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(22.4.1) 地方空港は死屍累々 再生の道はあるか 

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 なぜこれほどひどい状態になってしまったのだろうか。日本の地方空港の現状についてである。
調べてみるとほぼ9割の空港が赤字で、黒字転換のめどが立っていない。

 日本には現在97の空港が存在しているが、そのうち会社組織になっているのが空港、が管理しているのが26空港、自治体管理が54空港、その他が14空港となっている。

 このうちで空港会社の決算が明確に分かるのは会社組織の3社成田、関西、中部)だけで、国が管理している空港は空港整備特別会計で26空港のどんぶり勘定であり、自治体管理の空港はその自治体の会計とのどんぶり勘定になっている。

 このため今までは会社組織以外の空港会社が儲かっているのか損をしているのか、さっぱり分からなかったというのが実情であり、そもそも儲けるとか儲けないとかの対象外の公的施設との意識が強かった。

 しかも空港整備の特別勘定毎年5000億程度あったため、国交省は各都道府県に1空港を作らすために躍起となっていた。

金はいくらでもある。飛行機が飛ぼうが飛ぶまいが飛行場を作ろう。後は天下りだ
それが掛け声になって全国各地に地方空港が乱立してしまった。

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 そもそもなぜ国管理の空港と自治体管理の空港ができたかと言えば、国管理の空港が必要性に迫られて国が空港を整備してきたのに対し、自治体管理の空港は不必要だが、自治体の見栄で作ったからである。
隣の県には空港があるのにわが県にはない。これでは県民が納得しない。管理は自治体でするから作ってくれ

注)国管理の空港は羽田、伊丹、新千歳、福岡、那覇という拠点空港と、北海道や九州のように鉄道よりも航空路のほうがはるかに利便性が高い場所に建設され、必要性の原則で作られたことが分かる。

 一方自治体管理の空港は最近できた茨城や静岡のように、大都市の近辺にできており、必要性よりも特別会計に予算が余って、かつ自治体が作りたがったから作ったと言う空港が多い

 最近までは国管理の空港では、空港会社ごとの決算が不明であったがさすがに政府もこれではダメだと気が付いて、昨年から26空港を対象に、収支の試算をすることにした。

 この試算は4種類の試算があり、今回は6年度を対象に実施したが、通常の企業会計ベースで試算したところ、黒字は6空港、最も厳しい試算では黒字は伊丹、新千歳、熊本、鹿児島の4空港になってしまった。

 この中で羽田が赤字なのは以外だが、再拡張工事の整備費、原価償却費、支払い利息が多いためであり、また那覇は着陸料が安く設定されており、福岡は都市周辺にあって地代が高いため赤字だと言う。

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 これでようやく国管理の空港の収支の一端は分かってきたのだが、一方自治体管理の空港の収支はまったく不明の状態が続いている
思い余って毎日新聞がアンケート調査で54空港の収支の試算を行った。

注)収入を、着陸料等の収入+土地建物の賃貸料収入、支出を維持管理費(人件費+物件費)として計算したもの。減価償却費は入っていない。

 これによると黒字なのは秋田、富山、神戸、石垣の4空港、残りの50空港はすべて赤字となった。
なんだ、調べてみたらほとんどが赤字じゃないか」毎日新聞も驚いた。

注)公共工事として飛行場を整備してきたため、ダムや道路や港湾と同じように建設会社と官庁の天下りのために飛行場を作ってきている。したがって始めから収支をまかなおうとの意識はない。

 空港会社の収支が赤字になるのにはいくつかの理由があるが、最も大きな理由は乗客数を過大に推定して、その過大な乗客数にあわせて施設や人員を配置しているからである。
08年の実績で見ると、乗客数の実績が予測を上回っていたのは8空港だけで、残りの89空港はすべて実績を下回っていた。

注)中でも紋別、石見、奥尻、広島西、松本空港は予測の20%にも届かず、就航している航空会社は折あらば撤退しようと機会を狙っている。

 私は当初、乗客予測はまったくのでたらめ数字を積み上げただけだと思っていたが、必ずしもそうでないことを知った。
需要予測モデルに使用される数値の中で最も重要なのはGDPの伸び率であるが、これは政府見通しを採用している。
ところがこの見通しは政策目標として設定されたものであり、意図的に高めに設定されている。

  たとえば2005年の国交省の航空需要予測では、2006年から2012年までの名目ベースのGDPの伸び率を年平均1.8%と想定しているが、実際は06年 0.9%、07年 1.8%、08年 ▲1.7%、09年 ▲5.5%となり、06年547兆円から09年527兆円GDPは20兆円も縮小してしている。

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これは花牟礼さんの四季の道の葦ペン画です)

 要するにこの間はGDPマイナスかよくてゼロベースになる可能性が強い。
そしてこのありもしない数字を基に、さらに意図的に乗客数を膨らませるので途方もない数字ができてしまう。

担当者茨城空港は飛行機は飛ばなくても81万人の乗客が見込めます
知事君、いくらなんでも飛行機が飛ばなければ乗客は増えないのではないか
担当者いえ、政府の需要予測を使用する限り、飛行機が飛ぼうが飛ぶまいが絶対に乗客は増えることになります。お疑いであれば政府に問い合わせてください

 こうして90%余りの赤字空港が乱立してしまった。
さてこのような赤字を垂れ流している空港は再生が可能なのだろうか。
まず最初にすることはどのように経営しても赤字脱却が不可能な空港と、そうでない空港を分類して、脱却不可能は空港はすぐに閉鎖をすることである。

 たとえば紋別、石見、広島西、松本の各空港や最近できた茨城静岡は閉鎖対象になる。
こうした空港は黒字に転換することは絶対に不可能なのだから、できるだけ早急に閉鎖することが望ましい。
そしてその空港の跡地利用を真剣に考える段階にきている。

注)空港の跡地は広大な敷地が更地であるのだから、東京の立川基地跡地のように使用方法はいくらでも考えられる。
最も魅力的なのは21世紀型エコ住宅環境の実験場にすることで、その場所では二酸化炭素の排出量をゼロにする諸政策(エコ住宅、エコカー、自転車と人主体の道路網、二酸化炭素を吸収する公園、最高速度のインターネット網等)を整備し、世界に21世紀のモデル都市をつくって見せることである。

 

 

  

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