(22.5.27) 大相撲とヤクザ
大相撲とヤクザの関係は昔から切っても切れない縁があるらしい。
最も大きな理由は地方巡業をするときの手配師の多くを、その土地の暴力団が取り仕切っていることにある。
注)ただし、相撲協会は現在では暴力団が興行を取り仕切っていないと主張している。
なお芸能界でも暴力団との関係が深いが、これも地方の興行権を暴力団が独占しているためである。
今回問題となっているのは昨年の名古屋場所で向正面の溜席(たまりせき)にのべ55人の暴力団幹部が相撲観戦をしていたことで、通常はたにまちと言われる人たちの観戦席になぜかくも多くの暴力団関係者が座っていたかということが問題となった。
私は当初、「暴力団関係者だって相撲好きの人がいるだろう」ぐらいに思っていたがどうもそんな簡単なことではないらしい。
この溜席は一定額以上の寄付をしてくれた人に割り当てられる特別席で、土俵の周りの約300席が割り当てられているのだという。
私は相撲ファンだからNHKの相撲放送を常時見ているが、昔からこの土俵の回りの溜席に、どちらかといえば花柳界の女性と思しき人が多いのに不思議に思っていた。
和服を上手に着こなした美人が座っていると力士よりその人に目が行ってしまう。
今回はさらに暴力団幹部だという。
今回問題になっている暴力団関係者とは山口組系弘道会のことだが、弘道会は名古屋でスポーツ関係のイベントを主催しており、それが資金源になっているのだそうだ。
当然大相撲との関連は深い。
名古屋場所では親方2人を通して、溜席の入場券を入手したのだそうだが、なぜ暴力団幹部がこの席に座っていたかの理由を聞いて驚いた。
相撲放送は刑務所でも見れるのだが、この向正面の溜席はちょうどテレビで観戦者が映る場所にあり、服役中の山口組6代目組長、篠田受刑囚に組員が元気に組を守り立てているところを見せたかったのだという。
「本当だろうか? 手でも振って合図でもしていたのだろうか?」不思議な気がした。
この席に暴力団関係者がいたことを発見したのは愛知県警の暴力団担当だったようで、相撲協会はその事実を知らされ上を下への大騒ぎになった。
なにしろ相撲協会の武蔵川理事長が「暴力団との関係を絶つ」と言明していたのに、実際は特別席に55人も暴力団幹部を招待していたのだから話が合わない。
朝青龍問題がようやく片付き、「やれやれ、これでお荷物がなくなった」とほっとしていた後だけに、「またも大相撲の不祥事か」と思われてしまう。
さらにこの事件との関連性は分からないが大関琴光喜が違法な野球賭博に手を出し、暴力団関係者から1億円の口止め料を要求されているとの報道が週刊新潮に掲載された。
琴光喜本人はこれをきつく否定しているが、関係者が数人おり既に警察の事情徴収を受けているようだ。
これが事実だとすると、暴力団員の相撲観戦問題より大事件になり、現役力士の引退問題まで波及する可能性がある。
白鵬の二場所連続全勝優勝で盛り上がってきた大相撲を、こうした暴力団関連の事件で水を指されるのは本当に残念だ。
しかし暴力団抜きの地方巡業ができない限り腐れ縁は絶てそうもないので、この問題は根が深そうだ。
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コメント
ニュースで取り沙汰された二人の問答の様子を見ましたが、角界に入門した時点における、情操教育環境の問題も深かったのだろうと感じます。
投稿: 横田 | 2010年5月28日 (金) 01時35分