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(22.6.14) 中小企業融資の失敗 日本振興銀行

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 日本で無担保・無保証中小企業融資が成り立たないことを日本振興銀行が再び証明してくれた。
これで平成16年に登場した2つの中小企業専門の融資機関(新銀行東京、日本振興銀行)が実質的に倒産して、日本の無担保・無保証の中小企業融資に幕が下りた。

 なぜこの2つの中小企業専門銀行が設立されたかの理由は、当時の竹中平蔵金融相が都銀各行に早期の不良債権処理を命じたからである。
都銀各行は仕方なく不良債権と想定される多くの中小企業向け融資の回収に走ったが、そのとき「貸し渋り、貸しはがし」現象が発生した。

 日本振興銀行木村剛氏新銀行東京石原都知事はこの現象をみて、大銀行の横暴と認識し中小企業専門の金融機関の設立の必要性を訴えた。
しかし実際は都市銀行は仕方なく不良債権処理をしていただけで、それが済めば再び中小企業融資を復活するのは当然の成り行きだった。

 この時この2行は設立に当たり、都銀との差別化を図るため無担保・無保証を売り物にしたが、実際は中小企業融資で無担保・無保証は成り立たない
この条件が成り立つためには日本経済が右肩上がりで企業業績が増収・増益が続き、収益で借入金の返済ができるときだけである
一方日本経済が縮小し減収・減益に陥ると、中小企業融資は返済財源を担保以外に求めるのは不可能になる。

 都銀各行は当然のこととして、有担保・有保証主義で債権保全を図ってきたが、それ以外の融資方法がないからである。

注)一見無担保・無保証に見える融資があるが、その場合は本人または家族の預金が実質的に担保になっていることが多く、本当の意味での無担保・無保証などはない。

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 木村氏
日本振興銀行は当初無担保・無保証でも新銀行東京とは異なり、かなり堅実な融資方針を採っていたようで、その結果最初の3年間はほとんど融資が伸びていない04年119億、06年でも300億程度)。

 しかし07年ごろから急激に融資が伸びだし、10年3月末には4200億円の残高になった。
中小企業向け融資を諦め、商工ローン大手商工ファンド等)にたいする融資に切り替えたからである。

 形式は債権買取がほとんどだったが、不良債権になった場合は買い戻す条件がついていた。
買戻し条件があると言うことは、実質的には買取ではなく融資であるが、なぜ商工ローンがそうした融資を必要としたかの理由はグレーゾーン金利が廃止されたからである。

注)グレーゾーン金利とは利息制限法(15%~20%)と出資法(29.2%)の間の金利。商工ローンや消費者金融はこのグレーゾーンの金利で貸出しを行っていたが、最高裁の判決で違法とされ、貸金法改正により廃止された。
これに伴い過払い利息の返済(貸出金利マイナス利息制限法との間の金利)に追われ、一気に業績が悪化した。


 このため商工ローン会社は資金繰りに行き詰まり、過払い利息の返済資金の手当ての必要に迫られ、日本振興銀行からの資金調達でかろうじて経営を維持できる状態になってしまった。

 09年2月に経営破綻した商工ローン大手SFCG旧商工ファンド)に対し、1250億円の融資が存在していたが、これはそうした実質赤字見合い資金である。

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 今回日本振興銀行に対し、警視庁の捜査の手が入った理由は、このSFCGに対する融資の中で、09年1月に実施した融資100億の貸出金利が45.7%と出資法の上限金利を大幅にうわまっわた違法な金利だったからである。
しかも日本振興銀行はその事実を隠蔽するため、関連するメールを削除していた。

注)倒産直前のSFCGから日本振興銀行は100億円の債権を買取、全額1ヵ月後に買戻しと言う条件で手数料を受け取ったが、この手数料を金利換算すると45.7%となった。
全額買戻しとは返済のことで、これは実質的な融資。


 繰り返すが日本では無担保・無保証の融資はビジネスモデルとして成り立たない。これが成り立つ条件は高度成長期の日本や、現在の中国やインドのように、経営が拡大再生産されて、増収・増益が当たり前の環境にあるときだけで、この場合は収益で借入金の返済が可能になる。

 一方経済が減収・減益となり縮小再生産されている日本のような場合は、返済財源は存在しないので、結局は担保処分以外での返済はありえない(ただし過去の収益で積み立てた預金があればそれで返済できる)。

 木村氏石原都知事も存在できないビジネスモデルを引っさげて自爆してしまったが、日本経済を見る目が間違っていたのだからいたし方ないといえる。

 

 

 

 

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