(22.6.7) なぜケヤキの強剪定はいけないのか
毎日四季の道を清掃しながらケヤキの成長を見ていると、ケヤキの強剪定がいかにケヤキにストレスを与え、成長を阻害しているか分かるようになってきた。
強剪定とは幹の途中からケヤキをばっさばっさ切ってしまう剪定で、この剪定をされるとケヤキがまるでメキシコの巨大サボテンのようになってしまう。
剪定に関する本などを読んでみるとケヤキは丈夫な木なので強剪定にも耐えられると書いてあるが、それは間違いだ。
(強剪定した後は枝が垂れ下がる。これは葉が巨大化して枝が耐えられないため)
私がケヤキの強剪定のした跡を観察して、これは絶対にまずいと思った理由が2つある。
一つは巨大サボテンの幹から小枝が確かに出てくるのだが、全体として枝が足らず、その結果枝についている葉が巨大化していることだ。
これはすべての枝が下に垂れ下がっているので分かるのだが、剪定していないケヤキの葉に比べてみると4倍ぐらいの大きさになっている。
葉を目いっぱい大きくして光合成を維持しようと言う苦肉の策で、これが枝に負担をかけ、少し大風が吹くと枝が耐えられず折れてしまう。
「なぜ大風の後はこんなにケヤキの木が折れるのだろうか」今まで不思議に思っていたが、葉が大きすぎるからだと分かった。
注)一般的に葉の大きな木は大風に弱く、台風の後などに倒れている。
(強剪定された後は確かに小枝が出るが、一方一枚一枚の葉が大きくなりすぎ枝が耐えられなって、垂れ下がる)
一方剪定されない枝は葉が相対的に小さいため風に強く、折れるとしても年月がたって自然に折れるようになっている。
よくケヤキの木の下を通ると古くなった小枝が落ちているがそれがこれだ。
強剪定をしてはまずいと思う2つ目の理由はその場所から木が腐ってくるからだ。人間でいえば両腕を付け根から切り落とされたようなもので、それで生き延びられると思うほうがおかしい。
一般に切り落とした後は水がしみこんで腐らないような措置はするのだが、限度があり、特に切断面が上向きになっている場合は腐る確率が高い。
(このケヤキは腐りはじめているので手当てが必要)
この夏の道の強剪定はそうした木に対する負担を無視して剪定しているので木が腐りつつある。
私など見るに見かねて樹木医がよくやるように、腐った部分を除去してそこに樹脂かコンクリートをつめて傷口をふさぎたいのだが、何分したことがないので躊躇している。
注)佐々木さんが指導してくれたら、この措置を取ってみたいのですが・・・・
強剪定は費用が安く素人でもできるのでその方法をとるのだが、あまりにも木の性質を無視して、このままでは木が弱り枯死してしまう。
助けられる木は助けてあげたいが、元々は強剪定が原因なのだからそちらを止めさせるのが先だろう。
注)強剪定した後、市は樹形を整えるためと称して、毎年小さな枝を切り落としているが、これでは毎年手術しているようなものだ。
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コメント
齋藤さんのおっしゃる通り、コンクリートは蒸れて逆効果になるようです。
僕が大変尊敬する樹木医・神庭正則さんは、著書『まちの樹クリニック』(全国林業改良普及協会刊)のなかで、
現在は、コンクリートやウレタンを空洞部に充填する方法は廃れつつあり、腐ったした部分を程よく削りとり、
患部を乾燥させることが重視されるようになったと書かれています。ただ、穴に水がたまる場合は次善の策として穴を塞いだり、
防水剤をぬったりするようです。
もうひとつ大事なのは、木が元気になれば、腐朽は進行が遅くなるという点です。
根が弱って窒息しているようであれば、下の土をほぐし、肥料をやれば抵抗力が増し、菌の侵入を許さなくなるでしょう。
同書の治療事例を見ると、地表を耕し、堆肥や緩効性肥料をやり、
地表面が固くならないようにマルチング(木のチップなど)をしています。
(今度、本をお貸しします)
投稿: ささき | 2010年6月 7日 (月) 14時03分
外科手術は、痛んだ部分を取り除き、その跡が、雨水などで膨れないよう防水処置をします。何を充填するのかは難しい所ですが、コンクリートはいけません。
充填は、樹木の強度(立っているために)維持に必要なだけで、不可欠な要素ではありません。
おゆみ野にあるユニディイなどに、木材の隙間充填剤などが売っています。それなどが利用可能でしょう。傷口にペンキを塗っておく方法が最も安価なやり方です。
(山崎)コメントありがとうございます。ペンキについては常時使用しているのので、この方法を考えてみます。
投稿: 齋藤 | 2010年6月 7日 (月) 06時38分