« (22.5.30) アップルのタッチパネル革命 | トップページ | (22.6.1) 日本はどこまで戦えるか ワールドカップ南アフリカ大会 »

(22.5.31) スペイン経済の激震とユーロ

21_048

 スペインのちっぽけな貯蓄銀行の倒産が世界経済を揺るがしている。
カハスール銀行と言うこの貯蓄銀行は、コスタ・デル・ソル(太陽海岸)近辺の不動産融資でリーマン・ショックまでは我が世の春を謳歌していたが、08年9月以降業績が急激に悪化し、5月22日にはスペイン中央銀行の管理化に置かれた。

注)コスタ・デル・ソルは日本のバブル最盛期に、別荘地として日本人にも人気があった。

 負債総額は最大約20億ユーロ2200億円程度)だから、日本的感覚では住宅専門会社がつぶれた程度だが、市場はこれをスペイン経済崩壊のシグナルとみなした。

 スペインの貯蓄銀行は45行あり、融資はもっぱら不動産融資で、45行で26兆円規模に達している。
スペインの銀行は中央銀行の指導もあり、ディリバティブのような危険な商品には手を出さなかったが、不動産バブルに躍った国内の企業や個人に湯水のような不動産融資をおこなった。
ちょうど日本の80年代の不動産バブルとそっくりだと思えばいい。

 なにしろEU全体に占めるスペインのGDPは約10%なのに、EU内の建設の30%がスペインで占められた。
北欧やイギリスやドイツのような冬が長い国の国民にとってコスタ・デル・ソルのような場所は夢の別荘地だったし、スペイン国民も負けじと不動産投資に熱中したからだ。

21_045

 現在普通銀行と貯蓄銀行をあわせた不動産融資の金額はGDPの約半分になり、不動産バブルの崩壊で融資額全体の約10%程度が不良債権と推定されている。
金融機関の収益率はそれほど高いものではなく、日本の銀行などの収益率は総資産の1%にも届かないので、収益で損失を補填するのは並大抵のことではない。

 したがってスペインの貯蓄銀行のほとんどが倒産危機にあり、スペイン政府は45の貯蓄銀行を15に統合する計画を出したが、もたもたしている間に倒産が始まりだしたと言う感じだ。

 市場はギリシャの次はスペインと狙いを定めており、格付会社フィッチは5月28日、スペイン国債の格付を最高位のAAAから一段階下げてAAプラスにした(S&Pは先月から引き下げている)。
このためスペイン政府はギリシャと同じく国債発行での資金調達が難しくなり、EUからの資金援助だけが唯一の調達手段になりつつある。
しかし、EUの支援条件は緊縮財政だ。

 このためスペイン政府はEUからの支援を得るため緊縮財政法案を5月27日にやっとのことで通過(賛成169、反対168)させた。
公務員給与の5%カット、年金の凍結等で本年殿財政赤字をGDP対比10%以下に抑えるという(09年度はGDP対比11.2%だった)。

 もっともこれには労働総同盟が大反発しているのはギリシャと同じで、サパテロ社会党政権はいままで労働者を甘やかせてきたツケを一気に支払わされている。
EUなんてくそ食らえ。とんでもない、ゼネストだ!!」大騒ぎになっている。

注)イメージとしては日本の民主党政権が急に子ども手当を打ち切ると言ったようなもの。

21_037

 
ユーロの威信は地に落ち、いまや1ユーロは111円前後にまでなって、この先どこまで落ちるか分からない。
スペインのこのちっぽけな貯蓄銀行の倒産がユーロの大崩壊につながるのか、それともローカルな銀行倒産に過ぎないのか判断は難しい。
市場は大崩壊を予想し、政策当局者はあまりにナーバスすぎると火消しに躍起だ。


注)日本のバブル崩壊に比較すると、住専がつぶれた段階。現在長銀や日債銀クラスの金融機関についても不穏なうわさが出ている。

 しかし確実に言えることはスペインは日本と同様に不動産バブルのツケを支払わなくてはならないと言うことで、スペイン経済は長い停滞局面に入ったことだけは確かだ。


注)時価会計中心のアメリカやイギリスはすぐにツケを支払わされ、簿価会計が中心のユーロは時間をかけて支払わされるが、いづれにしてもツケは必ず支払わされる。

 

 

 

 

|

« (22.5.30) アップルのタッチパネル革命 | トップページ | (22.6.1) 日本はどこまで戦えるか ワールドカップ南アフリカ大会 »

評論 世界 ヨーロッパ経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (22.5.30) アップルのタッチパネル革命 | トップページ | (22.6.1) 日本はどこまで戦えるか ワールドカップ南アフリカ大会 »