(22.4.9) NHKスペシャル アフリカンドルーム ルワンダの奇跡
私はアフリカについてほとんど知識がない。かろうじて知っているのはエジプトぐらいで、それも古代史と言っていい昔の話だ。
アレクサンドリアにクレオパトラがいてローマの将軍を美貌でたぶらかしていたというような知識だから、何も知らないのと同じだ。
「アフリカについても少しは知識を持ちたいものだ」と思っていたら、嬉しいことにNHKスペシャルで、アフリカシリーズを放送することを知った。
第1回目はルワンダでそこが奇跡の復興を遂げているのだと言う。
「ウッッ、ルワンダってどこにある」
アフリカのちょうど真ん中あたりにあって、四国の1.5倍の面積で、人口は1000万人程度の小さな国で人口密度がアフリカ一だそうだ。
以前ひどい内戦が勃発して、多数派のフツ族が少数派のツチ族の大虐殺を行ったという。
「そういえば、昔テレビで何度か虐殺されたツチ族の死体の映像が流されていたな」
約80万人のツチ族が殺害されたそうだが、ルワンダに住んでいたツチ族はほとんど死滅したほどのジェノサイドだったそうだ。
1994年に発生したこの大虐殺は100日間のジェノサイドと言われ、生き残ったツチ族は周辺の国に逃れた。
その後、このジェノサイドに怒ったツチ族がルワンダ愛国戦線(RPF)を組織して、フツ族の政権を転覆させ、以来ツチ族の政権が続いている。
「アフリカはいつも民族対立が激しくて、民族が違うと手首や足首を切り落とすひどい野蛮な国だ」これが私のアフリカのイメージでルワンダはまさにそうした国だと思っていた。
しかし番組ではそれは過去の話であり、現在のルワンダは治安が安定し、汚職が極めて少なく、その結果すばらしい経済成長を遂げているアフリカきっての希望に満ちた国だと紹介されていた。
何かしばらく前のシンガポールのようなイメージだ。
「いくらなんでもそれはないだろう。16年前にルワンダに住んでいたツチ族が大虐殺されたのに、今は仲良く暮らしているなんて無理だろう」
放送によれば、ツチ族の政権が誕生した後、世界各地に離散していた約100万人といわれるツチ族がルワンダに帰還して、ルワンダ復興に貢献しているのだという。
この亡命したツチ族をディアスポラ(古代ユダヤ人の通称で離散者という意味)といい、現在のカガメ大統領もディアスポラだそうだ。
首都キガリは建設ラッシュに沸き、中国やアメリカの投資マネーがこのルワンダを潤しているのだそうだ。世界の先進国で仕事を覚えたディアスポラがルワンダ復興の中心になり、ルワンダをアフリカのトレードセンターにする事業が着々と進められているという。
「うぅーん」考え込んでしまった。
「なぜ大虐殺のあと急激に治安が回復したのだろうか。通常は報復攻撃が行われて内戦の泥沼に陥るのが普通なのに・・・・・・」
番組では明確に説明されていなかったがどうやら以下のような理由のようだ。
① ジェノサイドを行ったフツ族は報復を恐れて隣国に逃げてしまった。残ったのはツチ族と穏健派フツ族だけになった。
② ルワンダ救国戦線による軍事政権が、治安維持について熱心に取り組んだのでアフリカきっての安全な国になった。
③ 海外に離散したディアスポラを呼び戻すために税金等の優遇措置や、経済成長を支援する措置をとった。
④ カガメ大統領がルワンダをアフリカの経済センターにするという明確なビジョンを持って独裁を進めた。
何かカガメ大統領はシンガポールのリー・クアンユーのような開発独裁国家を作り出したらしい。
アフリカシリーズはとても面白そうだ。今回のシリーズで私のアフリカについての知識が少しずつ深まっていけそうなので嬉しくなってしまった。
なお、私がよく読むブログでQ翁さんがこの番組の詳細な解説をしていたので以下に紹介します。
http://ameblo.jp/dokkyohisashi/entry-10500417767.html
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