(22.4.23) 深く静かに潜行せよ 韓国哨戒艦「天安」沈没の謎
3月26日、韓国哨戒艦「天安」1200トンが、黄海のNLLといわれる北方限界線近くで撃沈し、40名以上の行方不明者を出した事件は、多くのミステリーを含んでいるが、どうやら北朝鮮の人間魚雷による攻撃を受けたのではないかとの観測が強まっている。
22.5.25追加)韓国、アメリカ、オーストラリアによる合同調査の結果、北朝鮮小型潜水艦から発射されたホーミング魚雷によることが判明した。
当初は弾薬庫や燃料タンクの爆発も想定されたが、実際に引き上げてみてそうした場所の損傷がないこと、また座礁するような浅瀬もなく、さらに老朽化による疲労破壊は造船大国の韓国ではありえないことから、外部爆発の可能性が高い。
引き上げられた船尾部分の甲板も下から押し上げられたようにめくれており、また生存者の証言も爆発は艦船の外部で起こったと述べていることから、魚雷あるいは機雷による攻撃の可能性が疑われた。
この黄海の海域は韓国と北朝鮮の間で互いに領海を主張し合っている場所で、韓国は朝鮮戦争後に連合国が定めたNLLという軍事境界線を境界としているのに対し、北朝鮮はさらに南方のNLLの内側部分まで北朝鮮の領海だと主張してきた。
注)NLL周辺はワタリガニの漁場で、北朝鮮の漁船がNLLを越えて操業しており、北朝鮮の警備艇が漁船保護を目的にNLLを越えて進入を繰り返している。
このため常に両国は一触即発の軍事的緊張関係にあり、過去に何度も銃撃戦が行われている。
互いに相手を「領海侵犯した」と主張し合っているが、互いの領海が異なるのだから、領海侵犯はお互い様だ。

しかし最近は韓国軍の海軍力が圧倒的に勝るようになり、09年11月のいわゆる大青海戦では、銃撃してきた北朝鮮の警備艇が韓国軍の反撃で命からがら逃げ出している。
注)それ以前の2002年の西海海戦では北朝鮮警備艇の不意打ちで韓国兵6名が死亡している。
これに激怒したのが金総書記で「我が軍は領海一つ守れないような腰抜けばかりか!!!韓国海軍を追い出せ・・・」と有効な報復体制をとるように命じた。
それに答えて準備していたのが人間魚雷で、艦船相互の銃撃戦では勝ち目がないので、自爆覚悟の特攻作戦に変更になったという。
注)韓国軍情報司令部が韓国海軍に対し「北朝鮮が人間魚雷で攻撃してくる可能性があるので、その対応を取るように」と注意喚起していた。
どうやらこれが事実らしいが、今回は晴れてその成果が上がったわけで、いつも韓国軍に蹴散らされていた北朝鮮海軍が一矢を報いた形になった。
最も北朝鮮は「北朝鮮の関与はまったく濡れ衣だ」と大韓航空機爆破事件と同じような反論をしている。
現在韓国側の調査団はアメリカやオーストラリアの専門家を含めて120以上の専門家が調査を行っている。
調査の結果北朝鮮の関与が明確になると思うが、事実が判明しても北朝鮮を強く非難できないのではないかとの憶測が流れている。
注)NLL近辺での銃撃戦や海戦はいわば毎回の行事のようなものだ。ただし今回は韓国の誇る1200トンの哨戒艦(北朝鮮の警備艇は100トン以下)が撃沈してしまったので、軍事バランスが北に有利になっている。
ようやく経済が上向きになってほっとしている李明博政権としては、北朝鮮との全面対決は避ける方針であり、限定的な戦闘行為に対する非難というレベルで矛を納めるようだ。
戦争など始めたら元も子も無くなってしまう。
韓国のように常に軍事的緊張を強いられる国は大変だが、それだけに国民には緊張感があり、こうした危機対応一つとっても、あわてた対応はとりそうもない。
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