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(22.3.9) 地上げ天国の中国 中国の光と影

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 「親の心子知らず」とはこのことを言うのだろう。温家宝首相全人代で「積み残された(都市と農村の)格差是正」を訴えている足元で、黒い頭のねずみが徘徊している。 
中国はどうやら地上げ天国で、黒い頭のねずみのおかげで都市と農村の格差はますます拡大しそうだ。

注)都市と農村の所得格差は04年には2.5倍程度だったが、09年には3倍を超えてしまった。

 毎日新聞3月5日に報道した「地上げ、腐敗、苦悩の中国」という記事はとても興味深い。

 中国の大都市部の地上げの実態が、かつて日本でもバブル期に行われた地上げとまったく瓜二つであり、違いといえば日本がもっぱら金で有無を言わせず地上げしたのに対し、中国は公権力共産党幹部)と国営企業や同族企業がタッグを組んで行っていることぐらいだ。

 記事によると北京市郊外にある芸術区アメリカのソーホーのような場所らしい)に住む芸術家劉さんら6名が、マスクと黒服に身を固めたヤクザ19名に袋叩きにされたのが2月22日のことだそうだ。

 この場所に劉さんは350平米の住宅兼アトリエを借りて住んでいたのだが、突然地元幹部の弟から立ち退きを要求された。
中国では土地は国家のものだから、個人はそれを賃借することしかできない。

注)中国では同族間のつながりが強く、権力者の周りにはそれを利用して私腹を肥やす同族がたむろしている。

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 地元幹部の弟が「土地利用計画が変更になったので、賃貸借契約は無効だ」と主張し、劉さんがこれに反対すると水道、電気、暖房をたたれ、それでも退去しなかったため、ヤクザを使って追い出しにかかったのだそうだ。

 この場所は北京市朝陽区政府が昨年9月に、約26万平米の「土地備蓄」に当てると発表し、約17万人の住民に立ち退きを迫っている場所の一部だという。

注)中国の地上げの方法はこのように公権力が有無を言わせず行うところが日本と違う

 現在中国では財政・金融を総動員した景気対策を実施している。
財政政策はもっぱら公共投資に向けられ、また金融政策は国営企業や同族企業に対する融資の押し付けになっていた。
政府の指導です。何でもいいから資金を借りてください」そんな感じだった。

 公共投資はその前提に土地の収用が必要になるのはどこも同じで、多くの場所で住民が土地を追い出されているが、一方国有企業や同族企業に振り向けられた資金は設備投資に回らず、もっぱら大都市周辺の不動産投資に向けられている。

注)なお中国政府はバブルを懸念し最近引締めに転じたが、今まで貸し与えた資金が市場に大量に滞留して引締めの効果がない。

 これはバブル期の日本を思い出してみれば誰でも納得するはずだが、当時はまともに業務拡大を図るのは愚かな経営者で、不動産投資としてゴルフ場や別荘地の開発をおこない、株式で儲けるのが有能な経営者と思われていた。

 中国でもまったくバブル期の日本と同様の現象が発生しているが、土地が国有のため地方政府のほうが住民より強い立場にある。
なにしろ共産党三権司法、行政、議会)を束ねており、かつ警察を掌握しているのでやりたい放題だ。

今回の事例では警察がヤクザ19名を逮捕したが、この場所が北京政府のお膝元で温家宝首相の目に留まる場所だったからで、他の地方では警察もぐるになって住民追い出しを行っている。

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 中国では瞬く間に大都市が建設され、高速道路も新幹線も空港も思いのままに建設でき大前研一氏などは手放しで賞賛している(大前研一氏の経済観
しかし実態は公権力を握る地方幹部と資金面で潤沢な国営企業や同族企業が結託して甘い汁を吸い続けているだけだ。

 思い余って地方の住民が北京に出てきて直訴しようとしても、江戸時代の日本と同じで直訴はご法度で、たちまちのうちに警察官に蹴散らされてしまう。

 北京政府としても腐敗幹部を追放したいが、その腐敗こそが中国躍進の原動力でもあるので、きれいごとだけでは済まされない。
限度を越した腐敗は一罰百戒の意味で公開の場で弾劾されるものの、北京政府自身も腐敗の温床なのだから、あまりに追求すると天に向かってつばすることになる。

注)共産党組織は利権であり、好き勝手に懐を肥やせる。これが中国躍進の一つの側面だ。

 しかし温家宝首相も頭が痛いだろう。
腐敗が進みすぎると農民が反乱を起こし、腐敗がないと躍進ができない。
中国と腐敗は王朝の昔から切っても切れない縁があり、「優秀な官僚とは適当に腐敗した官僚で「賄賂を受け取らない官僚は悪官僚」なのが中国の伝統だ。
だから現在の胡錦濤王朝もそれに習っているだけに過ぎないともいえる。

 こうして温家宝首相がいくら全人代で格差是正を訴えても、都市と農村間の格差はますます広がり、中国の光と影は増幅される。

注)中国人の性質を最も理解していたのは毛沢東だった。中国人はすぐに走資派(金儲け)に走るのでそうならないように文化大革命で根絶やしにしようとした。しかしその努力もむなしく鄧小平の指導で走資派の中国が開花したと言うわけだ。



 

 

 

 

 

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