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(22.4.2) 風雲急を告げだした世界経済 鉄鉱石価格の急上昇

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 再び世界経済が風雲急を告げている。鉄鉱石価格の上昇が止まらず、09年に比較し、本年度は約2倍の価格になってきた。
あのリーマンショック直前のような価格の上昇だ。

 鉄鉱石価格上昇には2つの要因がある。
一つは供給者側が寡占体制をひいていて、ブラジルのヴァーレ、豪英系のBHPビリトンリオ・テントの3社で世界市場の約70%を占有している。
この3社が共同して価格アップを図っているので、供給者側の価格形成力はとてつもなく大きい。

 もう一つは投機スポット価格が急上昇しているが、この市場には実需以外の投機資金が大量に流れ込んでいる。
ちょうどリーマンショック以前のあの金余りの状態と酷似しており、当時はトン当たり20ドル前後だった価格が77ドルまで上昇したが、今回はリーマンショック後一旦55ドルまで下がった価格が、100ドルまで上昇することになった。

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 今回大手のヴァーレ新日鉄に要請してきた内容は、鉄鉱石価格をこのスポット価格に合わせて、年4回改定しようと言うことで、これは従来の年1回改定で必ずしもスポット価格とは連動しなかった価格決定方式とはまったく異なる。

 新日鉄としてはこうした新しい価格決定方式に反対しているが、暫定的な措置として10年4月~6月までは、スポット価格を反映したトン当たり100ドルで購入するところまで追い込まれた。
供給者側は自らの価格形成力に絶対の自信を持っている。

 それにしてもひどい話だ。先進国経済は一頃の最悪期を脱したと言っても、10年度の景気回復は遅々としたもので、日本などはほとんど実需が盛り上がっていない。
中国・インド・ブラジルと言った新興国経済は順調だが、それでも鉄鉱石価格を二倍にするほどの実需があるわけではない。

 現在各国が行っている金融緩和の資金がこうしたコモディティ市場に流れて、原材料価格を押し上げている。
最も問題なのはこの日本で、日銀が新型オペと称して0.1%の資金を約20兆円市場にばら撒いたが、国内にほとんど資金需要がないため、この20兆円がコモディティ市場に流れ込み、価格を上昇させている。

 日本は外国の資源を高騰させるために金融緩和策を実施しているようなものだ。
さすがに各国は鉄鉱石、、石炭、石油、金や不動価格の上昇に危機感を持って金融緩和策の転換を図り始めたが、信じられないことに日本だけがジャブジャブの資金供給を拡大した

注)日本には約30兆円のデフレギャップがあると言われ、このギャップを埋めるために日銀が20兆円の資金供給をしている。しかしその資金は国内に留まらず海外の投機資金として使われている。

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 日銀は自分が行っている金融緩和がまったく日本経済のためにならないことを知っているが、亀井金融・郵政担当相から「日銀の国債直接引受け」を強要されるよりはましだと、この新型オペなる方策を行っている。
日銀もこのデフレ克服のためにがんばっております

 しかしその結果がリーマンショック前とまったく同じ、鉄鉱石・石炭・石油・金等の価格の急上昇なのだから、世界経済にとっても日本国民にとっても迷惑なことだ。
日本においてはデフレギャップを縮小する手段は、需要の拡大ではなく供給の縮小が必要なのだが、亀井金融・郵政担当相は金融緩和と財政拡大に邁進している。

日銀は文句を言わず、金を出せ」亀井氏の怒号が聞こえるが、この政策は日本と世界に不幸をもたらすだけだ。

注1)リーマンショック後の最安値から、鉄鉱石が約2倍、石炭が約50%、石油が約2倍、金が約45%上昇している。穀物価格はまだ上昇していないが今後急上昇する可能性がある。

注2)こうしたコモディティ価格が再び下落するのは、日銀が金融緩和をやめるときである。しかし市場は日銀のスタンスは相当の期間金融緩和を継続させると読んで、強気な投機戦略を展開している。

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