« (22.5.4) ちはら台走友会の葉山合宿 | トップページ | (22.5.6) ケヤキ剪定問題  佐々木さんの提言 その2 »

(22.5.5) ケヤキの剪定問題について、おゆみ野の森の専門家 佐々木さんより回答をいただきました。提言その1

(22.5.2)の記事「ケヤキの芽吹きと景観問題」(筒切りされたケヤキの芽吹きが遅れている問題)におゆみ野の森の樹木や植物の専門家、佐々木さんから回答をいただきました。一回で掲載できませんでしたので3回に分けて掲載いたします。

22429_047_2
(2年前に筒切りをされた夏の道のケヤキ並木

以下佐々木さんの全文
 昨年の9月に、樹木医要請講座のようなものに参加しまして、そこで教わった話など交えて申し上げたいと思います。
堀大才先生という樹木医制度の父ともいえる大先生から授業とフィールド実習を受けました。(名前をググってみてください

 山崎さんのおっしゃる通り、「筒切り」などの強烈なダメージはちょっとやそっとで回復しません。
堀先生は樹木至上主義なので、「可能であれば、剪定なんぞしないほうがいい」という過激なご意見でした。
講堂いっぱいの植木屋、造園業者を前にして、です(笑)

 樹木は根を伸ばすホルモンを葉で生産し、芽を伸ばすホルモンを根の成長点で生産しています。
従って、葉を一気に切り落とす剪定は、根のホルモンの供給を止めて、芽のホルモンだけ供給するという状態に陥ります。
細かくはいろいろありますが、だいたいそんなことです。
すると、芽のホルモンだけの状態になった木は、切り口周辺から、過剰ともいえる芽を新たに出します。

22429_048
この時期になってもなかなか芽吹かない

 人間でいえば、けがをすると、白血球が集まり、回復しようとしますが(まったく仕組みは違うものの)その代わりに、木は、猛烈に芽ぶき、葉を茂らせます。

 ところが、根の伸長は一時的にストップしますから、体内のストックを消費して新しい梢を延ばす羽目になります。
つまり、借り入れ、入金がないのに貯金を切り崩して設備投資する羽目になるのです。
これを繰り返せば、いずれストックは無くなるばかりか、体を支え、水分や無機塩類を供給する根が決定的に衰退し、最終的には菌類の攻撃に耐えられなくなってキノコが生え、物理的にもろくなって折れたり、倒れたりします。

 さて、一方、人間が切らなくても、樹木は不要な枝を落とす戦略を取っています。
特に背の高い木は、これをしないと体のバランスを保てず、倒れるリスクが増大します。
おゆみ野の森にも小枝がよく落ちているのはこのためです

 また、種類によって、こうした「破損」への抵抗性が違います。
これはそれぞれの種類がとる生存戦略によって異なります。
雑木林に多い、コナラ、クヌギは比較的破損に強く、バッサリ切っても力強く芽を吹いて新たな幹を再生します。
一方、ケヤキやイヌシデは比較的そうした破損に弱い傾向があります。

 やや乱暴なまとめ方ですが、破損に強いタイプは、斜面崩壊、乾燥などのプレッシャーに耐えながら、新天地を次々に開拓していくタイプです。

※木からすれば、人間が地面を完全に固定している都市の環境はかなり想定外なはずです。
いっぽう、破損に弱いタイプは比較的安定した土地に生え、どっしりと腰を据えて種を周りに撒き散らしながら、後継者を育てる戦略を取ります

22429_003
剪定をしていないケヤキはすでに緑一色だ

 ケヤキははっきり言って中間なのですが、自生地を見ると、おゆみ野の森のような台地の縁の斜面に特に多い樹木です。水分を好み、一度生えるとどっしりと腰を据え、風で種を散布して、適した苗床があれば、そこで新世代が育ちます。

 庭園や都市部で樹木を植えるということは、こうした性質を踏まえて、ある意味樹木の限界の力を引き出すというのが管理するうえで重要です。
低木のツツジ類が非常にたくさん植えられているのは、ツツジが自生環境では、風雪や河川などの過酷な環境に耐えるという性質で、人間の激しい剪定や排気ガスなどに耐え、美しい花を咲かせるからです。

 いっぽう、イメージ先行であまりタフではない木を植えることが多々あります。
最悪な例は、クリスマスツリーにするモミの木です。そのものズバリ「モミ」はクリスマスツリーっぽい形でないため、樹形が整っているウラジロモミがよく利用されます。
ウラジロモミは本来、標高1000m以上に自生しますが、種から育てるとそれなりに下界でも育ちます。

 しかし、無理を言って、来てもらっているわけですから最高のもてなしで管理しないと樹形はあっという間に乱れ、あっさり枯れます。生きていても、青息吐息です。
あまつさえ、クリスマスのデコレーションを施されさらにダメージを加えられます。
袖ケ浦駅前に立派な死にかけのウラジロモミが植えられています。

 ここがポイントなのですが、感情的に木がかわいそうというのはある意味簡単です。
いっぽうで、人間の住む環境に木があったらやっぱり素晴らしいのです
ですから、三顧の礼でもってお出ましいただき、おでましいただいたからには、木の表情を見ながら、過酷な環境ならそれなりの礼をもって管理するのがスジです。 

 (つづく

|

« (22.5.4) ちはら台走友会の葉山合宿 | トップページ | (22.5.6) ケヤキ剪定問題  佐々木さんの提言 その2 »

ボランティア ケヤキ剪定問題」カテゴリの記事

コメント

ちょびっと補足です。芽吹くホルモンは根から供給されるので、
葉の展開が遅いということは、ほぼ間違いなく根に問題を抱えていると言っていいでしょう。

投稿: ささき | 2010年5月 5日 (水) 09時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (22.5.4) ちはら台走友会の葉山合宿 | トップページ | (22.5.6) ケヤキ剪定問題  佐々木さんの提言 その2 »