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(22.5.19) 危険水域に入ったタイ情勢  タイ式解決か、階級闘争か!!

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 タイの政情がとうとう危険水域に突入した。タクシン派UDD(反独裁民主戦線)と政府治安部隊との衝突で、すでに38人の死者がでて、これからいくら死者が出るか分からないからだ。
これは今までのタイの歴史を知っているものには驚天動地の出来事に見える。

 従来タイの政争では軍事クーデタが発生したり、空港首相府が占拠されてもほとんど死者がでないのが普通だった。昨年のタクシン派によるASEAN首脳会議阻止のデモも、死者が2名出たことによってタクシン派の首謀者が投降し、すぐさま収束した。

 タイでは人が死ぬと軍隊も警察もデモ隊も責任問題が発生するため、できる限り流血を避け、そのためにはASEAN各国の首脳の警備責任さえ放棄する国だった。

注)「タクシン派の4日戦争」を参照

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 ところが今回の約2ヶ月に及ぶバンコック中心街の占拠に対する対応はまったく違う。それまで流血をあれほど避けていたアピシット政権も、タクシン派のUDDも人命をなんとも思わないような銃撃戦を繰り返し、すでに38名の死者と300名あまりの負傷者が出ている。

 一体タイという国の有様がこれほどまでに劇的に変ったのはなぜなのだろうか。なにかタイの深層部で、大きな変化が起こったとしか思われない。

 もともと現在のアピシット政権は選挙による正当性を与えられた政権ではない
06年の軍事クーデタでそれまで首相であったタクシン氏を追い出し、それから1年3ヶ月後に行われた選挙で再びタクシン派が勝利すると、タクシン派の首相を軍隊が憲法裁判所を使って追い落としを図って成立した政権である。

注)詳細は「タイの政局は不思議の国のアリス」参照

選挙を実施して民意を反映させろ」とUDDが主張するのは、アピシット政権がほとんどクーデタまがいで成立した政権であるので当然の要求だが、アピシット首相が今年の11月に選挙を約束し、デモの解散を求めた頃から状況が急速に流動的になってきた。

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 UDDが穏健派と急進派に分裂し、穏健派はアピシット首相の妥協案を受け入れたが、一方急進派はアピシット首相の早期退陣を求め、要求をエスカレートさせたからだ。
何が何でもアピシット首相は即時退陣しろ。これは階級闘争だ!!

 この急進派を率いていたのがカティア将軍で、この将軍が治安部隊の狙撃兵によって頭を狙撃されて死亡したことで、まるでタイがイラクやアフガニスタンのような状況になってきた。
銃撃戦だけでなくロケット砲まで打ち込まれたのだからほとんど内戦そのものだ。

微笑みの国」といわれ、あれほど流血を嫌っていた国に何が起こったのだろうか。ホームズワトソン君の話を聞いて見よう。

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ホームズ、タイがおかしくなってきたが、なぜ今までのような死者の出ない政権交代ができなくなってきたのだろうか

問題はUDD急進派がなぜ妥協を拒否して徹底抗戦をするかだね。アビシット首相が11月に選挙を行うと約束したのだから、目的は達成できたはずだ。
選挙を行えばタクシン派が勝利を占めて政権に返り咲くのは確実とおもわれているので、通常ならばこれで妥協するのがタイ式だ。実際に穏健派は妥協した

しかし今回は急進派がUDDの主導権を握って、銃撃戦を継続している。急進派はどうしてここまで強気なのだろうか

一番考えられるのはUDD急進派を背後で支援する勢力がついたということだろう。資金や武器の支援があれば急進派は長期間戦える。選挙ではなく実力で政権を奪おうということだ

従来タイは他国の干渉を排除してきた国のはずだ。だからこそタイ式方式という何とも分けの分からない政権交代ができた。今回はそれが民族紛争や階級闘争のようになっている。どこが支援しているのだろうか

状況証拠として考えられるのはこの機会にタイに自国の覇権を及ぼしたい国だ。従来タイは日本の植民地と言われるぐらい日本との経済的結びつきが強かったが、鳩山政権はほとんど内政で他国を省みる余裕はない。

東南アジアきっての経済大国タイが内乱状態になれば、これを利用して自国に有利な政権を樹立したくなる国がある

すると背後で動いているのは覇権国家中国ということかい

中国にとってはミャンマーを衛星国にしたが、ここは単なる貧乏国だ。一方タイが中国の衛星国になればアセアンを押さえかつ完全にインド洋に進出できる。宿敵インドを牽制できるし、日本を東南アジアから追い出すことにもなる

しかしUDDは簡単に中国の手先になるだろうか

今は色々な要素が錯綜しているからはっきり見えないが、今後UDDが階級闘争を強化してくれば、必然的に中国の影が明らかになってくるはずだ


追加)19日、治安部隊が突入しデモ隊の排除に乗り出した。デモ隊の責任者7名が投降しデモの終了宣言を発した。ほとんどのデモ参加者は解散したが、これに不満を持つ最強硬派がなおもバリケード等に火を放って抵抗している。

 
 

 

 

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評論 世界 タイの政治・経済」カテゴリの記事

コメント

背後に中国が!?
国際情勢も推理小説風な解説だと分かり易く興味がもてますね。毎日、楽しみにしています。

投稿: かぐや姫 | 2010年5月19日 (水) 22時02分

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