« (22.3.13) 海の男になれるだろうか | トップページ | (22.3.15) 農地法と民主党輿石(こしいし)参議院会長のせこい脱法行為 »

(22.3.14) 冤罪の構図 元厚労省局長 村木厚子氏はなぜ犯人にされたのか

2233_035

 昨年6月、障害者向け郵便割引制度を悪用した不正事件で、偽証明書の作成に関与されたとして逮捕起訴された元厚労省局長、村木厚子氏冤罪であることが明らかになってきた。

注)障害者向け郵便は通常120円のところ8円で郵送されるため、障害者向けを装って通常のダイレクトメールが8円で出された事件。この制度を悪用した広告会社は約130億円の不当利益を得た

 実行犯の上村係長が以下のように第8回公判で証言して、単独犯であることが明確になったからだ。

「(この時期は)予算の仕事が中心だと思っていたので、証明書は勝手にだしてしまえばいいと思っていた。(証明書を発行するような片手間な仕事は)いつまでもひきずらず自分の前から消してしまいたかった。
5月中旬あたりから予算の仕事はどんどん忙しくなった。(
特に)制度が変わったので去年の予算をいじればよいというものではなかった。・・・・・

夜中に偽の証明書(決裁の下りていない証明書)を作り、朝8時に課長の印を(黙って)押して、その日のうちに厚労省近くの喫茶店で河野さん(凛の会)に手渡した。・・・・

注)上村係長は09年4月に係長になったばかりであり、最初の予算編成作業に忙殺されていた。このため証明書発行のような片手間な仕事は早く片付けたいと思っていたという。

また証明書に係長が課長印を押印することは、このほかにもかなりの事例があったらしい(代理押印が日常化されていたようだ)。

2233_020

 上村係長の証言の前に、村木厚子氏の上司塩田部長村木氏から「証明書を発行したという報告を受けて石井氏(代議士)に電話したのだろう」と検察官に供述したが、これは間違いだったと法廷で証言している。

 上村係長塩田部長村木氏の関与を否定したことで、村木厚子氏が冤罪であることがほぼ証明された。

注)現在唯一の証言の不一致は、倉沢被告(凛の会)が裁判で「証明書を受け取りに出向いたときに上村係長がいなかったので、村木課長から証明書を受け取った」と証言したことだ。
これによると受け取りは河野氏でなく倉沢氏で、受け渡し人は上村係長ではなく村木課長ということになる。
この不一致については裁判で徐々に真相が明らかになっていくだろう。


 現在は、なぜ大阪地検はこのような冤罪を引き起こしたのかが興味の対象に移ってきている。

原因は以下のような場合が想定される。

① 担当検事が無能で、出世欲が強かった(担当検事単独説
② 検察庁が意図的に厚労省をたたこうとしていた。担当検事はその流れに乗っただけ(
検察庁の組織的関与説
③ 偶然が重なって村木氏の冤罪が発生した(
偶然説


 ①はかなりの確率で言えそうだ。上村係長によると「この事件は厚労省の組織犯罪だ。あなたはトカゲの尻尾きりをされているのだ。厚労省の膿を出して良い組織にするためには、事件を正さねばならない」というのがこの担当検事の口癖だったと証言している。

 明らかに担当検事はこの事件を組織犯罪として立件しようとしていたことは分かるし、そのためのストーリーにあわせて供述調書を作成したのだろう。

 殺人事件のような刑事事件の場合は証拠第一主義がとられて、証拠がなければ無罪になることが多いが、一方今回のような権限違反の証明書発行事件のような場合は証拠物件による立証が難しく、関係者の供述がほとんど唯一の証拠になる。

 そのため担当検事は意図的な誘導で供述調書をでっち上げ、サインさせたのだろう。

 については、意図的に検察庁が厚労省をターゲットにしていたという証拠はない。唯一いえるのはこの時期は厚労省に対する世間の風当たりは強く、特に年金問題にかかる社会保険庁のずさん管理に世論は沸騰していたから、厚労省バッシングの雰囲気はあったことは確かだ。
だから検察庁首脳が、ありうる事件と認識した可能性は高い。

 の偶然説はかなり無理がありそうだ。上村係長が「単独で行ったと何度説明しても担当検事に納得してもらえなかった」と証言しているので、やはり担当検事が意図的に誘導したというのが実態だろう。

2233_090_2

 私の想定は、大阪地検の担当検事が出世欲に取り付かれ、この事件を厚労省の組織犯罪という形で立件できれば将来の自分の地位が確保できると思って、勇み足をした事件に見える。
検察庁の組織的犯行に思われないのは、証言者が次々に「担当検事の誘導によった」と取り調べ段階の証言を覆していることで、組織的犯行としてはお粗末過ぎるからだ。

 かつて私も大阪で仕事をしたことがあるから分かるのだが、大阪にいると何かと東京に対する対抗心が強くなる。
東京何するものぞという気持ちと、できれば大阪でなく東京で仕事をしたいという気持ちがない交ぜになった複雑な気持ちだ。

 この冤罪事件を引き起こした担当検事は大阪地検ではなく花の東京地検で仕事をしたいと思い、自分の功をあせって無理やり組織犯罪をでっち上げたというのが私の見立てだ。

 どう見ても村木厚子氏は無罪である

 

 

 

|

« (22.3.13) 海の男になれるだろうか | トップページ | (22.3.15) 農地法と民主党輿石(こしいし)参議院会長のせこい脱法行為 »

評論 日本の政治・経済 村木厚子氏事件」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。