことだろう

 

| | コメント (0)

(22.6.20) 最後のご奉公  数学のコンサルタント

22615_034

 いつまでたっても心残りと言うものはあるものだ。既に63歳になり、神様のお迎えが近くなってくると、そうした心残りを残したままこの世を去っていいものかどうか迷う。

 本当は何も苦労をせず、好きなマラソンや登山だけをして人生を過ごしたいという気持ちもあるが、一方でそうした自分だけの楽しみだけで人生の残りを過ごしてしまうことに後ろめたさも感じる。

 私は毎日ブログを書き社会問題に対しても提言をしているが、提言だけで自分は何もしないでいいのだろうかと悩んできた。
ほぼ毎日の清掃活動や、公園のベンチの補修や、植栽の管理はしており、確かにボランティアとしては有意義なのだが、何かいま一つ物足りない。

人を相手にした、ボランティアがあってもいいのではなかろうか
冬場は小学生にマラソンを教えており、それはそれでとても楽しい。
しかし私が本当にしたいこととは異なる。

 信じられないかもしれないが、私がしたいボランティアは数学のコンサルタントなのだ。
それは私自身がかつて悩み、そして人生の一部を失敗したと思われた、高等学校における数学の勉強の仕方についてのコンサルタントである。

 昔の話をすると、私は中学生まではとても良く数学ができたのだが、高校生になったとたん数学の劣等生になってしまった。

 なにしろテストの成績が30点前後で、中学までの90点以上が当たり前の状況からの変化に愕然とした。
ぼくは急に頭が悪くなってしまった」そう思ったものだ。

22615_035

 実際は中学と高校の間の数学には断層と言っていいようなレベル差があり、努力を重ねても60点が取れれば御の字だったのだが、そうした気持ちにならずすっかり数学嫌いになってしまった。
数学ができないことで高校の3年間が暗く、無駄に過ごしたと思っている。

 その後社会人になってから高校の数学を主として予備校の人気教師の教材を使用して復習してみると、数学の学び方には一定のルールがあり、またそれを継続しさえすれば高校の教科書レベルの数学はほとんどの人が理解できることを知った。
しかも数学と言う学問はことのほか深く、面白い。

そうか、方法論が間違っていたのか」そう確信した。
私自身はすでに高校をとうの昔に卒業しており、今は単なる数学の愛好家に過ぎない。
しかし私と同じように高校生になったとたん数学の理解が困難になり、そのために学校生活がいやになってしまった学生に対しては、私のような数学嫌いの高校時代をおくってもらいたくないとの気持ちが強い。

 ほんの少しのアドバイスとその実践のチェックさえしてやれば、中学生の数学は理解できているものの、高校の数学に苦慮している者ならば、教科書レベルの水準なら十分到達できる。

注)中学の数学が理解できていない人に高校の数学を理解させることは難しい。この場合は中学の数学の復習から始めなくてはならない。

22615_026

 数学に悩んでいる高校生に対する一般的な注意は以下の通りだ。

① 高校の数学で100点近くを取ることはできない。60点で十分だと達成レベルを引き下げる(中学の時に優秀な成績をとっていたものほど、この精神の切り替えができない。特別に優秀な人を除けば60点で十分だ

② 数学はパターンの暗記だと言うことを理解する。このパターンの暗記は英単語や歴史の暗記となんら変わりがない(
パターンを暗記し、それを応用するのが数学で、数学を論理や推論を駆使するものだと思ってはいけない。少なくとも高校生までの数学はパターンの暗記である

③ 勉強方法は教科書ガイド(いわゆるアンチョコ)を購入して、記憶が完全になるまで繰り返し暗記する。最低5回程度は帳面に書き写すことが必要(
教科書ガイドを使用することに躊躇することはない。
完全に暗記ができれば高校の数学は卒業だ

④ 参考書は教科書ガイド(教科書)を完全に理解するまでは使用してはいけない(
教科書ガイドが理解できない段階で参考書を読んでも無駄。なお参考書は予備校の教師が作成した丁寧な解説のついたものを選ぶ

注)定評のある参考書は、馬場敬之氏と坂田アキラ氏の参考書。懇切丁寧な説明で誰でも理解できる

22615_029

 一般的な注意は以上の通りだが、これに対象の学生の個別事情が加わる。私としてはそうした学生と面談して、学生を勇気付け具体的な数学再生プログラムを作成して、定期的にその実施状況をチェックしながら、高校数学を教科書レベルで完全に理解できるように指導をしたいと思っている。

注)なお本件はあくまでコンサルタントで塾ではない。個別の数学問題の指導はしない。従ってコンサルに従って実行するのは本人の努力にかかってくる。

 最も私の住んでいる場所がおゆみ野だからおゆみ野周辺の学生が対象になるが、高校生になって数学の勉強に悩んでいる学生のサポートを少しでもできれば、私の人生の最後のご奉公になるのではなかろうか。

注1)対象は主として高校1年生。急に数学が難しいと感じてきた時期にコンサルをするのが最も効果的。

注2)現在、「子育て支援モデル事業」という、政府が支援している事業があり、私も参加している「おゆみ野守り人」が中心になって、おゆみ野における事業の具体化を検討している。
上記の数学コンサルタントはその一環として実施できないか検討している。

  

 

 

| | コメント (0)

(22.6.19) オオムラサキがおゆみ野の森に羽ばたく

250pxsasakia_charonda1
オスのオオムラサキ Wikipedia より。2枚目の写真はメス

 この20日おゆみ野の森の定期活動は「オオムラサキをおゆみ野の森」に放つ活動だ。
この取り組みを進めているのは森のメンバーのTさんと緑土木事務所の所長鈴木さんだが、鈴木さんは色々な森にオオムラサキを復活させようとの取り組みをしている。

 私はオオムラサキという蝶は名前こそ知っていたものの、どのような蝶かまったく知らなかった。
オスのオオムラサキはアゲハ蝶を一回り大きくした、青紫色の羽を持った美しい蝶で国蝶だという。
国蝶だったのか・・・・・」

 日本全国の雑木林に生息し、主としてえのきの葉を食べて幼虫は成長し、一方成虫はクヌギ等の樹液をすって生息していると言う。
しかし、このオオムラサキを見た記憶がないな・・・・・

 私の知っている蝶はアゲハ蝶もんしろ蝶もんき蝶で、これは子どもの頃故郷の八王子のあちこちで見かけた。
今でも覚えているが、小学生の時、京王線の廃止されていた線路跡をかけ抜けると、無数の蝶が一斉に私の周りを飛び交い、蝶の中に自分ひとりがいると言うような光景にであった。
ぼくと蝶が友達になって踊っている」そんな感覚にとらわれたものだ。。

注)当時は京王線が北野~高尾間が廃線になっていて、子どもたちの格好の遊び場になっていた

250pxsasakia_charonda1_3   しかしオオムラサキという蝶は知らない。Wikipediaで調べてみると、日本では最大の蝶でとても気が強く樹液を吸うときはスズメバチやカブトムシにも負けないで相手を蹴散らすと書いてあった。

 このオオムラサキを千葉で実際に育てている方は秋葉さんと言う方で、それをコーディネートしているのが緑土木事務所の所長の鈴木さんだと言う。

しかし、放てばおゆみ野の森にオオムラサキが生息できるのですかTさんに聞いてみた。
放つ蝶は交尾を終えて子どもを生んだ後の蝶だから、実際はその時だけに終わってしまうでしょう

そうするとじいさんとばあさんを放つと言うことか・・・
まあ、そんなものです。でも子どもたちに国蝶がどういうもので、どのような生息の仕方をするのか教えるのはとても有意義なことだと思います

 20日(日)の10時から鈴木さんと秋葉さんの話を聞いた後、オオムラサキをおゆみ野の森に放つ予定です。
お子さんの教育にはとってもいい試みですので、子どもを誘って是非おいでください。

地図等は以下のURLを参照してください。http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/40/fe68fc96542d0b4e08ae0fdbe0da556b.jpg

 

| | コメント (2)

(22.6.18) 人の金は俺の金 SFCG大島元会長の錬金術

22615_022
ネコババが俺の人生だ

 本日(16日)SFCG大島元会長を含む4名が警視庁に逮捕された。
商工ローン大手のSFCGは90年代に都銀各行が不良債権処理で融資が縮小していた時に、即決融資、高金利、連帯保証人への厳しい取立てを特色としながら業容を急拡大した中小企業向け貸金業者である。

 しかしSFCGは資金調達を主として外資に仰ぎ、リーマン・ブラザーズから多額の融資を得ていたが、リーマンショックで頓挫し、SFCGそのものも09年2月に民事再生法を申請して倒産した。

 ところがその時、大島元会長SFCGの資産を関連会社にたくみに移し、再度事業を立ち上げるための隠し資金としてネコババを決め込んだ。
債権者に残された債権はクズだけだったのである

注)SFCGはリーマン・ブラザーズから700億円規模の融資を受けていたが、08年8月頃からリーマン・ブラザーズ自身が経営が危うくなり、SFCGから資金回収を進め、08年9月には50億円にまで圧縮されていた
このため、SFCGは急激な資金繰りの悪化に見舞われた。

22615_021
悪いやつほどよく眠るのだ

 SFCGの融資は手形貸付という形式をとり、延滞が発生すると主として連帯保証人に対し裁判所の支払い命令をとって取り立てるもので、「裁判所を取り立て機関として利用」するなど、知能犯的な特色を持っていた。

注)大島元会長は手形訴訟では裁判所から債務名義(強制執行に必要となるもの)をすぐに取得できることを利用して、裁判所の命令と言う形で債権の取立てをおこなった。

 管財人が調査した大島元会長の資産隠匿は以下の通りで、金になるものはすべてSFCGから持ち出して、後にはクズ債権だけを残したもので、実に用意周到で悪知恵が働く人らしい。

 (Wikipediaのよると資産強奪方法は以下の通り

・2008年10月以降、貸付債権約1420億円分を、関連会社や大島元社長の親族会社などに無償譲渡か、安値売却した。

・2009年2月に行った民事再生手続開始の申立て直前に、子会社株式など約1238億円分の財産を、関係会社等に譲渡した。

・東京都渋谷区松濤にある大島元会長の自宅を、親族会社(
代表取締役は大島の妻)の所有とし、SFCGが家賃として月1525万円を支払っていたが、2008年10月からは月3150万円に引き上げた(家賃としてSFCGの資産を大島元会長に移した)。

・2008年8月に、役員報酬を、他の役員は全員月額30万円だったにもかかわらず、大島元会長の報酬のみ月額2000万円から月額9700万円に増額した(
役員報酬としてSFCGの資産を大島元会長に移した)。

 このようにして資産のすべてを関連会社に移し、倒産したSFCGには何も残さないようにしたのだから、倒れてもタダでは起きないというのはこのことだ。
まさに今昔物語に出てくる受領(ずりょうそのものといえる。

注)受領とは平安時代後期のあくどい国司のことで、地方に赴任するとそこの富を強奪することだけを考えていた。ころんでもただでは起きないといわれ、今昔物語に詳しい。

22615_019
逮捕されてもタダでは起きないぞ

 管財人によるとSFCGの負債総額は2900億円金融機関、および過払い利息債権)だから、この隠し財産を取り戻さない限り配当などは夢のまた夢なので、警視庁に被害届を出して司直の手で回収を図ることにした。

 本日(16日)、警視庁は大島元会長を含め関係者4名を民事再生法違反(再生手続き前後の資産隠しの禁止)で逮捕した。
直接の容疑は420億円の不動産担保ローンをペーパーカンパニーの白虎に流失したうたがいだが、流失したSFCGの総資産額は2670億円規模になっている。

 大島元会長は当然のことながら無罪を主張しているものの、現在の受領とも言うべき大島元会長の事跡を追えば、平成今昔物語が書けそうだ。

| | コメント (0)

(22.6.17) いつまで続くぬかるみぞ  大相撲不祥事

22615_009

 私のように大相撲のファンにとってはつらい日々が続いている。
大相撲の不祥事が際限なく続き、親方二人による維持員席の暴力団員への提供問題が部屋の閉鎖と言う措置で終了したと思ったら、今度は大関琴光喜の野球賭博問題が顕在化している。

 当初琴光喜は野球賭博をしていることを否定していたが、6月14日になって一転してその事実を認めた。
暴力団関係者から「野球賭博をしていることをマスコミにばらす」と脅され300万円を口止め料として支払ったが、さらに1億円の口止め料を要求されていたと言う。

 警視庁は本件を恐喝罪として立件するため、琴光喜を含め関係者の事情聴取を始めた。
琴光喜は謹慎の意味で名古屋場所の出場を辞退したが、どうやらそれだけでは収まりそうもない。
警視庁が立件を決めた段階で、琴光喜は引退せざる得ないだろう。

22615_012

 しかし問題は琴光喜だけに留まらない。
野球賭博をしたと相撲協会の行った調査に対し答えた現役力士が29名おり、さらに賭けマージャン等を含めると65名が賭博に関与したと言う。
これは現役力士の約1割相当だが、実際はもっと多くの力士や親方や床山が賭博行為をしていたと推定される。

 私が現役のサラリーマンだった時も、賭けマージャン賭けゴルフは日常的に行われていた。
私自身はマージャンもゴルフもしないからそうした賭け事と無縁だったが、マージャン好きな人から「あいつはまだ掛け金をはらってくれない。トンでもないヤツだ」など言っているのを聞いているし、ゴルフでは「X枚握ってX円稼いだ」と言う話は当たり前のように話されていた。

 こうした行為は賭博行為ではあるが、少なくとも仲間内で実施され暴力団が関与しない限り警察もお目こぼしをしている。実際私がサラリーマンをしていた間、同僚が賭博行為で逮捕されたと言うようなことはない。

22615_005

 しかし暴力団が関与してくると警察としても黙って見逃すわけには行かなくなる。賭博行為に伴いテラ銭と称する手数料が支払われ、それが暴力団の資金源になるからだ。

 今回琴光喜の野球賭博が社会通念として無視できないのは、暴力団関係者との癒着が疑われるからである。
日本を代表する国技の大関と言う地位の者が、反社会的集団と癒着して賭博行為をし、今度はそのために恐喝されるとあっては警視庁も放っておくわけには行かない。
しかも相撲協会は公益法人で国から税制上で優遇されている。

 それにしても相撲界の不祥事がこれほど続くとなると相撲協会としても安直な対応で済ますわけには行かないだろう。
大相撲の将来を考えると、暴力団関係者との癒着が明確になった者には、温情主義は止めて即解雇するといった厳罰主義でのぞむ以外に方法はなさそうだ。

注)なお文部科学省は賭博に関連した全員の名古屋場所への出場停止と、外部の人員だけからなる有識者会議による真相究明を求めている。
本当に関係者全員が出場停止になると、名古屋場所自体が成り立たないのではなかろうか。

 

| | コメント (0)

(22.6.16) 岡ちゃん ごめんなさい

22615_013  

 信じられないような快挙だ。岡田ジャパンが初戦でカメルーン1-0で破って、勝ち点3をもぎ取った。
ここ4回の練習試合ではいいところなく敗れていたので、よもやカメルーンには勝てまいと思っていただけに朝のニュースを見て飛び上がった。

 前回までのワールドカップの時はたとえ試合が深夜に及ぼうが必ずテレビを見ていたが、今回はまったく見る気がしなかった。
どうせぼろ負けだから見ないほうが精神衛生上いい、寝てしまおう

注)試合を録画して後で見たが、録画をしようとしたのは日本のどこに弱点があって世界で戦えないか確認するためだった。

 今回の岡田ジャパンは、どんな苦境にたっても諦めず努力すれば勝利の女神が微笑んでくれることを示しただけに、実に教訓になった。
本田があげた虎の子の1点を守りきったのだからすばらしい。
練習試合のイングランド戦で1点先行して逃げ切りを試みて失敗したが、今回はうれしいことに大成功だ。

 ディフェンダーもカメルーンのエース、エトーをマークして仕事をさせなかったし、キーパーの川島の動きもよかった。
私は川島は世界のキーパーの中でも一流のキーパーと評価しており、敏捷でほとんどのシュートを止めてしまう能力を持っている。

22615_024

 それにしても岡田ジャパンの能力を見くびった私のサッカー鑑識眼を恥じた。
岡ちゃん、ごめんなさい」完敗だ。
なにしろ私の予想では3連敗で引き分けすらできないと思っていたのだから、このカメルーンからの1勝は、快挙以外の何者でもない。
次のオランダ戦で引き分けに持ち込めればベスト16に進める可能性が高いのだから、興奮してしまう。

 この岡田ジャパンの快挙といい、前日の惑星探査機「はやぶさ」の帰還と言い、日本人の逆境から立ち上がる粘り強さには驚くほどだ。
日本人はこんなに能力が高かったのだろうか・・・」63年間も日本人をやっていた私が驚いている。

 ここ20年余りの経済不振は一向に明るさが見えず、出てくる政治家はことごとくお坊ちゃんで無能な人ばかりだと思っていたが、本当の逆境に陥ると思わぬ力が湧き出るのが日本人のようだ。
菅総理「奇兵隊」という言葉を使用したが、本当に今はそうした奇兵隊が必要な時代で、くしくも岡田ジャパン川口「はやぶさ」がそれを実証してくれた。
そうか、再び明治維新が始まったのか・・・・・・・・」そんな感じだ。

 最近私は年寄りの愚痴のようなものが多くなって、なにか因業じいさんのブログみたいになっていたが、もっと日本人を前向きに評価することの必要性をしみじみと感じた2日間だった。

俺も諦めず、ささやかながらでも日本のために貢献しよう」そう思っている。

 なお、以下のURLをクリックすると日本経済新聞社が配信しているサッカーの映像を見ることができます。http://www.nikkei.com/news/viewer/photo/g=96958A88889DE2EBE0E1E7E1E3E2E3E7E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

| | コメント (0)

(22.6.15) 日本の宇宙航空技術が世界のトップに並んだ  「はやぶさ」の帰還

Dscf0101

 日本の宇宙航空技術が世界のトップ水準であることを、今回の「はやぶさ」の帰還が証明してくれた。
はやぶさ」は地球と火星との間の楕円軌道を回っている「イトカワ」と命名された小惑星に到達し、そこの岩石を採集して地球に戻ってくるミッションを与えられた探査機である。

 03年5月7日に打ち上げられ、当初は4年で帰還する予定だったが、いくたびかの故障に見舞われ7年の歳月をかけてようやく地球に戻ってきた。
何か山で遭難して行方不明になった人が、みんなが死亡していると思っていた頃に、無事下山したような感覚だ。

 私は宇宙科学の分野はまったく知識がなく、本音を言えば「はやぶさ」が打ち上げられたことも忘れてしまっていたが、その間このプロジェクトのリーダーの川口淳一郎教授やその他の技術者は心血を注いで帰還のための努力をし続けていたのだと知った。

250pxhayabusa_hover1_2  先日NHKのクローズアップ現代でこの「はやぶさ」の帰還を取り上げていたが、何度もこのミッションは致命的ともいえるトラブルに見舞われたのだと言う。

 05年12月にイトカワに着陸後、姿勢制御をつかさどる燃料が漏れて機体の姿勢が崩れ、通信が途絶して行方不明になってしまった。
はやぶさ」は太陽電池で通信を行っていたので、パネルが太陽に向かわないと通信ができない。

 テレビでは約1ヶ月間に渡って技術者が「はやぶさ」からの通信を追っている姿が映し出されていた。パネルは回転しているのでいつかはパネルが太陽に向かい、通信が再開できる時があるはずだとの執念からである。

 ようやく通信が可能になり、地球からの指示ができるようになった後の決断がすごかった。姿勢制御を図るため、地球に戻るための燃料ガスを噴出して姿勢を立て直した。

6月16日追加)このため燃料ガスが不足し推進力が低下して、地球に戻るのに4年ではなく7年かかったと私は推測したが、そうでないとの読者の方からのコメントをいただきました。是非コメントを読んでください。
 
 もう一つのトラブルは09年11月4つあるイオンエンジンのすべてが寿命が尽きて停止してしまった時である。もう少しで地球に生還できる直前でエンジンがストップしてしまっては元も子もない。

注)4年で帰還する予定が7年かかったため、耐用年数が経過してしまった。

 私はこの日本独自のイオンエンジンというものがどういうものかよく分からなかったが、プラスとマイナスのイオンを別々に放出して、それを結合することで推進力を得るエンジンだと言う。

 このときの対応もすごかった。壊れたエンジンのまだ生き残っている部品同士を組み合わせて、そこからプラスとマイナスのイオンを噴出してエンジンを再稼動させたのだ。
こんなことが可能なのだろうか」驚いてしまった。

Dscf0102

 「はやぶさ」は米国でさえ挑戦しなかった小惑星の探査を終えて帰還したものだ。幸運に恵まれれば小惑星イトカワの粉塵を採取していると言う。
6月13日は、日本の惑星探査技術がアメリカやロシアや中国と並んで、世界の最先端にあることを証明した日だ。

注)イトカワに到着して岩石を採取する予定だったがこの試みは失敗している。しかし到着時の粉塵を吸い込んでいる可能性があるという

 それにしても川口氏をはじめ日本の技術者は何と粘り強いのだろうか。
どんな困難な状況になっても諦めずに努力をしている。
思えば日本と言う国はこうした技術者集団によって支えられた国であった。

注)私が学生時代は理科系の学部を卒業して、日立や東芝やNECのようなメーカーに入るのが優秀な学生の証明になっており、私のように金融機関に就職するものは二流の人物と見られていた。

やはり、日本は技術者の国なの
日本は今暗闇のなかにいるようなものだが、日本と言う国の世界の中の位置づけは技術だと、今回の「はやぶさ」の帰還を見てしみじみと感じてしまった。

 

 

| | コメント (2)

(22.6.14) 中小企業融資の失敗 日本振興銀行

22524_017

 日本で無担保・無保証中小企業融資が成り立たないことを日本振興銀行が再び証明してくれた。
これで平成16年に登場した2つの中小企業専門の融資機関(新銀行東京、日本振興銀行)が実質的に倒産して、日本の無担保・無保証の中小企業融資に幕が下りた。

 なぜこの2つの中小企業専門銀行が設立されたかの理由は、当時の竹中平蔵金融相が都銀各行に早期の不良債権処理を命じたからである。
都銀各行は仕方なく不良債権と想定される多くの中小企業向け融資の回収に走ったが、そのとき「貸し渋り、貸しはがし」現象が発生した。

 日本振興銀行木村剛氏新銀行東京石原都知事はこの現象をみて、大銀行の横暴と認識し中小企業専門の金融機関の設立の必要性を訴えた。
しかし実際は都市銀行は仕方なく不良債権処理をしていただけで、それが済めば再び中小企業融資を復活するのは当然の成り行きだった。

 この時この2行は設立に当たり、都銀との差別化を図るため無担保・無保証を売り物にしたが、実際は中小企業融資で無担保・無保証は成り立たない
この条件が成り立つためには日本経済が右肩上がりで企業業績が増収・増益が続き、収益で借入金の返済ができるときだけである
一方日本経済が縮小し減収・減益に陥ると、中小企業融資は返済財源を担保以外に求めるのは不可能になる。

 都銀各行は当然のこととして、有担保・有保証主義で債権保全を図ってきたが、それ以外の融資方法がないからである。

注)一見無担保・無保証に見える融資があるが、その場合は本人または家族の預金が実質的に担保になっていることが多く、本当の意味での無担保・無保証などはない。

22524_019  

 木村氏
日本振興銀行は当初無担保・無保証でも新銀行東京とは異なり、かなり堅実な融資方針を採っていたようで、その結果最初の3年間はほとんど融資が伸びていない04年119億、06年でも300億程度)。

 しかし07年ごろから急激に融資が伸びだし、10年3月末には4200億円の残高になった。
中小企業向け融資を諦め、商工ローン大手商工ファンド等)にたいする融資に切り替えたからである。

 形式は債権買取がほとんどだったが、不良債権になった場合は買い戻す条件がついていた。
買戻し条件があると言うことは、実質的には買取ではなく融資であるが、なぜ商工ローンがそうした融資を必要としたかの理由はグレーゾーン金利が廃止されたからである。

注)グレーゾーン金利とは利息制限法(15%~20%)と出資法(29.2%)の間の金利。商工ローンや消費者金融はこのグレーゾーンの金利で貸出しを行っていたが、最高裁の判決で違法とされ、貸金法改正により廃止された。
これに伴い過払い利息の返済(貸出金利マイナス利息制限法との間の金利)に追われ、一気に業績が悪化した。


 このため商工ローン会社は資金繰りに行き詰まり、過払い利息の返済資金の手当ての必要に迫られ、日本振興銀行からの資金調達でかろうじて経営を維持できる状態になってしまった。

 09年2月に経営破綻した商工ローン大手SFCG旧商工ファンド)に対し、1250億円の融資が存在していたが、これはそうした実質赤字見合い資金である。

22524_025

 今回日本振興銀行に対し、警視庁の捜査の手が入った理由は、このSFCGに対する融資の中で、09年1月に実施した融資100億の貸出金利が45.7%と出資法の上限金利を大幅にうわまっわた違法な金利だったからである。
しかも日本振興銀行はその事実を隠蔽するため、関連するメールを削除していた。

注)倒産直前のSFCGから日本振興銀行は100億円の債権を買取、全額1ヵ月後に買戻しと言う条件で手数料を受け取ったが、この手数料を金利換算すると45.7%となった。
全額買戻しとは返済のことで、これは実質的な融資。


 繰り返すが日本では無担保・無保証の融資はビジネスモデルとして成り立たない。これが成り立つ条件は高度成長期の日本や、現在の中国やインドのように、経営が拡大再生産されて、増収・増益が当たり前の環境にあるときだけで、この場合は収益で借入金の返済が可能になる。

 一方経済が減収・減益となり縮小再生産されている日本のような場合は、返済財源は存在しないので、結局は担保処分以外での返済はありえない(ただし過去の収益で積み立てた預金があればそれで返済できる)。

 木村氏石原都知事も存在できないビジネスモデルを引っさげて自爆してしまったが、日本経済を見る目が間違っていたのだからいたし方ないといえる。

 

 

 

 

| | コメント (0)

(22.6.13) 修復作業は天職と思ったけれど・・ 四季の道のベンチ

22612_005
(木が腐ってえぐれているベンチ。このベンチを修復してみた

 私は修復作業というものがことのほか好きである。若かった頃、アンコール・ワットの修復に憧れ、古代ローマのカラカラの浴場が少しづつはあるが、過去の姿に戻っていく様を見て感動した。

私も、こうした過去の遺跡を修復する作業に加えてもらえないだろうか・・・
実際は金融機関の職員であり、また遺跡修復の知識など皆無だったので思っても無駄なことだったが、とても意義深い仕事に思えたものだ。

 定年になりせめて遺跡発掘の手伝いができないものかと近くの千葉市埋蔵文化財調査センターに作業員として応募してみたが、経験者でないとダメだと断られてしまった。
無料でいいから雇ってほしい」と言ってみたが、どうやらこの世界は経験がすべてのようだ。

 すっかり諦めていたが、最近この四季の道周辺のベンチの修復が必要なことがわかり、また昔の修復熱に取り付かれ始めた。
このおゆみ野の地は開発して25年以上経っているが、当初設置したベンチ等が風雨にさらされ木が朽ちて壊れかかっている。

 かつての美しかった景観はなお保たれているものの、器具に限って言えば耐用年数をはるかに過ぎてしまった。
市は予算確保に四苦八苦して、新たな遊具の設置はおろか、補修すらままならない状況だ。

よし、それなら私が補修してやろう。私のアンコール・ワットだ」すっかりその気になった。
現在四季の道約6kmとその周辺の公園約10ヶ所のベンチにペンキを塗って、耐用年数を延ばす措置を施しているが、一方木が朽ちてしまってそのままペンキを塗っても無駄なベンチもある。

22612_006
木材パテを穴に充填した

 当初はこうしたベンチは木を取り替えるしかないと思っていたが、先日おゆみ野の森の資材技術指導員のOさんから、「木材の割れ目に木材用パテを塗って、その上にペンキを塗れば修復できる」という話を聞いた。

うん、これだ!!」すっかりうれしくなって木材用パテをホームセンターで購入してみたが、思いのほか高価だ。
こりゃ、大変だ。このパテを使っていたら家計に響きそうだ

 しかしとりあえずはテストをして見ないことにはパテでの修復がどの程度可能か分からない。
はるの道公園のグランドに設置されているベンチはほとんど朽ちかけているので、これを対象に修復作業をはじめてみた。

 当初はルンルン気分だったが、このパテの使用法がかなり難しい。
私のイメージはでこぼこになった木の表面をパテで覆い、滑らかな面にしてからペンキを塗る予定だったが、パテが少しも滑らかにならない。

困ったな、これじゃ塗っても塗らなくても同じじゃないか・・・・
仕方がないので大きく穴が開いた場所だけパテを詰め込んで、その上からペンキを塗ることにした。

22612_011
ペンキを塗って修復してみた。ただし大きな穴だけをふさいだので表面はでこぼこのまま

 しかしこの春の道公園のグランドのベンチはやたらと大きい。こうしたベンチが6箇所程度あるのだが、1箇所塗っただけでパテと1.8Lのペンキが9割がたなくなってしまった。
パテは2000円、ペンキは4000円弱する。
1箇所当たり約5000円は補修にかかることになる。

 実は昨年まではUR都市機構の子会社新都市ライフから5万円の補助金をおゆみ野クリーンクラブに対し補助してもらっていた。
残念なことに今年からその補助制度がなくなった。

 今回のペンキとパテが補助金で購入した最後の資材で、今後は自腹を切らなくてはならない。
うぅーん、1回で5000円は痛い。こりゃ、春の道公園のグランドの大型ベンチの補修はしばらく止めよう」自腹になったら急にせこくなってしまった。

 当初の意気込みに見合う補修能力がないことも分かってしまったので、当面は小型のベンチのペンキ塗りだけに特化し、パテの補修はやめることにした。
アンコール・ワットの修復作業と言うわけにはなかなか行かないものだ。

 

 

| | コメント (2)

(22.6.12) 泉谷公園の蛍は守れるのだろうか?

Dscf0086
(竹でできたキャンドル

 泉谷公園の「ほたるの道しるべ」という行事が今年も6月5日、6日の両日にかけて行われた。
この行事は地域の団体が中心になって、ほたる生育園から菖蒲園までの間の坂道に竹で作ったろうそく立てにろうそくを灯す行事で、この道しるべにしたがって坂を下りるとの飛び交う滝と菖蒲園に到着する。

 この催しのメインはだが、この蛍はほたる成育園で飼育された蛍をこの行事にあわせて放出しているので、自然に孵化して飛んでいるわけでない。
ほたる生育園では木村さんと言う技術者を中心に6名程度のスタッフでこの蛍の人工飼育を行っている。

注)放出された蛍は交尾し卵を産むはずだが、泉谷公園一帯の池や公園の環境ではえさのカワニナが不足して育たないようだ。

 私たちは蛍が飛ぶ様を見て「ああ綺麗」と感動しているだけだが、実はここほたる生育園は、毎年のようにその存立の是非について市で議論されているようだ。
いわゆる事業仕分の対象になっており、「果たしてこのような生育園を市が今後も維持管理していく意義があるかどうか」問われている。

Dscf0082
ここが菖蒲園でその奥が滝、この一帯に蛍が放出される

 木村さんはじめスタッフの孤軍奮闘でこのほたる園が維持されていると言うのが実態で、人件費以外の設備更新をする費用の確保は非常に難しいらしい。
ポンプが故障しても修理がなかなかできない」と前に木村さんが言っていた。

 こうした現状を見て、市民ネットの福谷さんが「近隣の小中学校と連携してなんとか地域ぐるみでこの生態園を守っていけないか」と提案している。
このまま推移すればほたる生態園が閉鎖され、ほたるが飛び交う里が消滅してしまうかもしれない危機感を持っての提案だ。。

注)小谷小学校の校歌の中に「ほたるの里の小学校」という一節があるが、歌詞を変えなければならなくなるかもしれない。

 蛍の飼育は非常にデリケートな作業で、専門家が心血を注いでかろうじて飼育に成功するというような代物だから、簡単に小中学生ができるとは思われない。
しかし一方地域の小中学校の生きた教材の実習機関として位置づけられれば、毎年のように事業仕分けの対象になるようなことはないだろう。

Dscf0083
これがほたるの道しるべ

 木村さんは来年は市役所を定年になるが、幸いに定年後も蛍の飼育に熱意と情熱を持っておられるので、木村さんを中心にそうした運動が定着したらすばらしいと思う。

 今の時代は行政も資金がなく青息吐息だ。こうした時はいわゆる市民活動が行政に変わって事業を支えていく以外に方法がなく、支えなければ消滅するだけだ。
だから福谷さんの提案はとても大事な提案だと思う。

注)福谷さんの提案は以下のURLをクリックすれば読むことができます。
http://fukutani.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/05/post_9a3a.html


 
 

 

| | コメント (0)

(22.6.11) FAO(国連食料農業機関)の勧告は正しいのではないか!!

2262_004

 国連食料農業機関FAO)が日本政府に対し「口蹄疫のワクチン接種後、感染していないにもかかわらず予防的に殺処分される家畜について、食用として利用することを勧告した」と6月5日の新聞記事に出ていた。

 このFAOの勧告は私が今回の口蹄疫の拡大防止措置の中で最も疑問としていた全頭殺処分し埋葬する処理に対する疑問に答えてくれたものだ。
なぜ、病気でもない牛まで殺し、埋葬しなければならないのだろうか?」

 この口蹄疫と言う病気は人間には感染しないことが分かっているので、鳥インフルエンザのような脅威はない。
それでもなぜ全頭殺処分されるかと言うと、そうしないと「口蹄疫の清浄国」として認定されないからである。

 畜産の盛んな英国において01年に口蹄疫の大流行があり、650万頭の家畜が殺処分され、ようやく口蹄疫の蔓延を抑えた。
しかしイギリスの例でも分かるとおり殺処理が有効なのは、見つけたら即対応した場合だけである。
その時は小規模の殺処分で済むが、遅れるとイギリスのように畜産業界全体の危機になってしまい、産業そのものが崩壊する。
はたして産業そのものを消滅させるような処理方法が正しい方法なのだろうか?」

2262_022_2

 しかも殺処分は西欧を中心とする畜産国の処理方法であり、一方南米では殺処分されても感染していない家畜は食肉として流通している。
人間には口蹄疫は感染しないので問題なしとしているのだろう。

注)口蹄疫には人間も感染するが、風邪程度の症状で収まると解説している本もある。しかし今回の宮崎県の事例を見ても分かるように、人間への感染者はいないので、やはり人間には感染しないというのが正しいようだ。

 たしかに「口蹄疫の清浄国」にならなければその国からの畜産物の輸入を認めない国がほとんどなので、畜産輸出国としてはひどい痛手だ。
しかし日本はもっぱら輸入国なのだから、「清浄国」でなくてはならないという経済的なメリットはない。

 それ以上に、病気でない家畜の販売が認められれば、経済的利益と無駄な埋葬処理をしないで済むだけ現場職員の負担が減る。
FAOの勧告はいたって常識的で問題点がないと私には思われるが、農水省は西欧にならってかたくなに全頭の殺処分をするようだ。

 このかたくなな方法はかつて私が担当したシステムの2000年問題を髣髴させる。
2000年問題とは、暦年を二桁(たとえば01年)で表示されている場合、1901年か2001年か分からずコンピュータが誤作動するので、事前にすべてのシステムをチェックして、問題があれば修正を施す処置だった。

 この西暦を二桁で表現するのはアメリカ流の方法で、一方日本ではほとんどが4桁表示を採用していた。
だから当初これはアメリカやイギリス等の個別問題と思われていた。

注)初期のシステムはメモリーやディスク容量はとても小さかったので、節約のために西暦を二桁で表現した。遅れてシステムを開発した日本ではメモリーもディスクも余裕があったので、西暦を4桁で開発した。

 しかしアメリカ政府の強硬な要請があり、金融庁は日本の金融機関に対し、たとえ4桁であってもすべてのシステムを事前走行させて問題のないことを確認しろ通達してきた。
それまで日本では2桁の暦年のあるものだけを洗い出して、修正テストしていたのだが、まったく関係ない4桁のシステムまですべて事前走行の対象になってしまった。

 システムについて熟知されてない方は「事前走行すればいいじゃないか」と思われるかも知れないが、処理には日次、週次、月次、3ヶ月、半月、年次、ランダムの処理があり、ほぼ半年間に渡ってこのテストを行ったため、新たなシステム開発ができなくなったほどだ。

2262_024

 結果はほとんど問題がなしで、事前に確認していた2桁の修正で済んだのが実態だった。
なぜこんなばかげたテストをしなければならないんだ」怒りがこみ上げてきたが、すべてアメリカの意向を受けた金融庁の通達のせいだった。

注)アメリカの指示でシステムの全頭殺処分をしたようなものだ。

 今回の口蹄疫についても農水省金融庁と同様なかたくなな対応をしている。最も今回はアメリカからの圧力と言うよりも先進酪農国、特にヨーロッパの処理に習っていると言う性格が強い。

 しかしFAOはそうした殺処分対応がすべてではないと勧告してきた。
金融庁にしろ農水省にしろ、必ずアメリカやヨーロッパの方式だけを金貨玉条にして追随しようとしているが、FAOレベルで柔軟に口蹄疫問題を考える段階に来ているのではなかろうか。

 

| | コメント (1)

(22.6.10) こりゃダメだ  ワールドカップ南アフリカ大会

2264_005  

 こりゃダメだと思った。サーカーワールドカップ南アフリカ大会の岡田ジャパンについてである。
先日(4日)のコートジボワールとの練習試合をみてがっかりしてしまった。
まったく歯が立たないというのはこのようなことを言うのだろう。
得点は2-0だったが、内容はぼろ負けだった。

 前回のイングランド戦ではイングランドが手を抜いている間に闘莉王が先制のゴールを挙げて逃げ切り可能かと一瞬思わせたが、今回はコートジボワールに完全にねじ伏せられてしまった。

 たしかにコートジボワールはアフリカの強豪チームだし、選手はヨーロッパのクラブチームで活躍しているので、おいそれとは勝たせてくれないと思っていたが、これほどまでに一方的に負けるとは思いもしなかった。

2269_001

 前半早々ドログバのフリーキックで得点を許すと、その後はほとんど攻めることができなくなって、後半またもや相手のフリーキックで2点目を献上した。
1点目はボールが闘莉王に当たりボールのコースが変わったためにキーパーの川島が反応できなかった。
前回のイングランド戦のオウンゴールといい、今回のフリーキックに対する反応と言い、闘莉王はボールをゴールポストからはずす能力に疑問がある。

 とてもガッツがあって好きな選手だが、最低限ゴールポストから外れるような捌きをしなければキーパーの川島がかわいそうだ。

 それにしても日本の攻撃力のなさはどうしたものだろう。これでは得点を1点も挙げられないのではないかと思うほど貧弱だ。特にフォワードの非弱さは目に余る。
フォワードがまったく点を取れないのだから、勝とうというほうが無理だ。

 全員が懸命にプレーして走り回っているのはよく分かるのだが、これでは全員がつかれきってしまう。
相手のコートジボワールは攻めるときと休むときがはっきりしていて、攻めるときだけ怒涛のような攻めをする。
体格も日本人を一回り大きくした体格で1対1では日本人は引き倒されていた。

2269_002

 一体、日本チームらしさとはなんだろうか。今のところは非弱さばかりが目だって「弱いこと」が日本チームの特色みたいになっている。
セルビア、韓国、イングランド、コートジボワールと一勝もできず、引き分けることすらできない。

 この間の得点は闘莉王が挙げた1点だけだから、いかに得点力がないか分かる。
あまりの日本チームの弱さに応援もさっぱり盛り上がらない。
南アフリカへの応援ツアーを企画したJTBもその販売の不振に頭を抱え、全試合を放映するとしたスカパーの契約者数は減少しているほどだ。

 どう見ても岡田ジャパンの活躍は期待できそうもなく、今回は日本チームを応援しても無駄でがっかりするだけだろう。
こうした時はワールドカップそのものを楽しんだ方がよさそうだ。

6月15日追加)日本がカメルーンに1-0で勝つ。まったく予想が外れた。
岡田監督、ごめんなさい。

| | コメント (0)

(22.6.9) ハンガリー政府の愚かな対応

22522_026
 ハンガリーオルバン政権の愚かな発言で、世界市場に激震が走った。世界各地の株式市場は軒並み低下し、ユーロはドルと円に対し大幅に低下した。

 オルバン政権はこの4月、社会党の前政権を打ち破ったばかりの中道右派政権だが、政権公約の「減税と景気刺激策」を実施すべき財源がないことに気がついて、責任を前政権に押し付けることにした。

 この6月4日に「財政状況はかなり悪く、ギリシャ危機がハンガリーで起こる可能性があり、前政権はこの財政状況を隠蔽していた」と報道官が発表したのである。
オルバン政権の本音は「だから公約で言っていた減税も景気刺激策も無理だ」という国内向けメッセージだったが、市場はそうはとらなかった。

ギリシャ危機の次はスペインかポルトガルだと思っていたのに、ハンガリーなのか・・・・それなら東欧諸国はどこも財務状況を隠蔽しているに違いない
ハンガリーにはドイツオーストリアが多額の融資を行っている。
ユーロは売りだ。ドルか円か金に換えろ」ユーロから資金が逃げ出し大騒ぎになってしまった。

22522_016

 オルバン政権はこの世界的な激震に驚いた。
IMFEUからは「オルバン政権は金融のセンスがゼロだ。なぜ市場に対する配慮がないのか」と猛烈な抗議がきたので、あわてて修正した。
昨日の発表は間違いだった。わが国はIMFとの約束の下に10年度の財政赤字をGDP対比3.8%に抑えることができる

注)ハンガリーはリーマンショックのあと財政が破綻し、IMFとEUから200億ユーロ(約2兆2千億円)の財政支援を得た。その見返りに当時の社会党政権は緊縮財政をとったが、その緊縮財政を批判することで中道右派のオルバン現政権が政権を奪った。

 なんてことはない、前社会党政権の財務の隠蔽は嘘だったというのだ。

 日本では公約実現のための財源を埋蔵金と事業仕分で確保できると言ったが、最終的には赤字国債でつじつまをあわせた。
一方オルバン政権は赤字国債を発行できない理由があった。すでにIMFの管理下に入っていたからだ。
仕方なしに公約を実現できない理由を前政権の財務内容の隠蔽にしようとしたが、この方法はあまりに稚拙だった。

22522_028

 市場は最初の報道と訂正の報道のどちらが正しいか図りかねている。
銀行や専門家はIMFと約束した3.8%は無理にしても、せいぜい4.5%~5.0%位の財政赤字で、ギリシャの12%台の赤字ではないと見ている。

オルバン政権の馬鹿が、自分の公約を守れない理由を前政権に押し付け、ユーロを奈落に落とそうとしている」EUもIMFもかんかんだ。

 今回のハンガリー危機をEUの高官は「シャドーボクシングと言うべきで、実際の危機ではない」といい、ストロスカーンIMF専務理事も「特別な懸念の必要性はない」とハンガリー危機を打ち消した。

 それはそうだろう。既に2年前からIMFの管理下に置かれ、IMFのもとで財政再建をしていたのに、実際はIMFの目を盗んで財政悪化に歯止めがかからなかったなんてことになれば、IMFの立場がなくなる。

 オルバン首相は国内向けのアナウンスメントが国際的波紋を投げかけることにまったく気がつかなかった。
しかし今はグローバリズムの時代だ。どんな情報でも世界を駆け巡る。

 鳩山前首相は安全保障問題を知らずに「国外・県外」と言って政権を棒に振ったが、オルバン首相は経済・金融問題を理解せずに「財政数字が改竄されている」と言って、ユーロを谷底に突き落とそうとした。

 国際関係を無視して国内問題を解決しようとする愚かなローカル政治家はどこにでもいるが、それが首相の場合は世界の政治・経済に甚大な影響を与えることをオルバン首相(それと鳩山首相が実証して見せてくれた。

 

| | コメント (0)

(22.6.8) 江戸川24時間走 始末記

Dscf0091_3  (ここからスタートだ

 いやはや大変だった。江戸川24時間走のことである。
月に1回は100km以上の競技に出ようと思ったが、6月にはレース予定がなかった。

 そこで自分でレースを計画して、一人で参加することにした。葛西臨海公園から江戸川を遡り、関宿まで行って折り返してくる120kmのレースである。
参加者は一人、私だけだがレースの形をとった。

 葛西臨海公園で私が開会式を行い、選手宣誓も私が行い、応援の私が歓声をあげ、日曜日(6日)の朝8時にスタートした。
快晴といっていいような好天気だったが、長距離に好天は鬼門だ。

Dscf0094 
旧江戸川のマリンパーク

 体中から汗が噴出し、瞬く間に水分が奪われる。喉はからからになってつばもでてこなくなった。江戸川にはグランドに水道が設置されている場所があり、見つけるとがぶ飲みしたが、しばらくすると乾きに襲われる。

 40kmを過ぎる頃にはまったく気力がなくなった。
こんな馬鹿なことを24時間も続けるのはよそうかしら
選手の私が運営委員長の私に聞いたが、「だめだ、やれ」という。
運営委員長はブログに言い訳を書くのがいやのようだ。

Dscf0109_2
このあたりで止めようかと思っていた

 仕方なしにまた走り出したが、3時を過ぎる頃には陽射しが弱くなり、関宿に着いた6時頃にはすっかり涼しくなった。
当初の予定どおり10時間かけて関宿についたので、そこで1時間程度休憩をとるつもりだったが、ベンチで寝ていたら蚊の大群に襲われた。
蚊と休憩とどちらがいいのだろうか
あまりにかゆいので休憩を10分程度でやめて、葛西臨海公園に向けて再び走り出した。

Dscf0113_3
(関宿のグライダー練習所

 この時期、日暮れが遅く7時を過ぎてもまだ薄明かりが残っている。人通りはほとんどなくなり、散歩をしている人とかろうじて会うだけだ。
夜の8時を過ぎると誰もいなくなり、真っ暗だが暗くても夜目でコースは見える。
この、遊歩道はオレの専有か・・・・
なんて走っていたら、急に無灯火の自転車があらわれてドキッとさせられた。

Dscf0122
夜中の江戸川)

 信じられないことに夜中に自転車の練習をしている人がいるのだ。最もそうした人は無灯火ではないが、通勤帰りの人とおぼしき人は無灯火だ。
私は今回チカチカランプも懐中電灯も持っていなかったので後悔した。
レーサーの自転車にぶつけられたらことだ!!

 この日は行きは10時間、帰りは11時間、休憩1時間で合計22時間で葛西臨海公園に戻ったが、走りはほとんど亀の歩みのようだった。
エイドがないので自分で食料、水、着替え、救急用具等を持って走っているので、重心が後ろにひっぱられて、前傾姿勢をとれずスピードがでない。

 自分の影を見ると走力のない女性のチョコチョコ走りにそっくりだった。何しろ5km走るのに40分から45分かかっている。私は通常25分で走るので倍に近い遅さだ。

 江戸川は250mごとに標識が立っているのだが、この250m間の距離が途方もなく遠い。
何か、距離を間違っているんじゃないか」愚痴が出た。

Dscf0124
朝焼けの江戸川近辺)

 家に帰ってから身体をチェックしてみると、右足の人差し指のつめが死んでいる。目は夜間、道路を見つめ続けていたためしょぼしょぼでパソコンもまともに見れない。
下半身はお尻を中心に悲鳴をあげ、階段は手を使わないとのぼれない。
太陽にさらした皮膚はかさかさになって、超高齢者の皮膚だ。

今日(8日)は身体が動かん、清掃活動は休みだ!!」いやはや、ひどい状態だ。

 しかしまあ、24時完走を自分で設計して、自分で実行したのだから自己責任だ。
それにしても24時間走は実にタフな競技だった。

 

| | コメント (2)

(22.6.7) なぜケヤキの強剪定はいけないのか

2264_002
(通常ケヤキの木はこのように末広がりに樹形を伸ばす

 毎日四季の道を清掃しながらケヤキの成長を見ていると、ケヤキの強剪定がいかにケヤキにストレスを与え、成長を阻害しているか分かるようになってきた。

 強剪定とは幹の途中からケヤキをばっさばっさ切ってしまう剪定で、この剪定をされるとケヤキがまるでメキシコの巨大サボテンのようになってしまう。
剪定に関する本などを読んでみるとケヤキは丈夫な木なので強剪定にも耐えられると書いてあるが、それは間違いだ。

2264_015
強剪定した後は枝が垂れ下がる。これは葉が巨大化して枝が耐えられないため

 私がケヤキの強剪定のした跡を観察して、これは絶対にまずいと思った理由が2つある。

 一つは巨大サボテンの幹から小枝が確かに出てくるのだが、全体として枝が足らず、その結果枝についている葉が巨大化していることだ
これはすべての枝が下に垂れ下がっているので分かるのだが、剪定していないケヤキの葉に比べてみると4倍ぐらいの大きさになっている。

 葉を目いっぱい大きくして光合成を維持しようと言う苦肉の策で、これが枝に負担をかけ、少し大風が吹くと枝が耐えられず折れてしまう。
なぜ大風の後はこんなにケヤキの木が折れるのだろうか」今まで不思議に思っていたが、葉が大きすぎるからだと分かった。

注)一般的に葉の大きな木は大風に弱く、台風の後などに倒れている。

2264_013
(強剪定された後は確かに小枝が出るが、一方一枚一枚の葉が大きくなりすぎ枝が耐えられなって、垂れ下がる)

 一方剪定されない枝は葉が相対的に小さいため風に強く、折れるとしても年月がたって自然に折れるようになっている。
よくケヤキの木の下を通ると古くなった小枝が落ちているがそれがこれだ。

 強剪定をしてはまずいと思う2つ目の理由はその場所から木が腐ってくるからだ。人間でいえば両腕を付け根から切り落とされたようなもので、それで生き延びられると思うほうがおかしい。
一般に切り落とした後は水がしみこんで腐らないような措置はするのだが、限度があり、特に切断面が上向きになっている場合は腐る確率が高い。

2255_030
このケヤキは腐りはじめているので手当てが必要

 この夏の道の強剪定はそうした木に対する負担を無視して剪定しているので木が腐りつつある。
私など見るに見かねて樹木医がよくやるように、腐った部分を除去してそこに樹脂かコンクリートをつめて傷口をふさぎたいのだが、何分したことがないので躊躇している。

注)佐々木さんが指導してくれたら、この措置を取ってみたいのですが・・・・

 強剪定は費用が安く素人でもできるのでその方法をとるのだが、あまりにも木の性質を無視して、このままでは木が弱り枯死してしまう。
助けられる木は助けてあげたいが、元々は強剪定が原因なのだからそちらを止めさせるのが先だろう。

注)強剪定した後、市は樹形を整えるためと称して、毎年小さな枝を切り落としているが、これでは毎年手術しているようなものだ。

 

| | コメント (2)

(22.6.6) 私設24時間走

2262_012

 野辺山100kmを走ったあとすっかりマラソンをする気持ちがなえてきた。
3月船の科学館周辺の24時間走4月富士五湖100km5月野辺山100kmとイベントが続いていたため、気持ちにも張りがありトレーニングを真面目にしていたが、6月はまったくレースを入れていない。

なにか、走るのが面倒だな」最近はトレーニングを途中でやめてしまうことが多い。

 やはり1ヶ月に1回はそれなりのレースがないと気力を維持できないことが分かった。
しかし問題は本格的なレースに参加するには費用がかかる。

 いまも御園生さんから知多半島一周2日間80kmのレースの案内状が来ていたが、御園生さんのレースはとても良心的な価格設定とはいえ、交通費や宿泊費や参加費用を合計すると5万円程度は必要だ。

やはり、定年退職者は無理な資金手当ては禁物だ・・・・」
色々思案した挙句、それならと自分で24時間走を作ることにした。
この四季の道でも24時間走っていればよいのだが、この周回コースと言うものは続けるのに恐ろしいくらい意志力がいる。

2262_016

 一周ごとに家の近くを通るので、段々と馬鹿馬鹿しくなってとても24時間走りきる気力が持たない。
したがって一人で行う場合は、一度走り出したら途中でリタイアが難しいコースが必要で、「逃げ道がない。仕方ないから最後まで走ろう」というようなコースがベストだ。

注)個人の登山でも同じで1週間程度山に入る場合は逃げ道の少ないコースを設定する必要がある。

 考えていたら、葛西臨海公園から江戸川の土手のサイクリングロードを遡って関宿まで行き、そこから引き換えしてくるコースを思いついた。
このコースは片道約60kmだから、往復で120km、24時間走をするのには手ごろな距離だ。

注)前半10時間、後半12時間で、途中で2時間程度の休息をとるつもりだが、一人で走るとなかなか距離は伸びない。

 それに何より土手で自動車は一切走っていないので、夜中でも危なくない。夜間走の大敵は車で、運転手もよもや人が夜中の1時や2時に走っているとは思っていないから交通事故に会う確率が高い。

2262_020
ただし夜間は蛇が多いので踏みつけないように注意が要る

 天気を見計らっていたら、どうやら日曜日から月曜日にかけて晴れるらしい。今日(6日)は24時間個人走に最適なので出かけることにした。
何も好き好んで一人で24時間も走らなくてもいいのに」と言われそうだが、そうでもしないと気力が持たない。
私ぐらいになると、ほとんど気力だけで走っているので、この気力の維持が最も大事なトレーニングになる。

私設、24時間走だ。がんばって走ろう!!!!!」

 

| | コメント (0)

(22.6.5) 小太郎ちゃんのシャンプー

2262_001
シャンプー前

 私は無類の犬好きだが、我が家には犬を飼っていない。私が子どもの頃は雑種と秋田犬、あわせて3匹が我が家にいたが、サラリーマンになってからすっかり犬との縁が切れた。

 それが定年退職になり四季の道をほぼ毎日清掃していると、同じ時間帯に犬を散歩させている人たちとすっかり顔見知りになった。
元々犬好きだから犬を見ると頭をなぜてしまう。

 私が子どもの頃は雑種スピッツコリーシェパードがほとんどだったが、最近はあらゆる種類のワンちゃんがいて、なかなか種類を覚えられない。
その中でもラブラドール・レトリバーという大型犬には驚いた。

 当初私はこのワンちゃんが性質がおとなしく、ひどく人なつっこいのを知らなかった。数年前江戸川の土手をJOGしていたとき、このラブちゃんが綱をはなたれて土手で遊んでいた。
いやだな、あんな大型犬に追われたら命もなさそうだ

 びくびくしながら横を通り過ぎようとしたら、その大型犬が急に飛びついてきた。
私は悲鳴をあげ、飼い主があわててラブちゃんの綱を引っ張ってくれたので事なきを得たが、今から思えばラブちゃんは単に親愛の情を示しただけに過ぎないことが分かる。

 最近では犬の種類も分かり、性質も理解できたので、飛びつかれても大騒ぎすることはなくなった。

2262_006

 たまたまクリーンクラブで一緒に活動している小太郎姉さんの愛犬小太郎はこのラブラドールでとてもおとなしく、まったく人に危害を加えない。
そのかわり恐ろしいくらいの力で綱を引っ張るので、散歩をさせていると思わず引きずられて倒れることがある。

 このラブちゃん小太郎姉さんに頼んでシャンプーさせてもらうことにした。きっかけはヨットの師匠のTさんが犬のシャンプーのベテランでそのコツを教えてくれたからである。
それなら、私も小太郎のシャンプーに挑戦してみよう。面白そうだ

 先日よく晴れた昼間、我が家で小太郎ちゃんを洗ってみた。
本などによるとぬるま湯を使用しろと書いてあったが、そういう面倒なことはいやなので、水道水をそのまま使った。
シャンプーをバケツに溶いて、それを背中からぶっ掛けて、後は手で毛をもんでやればいい。
この方法はTさんから教わった方法で、アメリカではそうやってシャンプーしているという。

注)Tさんはアメリカ留学中、犬のシャンプーをアルバイトで行っていた。

 後はよく水洗いをすればよいだけだからいたって簡単だったが、本には肛門線を絞れとか、耳の中をよく掃除しろと書いてあった。
肛門かね・・・・
なんとなく肛門を絞る気がしなかったので、これは次回の検討課題とした。

注)私は犬に肛門線なるものがあることを知らなかった。人間にもあるのだろうか?

2262_008
シャンプーが終わった

 はじめての犬のシャンプーだったが晴れた暖かな日は水に浸かっているようで実に気持ちがいい。
小太郎、お前を月に1回程度は洗ってやるからな!」
しばらくこのワンちゃんのシャンプーに挑戦してみよう。

 

 

| | コメント (2)

(22.6.4) 人を恋うる歌 与謝野鉄幹

2262_033

「人を恋うる歌」は三高寮歌(現在の京都大学)として歌われているので、私も好きな歌の一つだが、本音を言えば意味がよく分からずに歌っている。
作詞者は明治・大正・昭和と活躍した詩人の与謝野鉄幹で、この時代の人はずいぶん難しい歌詞を作るものだ。

 私は四季の道の清掃をしながらよくこの鉄幹の歌を口ずさむみ、清掃活動のテーマソングにしているので、いくらなんでも意味も分からずに歌うのはまずいと思うようになってきた。

 どういう意味なのだろうか、調べて見る気になった。

 歌詞は全体で16番まであるのだそうだが、私が口ずさむのはそのうちの最初のいくつかだ。
Wikipediaで調べてみたら、1番から4番までは以下の通りだそうだ。

1.妻を めとらば 才たけて みめ美わしく情けある
友をえらばば書を読みて 六分の侠気 四分の熱 

2.恋の命をたずぬれば 名を惜しむかな男ゆえ
友のなさけをたずぬれば 義のあるところ火をも踏む

3.汲めや美酒うたひめに 乙女の知らぬ意気地あり
 簿記の筆とる若者に まことの男君を見る

4.あゝわれダンテ(コレッジ)の奇才なく バイロン・ハイネの熱なきも
 石を抱きて野にうたう 芭蕉のさびをよろこばず


2262_017

 この中で1番、2番、4番が主として歌われ、3番は歌われることが少ない。私自身は1番と4番しか歌わない。

1番は意味が分かりやすい。

妻をめとるならば 知性があって 美しく 優しい心根の女性がいい。
友達としては、学問に対する熱意があって 義侠心と情熱が6対4位の割合で有った人がいい


注)鉄幹の妻、晶子は間違いなく知性的で情熱的な人だったが、みめ麗しいかどうかは見ている人の主観に左右されそうだ。

2番は分かるようで分かりづらい歌詞だ。本当はよく分からないのだが、強引に現代訳すれば、以下のようになるだろう。

恋愛と言うものはどういうものかといえば、男の名が廃るような道に外れた恋愛をしてはいけない。
友人としての生き方は、信義を旨として そのためには火の中までくぐってもいい


注)与謝野鉄幹と晶子は道ならぬ恋をしていたので、この歌詞と実際は異なる

3番を無視して4番に移るが、この歌詞は読み方によって正反対になる。

私はダンテのような際立った才能もなく バイロン、ハイネのような情熱もないが (中国戦国時代の楚国の詩人の屈原が世をはかなんで懐に石を抱いて入水自殺をした古事にならい)私も懐に石を抱きながら(せめて屈原の精神をみならって)歌を歌おう。
そして芭蕉翁のいう深くかすかな趣に浸りたいものだ


2262_013

注1)
よろこばずの「ず」については、打消しの「」ではなく、意志をあらわす「むず」が中世以降「うず」にかわって、最後に「」だけになった用法。
この意味にとると「芭蕉のさびを喜ぼう」と言う意味になる


注2)一方最後の「芭蕉のさびをよこばず」を否定の「」と素直にとると「芭蕉の言うさびなんて下らないから無視する」と言うことになる。

 そうなると全体の訳は「私も懐に石を抱きながら歌をうたおう。しかし私は近代的な知性を愛するので、芭蕉の言うような古臭いさびなんて立場はとらない」と言うことになる。

注3)歌詞の中にはダンテではなくコレッジというものが有るが、この場合はイギリスの浪漫派詩人のクールリッジのこと。発音はコレッジとなるのだそうだ。

 私はとりあえず上記のような意味で理解したが、この歌の歌詞について深い知識のある方がおられて、「こうした意味なんだ」なんて教えてくださるとありがたいものだ。

 なお、「人を恋うる歌」のメロディーを知らない方は、以下のYou Tubeをクリックすると聞くことができます。

http://www.youtube.com/watch?v=f4ox-_b5ONI

 

| | コメント (1)

(22.6.3) 鳩山藩 お家騒動始末記  由紀丞様押込め

2262_006

 「主君押込め」と言う言葉をご存知だろうか。Wikipediaによると「特に江戸時代の幕藩体制において、行跡が悪いとされる藩主を、家老らの合議による決定により、強制的に監禁する行為を指す」言葉だと言う。

 手順は決まっていてこれもWikipedia によれば以下のような推移をたどる。

① 藩主の行跡が悪い場合、家老らによって行いを改めるよう、諫言が行われる。

②諫言が何度か行われ、それでも藩主の行いが改まらない場合、家老ら重臣が集まって協議が行われる。そこで押込もやむを得ずとの結論に至った場合、押込めが実行される。

③ 家老一同が藩主の前に並び「
お身持ち良ろしからず、暫くお慎みあるべし」と藩主に告げ、家臣が藩主の刀を取り上げ座敷牢のような所へ強制的に監禁してしまう。

④藩主は数ヶ月に渡り監禁され、その間、家老ら重臣と面談を繰り返す。家老ら重臣により、藩主が十分に改心して今後の行いも改まるであろうと判断された場合、藩主は「
誓約書」を書いて、元の地位に復帰する。

⑤監禁の後も、藩主に改悛の情が見えず、再び悪行や暴政を行う可能性が高いと判断された場合は、藩主は強制的に隠居させられ、藩主隠居の旨幕府に届け出嫡子や
兄弟の妥当な人物が藩主となる。


 今回の鳩山総理の辞任劇はまさにこの押込めだった。

2262_010

鳩山藩 お家騒動始末記

 鳩山藩藩主、鳩山由紀丞(ゆきのじょう)民主(たみも様が、座敷牢に押込められましたのは、6月としては珍しく一点の雲なく晴れ渡った2日のことでございました。

 由紀丞様のご評判と言えば、それはそれはご立派なご政道をなされ、民百姓のために「わらべ手当て」なるものを振舞われたほか、郵貯と称する悪徳商人からその実権をめしあげられ、亀井勘定奉行様ご配下で、熊や狐のために道路普請をおこなう等、ご立派な仁政と褒め称えられておりました。

 また、由紀丞様は民百姓から年貢をとることを潔しとせず、もっぱらご母堂のタイヤ院様から多額の埋蔵金を受け取られ、これをご政道に使用するなど、歴代藩主としては敬母の情一番と噂されておりました。

 しかし由紀丞様が志半ばで無念の押込めを余儀なくされた直接のきっかけは、日本国の地図を勝手に変えたとの咎(とが)でございます。
辺野古と称される辺鄙な場所は、琉球王国名護にあるのでございますが、由紀丞様は、この地は「国外・県外」にあると言い出したのでございます。

2262_011

 ご承知のとおり、日本国の地図の命名の大権は将軍様じきじきのご沙汰であり、藩主と言えども勝手にこの掟を破ることはできません。
将軍オバマ様は辺野古はグアムの近くではないと、再三にわたり由紀丞様を諭されたのでございますが、なぜか由紀丞様はその言葉に耳を貸さず、最後は辺野古は徳之島にあると言い出したのでございます。

Plc1006021901028s41_2    なぜに由紀丞様がこれほどまでに辺野古の地図の位置にこだわったかの理由は、ご幼少のみぎり、昌平坂学問所において、林大学頭様から「辺野古はいづれにありや」と問われたときに「グアム」とお答えあそばされたからでございます。
大学頭様はあきれて「お前は児戯にも劣る」と申されましたので、さらに「徳之島に近し」お答えあそばされました。
再び大学頭様が「猿に等し」と申され、満座において恥をおかき遊ばされたのでございます。

 この日より由紀丞様は藩主になった折は「辺野古を何とかグアムか徳之島に作ってしまわなければ、生き恥をかいたまま生き延びることになる」と強く強く決心なされました。

 しかし、地図の命名の大権は何度も申しますように将軍様直轄のご沙汰でございます。
さすがに国家老小沢様がこれを聞きとがめ、「将軍家をないがしろにし、また熊や狐のための仁政はいかがなものか。このままでは将軍家よりきついご沙汰が出るのは、必定。どうか辺野古は琉球王国に所在すると言明していただきたい」とお諫さめいたしました。

 しかし由紀丞様はその凛々しい大きな目をさらに大きくし、エレベタールと称される昇降機に乗りながら親指をたて、「将軍家何するものぞ、熊と狐が我を支持している」と言い放ったのでございます。

 この言葉は運悪く将軍家にも聞こえてしまい、ご老中間でご評議にかけられ、お家断絶は必定との噂が江戸表より伝わってまいりました。
ことここにいたっては「由紀丞様、押込め已む無し」とご家老はじめ、主だった重臣が評議いたし、決定いたしたのでございます。

 しかし当初、由紀丞様は「謹慎蟄居する理由がわからぬ、今後とも藩政を担っていく」と頑として首を縦に振らなかったのでございますが、国家老小沢様が「私も隠居するので殿もご隠居あそばされるように」と強くお諌め申しあげたため、しぶしぶご隠居の沙汰をご了承なされたのでございます。

 由紀丞様は琉球王国の民百姓からは「二枚舌」などと、言われなき誹謗を受けておりましたが熊や狐からは自分たちのために道路を作ろうとした名君とあがめられておりました。
若くしてご無念の押込めを受け入れられ、ご隠居して作られた辞世の句が残っております。

にごり世に わがさきがけと 正せども 辺野古の海に 鳩はちるらん


 

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(22.6.2) 世界の工場の終わりの始まり 中国ホンダ部品工場のスト

2158_009_2

 今回の中国ホンダの部品工場のストをみて、中国の世界の工場としての終わりの始まりを感じた。
この工場は広東省仏山にある変速機を製造している工場で、従業員数は約1000名だという。

 この工場でストライキが発生した理由は、部品工場と完成車工場の従業員間に賃金格差があることで、中国に4箇所ある完成工場の従業員の賃金が部品工場の従業員より高いのだと言う。
これを知った部品工場の従業員が怒ってストを始めた。

 しかしこの種の賃金格差は日本でも同じで、部品は中小の関連会社で生産し、本社の組立工場ではそれをジャスト・イン・タイムで生産しており、当然本社職員の給与のほうが関連会社の職員の給与より高い。

 日本ではそれが当然のことと認識されているが、中国は社会主義体制のため建前は違う。ここでは「同一労働・同一賃金」が建前で、この場合の「同一労働」とは「同一労働時間」であることがほとんどだ。

注)マルクス経済学では労働とは労働時間で計られ、質は考慮されない。

 なぜ、この社会主義の建前が最近になって声高に叫ばれるようになってきたかだが、その理由は労働力が不足してきたからである。
中国では農民工と呼ばれる出稼ぎ労働者が最低限の賃金で搾取労働を担ってきたが、この農民工がここ10年間で半減してしまった。

注)製造業に従事する農民工は10年前は1800万人だったが、09年には1000万人に減少した。

2158_004

 農民工が半減した理由は地方でも職場が確保できるようになったからで、特に中国政府が不況対策としておこなった4兆元約57兆円)の投資のほとんどが、地方の公共工事に向けられたためである。
中国人も好き好んで出稼ぎをしているわけでなく、近くに職場があれば家族と一緒の生活のほうがいいに決まっている。

 こうした労働力不足を奇貨として最大限に利用したのが中華全国総工会という労働組織で、全国の労働組合に大幅賃上げの指示を出した。
妥協するな。同一労働同一賃金だ。ストを打ってがんばれ
おかげで労働争議は09年は06年対比2倍の60万件になった。

 ホンダの部品工場の初任給は1544元約22000円)だと言う。日本人の大卒の初任給は約22万円程度だから、日本の賃金水準の10分の1程度だ。
今回のストでホンダ約24%の賃上げに応じたと言うので、約25000円の給与水準になるらしい。

注)この賃上げで多くの労働者は職場に戻ったが、一部の労働者は職場復帰した労働者を「日帝の犬」と主張して山猫ストを継続している。

 これでもまだ日本と比較すれば低賃金だが、問題は今後ともこの賃上げ要求は厳しくなりこそすれ、収まる気配がないことだ。
すでに同じ自動車部品工場の韓国の現代自動車に飛び火して労働争議になっている。

 ホンダは現在中国で、日に2000台の規模で完成車を製造しているが、この部品工場のストで約1週間操業がストップしてしまった。14000台の完成車ができなかった勘定で、中国を最大の市場としているホンダとしては苦しい立場だ。
仕方なく日本から変速機を急遽輸出する措置を取ったようだが、ストが頻発するようでは、中国を低賃金で使い勝手のいい労働市場とみなす訳にはいかない。

2158_003

 中国の賃金水準は明らかに低賃金というレベルから、中進国並みの賃金水準にシフトしつつある。
中国人がいつまでも低賃金で甘えてよいわけはないので、この動きは必然ではあるが、一方で世界の工場としての魅力は低下する。

 今後は中国は販売市場としての魅力は増すものの、生産拠点は徐々により安価な労働力を求めて中国から移動することになるだろう。

 このホンダのストは世界の工場中国の終わりの始まりといえる。




 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(22.6.1) 日本はどこまで戦えるか ワールドカップ南アフリカ大会

22531_006
(2-1でイングランドに敗れた岡田監督

 サッカーワールドカップ南アフリカ大会6月11日から開催されるが、それに先立ち日本イングランドとの練習試合が30日、オーストリアでおこなわれた。

 このところの日本代表はまったくよいところがなく、4月におこなわれた練習試合のセルビア戦、5月の韓国戦ともぼろ負けと言っていいような状況だった。
これでは予選突破はおぼつかないな」誰もがそう思うほどの惨敗だ。

 今回のイングランド戦は大会直前ということもあり、互いに怪我だけはしないようにと無理な突破やファールは少なかったせいもあり、久方ぶりに日本選手ががんばった試合になった。

 結果は2-1イングランドが勝利したが、前半は明らかにイングランドは手抜きだった。バックパスを多用していたが、イングランドがバックパスを出しているときはまともに試合をするつもりがないときだ。

22531_002
前半7分、闘莉王のシュートがゴールに刺さった

 この間隙をぬって、闘莉王がキーパーの左に鋭いシュートを突き刺したのは立派だ。後半になるとイングランドも本気になり、ボールの支配ももっぱらイングランドになって、日本は防戦一方の展開になった。

 ゴールキーパーの川島は実にすばやい反応をして、この猛攻に耐えペナルティーキックさえとめてしまうほどの活躍だった。身体の切れが恐ろしいくらいいい。

 イングランドの2得点はオウンゴールだったが、後半に2発もオウンゴールを決められたのは防戦一方になって、ディフェンダーが疲れてしまったからだ
おそらくディフェンダーがボールに触らなければ、川島が確実に止めていたと思うとこの失点は痛い。

 闘莉王のオウンゴールは積極性があだになったと言うゴールだったが、中沢のオウンゴールは足が動いていなかった。ふらふらになってオウンゴールを許してしまったと言うような代物だ。

22531_005
オウンゴールを許し頭を抱える中沢

 だが今回の対イングランド戦を見て日本が予選で戦うスタイルが見えてきたのは収穫といえる。

① 予選同組のオランダ、デンマーク、カメルーンとも日本より実力が上なので、前半はなめてかかってくる。その間に日本は得点を挙げる(今回の闘莉王の得点がそれ)。

② キーパーは川島が一番期待できる。ボールに対する反応が抜群で動きがすばやい。世界のキーパーの中でもそん色ない。

③ ディフェンダーは後半の相手の猛攻に耐えられない。疲労が重なると足の出し方が遅くなり、いきおいオウンゴールを誘う。
前半得点できた場合は、ディフェンダーの疲れ具合をチェックして、交代要員を用意する必要がある。特に中沢は動きが緩慢になる


④ 前半に得点し後半何とか持ちこたえて引き分けを狙う。今回のイングランド戦で言えば闘莉王のオウンゴールは仕方ないとしても、中沢のオウンゴールまで許してはいけない。

 こうした戦術を駆使しても日本の予選突破は容易ならざるものがあるが、一方イングランド戦で見えたかすかな勝ちパターンを実行する以外に日本の予選突破はありえない。

 6月4日にコートジボワールと練習試合をするので、再度日本がかすかでも光明を見出す方式がないか、確認したいものだ。 

| | コメント (0)

« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »