(22.6.18) 人の金は俺の金 SFCG大島元会長の錬金術
(ネコババが俺の人生だ)
本日(16日)SFCGの大島元会長を含む4名が警視庁に逮捕された。
商工ローン大手のSFCGは90年代に都銀各行が不良債権処理で融資が縮小していた時に、即決融資、高金利、連帯保証人への厳しい取立てを特色としながら業容を急拡大した中小企業向け貸金業者である。
しかしSFCGは資金調達を主として外資に仰ぎ、リーマン・ブラザーズから多額の融資を得ていたが、リーマンショックで頓挫し、SFCGそのものも09年2月に民事再生法を申請して倒産した。
ところがその時、大島元会長はSFCGの資産を関連会社にたくみに移し、再度事業を立ち上げるための隠し資金としてネコババを決め込んだ。
債権者に残された債権はクズだけだったのである。
注)SFCGはリーマン・ブラザーズから700億円規模の融資を受けていたが、08年8月頃からリーマン・ブラザーズ自身が経営が危うくなり、SFCGから資金回収を進め、08年9月には50億円にまで圧縮されていた。
このため、SFCGは急激な資金繰りの悪化に見舞われた。
( 悪いやつほどよく眠るのだ)
SFCGの融資は手形貸付という形式をとり、延滞が発生すると主として連帯保証人に対し裁判所の支払い命令をとって取り立てるもので、「裁判所を取り立て機関として利用」するなど、知能犯的な特色を持っていた。
注)大島元会長は手形訴訟では裁判所から債務名義(強制執行に必要となるもの)をすぐに取得できることを利用して、裁判所の命令と言う形で債権の取立てをおこなった。
管財人が調査した大島元会長の資産隠匿は以下の通りで、金になるものはすべてSFCGから持ち出して、後にはクズ債権だけを残したもので、実に用意周到で悪知恵が働く人らしい。
(Wikipediaのよると資産強奪方法は以下の通り)
・2008年10月以降、貸付債権約1420億円分を、関連会社や大島元社長の親族会社などに無償譲渡か、安値売却した。
・2009年2月に行った民事再生手続開始の申立て直前に、子会社株式など約1238億円分の財産を、関係会社等に譲渡した。
・東京都渋谷区松濤にある大島元会長の自宅を、親族会社(代表取締役は大島の妻)の所有とし、SFCGが家賃として月1525万円を支払っていたが、2008年10月からは月3150万円に引き上げた(家賃としてSFCGの資産を大島元会長に移した)。
・2008年8月に、役員報酬を、他の役員は全員月額30万円だったにもかかわらず、大島元会長の報酬のみ月額2000万円から月額9700万円に増額した(役員報酬としてSFCGの資産を大島元会長に移した)。
このようにして資産のすべてを関連会社に移し、倒産したSFCGには何も残さないようにしたのだから、倒れてもタダでは起きないというのはこのことだ。
まさに今昔物語に出てくる受領(ずりょう)そのものといえる。
注)受領とは平安時代後期のあくどい国司のことで、地方に赴任するとそこの富を強奪することだけを考えていた。ころんでもただでは起きないといわれ、今昔物語に詳しい。
(逮捕されてもタダでは起きないぞ)
管財人によるとSFCGの負債総額は2900億円(対金融機関、および過払い利息債権)だから、この隠し財産を取り戻さない限り配当などは夢のまた夢なので、警視庁に被害届を出して司直の手で回収を図ることにした。
本日(16日)、警視庁は大島元会長を含め関係者4名を民事再生法違反(再生手続き前後の資産隠しの禁止)で逮捕した。
直接の容疑は420億円の不動産担保ローンをペーパーカンパニーの白虎に流失したうたがいだが、流失したSFCGの総資産額は2670億円規模になっている。
大島元会長は当然のことながら無罪を主張しているものの、現在の受領とも言うべき大島元会長の事跡を追えば、平成今昔物語が書けそうだ。
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