« (22.5.11) 文学入門 「ボローニャ紀行」 井上ひさし | トップページ | (22.5.13) NHKスペシャル 自動車革命 「電池を制するものが世界を制する」 »

(22.5.12) ケヤキの剪定問題 再録

22429_044

 ケヤキの剪定問題については私がケヤキの芽吹きと景観問題」で問題提起し、それに対し樹木や草花の専門家の佐々木さんが論文を寄せてくれました(22.5.5~7の記事)。
今度はUR都市機構でこの街のプランを担当したOさんが、この問題について感想文を送付してくれました。

 とてもありがたいことにケヤキ剪定問題がみんなの検討事項になりました。
以下、Oさんの感想文を掲載いたします。

(Oさんの感想文)

 
四季の道
をはじめとするおゆみ野地区の街路や公園緑地等の空間は、UR(旧公団)が千葉市と協議をしながら、構想、計画、設計を行い、整備をしてきたものです。
景観的に、管理的に、住環境的に...さまざまな視点から検討が加えられたものと思いますが、完璧、完成というものはなく、街が成長するとともに手を加え、変化させることも必要な場面が生じてくるものと思います。

 さて、今回の剪定や街路樹のあり方につきましては、地域運営の課題としてとらえること、それを地域で議論することが重要なポイントでは、と考えます。
剪定の技術的な課題もさることながら、その背景には「見る立場」(景観論)、「住む立場」(住環境、安全性)など地域の人々の異なる立場での意見や利害関係を調整できぬまま対策を講じていることに根本的な問題があるものと思われます。

 私が住む武蔵野地域でもケヤキ他の並木や樹林地がまだところどころ見られます。
地域の中で、景観、安全、住環境...といった要素による利害相反する問題が起こっています。
武蔵野の並木道」と言えば聞こえはいいですが、並木に直面して住む人からは、 「落ち葉がひどい、庭に積もって大変」「タバコでも投捨てられたら怖くてたまらない」「日照が妨げられる」等々...苦情が管理者に寄せられました。
結果として管理者は、強剪定及び一部伐採という措置で対処しました。
景観的にはとても寂しいものになってしまったことは言うまでもありません。

22429_001

 一方の言い分を根拠に管理者が拙速に対処してしまった、という行為も問題ですが、根底には地域の利害相反する問題を調整する場や仕組みがないことに起因するものと思います。

 おゆみ野に限らず、どこでも起こっている問題ですね。
おゆみ野の場合も、(いずれかの方法により)剪定を行ない一時的にしのいでも、いずれ樹勢が回復すれば、相反する利害関係が再び表面化するのではないでしょうか?

 これまでは、問題が起こったら行政に訴える、というのが一般的であり当然の行為でした。
家の前のケヤキの落ち葉がひどくて困る」「日照、通風が妨げられる」「見通しが悪くて危険」等々、行政に寄せられたのでしょう。
一方で、「ケヤキ並木の景観はどうなってしまったんだ?」という意見もあるでしょう。
互いに行政にぶつけ合い、地域の利害相反する問題を行政に委ねて、良い答えが導けるか?という問いですね。
今の行政にその能力が欠けている...というような辛辣な見方ではなく、地域が行動を起こすことの方が良い解決策を見出せることもあるのではないか?という意味でです。

 地域の課題は、地域で解いてゆく...という指向がこれからの地域運営に必要な視点であり、そのシステムが求められるといわれています。

 これまでUR及び関連会社の新都市ライフにより、地域や行政の委員を交えて、おゆみ野市民活動助成事業まちそだて委員会といったものが運営されてきました。(今年の春でひと区切りとして終了したところです
これは、そのような地域運営のシステムの試行的なモデルとなることを意図して行なわれてきたものであり、今後、その考え方を踏襲した仕組みが千葉市、おゆみ野地区で構築されることを期待したものでした。

22429_003

 幸いにも、おゆみ野地区には昨年春より「おゆみ野まちづくり協議会」という活動が始まっています。
まさに、地域の課題を地域で解いてゆこう...という行動の基点となる場です。
現在、交通、環境等の分野別の部会が運営され、環境部会の中では「樹木の剪定」についても課題として取上げようとしていると聞きます。
そのような地域の議論の場にて、「並木のあり方」を議論するのも一方策かと考えます。

適切なアドバイザーや審議役を据えて、専門的な助言を受けながら街路樹のあり方や剪定の方法などを議論ができたらとても意義あることと思います。
その議論の成果を地域の総意として、地域から行政に提案することができたりしたらすばらしいですね。
また、議論することによりソフトな利害関係緩和方策も見いだせるかもしれません。


22429_031

最後に事例を紹介します 。

既にご存じかもしれませんが、NHKの「ご近所の底力」(2004年放送)で紹介されたものです。
題して「緑は欲しいが落ち葉はイヤだ

一つは東京都立川市の似た事例です。
並木通りに面した住民が落ち葉で困っていた。
行政に「街路樹を切るべき」と訴えた。
当然ながら、街路樹に面する人、見るだけの人で意見は異なった。
地域で話し合った結果、通りに面していない奥(裏側)の人たちが、
景観を楽しませてもらっている
みんなの並木なので一緒に清掃をやります
ということになった。
道路、歩道のほか、並木に面したお宅の玄関先等も交代で落ち葉掃きをする光景がTVでは映されていました


簡単にこんな美しいストーリーには至らないかと思いますが、行政頼みや行政批判でなく、地域での議論と行動が解決の糸口にもなるのかなと思います。

もう一つ紹介されたのは大分県の事例です。
ある種類の街路樹が成長し落ち葉が排水の妨げ等になっていた道がありました。
これに対して、地域住民が緑化計画を検討、行政に提案し、植替えを行うまでに至ったという活動です。
この活動は、街路に花を...という活動に端を発し、一万円の拠出で100人が集い、10年間で基金は一千万円に。
これを基本財源に行政機関への働きかけを続け、地域住民が希望する街路樹を植えてきた、というものです。


 すぐにここまでの活動に昇華させるのは大変ですが、まさに地域による道普請ですね。


四季の道や街路、公園等のあり方にはいろいろな意見があると思います。
街を長く運営し良い方向へ育ててゆく上では、地域で話し合うことが不可欠と考えます。
おゆみ野地区では、まちづくりに関しての課題を地域で話し合う協議会がすでに始動していますので、私が住む地域より数段進歩しているものと思います。

 おゆみ野という街が「地域提案型のまちづくり」を目指して発展して欲しいと考えます。


なお、Oさん以外にも以下のブログで「ケヤキの剪定問題」が取り上げられておりますので参考にしてください

① ひたち海浜公園の管理責任者齋藤さんのブログ
http://midorinochiba.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-134d.html

② 市議会議員福谷さんのブログ
http://fukutani.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/05/post_2406.html

|

« (22.5.11) 文学入門 「ボローニャ紀行」 井上ひさし | トップページ | (22.5.13) NHKスペシャル 自動車革命 「電池を制するものが世界を制する」 »

ボランティア ケヤキ剪定問題」カテゴリの記事

コメント

私は埼玉県さいたま市近郊に住んでいる者です。ケヤキ剪定問題を読ませていただき、大変共感しております。
今の時期、樹木を業者がバシバシ強剪定している光景をよく見かけます。剪定のプロとして「絶対に枯らさない」という事を前提に剪定するのなら良いのですが、無責任な剪定が多いのには驚いています。公園の桜の強剪定も、癒合剤も塗らなかったり・・・・。

私は10年前にマイホームを立て、狭い庭にカキ、サクラ、ハクモクレン等を植えてしまいました。また、ケヤキも自然に生えてきたので(種を飲み込んだ鳥の糞に混入していたものが発芽したのだと思います)切らずに他の樹木と一緒に育てています。しかし、これらの樹木が大きくなってしまい、いかに枯らさないで剪定し、狭い庭に納めるかに苦慮しています。
これらの樹が大きくなる事を想定し、狭い庭に植えてしまった事を反省しています。カキのような強剪定できる樹なら良いのですが。

ところで、さいたま新都心にあるケヤキ広場をご存じですか? 私はここのケヤキを見てびっくりしました。鉄筋の食事街建物の2階部分(広い屋上)に土を敷き、沢山のケヤキを植えています。(100本はあると思います)。大変良い景観です。今はまだケヤキもそんなに大きくないので大丈夫なのですが、これが大きくなったらどうなるんだろうと思います。(大きくならない品種なのかもしれませんが)よろしければこちらに来られた時にでも見ていってください。さいたま新都心駅を降りてすぐの所です。

(山崎)コメントありがとうございます。剪定では強剪定は基本的にすべきでないのですが、それでもする場合は切り口を地面に水平ではなく斜めに入れるのが枯らさないコツです。
水平にすると水はけが悪くなってその部分から木が腐っていって最終的にはかれてしまいます。
そうした注意もしないで強剪定をしているのを見ると、とても残念で、私が斜めの切り口にしてやろうかと思うくらいです。

また埼玉新都心のケヤキ並木は見ておりません。そちらに行く機会があればぜひ見てみたいと思います。
とても丁寧なコメントをありがとうございました。

投稿: tate | 2012年7月 5日 (木) 15時49分

Oさんのご意見にとても賛成です。
時代は確実に「地域の課題は、地域で解いてゆく」に移行しつつあると感じています。
おゆみ野の地域運営が住民主体で進んでいったら素晴らしいですね。
特に、大分の事例は興味深いです。まるで江戸時代の道普請です。

自分の住む市原以南では人手がないために手入れできない土地だらけ。
さらに、個々の土地が広いので隣の家に落ち葉落ちまくりでも誰も気にしません。
予算付けて行政が剪定してくれるなんてうらやましい(笑)

都市は密集しているからこそ便利ですが、その代償としての樹木の問題があると思います。
田舎者にすると、なぜ落ち葉くらいのことで騒ぎになるのか、といぶかしんじゃうわけです。
ケヤキ君にとっては狭いところは狭いので・・・

利害調整をしつつも、「あれ、これって本当に問題なのかな?」という疑問や
「ケヤキの気持ちにもなってみないとね」と、生き物に対する寛容さが必要だと思います。

投稿: ささき | 2010年5月12日 (水) 11時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (22.5.11) 文学入門 「ボローニャ紀行」 井上ひさし | トップページ | (22.5.13) NHKスペシャル 自動車革命 「電池を制するものが世界を制する」 »