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(22.2.28) バンクーバーオリンピックが終わろうとしている。

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 バンクーバーオリンピックも今日(17日)を含めあと2日になった。
私はスポーツそのものが好きだからオリンピック放送はずいぶん楽しませてもらったが、一方でやはり寂しさは隠せない。

 日本選手の活躍が今一歩で、前回荒川静香選手が金メダルを取った女子シングルのフィギアでも、浅田真央選手が銀メダルになってしまった。
真央ちゃんも泣いていたが私も泣いた。

 私は前回のブログ22.2.3)で「バンクーバーオリンピックはトリノ並みか」という記事を書き、具体的には「やはり今回のバンクーバーオリンピックは良くて金・銀・銅がそれぞれ1個ずつくらい、悪いとトリノのようにメダル1個に成りそうだ」と予想した。

 実際は銀3、銅2で、メダルにウェイトをつけて評価してみると(金に3点、銀に2点、銅に1点)、予想は最高で6点だったので、今回は8点となって予想をうわまわったものの、しかし何とも寂しい

 この寂しさは「どうして日本はこんなに弱くなってしまったのか」という気持ちから来ている。
長野オリンピックでは金5、銀1、銅4の堂々たる成績だったが、その後ソルトレイクシティーでは銀1、銅1になり、前回のトリノでは金1だった。

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 1998年以降日本は凋落したのだが、最大の理由は企業スポーツの退潮ではなかったかと思っている。
日本で冬のスポーツを支えていたのは雪印乳業のような北海道の企業だったが、その雪印乳業は2000年の集団食中毒事件、2002年の雪印牛肉偽装事件を起こして企業そのものの存続が危ぶまれる事態になってしまった。

 かつて大倉山白馬ジャンプ用シャンツェを造成して寄贈し、雪印杯という伝統あるジャンプ大会を開催していたのが雪印乳業だったのだから、この企業の退潮はそのまま日本ジャンプ界の退潮につながっている。

注)雪印杯は今も存続している

 今回のバンクーバーのジャンプでは37歳葛西選手が一人気をはいていたが、葛西選手は一昔前の選手で、外国ではアマンのような二十歳前後の若者が活躍している。
何か日本は年寄りが懸命にスポーツを支えているのが実情だ。

 また雪印だけでなく他の冬のスポーツを支えていた企業も軒並み経営の合理化に迫られ、日本独自のシステムだった企業スポーツが一部を除いて今消えようとしている。

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注)企業スポーツの選手は通常午前中だけ勤務をして、午後は練習に励んでいた。今はこうした恵まれた選手は少なくなり業後にしか練習できないようだ。


 企業スポーツに変わる形態として世界的に認知されてきたものが、チーム形式だ。
今回女子フィギアで優勝した韓国のキム・ヨナ選手はチーム・ヨナというコーチ、トレーナー、振り付け師と一体となった体制でカナダでトレーニングをしていた。
日本では水泳の北島康介選手がこのチーム編成をしている。

 ただしこのチーム編成はトップ選手しか可能でないから、それ以外の選手を育成する手段を考えないと、日本スポーツ界の低迷は続くだろう。

 隣の韓国を見ると、金6、銀6、銅2個を取って国別でも堂々の5位になっている。
人口が日本の半分以下で、肉体的特長が似かよっている韓国がなぜこれほどまでに強いのか、日本は韓国の強さをまじめに研究する必要があるだろう。

注)映像はすべてNHKの放送を録画したもの。

 

 

 

 

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(22.2.27) 八代亜紀コンサート ちょっと悔いあり

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 私は猛烈な演歌ファンである。歌は演歌しか聴かない。息子はこれにあきれ返っており私がテレビで聞き入っているとおやじは相変わらず演歌か」なんてかなり軽蔑した目で見ている。

 しかしだれが何と言おうと私は演歌にしびれてしまう。その中でも八代亜紀長山洋子はいい。
そう思っていたらかみさん八代亜紀コンサートの券を2枚購入して私を誘ってくれた。

 場所は千葉県文化会館、SS席で6500円だという。
私は飛び上がってしまった。
そうか、八代亜紀か・・・一度は生で歌っているのを聞きたかったんだ
今日(26日)気もそぞろにかみさんと出かけた。

 しかし結論から言うとこのコンサートは「ちょっと悔いあり」だった。
理由が3つある。

 一つ目はこの文化会館は音響効果がよくない。建物自体が古く緞帳どんちょう)などは黒くくすんでいる。そして何よりも音が少し割れるので話などは聞きづらいことこの上ない。せっかくのトークが(私の耳の悪さもあるが)まったく理解できなかった。

 二つ目は前座歌手がソロで2曲、八代亜紀とデュエットで1曲、計3曲歌ったのだが、下手で聞いていられなかった。
こんな下手な歌手の歌をわざわざ聴きに来たのではないのに・・・・」イライラした。
やはりここは八代亜紀にすべての曲を歌ってほしかった。

注)前に見た北島三郎ショーでは北島三郎が一人で歌ってくれた。

 三つ目は始まる時間が5分遅く、終わりが10分早かったことである。コンサートは2時から4時までの2時間の予定だったが、15分は短く、かつ前座歌手の時間も15分程度あったため、実質1時間30分のコンサートだった。
何か、すぐに終わってしまったわねかみさんがそう言ったが、明らかに手抜きだ。6500円のコンサートの価値はなかった。

注)北島三郎の時は時間が経過していたくらいだ。

 この日を楽しみに他のあらゆる予定をキャンセルして待っていた身にはつらい結果だったが、八代亜紀の歌自体は相変わらず心を揺さぶるものがあった。
やはり八代亜紀だと思う。

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 八代亜紀は1971年にデビューしたが、私がサラリーマンになったのが1970年だからほぼ同じ頃に社会人になった。同期の桜のようなものだ。

 もっとも八代亜紀は当初はまったく売れない演歌歌手でもう少しで歌手廃業まで追い込まれていたが、当時のオーディション番組「全日本歌謡選手権」で息を吹き返した。
この番組は非常に特異な番組で、プロ・アマチュアを問わず出場でき、10週勝ち抜くとレコード会社がトップクラスの作曲家と作詞家の曲をつけて、新曲デビューできるという仕組みだった。

 私はこの番組をよく見ていたが、当時は八代亜紀を知らなかったから記憶にない。この番組から10週勝ち抜いて再デビューした歌手に五木ひろしがいて、実力派プロの再生工場のような番組だった。

 八代亜紀は歌唱力がすばらしいと思う。愛の終着駅舟歌雨の慕情を聞いていると思わず涙が流れてくる。
またおやじが演歌を聞いて泣いてるよ」息子からよくからかわれる。

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 少し前だがNHKの歌謡番組を見ていたら、八代亜紀ちあきなおみの「かもめの街」を歌っていた。この歌は最初に長い語りのような歌詞が入るので特別に難しいのだが、持ち歌でないのに実に上手に歌いこなしていた。
歌手の実力が表れるのは持ち歌以外の曲を歌った時だ。

 変調して急に曲が跳ねるのだが「カモメよ カモメよ さみしかないか 帰るところがあるじゃなし おまえも一生波の上 あたしも一生波の上 あ~あ~ あ~あ~ ドンブラコ」と歌いながら泣いていた。
おそらく彼女のたどってきた人生と二重写しになったのだろう。

 今日のコンサートは待ち望んでいたわりには肩透かしを食らったようなものだが、だからと言って八代亜紀の熱烈なファンであることには変わりがない。
ただし八代亜紀のコンサートにはもう行くことはないだろう。今後はもっぱらテレビで亜紀ちゃんの歌を聞くことにしよう。

注)上と下の写真はNHKの歌謡番組から収録したもの



 

 

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(22.2.26) ギリシャの今日は明日の日本  ギリシャのゼネスト

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 皮肉なことにギリシャパパンドレウ左派政権の元で、全土を巻き込んだゼネストが24日、一日中吹き荒れた。
政府が先月EUに約束した財政再建計画が、あまりにも労働者に対して厳しすぎるとして公務員・民間合わせて250万人の労働者が参加したのだという。
人口約1100万人の中の250万人だから半端な数ではない。

 おかげで交通機関、官庁、民間企業、銀行、商店など軒並み休業になり、アテネ国際空港も管制官がストに参加したため全面閉鎖に追い込まれた。
観光立国アテネに観光客が来れなくなったわけだ。

 事の起こりはギリシャの財政赤字がGDP対比12.7%とユーロ加盟国中最悪になったからだが、この数字は改竄されていて本来はもっと悪いと他のEU各国は見ている。

 おかげでユーロの信任は地に落ちてしまい、一頃140円近くあったユーロが今では120円近くになってしまった。
このままではユーロ圏が崩壊してしまう。ギリシャは財政再建に取り組み、EUの約束であるGDP対比3%まで財政赤字を圧縮しろ」フランスやドイツから責められた。

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 パパンドレウ政権EUに対し、社会保証費の1割削減、民間銀行の賞与に対する9割課税、脱税の徹底的な取り締まり、増税等を約束したが、これに対しパパンドレウ政権の支持基盤労働組合が大反発してしまった。
俺たちを苦しめるために左派政権を誕生させたのではない。政府がわれわれの暮らしの実情を理解するまでストを続ける

 対応策の一つの脱税の取締りとは不思議な政策だが、実はギリシャは脱税天国で、それで市民生活が維持できたようなところがある。
脱税の取り締まりなどとは、左派政権はとんでもない政権だ」これには右派支持の商店も反対に回って大騒ぎになってしまった。

 フランスやドイツの指示に従えば国内から総反発され、一方国内に顔を向ければEUから「ユーロの恥さらし」と罵られる。
はたしてギリシャはユーロ圏に留まれるのかと世界が注目し始めた。

 従来ギリシャ政府は統計数字の改竄で財政赤字の規模をごまかし、内には手厚い社会保障、外には健全財政のふりをしてきたが、その方法もバレてしまい使えない。
残された道は財政再建に取り組むよりほかに手はないのだが、政府の苦しみに対し、国民はまったく聞く耳を持たない。
前の右派政権の方が国民に優しかった。なにしろ統計数字を改竄して国民に尽くしてくれたじゃないか

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 このギリシャの今はおそらく日本の将来の姿だろう

現状日本は幸いにも個人預金1400兆円や外貨100兆円があるため、国債を好き勝手に増発しても平気だ。ギリシャ並みの財政赤字でも亀井金融・郵政担当相は「ばんばん赤字国債を増発しろ」とハッパをかけている。
しかしいつかは貯金を使い果たす日は来る。

 その時の日本の姿はどうなっているのだろうか
日本はEUのような連合国家ではないから、ギリシャのように他の国から直接縛りを受けることはない。
しかし格付機関からは債の格付を引き下げられ、誰も日本国債を購入しなくなるだろう。

 最後はどの国も同じだ。日本も社会保証費の削減や、増税を提案する日が来る。
民主党は弱いものの味方ではないのか」大騒ぎになりそうだ。

 ギリシャのように国民が騒ぎ出し、社会保証費も削減できず、増税もできなければ日本は信頼を失い、円は大幅に低下する。
そうなると輸入物価が上昇し、結局国民はインフレという形でコストを負担することになる。

注)ギリシャはユーロ圏なので、自国通貨の切り下げという手段がとれず財政再建しか方法はない。一方日本は円安という国家そのものを安売りする手段が残っている。


 やはりギリシャの今日は明日の日本となる可能性が高い。
そう思ってギリシャの推移を見守る必要がありそうだ。

 

 

 
 

 

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(22.2.25) 3度目の敗戦 トヨタリコール問題

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 日本は何回アメリカに敗戦すれば気が済むのだろうか。
第1回目は太平洋戦争の軍事的敗退であり、2回目はバブル崩壊後の金融戦争の敗退であり、そして今度は日本を代表する企業トヨタの敗退である。

 トヨタはしばらく前までは日本で最大の収益を生み出していた優良企業で、08年にはGMを抜いて世界最大規模の自動車メーカーになったが、それからおよそ1年後にはGMの後を追ってしまった。
今やアメリカ市場からの撤退が時間の問題となりつつある。

 現在アメリカはトヨタバッシング一色だが、なぜこれほどトヨタを追及するのだろうか。
このトヨタ追及のしつこさは日本人の目には異様に映るが、これがアメリカという国のもう一つの真実の側面である。

 歴史を遡ると、このトヨタ追求とまったく同じ手法で日本が追い詰められた過去がある。

 日本が太平洋戦争に突入したのは1941年12月のことだが、日本に戦争止むなしと決意させたのがアメリカ国務長官ハルが突きつけた「ハル・ノート」であることはよく知られている。
それ以前、アメリカは日本人移民の排斥運動、日本の資産凍結措置、石油禁輸措置で日本の首を真綿で締め上げていたが、最後に日本を追い込んだハル・ノートはそれにもまして厳しいものだった。

 全文で10項目からなるハル・ノートの中で特に厳しいといわれたのは以下の3項目だった。
① 日本の中国からの撤退(日本は満州国も含まれていると理解した
② 日米はアメリカの支援する中国国民党政権以外のいかなる政府も認めない(
日本が支援した汪兆銘政権の否定)
② 第3国との太平洋地域における平和維持に関する協定の廃棄(
日本は日独伊3国同盟の廃棄と理解した


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 アメリカは次々と条件を厳しくして最後は日本に「屈服か、戦争か」を迫ったのだが、これはアメリカが敵を追い詰める常套手段だといえる。
これだけ追い詰められれば「誰でも戦うだろう」と極東軍事裁判判事パール氏言わしめたのが、このハル・ノートだったし、実際に戦争は起こった。

注)ただしアメリカから見たらこれは交渉の常套手段で、「最も困難な条件を提示してそこから徐々に条件を緩和するのがアメリカ流」だとも言われている。

 
現在のトヨタがおかれている立場は、太平洋戦争前の日本の指導者が置かれている立場と同様で、「やはりアメリカはトヨタをつぶそうとしているのか」と疑心暗鬼にならざる得ない。

 アメリカという国は味方(実質的にはアメリカの子分)に対しては優しいが、敵に対しては容赦しない。
日本は太平洋戦争の敗北を教訓に、その後は一貫してアメリカのイエスマンとして過ごしてきたが、ここに来て鳩山総理虎の尾を踏んでしまった。

 鳩山首相は「日米は対等のパートナー」と言い、実際に普天間基地移設問題ではアメリカの意向をまったく無視して「何の前提も置かずに」再検討を始めたからだ。

 実は国際政治の世界では「対等のパートナー」は存在しない。
対等のパートナー」と言う言葉を外交辞令的に発することはあり、従来からアメリカ大統領が日本に来て言う言葉は「日米関係は最も重要な二国間関係」だった。
しかし実質は日本はアメリカの子分であり、アメリカは日本が子分としての礼節を守る限り、ビック・ブラザーとしての役割を演じてきた。

 ところが鳩山総理のように本気で対等な関係を求めようとすると、急激に緊張関係が発生する。本来国際関係で対等などというものはなく、指導する国と指導される国しか存在しない。
だから本当に対等であったりすると、これはガチンコ勝負になり、太平洋戦争がそうであったように軍事力でカタをつけざる得ない
そして再び指導する国とされる国の安定した調和が生まれる。

注)動物の世界を見てもサル山には必ず1匹のボスざるがいて、対等なボスざるの存在は許されない。人間のサラリーマン社会でも対等な立場などなく、微妙に階層化がなされていてサルの世界と変わりが無い。

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そうか、本当に対等のつもりなら、対等が何か分からしてやる
アメリカのトヨタバッシングは、アメリカが本気で怒った証拠だ。
トヨタが800万台の車のリコール・自主回収をしても、次はリコール隠しの隠蔽があったと大陪審で追求し始めた。
公聴会ではレクサスの急加速で死にそうになったという女性が「恥知らず」と罵っている。

 関係書類はすべてアメリカに押さえられてしまったので、過去に少しでもリコール隠しに相当するような事例があれば、これ幸いと永久に追求されるだろう。
鳩山に対等など存在しないことを分からしてやれ。トヨタは血祭りだ

 トヨタの不幸はこうした日米間の政治の隘路に落ちてしまったことだ。
現状ではトヨタがどのように弁明し、技術的対処を約束しても、アメリカはハル・ノートにならってより困難な要求を繰り返してくるに違いない。
なにしろ日本は対等を求めているが覇権国家アメリカはこれを許すわけにはいかないからだ。

注)さすがに日米間で戦争は起こらないが、トヨタバッシングは戦争の代わりだと思えば理解できる。

 一方で日本政府は普天間思考停止に陥っている。鳩山総理は自らの決断力のなさが、アメリカのトヨタバッシングになっていることすら理解していない。

 だから日本政府をあてにできないトヨタは自力でこの危機から抜け出さなければならなくなった。
幸いにトヨタはアメリカに4工場を持ち、17万人の従業員がいる。最後の頼みはこの17万人だが、おそらくアメリカの沸騰してしまった世論を沈静化させるにはよりインパクトの強い以下のような政治的決断が必要だろう。

① 閉鎖したカリフォルニアのGMとの合弁工場を再開して、解雇者約4500名を再雇用する。

② GMの解雇者をトヨタの工場で優先的に雇用する。

③ トヨタが米国内で作る車は積極的に輸出に回し、アメリカ国内市場ではGMのシェアが常にトヨタより上位にあるようにする


 トヨタにとってはまったく屈辱的な条件だが、アメリカ市場から永遠に追放されるよりははるかにましだし、アメリカ世論を味方につけるには、こうした思い切った決断以外に適切な方法は浮かばない。

 

 

 

 

 

 

 

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(22.2.24) 嵐の季節

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 毎年この時期になると嵐が吹き荒れる。嵐といっても自然の嵐ではなく人災のことだ。

 卒業期が近づくと中学生が暴れだす。暴力沙汰を起こすのではないがやたらと器物を破壊する。
私はほぼ毎日のように四季の道の清掃活動をしているので、細かな変化がすぐ分かるのだ。
受け持ち地区を毎日巡回しているパトロール警官と同じだ。

 今回破壊された器物等の内容は以下の通り。

① 秋も道公園近くの雨水用のコンクリート製のマンホールのふた。これは前からかけてはいたが今回完全に壊されて中に落ちている。
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(すでに緑土木事務所に連絡済)

② 金澤小学校近くの通称ガタガタ道の鎖用ポール。これは鋳物でできており、少し力を加えると根元から折れてしまう。従来からしばしば倒されて、その後は根元をボルトでとめるように補修している。
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③ 京成おゆみ野駅に下る坂道の30cm程度の低い街路灯。これは過去に何回も壊されて今残っているのはかろうじて生き延びた街路灯。
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④ そばら公園のあずま屋で夜毎に行われる宴会(ここのゴミは私が毎日片付けている。時々コンドームも落ちている)

⑤ バイクの破壊(のりくら公園)

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(警察の方で処理した)

 私は毎年のことでさして驚かなくなったが、こう毎回器物を破壊される市としてはたまったものではないだろう。
実際は四季の道緑土木事務所が管理しているが、犯人を特定して補償させない限り器物破壊がやむことはなさそうだ。

 隣のちはら台ではかづさの道監視カメラを設置しているので、器物の破壊がほとんど起こっていない。そのためかずさの道は当初の美しさを保っている。

注)私はちはら台走友会のメンバーでかずさの道をトレーニングコースにしているので比較してみると良く分かる。

 四季の道も駅周辺の自転車置き場には監視カメラが設置されたが、常に問題が起こる場所(ガタガタ道、おゆみ野駅に下る坂道、そばら公園)には監視カメラの設置をしてほしいものだとつくづく思っている。

注)なお、今回破壊されたガタガタ道と京成おゆみ野駅近くの街路灯については緑土木事務所に連絡しておきました。

 

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(22.2.23) 国債は償還されるのか

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(国債で何を騒いでいるんだい?)

 はたして日本の国債は償還されるのだろうか、そうした疑問がわいて来る。なにしろ鳩山内閣のばら撒き政策で、国債の発行残高は膨らむ一方で、現時点で10年度末11年3月)の公債の残高は863兆円GDP対比181%)と推定されている。

 この残高は当初予算のみでの残高だから、補正予算を組んで増発すれば瞬く間にGDP対比200%に近づいてしまう。
大雑把な言い方をすれば稼ぎの倍の借金を抱え込むことになる。

 個人でも住宅資金を借りる時は所得の2倍程度の借金はするが、この場合は不動産が担保になっていていざという場合は不動産を処分して返済すればいい。

 一方政府の場合はそうした担保がない。社会保障費などはそのまま消えていくし、ダムや道路などの建設費はダムなどを担保とするわけにはいかない。
したがって政府の場合は税金を増やしてその中から返済する以外に手はないのだが、実際問題として増税はかなり難しく、鳩山首相は今後4年間は消費税は上げないと言っている。

 通常財政健全化の論理は「借金を将来の日本人に肩代わりさせるわけにはいかない」というものだが、本当に借金を将来の日本人に肩代りさせることが可能なのだろうか。

 経済が停滞している日本で返済資金の余裕などが生まれるはずがなく、預貯金約80%は老人が持っている。若者は生活するのに精一杯で老人より若者が貧しいのがこの日本の実態だ。

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ふうーん、それは深刻だね!!!)

 返せないほどの借金が増えたときの常套手段は歴史が教えてくれる。

① ハイパーインフレーションを起こして国債の価値をゼロに近づける。
② 国家破産しIMFから支援を受けて財政再建に取り組む。
③ 自力で財政再建に取り組む


 はたして日本はどの方式を採用するのだろうか。

①の事例 日本の戦時国債の償還はこの方法でなされた。
戦争終結時点で、戦時国債が1400億円程度、政府短期借入金が2000億円程度合計3400億円程度あったのだが、綺麗さっぱりと返済されている。

 そのからくりは昭和9~11年の卸売り物価を100とすると、昭和26年(この頃から朝鮮特需で日本経済は立ち直った)までに物価が約350倍上昇した超インフレにある。これなら戦時国債・借入金の実質的な償還は約10億円(3400÷350)で済んだことになり、350分の1に踏み倒せるなら誰だって返済できそうだ。

 戦時国債の例を当てはめると、現在の国債残高863兆円がこうしたインフレで帳消しになれば、このコストを負担するのは国債保有者お金を持っている老人)ということになりそうだ。

注)戦後と同じハイパーインフレーションが発生したと仮定すると、返済額は約2.5兆円で済むことになる。

 もっとも、現在は戦争もないので日本で再びハイパーインフレーションが発生する可能性は少ない。
現在はひどいデフレで政府はインフレ目標を年率1%にしたいと悲鳴をあげているくらいだ。

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(結局、なるようにしかならないのよ・・・)

②の事例
 この事例は世界各国にいくらでもある。IMFから資金を借りて対外債務の支払い等に充当し、一方で国内では超緊縮予算を組むことになる。

 鳩山政権の10年度当初予算は、一般会計の規模は約92兆円で、税収約37兆円、その他約11兆円、国債発行約44兆円となっている。
一方国債の償還費約21兆円だから、国債純増は23兆円ということになる。

 これが超緊縮予算になると、国債増発はご法度で、できれば償還をすることが期待される。
たとえば毎年国債を5兆円ずつ縮小させ、かつその他のような埋蔵金がすでになくなっているものとすると、予算規模は52兆円規模税金37兆円+公債発行15兆円、公債償還20兆円)になる。

ネットで利用できる予算は32兆円37-5)で、これは10年度予算のネット71兆円92-21)の49%約半分ということになる。

 大雑把にいえば現在の生活水準を約半分にした生活を要請される。

注)この場合の国債残高は毎年5兆円ずつ圧縮されることになるただし完済まで172年の歳月が必要(863÷5)

③の事例 自力で財政再建に取り組む。このためには増税が必須で、たとえば消費税が現在の倍の10%になったとすると、15兆円規模GDP500兆円×消費の割合60%×増税分5%)の増税になる。

 これにより税収規模は52兆円
37+15)になる。国債はまったく増発せず現状維持とすれば、現在のネット予算71兆円の73%、約7割程度の生活レベルで過ごすことになる。

注)国債は増発されないが、借り換えのための国債発行はおこなわれる。

 過去の蓄え約1400兆円や、外貨準備約100兆円をすべて国債で使い切った後は、好むと好まざるとに関わらず、②か③の対応を迫られることになる。

 私としては自助努力で生活してほしいと思っているが、自発的にこの7割の生活を国民に要請するのは並大抵のことではない。おそらくこうした自力努力は行われず、②の国家破産が起こって已む無く生活を切り詰めるのではなかろうか。

 
 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

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(22.2.22) トヨタバッシングは政治的罠 

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 トヨタ自動車のリコール問題技術的問題ではなく、政治的問題である。
そのことを理解しない限りこのトヨタバッシングは収まることはない。
なぜアクセルペダルの問題がこれほどまでに急拡大したかは、オバマ政権が意図的に拡大させているからだ。

 アクセルペダルが戻りにくいとの指摘は07年3月に米国でタンドラ(フルサイズ ピックアップトラックでされていたが、当時はブッシュ政権でこの問題が大きく報道されることはなかった。

 その情勢が急展開したのは09年8月レクサスの暴走で4名の死亡事故が発生したからだが、この事故を契機にアメリカは政府とマスコミをあげてトヨタバッシングに邁進した。

 オバマ政権にとっては今や緊急の課題は政府直轄会社となっているGMの再生にある。なにしろ再生できなければ政府がGMに投じてきた約5兆円の税金が返済されないし、約30万人といわれるGMの社員が路頭に迷い失業者になってしまう。
民主党にとって工場労働者こそは最も頼りになる票田なのだから、これを失うわけにはいかない。

 オバマ政権は道路交通安全局を使い、このレクサス問題を使って徹底的なトヨタ追及のキャンペーンを始めた。
当初はフロアマットの問題とし、次にアクセルペダルの問題ではないかと難癖をつけ、約800万台のリコール・自主回収をさせたあと、さらに現在はトヨタは欠陥問題を隠蔽したとの嫌疑をかけている。

 なにしろ法的には「すべての自動車メーカーは安全上の欠陥を確認した場合、5日以内に当局に報告し、速やかにリコールを行う法律上の義務がある」のだから、この規定から逃れるすべはない。
オバマ政権がその気になればトヨタを欠陥問題でアメリカから永久追放することができる。

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 トヨタからありとあらゆる資料を提出させたが、その資料の中に少しでも欠陥問題があれば際限なく追及できるからだ。
いいか、たたけば誰でも埃はでる。すべて欠陥問題につなげろ。倒産するまでトヨタを追求しろ

 トヨタにとっての誤算は、欠陥車問題が技術問題ではないことを早くから見抜けなかったことだ。
GMが倒産し、GMトヨタが共同出資していたNUMMIからトヨタが撤退したのは09年6月だったが、この決定は経営的には当然としても政治的には最悪だった。

 カリフォルニア州にあったこの工場には約4500人の労働者がいたが州政府の懇願を無視するようにトヨタGMと手を切り失業させた。
これでトヨタのアメリカでの保険は切れてしまった。
よし、それならトヨタをたたくことがGMの再建につながるオバマ政権はそう決意したようだ。

 それ以降のオバマ政権のトヨタ追求は何をトヨタが対応しても「ダメ」というもので、この24日に公聴会でトヨタ社長豊田章男氏がどのように技術的な対応を約束しても追求が止むとは思われない。

 トヨタにとって今最も必要な認識は、これが政治問題であって技術問題ではないと覚悟をきめることである。そうすれば反転攻勢の対応方法が見つかる。

① トヨタにとっての最後のよりどころはアメリカにある4工場、関連する従業員約17万人であり、こうした人々の雇用を守るのがトヨタの役割であることの重要性を指摘する失業問題はアメリカの泣き所で、この4つの工場のある州にとってはトヨタのほうがGMより重要)。

② フォード、GM等の欠陥隠しに相当するような案件を探し出し、欠陥問題はトヨタだけでなく自動車メーカー共通の課題だということを分からせる日本の事例では西松建設からの政治献金問題で当時の小沢代表が追及されたとき、自民党の二階俊博経済産業相も同様にし西松建設から献金を受けていたことをすっぱぬいた方法)。

 ブッシュ政権は外向きのグローバル政権だったから、経営に失敗したら国内・国外を問わず市場から撤退するのは当然だとのスタンスで、特にトヨタを狙い撃ちすることはなかった。
しかしアメリカの民主党は完全に内向きの政権で、国内の労働者を助けるためには外国企業を槍玉に挙げることに躊躇しない

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 内向き政権がどのような対応を取るかは日本の民主党を見ても分かる。
日本では普天間基地問題でアメリカとの間で辺野古に移設することを確約したのにかかわらず、そうした約束はないかのように再検討をはじめた。
住民の意志が大事なのです。アメリカとの約束などくそくらえだ

 このオバマ政権トヨタ鳩山政権普天間コインの表裏であり、いずれも外国の犠牲の上に自国産業を再生させたり、沖縄住民の負荷を軽減させようとしている。

 内向き政権同士の妥協の余地は少ないブッシュ政権自民党政権ならこうした場合はアメリカのトヨタと日本の普天間をバーターに政治決着を図ろうと動いたはずだが、あいにくと内向き政権同士のチキンレースになってしまった。

注)共和党議員にトヨタバッシングの不公平さを指摘してもらう手はあったのだが、共和党は普天間基地問題で頭にきており、共和党系のマスコミ、ウォールストリート・ジャーナルも敵に回ってしまった。

 トヨタのリコール問題は政治問題であるがゆえに、政治的解決をしなければトヨタバッシングが収まることはない。
若いトヨタの社長はGMとの提携を解消するという判断ミスで、800万台のリコール・自主回収の嵐に巻き込まれてしまった。

 さらにオバマ政権はトヨタを倒産させようとしている。今はトヨタの米従業員17万人だけがトヨタの味方だ。ここをてこになんとか巻き返しを図ってもらいたいものだ。

   

 

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(22.2.21) 大容量ハードディスクによるバックアップ

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 毎日新聞で1週間に1回程度の割合でナビゲイターというパソコン関連の記事が掲載される。
とても分かりやすく必要なことを教えてくれるので、私は毎回欠かさずチェックすることにしている。

 今回はトラブル対策の決め手として「HD(ハードディスク)を丸ごとバックアップする」方法が記載されてあった。
これには驚いた。私の頭の中には「HD(ハードディスク)を丸ごとバックアップ」するというような手段があるとは夢にも思っていなかったからである。

 記事の記載の中でさらに驚いたのはバックアップ用の外付けHDが500GBギガバイト)で1万円前後で購入できると書いてあったからだ。
本当かよ、500GBが1万円かい・・・・・・・・・

 私がシステム開発をしていたのは30年前から15年前ごろまでだったが、ディスク容量の不足に常に悩まされていた。
当時と言ってもおそらく25年程度前のことだが、5GBのディスク1台が1億円程度かかった。それを5セット入れることになったのだが、「やれやれ、これで容量不足が解決されるな」と安堵したものである。

 当時ディスクは高価で、従ってこのディスクを最も効率よく利用できる環境を整備できるシステムマンは高く評価されていた。
Aさんは実に優秀だ。ディスクの効率的使用法を知っている

 なにしろ5億円25GBである。高価な宝物のようなものだった。
それが今では私が現在ブログを書いているシャープのパソコンのディスク容量などは約90GBで、パソコン全体の価格は約20万円程度だ。
さらにこの記事を読んでさっそく外付けのハードディスクを購入してきたのだが、1TB(テラバイト11000円だった。
本当にこんな価格でいいのだろうか」目を見張った。

注)1000GBが1TBに相当する。なお、「しし」さんから「2TBのベアドライブで13000円です」というコメントをいただきました。

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 かつて5億円で購入したディスクの40倍の容量のディスクがたった1万円程度で購入できたのだから、驚かない方がおかしい。
コスト・性能比では約200万倍40×50000)になっていた。

 1TBもあれば鬼に金棒だ。「よし、何でもバックアップしてやるぞ。まるごとディスクのバックアップだ」気が大きくなった。
かつて私が勤務していた金融機関では使用中のディスクを毎日バックアップしていたが、変更部分のバックアップだけで作業時間が常に2~3時間程度かかった(差分バックアップという)。
運用担当の最も重要な作業の一つだった。

 そのため全体のバックアップは土曜日の業後1回だけだったが、時間は8時間から10時間かかっていた。

注)今回私もフルバックアップに挑戦することにしたが、今のところ非常に時間がかかっている。専用のソフトで短縮しないと実用的でないらしい。

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 システム、とりわけハードの価格低下ははなはだしい。かつてはハードの能力不足をソフトで補うのが普通であり、システムマン(特に運用担当)はそうした技術の習得にしのぎを削ったが、今ではハードが極端に安くなっているので、ソフトの能力をハードでカバーするようになってしまった。

 そのためシステムマンがかつて持っていた技能はまったく陳腐化し、後はいかに安いハードを入手してソフトの能力不足をハードで補うかの競争になっている。

 いやはや1TB、約1万円なのだ。これなら丸ごとバックアップしないほうがおかしい。

 

 

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(22.2.20) 文学入門 阿部定(あべさだ)事件 伊佐千尋著

 大事な注意本件は大人の世界の話であるので、子供がこの記事を読むことは禁止する。

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 今回の読書会のテーマ本は伊佐千尋(ちひろ著の「阿部定(あべさだ)事件」である。
阿部定事件と言っても一般の人はほとんど知らない。
この事件が発生したのは昭和11年5月だったから、今から70年以上も昔の事件で、この年の2月26日には「2・26事件」が発生している。
昭和恐慌の経済的困窮が世上を覆っていた時代といえる。

 阿部定事件とは日本事件史上まれに見る猟奇事件といわれている。
源氏名を阿部定(31才)と称する娼婦が、愛人の石田吉蔵42才)を細紐で絞殺し、さらに下腹部とても言いづらいのだけど、おちんちん)を刃物で切り取り、男の左腕に刃物で「」という一字を切り刻み失踪した事件である。

 阿部定はすぐに逮捕されたのだが、その時に石田吉蔵下腹部を紙に包んで保持していたことから、マスコミに格好の話題を提供することになった。
なぜ、阿部定は愛人の下腹部を後生大事に持っていたか?

 通常日本の心中物近松門左衛門曽根崎心中が典型的にそうであるように男女そろって情死するか、演歌の世界のように女性が一人さびしく男を思って自殺するかのいづれかであった。
時に石川さゆりが歌う「天城越え」のように「だれかに取られるくらいなら、あなたを殺していいですか」と聞くことがあっても、それを実行するわけではなく、ましてや下腹部を切り取るようなことはしない。
そうした意味で、日本犯罪史上、あるいは情死史上まれに見る特異な事件といわれた。

 この本を今回のテーマ本にしたのはJ姉さんだが、J姉さんがこうした事件に興味を持っているのは意外だった。かみさんは「私はこの種の話は嫌いなの」と言って本を読むこともしない。
私はテーマ本は必ず読むことにしているのでさっそく読み始めたが、著者の伊佐千尋(ちひろ)氏についてはまったく知識がなかった。

 伊佐氏は79年に「逆転」という書物で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、その後主として裁判関連の事件を題材にノンフィクションの分野で活躍した人だという。

 この書物は主として予審の尋問記録写しを基に構成されている。
第1回から8回までの予審記録がこの本の主要部分を占めているが、伊佐氏によれば公判記録が入手できなかったための代替措置ということだ。

 もっとも予審制度そのものが戦後廃止されたため、一般の人は予審制度やその尋問記録なるものの性格がよく分からない。

 簡単に言えば裁判を行う前に予審判事(本裁判の判事とは違う)が被告人を取り調べた調書だが、弁護士の立会いがなく一方的な取調べになる
したがって判事の恣意的な調書作りが可能で、かつそれがそのまま証拠として裁判に提出されるため、自白を主体とした証拠調べになりやすい。そうした意味もあって戦後は廃止された。

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 実際読んでみると阿部定が起こした事件の結果から、反対にその生い立ちや学業をやめてから後の堕落した生活を強調して書かれている。

このような事件を起こした女は、小さい頃から問題があった」という書き方だ。

 また阿部定が異常に性欲が強かったことが強調されているが、娼婦なのだから「強くなくては生きていけないだろう」と私などは思ってしまう。

注)吉原炎上という映画を見ると遊女があらゆるテクニックで男を喜ばしている様が描かれていた。

 そして何より不思議なのは第1回尋問調書阿部定石田吉蔵の首を絞めながら関係を持つと大変興奮するので、そうしたSEXを常時行っていたと証言していることだ。
首絞めあいっこをしていたと思えばいい。

 一方調書のトーンは阿部定が「他に取られるくらいなら殺そうとした」ということになっている。
このあたりがつじつまがあわない。
実際は紐で首を絞めているSEXを行っていて、われを忘れて首を絞めてしまい絞殺したとしか思われない。
殺人罪ではなく重過失致死罪ということである。

注)この本の著者もそうした判断をしていた。

Image0  新聞報道では妖婦」とか「美人女中」という活字が踊っており、何か美人殺人事件のような報道だったが、この本の表紙に採用されている阿部定の写真を見ても特段美人でも、妖婦でもなく、戦前によくいた婦人の一人にすぎない。

 この事件の唯一の疑問点は、なぜ阿部定石田の一物を持ち去り、それを保持していたかということだ。単なる記念品のつもりだったのだろうか。

 日本の歴史の中で戦国時代は勝者は敗者の首を取ることは普通だったが、首の持ち運びが難しい場合は耳をそいでいた。
また隣の中国では宦官という制度があり、これは自発的に性器を切り落としている。
肉体の一部を切ること自体は歴史的にはしばしば行われてきたことだ。

 私のこの本を読んだ阿部定の印象は、特に美人でもない普通の女性が、たまたま通常よりも性欲が強かったため、紐で情夫を締めるSEXをして間違って絞殺してしまった事件にしか見えない。

 その下腹部を切ったことは確かに異常だが、阿部定が最も愛したのは石田本人というよりも、その重要な場所だったとすれば、それを大事に持ち去った行為は十分納得できる。

 何か今回の記事はひどく大人の話になってしまい、私のような老人であればなんと言うこともない話だが、子供には刺激が強すぎるだろう。
18歳未満お断りのブログになってしまった。


注)本件について、読書会主催者の河村義人さんと、今回の担当者J.Yさん、それとM.Tさんが感想文を書いております。私の感想文とはかなり異なりますので、是非読んで比較検討してみてください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2010/03/post-825f.html
 

 


 

 

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(22.2.19) 気力がすっかりなえてしまった

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 14日四季の道駅伝大会が終わると、私の気力がすっかりなえてしまった。それまではおゆみ野南小金澤小の児童にマラソン教室を開いたり、四季の道で駅伝の講習会をしていたりして緊張していたが、終わるとすっかり糸が切れたタコになってしまった。

 走るのもブログを書くのも食事をするのも億劫になっている。
駅伝大会前まではせめて小学3年生に負けまいと近くの一周1100mのコースで10周のスピードトレーニングをしていたが、昨日(17日)は気力が続かず5周で止めてしまった。
あーあ、なんともしまらないな・・・・・・」出るのはため息ばかりだ。

 ブログも時間がないときの方が緊張して書けるが、時間がたっぷりあるとまったく気持ちが乗らない。10分書いてはカメゴンの頭をさすったりして遊んでいる。
暇だとついつまみ食いをするので食事の時間は腹いっぱいでまったく食欲がわかない。
ひがな時間はバンクーバーオリンピックの放送を見て時間をつぶしている。

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 一方、私のかみさんはおお張り切りだ。息子にはじめての孫ができるからで予定日は1週間前だったのだがまだ産まれる兆候がない。
昨日陣痛促進剤を投与したとのことで、今日にも生まれそうだ。

 息子と連絡のやり取りをして、朝早くから病院に出かけていった。病院は成田市にありここから片道2時間はかかりそうだ。あいにくの雪だがこうしたときのかみさんは天候などものともしない。
パパさん、向こうから必要なものがわかったら電話するので持ってきて
そそくさと出かけていった。
私は娘と一緒に2時間程度後から出かけることにした。

 出産のような場合は男は何もすることがない。ただ側にいて「イヤー、大きなかわいい子だ」なんて言っている以外に手はないのだが、実際は生まれたての赤ちゃんは猿に近くお世辞にもかわいいとは言いがたい。

 しかしこんな日に病院に駆けつけずバンクーバーオリンピックの放送を見ていたりすると「あんたのおじいちゃんはね、あんたのことをほっぽりだしてオリンピックの放送を見ていたのよ。孫よりもオリンピックの方が大事なんてひどいおじいちゃんね」なんて一生言われそうだから行かざるえない。

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 私もかみさんのように孫のことでハッスルできればいいのだが、猿よりも人間に近くなってからでないと、本当にかわいいと思えないのは自分の子供を育てたときの経験だ。

 しかし成田に行ってよかった。子供は無事生まれたし、息子はラマーズ法とか言う呼吸法で嫁のそばにいて奮闘したようだし、病院は飛び切り綺麗でホテルのようだった。

 帰りはかみさんと娘と3人で成田山に孫の出産を感謝してお参りしてきた。なにはともあれ初孫(女の子ができて山崎家の家系が断絶しないで済んだわけだ。

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(22.2.18) アメリカの罠にはまったトヨタ リコール問題

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 トヨタアメリカの罠にはまったのではなかろうか。そう思わないと理解できないことが多すぎる。

 特に米道路安全交通局によるアクセルペダルに対する異常なまでの追求、それと歩調を合せたラフード運輸長官の「トヨタの車は乗らないほうがいい」という悪意あるトヨタ批判、さらにマスコミによる批判の大合唱、豊田社長の公聴会への召喚等、アメリカあげてトヨタバッシングが吹き荒れている。

 私は当初とトヨタ品質管理に問題があり、そのために欠陥車が続出しているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
このようなトヨタバッシングは実はいつか来た道であり、1990年代の日本の金融機関に対するバッシングと酷似していることに気がついた。

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 1980年代までは日本の金融機関は同時に世界の金融機関であり、向かうところ敵なしという状況だった。
当時の総資金量での世界ランクはベストテンがほとんど日本の金融機関が占めており、日本企業に対し不動産購入資金を湯水のごとく貸し与えていた。
あのマンハッタンの主要なビルが日本企業に買い占められていた頃である。

注)この頃私が勤務していた金融機関でも資金量世界100というような表が配布され、自分が所属していた金融機関が世界で6番目にランクされていた。

 これに対するアメリカの逆襲は日本の金融機関の弱点だった自己資本の僅少さをつくものだった。いわゆるBISの自己資本規制で海外で活動する金融機関の自己資本は総資産の8%が必要だとの縛りをかけた。
これによって日本の金融機関は海外での融資活動を大幅に縮小せざる得なくなった。

注)日本の金融機関は常にオーバーローンの状態で自己資本は2%前後しかなかった。

 こうして金融機関の融資活動を封じてバブルを崩壊させ、不調になった金融機関に追い討ちをかけたのがアメリカ流の検査の導入だった。
これは当時グローバルスタンダードと言われ、詳細なチェックリストに基づくリスク管理の検査で、当初日本の金融機関はアメリカ人の言っているリスクなるものが理解できなかった。

リスク管理が不徹底だから経営が傾くのです。リスクを洗い出し評価しなさい。それができない金融機関はアメリカから撤退しなさい
あのー、リスクって何でしょうか?」

注)本当はアメリカの金融機関もリスク管理などしていなかったのはリーマン・ショックで次々に倒産したことで分かる。これは日本の金融機関が活動できないようにするための第2の罠だった。

 
このリスクの計測のため、アメリカに支店を置く日本の金融機関は検査対応に追われ業務をすることがまともにできない状況になった。
なにしろ評価が低いとアメリカから追い出されてしまう。
1年のほぼ半分は検査対応です」駐在員がぼやいていたものだ。

 アメリカは日本の金融機関の活動を自己資本比率過剰な検査付けで身動きできないようにし、追い落としに成功したのである。
その結果アメリカの金融機関が世界の金融機関に再び返り咲くことができた。1990年代の事である。

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 さて今回のトヨタバッシングトヨタGMを抜いて世界のNO1になったために起こった。GMクライスラーは倒産し、フォードも青息吐息だったが、アメリカはその復活のプログラムをかつて日本の銀行の追い落としに成功した方法を採用したようだ。

 GMを再生させるにはライバルを蹴落とすのが一番だ。GMの最大の株主はアメリカ政府で、GMの社員は公務員のようなものだし、民主党の最も大事な地盤だ。
アメリカ政府の逆襲が始まった。

 今回はトヨタを品質管理でけちをつけ身動きが取れないようにすることにした。
まず「トヨタのアクセルペダルに欠陥がある」という嫌疑をかけ、たまたま09年8月にレクサスで4人の死亡事故が発生すると、米道路交通安全局が徹底的な調査を始めた。
よし、トヨタが網にかかった。あとは絶対に逃さないことだ

 最初は、「フロアマットに問題がある」と言ってフロアマットを代えさせると、次は「アクセルペダルの形態に問題がある」といちゃもんをつけて約426万台のアクセルペダルを変えさせ、さらに「自主回収では適切でないのでリコールをしろ」と圧力をかけた。
どんどん要求をあげていくのがポイントで、そのたびにトヨタのイメージは悪くなっていく。

 トヨタの社長は若く経験のない豊田章男氏だ。右往左往しているうちに、ラフード運輸長官から「トヨタの対応は遅すぎる」とクレームを付けられ、米議会の公聴会に召喚されるということになってしまった。

 公聴会では「トヨタは長年にわたって欠陥を隠蔽していた」と強引に結論付けられるだろう。
GMを復活させるにはトヨタ車をアメリカで売れないようにすればいい。

 すべてはトヨタを追い落としてGMを復活させるためのアメリカ政府と議員、およびその意向を受けたマスコミの大芝居だと思えば理解できる。
かつてこの方法で日本の金融機関はアメリカから放逐された。

 豊田章男氏はよってたかって無能の経営者の烙印を押されて、さらし者にされるだろう。
これは確信犯的行為だから、どのように弁明しても悪者にされてしまう。

 トヨタの生き延びる道があるだろうか
① GMを再び世界のNO1にして、トヨタはNO2の位置に甘んずることが一つ。
② アメリカから撤退して主としてアジアで生き残る道が一つ。
③ アメリカ政府とけんかして徹底的に戦う道が一つ。

 
いづれにしてもイバラの道が続きそうだ。

 

 

 

 

 

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(22.2.17) 普天間基地移設問題がさらに複雑化した  テニアン

280pxsaipantinian1  鳩山政権普天間基地移設問題は、なにかますます複雑化してきたようだ。
民主党内部でも辺野古案、嘉手納案、南海孤島案があるところに、社民党が今度は従来のグアム案以外にテニアン案を持ち出してきた。

 テニアンとは実に懐かしい名前だ。太平洋戦争では日本軍のバゴイ基地があり、約2万人の住民と約1万人の軍人が駐留していた。
1944年のテニアンの戦いで日本軍守備隊は全滅し、アメリカ軍に軍事占領された。
その後基地が拡張され日本爆撃の基地となり、広島・長崎に原爆を投下したB29爆撃機が飛び立っていった場所である。

 現在住民は3500名程度でまったく過疎の村といってよく、約200km程度離れたグアムが観光と軍事基地でますます栄えているのと対照的だ。

 ここに社民党阿部政審会長沖縄基地問題検討委員会の一員として訪れ、北マリアナ諸島(テニアンはその一部)の知事から「(政府が了承すればテニアンに受け入れたい」という言葉を聞いて飛び上がってしまった。

300pxmarines_wading_ashore_on_tinia    なにしろその前にグアムカマチョ知事から「グアムへの普天間基地海兵隊の受け入れは(設備の限界を越え住民生活に支障が出るので)不可能だ」と釘を刺されたばかりだったからだ。
社民党は軍事問題を住民問題としか理解できない
名護市長選挙で移設反対派の市長が当選したので、「民意を尊重したら辺野古への移設はありえない」と強調している手前、グアムが民意で反対すれば移設を強硬できない立場にある。

 しかしテニアンは違う。なにしろ知事が「ウエルカム」といっているのだから、住民の総意で「テニアンに移設しよう」ということになる。

注)実際は、社民党はグアムの住民が反対しても、辺野古への移設費用約4000億円をつぎ込めばグアム移設が可能だと自民党ばりの利益誘導策を提唱している。
国内は民意を尊重し、外国は民意を無視して金で解決ということらしい。

 しかし軍事問題はダムの建設や道路建設と違って国内問題ではない
なにしろ軍事とは相手があっての問題で、現在沖縄駐留アメリカ軍の仮想敵国は中国と北朝鮮である。
そして同時に日本の仮想敵国は中国、北朝鮮、ロシアなのだから、北澤防衛相の言う「抑止力として機能するか」が最大の課題といえる。

 テニアンが過疎対策としてアメリカ海兵隊の受け入れを希望したとしても、米軍の戦略上不都合であったり、日本の防衛に役だたなかったら、軍隊としての役割がなくなってしまうのだからおいそれと応ずることができない。

 民主党は今でも基地移設問題ではてんやわんやの大騒ぎをしているのに、民主党に輪をかけた軍事音痴の社民党がアメリカの過疎対策としてテニアンを持ち出してきたのだから、これでは問題を一層複雑化するだけだ。

 もとはと言えば鳩山総理の不決断で5月まで結論を引き延ばしたのが問題なのだが、さらに不可思議な移転先が現れてきてひどい状況になってきた。
政治とは決断の技術」だが、その決断を総理大臣がしないのだから普天間基地移設問題が百家争鳴になるのも止むを得ないのだろう。

注)画像はWikipediaより転写

 

 

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(22.2.16) 日本国債のデットライン CDSの上昇は何を意味するか

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 最近日本国債のデットラインが近づいてきているのではないかという議論がかまびすしくなっている。
直接のきっかけは鳩山政権が組んだ10年度当初予算が税収入より国債発行の方が多く、国債残高だけでも10年度末には637兆円GDP比134%)、国と地方の借金を合せると863兆円GDP対比181%)と先進国の中では断トツに大きくなるからである。

注)イタリアが150%程度、アメリカ、イギリス、フランスは100%以下

いくらなんでも限界を越えているのではなかろうか?」格付機関が一斉に疑問を呈し始めた。

 格付機関は過去何回も日本国債の格付を引き下げてみたが、実際は日本国債が1.5%程度10年債)の低利回りで完売できてしまい世界の7不思議になっていた。
いくら格付を下げてもびくともしない。日本だけ特殊なのだろうか?」

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 他の先進各国の10年債利回りは大体3.5%前後で、これが普通であり高金利政策をとって資金導入を図っているオーストラリアニュージーランドは6%前後、財政赤字に苦しむギリシャ7%前後だから、日本国債の低金利は際立っている。
なぜ財政赤字NO1の国の国債が1.5%というような低利回りで売れるのだ?」グリーンスパンさえ驚いていた。

 この最大の理由は国内にそれでも国債を購入してくれる機関投資家がいることで、実質的に政府の支配下に入った郵貯簡保が最大の顧客で約3割相当を購入してくれる。
財務省は他に金融機関、保険会社を抑えているので無言の圧力で国内でほぼ全額国債を購入させることができる。

 その見返りは世界でもまれに見る低金利政策の継続であり、指標金利が0.1%なのだから1.5%でも十分に利ざやを確保できる構造だ。

注)金融機関は極端に言えば0.1%で日銀から資金を調達し国債で1.5%で運用するだけで収益を上げることができる。
なお、外国人の国債購入額は6%程度。


 こうした構造があるために、日本国債の利回りは1.5%程度でも完売していたし、日本国債の保証料CDS:日本国債が焦げ付いた場合に備えてAIGのような保険会社に保証してもらう仕組み)は0.5%以下という低利率で推移していた。

 今問題になっているのはその日本国債のCDSが昨年の11月頃から急激に上昇し始め、1%近くに成り中国国債のCDSとほぼ同じになったためである。

注)格付最上位の国の国債のCDSは0.5%以下が普通で、1%を越えるとかなり怪しくなる。現在ギリシャは3%程度。

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 もともとCDSは格付と連動するから、格付機関S&Pが上から3番目の日本国債の格付を4番目に引き下げる可能性があると発表したため、CDSが急上昇した。
しかし問題は本当に日本国債の信用が揺らいでいるかどうかである。

 揺らぎの数字的根拠は国内の純資産額約1050兆円金融資産1400兆円-金融負債約350兆円=約1050兆円)対し、国と地方の公的債務863兆円との差はほぼ200兆円しかなく、毎年50兆円規模の国債増発をすれば4年程度で底をつくと計算されることからきている。
ほれ見ろ、日本国債の寿命はあと4年程度で、その後はギリシャ並だ
格付機関が今度こそ日本国債が売れなくなると予想し始めた。

 確かに民主党のばら撒き政策が継続すれば、いつかは国内の資金も底をつく。国内資金が枯渇すれば最後に残るのは外貨準備高約100兆円だけで、これはほとんどがアメリカ国債かそれに準じた公的な債券である。
仕方がない、アメリカ国債を売ろう」背に腹は変えられない。しかしそうなるとアメリカ国債が暴落する。

 こうした経緯をたどって日本はアメリカと心中するのだろうか。また米国債の最大の保有国は中国だから、中国が営々と蓄えてきた資産も一瞬のうちに消えそうだ。
なにか世界的なカタストロフィーを日本が引いてしまいそうな話だが、その前に財政再建に日本が乗り出し、第2のリーマンショックを回避できるのだろうか。

 どうもこの問題は相当複雑そうだから、すぐに予測をしないでもう少し考えてみることにした。

 

 

 

 

 

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(22.2.15) 四季の道駅伝大会が終わった

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(トップの二人のデットヒート)

 四季の道駅伝大会が終わった。実行委員の一人としてほぼ1年かけて準備してきたのだから、終わるとすっかり力が抜けてしまった。
閉会式が終わると一目散に自宅に帰って、風呂に入って寝てしまった。かみさんが「パパさん、ご苦労さん」といってビザを焼いてくれたのだが、それをほうばるまもなく熟睡だ。

 今日(14日)は奇跡的に晴れた。天気予報では当初から晴れの予想だったのに空模様が怪しい。
前日(13日)も1週間前までは曇りのち晴れの予想のはずが小雨模様になってしまい、夜半まで小雨がぱらついていた。
天気予報は本当に当たるのだろうか
夜中に何回か目が覚めて、窓を開けては手をかざした。
まだ小雨が降ってるじゃないか

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(最後尾を示す自転車隊)

 昔は当たらないものの代名詞が天気予報だったが、さすがに気象庁は勉強をしている。朝方はまだ曇っていたが大会が始まる頃にはすっかり晴れ渡り、気温も上昇して絶好の駅伝日和になった。
よかった、これで子供たちが元気いっぱい走れる

 前日はマラソンランナーのボランティアが集まって、中継点やコースをチョークで指し示す作業を行った。本当はテープを貼り付けたかったのだが、雨で路面が濡れているとテープはまったく貼りつかない。
代替手段としてチョークを使用したが、チョークは雨ですぐに消えてしまう。

 朝7時頃から路面の乾き具合を見ながら、乾いた場所はチョークの上にテープを貼り付ける作業をした。実行委員の小栗さんと手分けの作業だ。
時間がたつにつれて路面が乾き始め、スタートの10時ごろまでにはかなりの場所でテープを貼ることができた。
これならコースを間違うことがないだろう

 ピーナツ道ではピーナツの形をした自動車進入止をはずした後の穴の上にベニアを乗せて、テープで固定しようとしたが、これはどうしても固定ができなかった。しかしうれしいことにここのボランティア担当者が、ガムテープで補強したりして、何とか子供たちを無事に走らせてくれた。

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(左が実行委員長の緒方さん。緒方さんの努力が身を結んだ)

 今回も事故なく無事に大会を終了させることができたが、多くのボランティアの心使いのおかげだ。
私は今回で2回目の駅伝大会のサポートだったが、こうした大会を事故をおこさず運営できるのは、善意のボランティアの協力があってこそということを身にしみて知った。
そうか、地区のイベントはこのようにみんなに支えられてできるのか

 大きなマラソン大会と異なって参加費は一切取らないから、大会費用は周辺の企業や諸団体からの寄付でまかなわれ、一方労力はすべてボランティアに頼っている。
こうした手作りの大会もいいものだ

 私は実行委員の一人に過ぎないけれど、地区の力をこんなに感じたことはない。
今回この駅伝大会に協力してくださったボランティアのみなさん、ご苦労様でした。おかげで2回目の大会も成功裏に終わりました。みなさんの協力のおかげだと心から感謝いたします。

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(メッツの部員はほぼ全員が参加してくれる)

 

 

 

 

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(22.2.14) 今日は四季の道駅伝大会

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 14日四季の道駅伝大会の日だ。天気予報では晴れということになっているが、このブログを書いている段階では小雨が降っている。何とも心配な気持ちだ。

 駅伝大会は昨年から開催されて今回は2回目になる。私はこの駅伝の実行委員の一人で、かつ子供たちのマラソン指導の担当だ。
この日のためにおゆみの南小金澤小で子供たちのマラソン指導をしたり、四季の道でちはら台走友会四季の道ランナーズのメンバーと一緒に駅伝の指導をしてきた。
いつの間にかこの街では「マラソン先生」で通っている。

 毎朝清掃活動していると指導をした小学生と会うのだが、「どうだ、調子はいいか?」「うん」なんて会話が飛び交ってしまう。
子供たちとはすっかり顔なじみになってしまった。

 今回は小学生だけでなく中学生も参加をすることになり、総勢で450名近くになった。前回が400名弱だったから少しずつ拡大している。
先日(10日)は実行委員のNさんと道路面に張るテープや、穴をふさぐベニア板を購入してきた。

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(緑土木事務所がガタガタ道のチェーンをはずしてくれた

 12日緑土木事務所通称ガタガタ道の鎖や看板をはずしてくれたので、ポールの出っ張り部分にテープを張って子供たちがぶつからないような措置を講じた。
この作業はNさん菩薩姉さん、それとカタガタ道でいつも子供たちの交通整理をしている旗振り兄さんとの共同作業だ。

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ベニヤ板が十分体重に耐えられるかのチェック) 

 ここ数日天候は小雨や小雪がぱらつき、ぐずつき気味だ。14日は晴れると天気予報は言っているが、前日(13日)まで小雨が降り続いて非常に寒かった。

 実は路面が濡れていると、コースを示すテープが張れない。すぐに取れてしまう。何とか作業を行う13日の昼間だけでも路面が乾いていてほしいと思っていたが残念だ。

 代替措置として、ちはら台走友会Y会長や、小栗さん、空飛び兄さん、菩薩姉さんたちとコースを示す印をチョークで書いておいた。コースが乾けばその上にテープを貼っておこうと思っている。

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(テープを貼れないので、チョークで印を書いている)

 当日はボランティアの協力でコーンを置いたりして準備を整え、後は小学生と中学生がコースを間違わないようにコース誘導をしなければならない。
このコース誘導というのはかなり厄介で、ランナーは夢中で走ってくるので、どうしても前のランナーの後について走ろうとする。

注)大きな大会でもこのコース誘導は間違いが発生し、かつて私も出場した千葉マリンでは3kmも距離が足らなかった

 今回は小学生と中学生が走るため、2箇所でコースが分かれている。この場所は走友会のメンバーに立ってもらってコースを間違わないように誘導してもらうことが必要だ。

 なにしろ1年余り前から準備をして当日を迎えるのだから、ここは張り切って最後のご奉公をしよう。
それにしてもこの天候不順には悩んでしまう。

 

 

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(22.2.13) NHKスペシャル 「ランドラッシュ」のミスリード

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 NHKスペシャル「ランドラッシュ」を興味深く見た。
この番組が特に興味深かったのは、現在世界の各地で農地争奪合戦が繰り広げられており、日本がその流れに完全に立ち遅れていることを教えてくれたこと、そしてそれが食料の安全保障の点から必要だと強調されていたからである。

注)ランドラッシュという言葉は西部開拓時代のアメリカで、オクラホマのインディアン居留地を白人が強制的に競争で奪っていった行為をさす。

 土地争奪の現場はウクライナロシア沿海州アフリカといった経済的には貧しい場所で、一方争奪に参加している国は中国、韓国、インド、中東、セルビアといった20カ国に及ぶ国と紹介されていた。

 事の起こりは2年前食料危機で小麦や大豆の価格がほぼ3倍程度に上昇し世界各地で食料争奪戦が起こったため、国の安全保障の面から農地争奪が始まったのだという。

 映像では隣の韓国イ・ミョンバク大統領の指示で、国家戦略として2030年までに食料の4分の1を海外の農場で生産するという方針を打ち出し、それにそって現代自動車がロシア沿海州で大豆生産を行っている画面が映し出されていた。

注)この農場は当初日本の商社が借り受ける予定だったが、韓国が港湾や道路のインフラ整備の提案をして、急遽現代自動車が借り受けることになったという。

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 またウクライナの例では、青森県の元大農家、木村愼一氏50haの土地を借り受けて大豆生産を行っていたが、ウクライナ側のさらに1000haの土地貸与提案に対し、資金手当てができずセルビアの企業がこの土地を借り受けたと紹介していた。

 いづれも日本は国家戦略としての食糧自給方針がないため、韓国や他の国に競り負けてしまい、今後食糧危機が発生したらどうするのかと危機感をあおる番組構成になっていた。

 しかし私はこの番組を見ていて「NHKは明らかにミスリードしている」との観をぬぐい得なかった。
その理由は、本当に食糧危機が発生した場合は、他国の農場で生産された食料は自国に運んでこれないからである。

 常識的に考えてみれば分かるが、飢えた国民が食料を求めて殺到しているときに、「これは外国の企業が栽培したものだから、輸出に回します」なんて言ったら、すぐさまその政府は転覆してしまう。
投資国の食料安保は同時に土地提供国の食料安保でもある。
今は外国のやつらに生産させておけ。いざとなったらそれを食料にしよう

 だから食料を運べるのは平常時の食料が十分あるときだけで、そうした意味では単なる商行為にすぎない。
中国やインドや中東諸国やセルビアが他国の農地を賃借りしたり購入したりして農業を行うのは、農業生産が相応に儲かると思っているからであり、工場やデパートを作るのと同じように農業投資を行っているにすぎない。

注)韓国は明らかに国家戦略として沿海州で大豆を作ることにしているが、平常時に韓国人に大豆だけを食べさせるわけにいかないから、あまった大豆は市場で売却することになる。だから結果的には商行為になる。

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 他国の土地が食料安保にならないことは、実際マダガスカル島で韓国企業が農地の約半分を99年間借り受ける契約をしたところ暴動が起き、政府が転覆してしまったことで分かる。
それが当たり前で、他国の土地の食料は食糧危機が発生すれば、その国民の胃袋に入る。

 だから食料安保を唱えるならば、日本の場合は普段から自給率を高めておくとか、休耕田をいざというときには再び農地に戻せるようにするとか、豊作のときに備蓄をしておくとか、農地以外での食料生産技術を確立するとかの方法が現実的な方法なのだ。

 日本にも外務省農水省を中心に食料安全保障チームが結成され、大手や食料専門の商社を集めて、貧しい他国の土地で農業生産を行う案を提案していたが、いづれも商社は消極的だった。

 これも当たり前でウクライナロシアアフリカといった法整備が十分でなく、治安もかなり危ないところで農業生産を行うくらいなら、オーストラリアアメリカといった法制度も道路も港湾も整備された国で農業投資を行ったほうが、どれほど安全で確実か分かりはしない。

注)ウクライナでは土地を守るために傭兵が雇われていた。これでは戦場並だ

 私がこのNHKの「ランドラッシュ」がミス・リードだというのは、食糧安保は結局は自国の農地でしか達成できないのに、あたかもアフリカやウクライナやロシアが食糧危機の時も唯々諾々と食料供給をしてくれると安易に考えているからである。

 ランドラッシュはその語源が示すように、所詮金持ちの貧乏人に対する土地の収奪である。番組で放映された韓国人のロシア人に対する態度などは、植民地主義者のそれと変わりがなかった。
そんな新植民地主義のようなことをするくらいなら、休耕田で米を栽培するほうがはるかに食糧安保に資することは確かだ。

 この番組は単なる農業投資をありえない食料安保と結びつけた、程度の悪い報道になっていた。

注)日本が食料安保に必ずしも熱心でないのは、人口が減少してしかも老人人口が増えており、食料そのものに対する需要が少なくなっているからでもある。

 



 

 

 

 

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(22.2.12) ユーロの弱い輪 その2 ポルトガル経済

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 現在市場はユーロ圏のもっとも弱い輪として、ギリシャ、ポルトガルを狙い撃ちしている。両国の国債レートが急激に上昇しており、最も安定的な国債レートとされるドイツ国債と比較するとギリシャ+4%前後7%程度ポルトガル+2%前後の5%程度になってきた。

注)ユーロ圏では通貨はユーロで一緒のため、その国の経済状況は国債レートに反映される。当然弱い経済国家の国債は高レートとなる。

 両国とも財政赤字が09年度に入り急拡大しており、ギリシャ12.7%ポルトガル9.3%対GDP対比)と、EUの基準3%を大幅に上回ったことが、国債レート急上昇の理由になっている。

注)日本の財政赤字は10%を越えているが、国債の購入者が日本人がほとんど(約95%)のため、財政赤字とレートとの相関関係はない。

 特にポルトガル08年度2.6%とEU加盟基準を下回った優等国だったのに、世界経済悪化による財政支出が急拡大し瞬く間にユーロの落ちこぼれになってしまった。

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 ポルトガル経済は90年代後半まで年率4%程度の拡大をしていたが、2000年代に入りすっかり成長から見放されてしまった。
最大の理由は投資先としての魅力がなくなったからである。
新たにEUに加盟した東欧諸国の賃金はポルトガルよりはるかに安く、かつ勤勉な労働者がそろっている。

 一方ポルトガルは左派政権が続いたこともあって労働者の権利は非常に厚く守られており、年間1ヶ月間の有給休暇と、14ヶ月の給与が保障されている。プラス2か月分は休暇手当クリスマス手当で、労働者にとっては天国のような制度だが、投資家から見たら投資先としての魅力がない。
ポルトガル人は遊んでばかりいて、その上高給取りだ」ということになる。

 また隣のスペインはヨーロッパ中の資産家や中産階級が別荘地として不動産を買いまくったが、ポルトガルは規制が厳しいため建設ブームからも取り残されていた。

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 このため金融恐慌が発生するとサブプライムローンとも不動産ブームともほとんど関係がなかったため、日本と同じで当初は「蜂に刺された程度」だと思っていた。
しかし世界市場が冷え切ってしまいまったく輸出が振るわず、またかろうじてあった投資もなくなり国際収支が急激に悪化してしまった。
09年度GDP▲3%(ほぼ日本と同じと推定されている。

 ポルトガル経済はもともと弱く、慢性的な貿易赤字経常赤字に悩まされてきたが、これを国債発行でファイナンスして帳尻を合せてきた。
しかしここに来て財政支出が急拡大し、国債発行も未消化分が発生するなど、市場から見放されつつある。

注)5年国債の保証料はギリシャの次に高くなっている。

 ユーロ圏の各国はこうした場合、通貨切り下げという手段が取れない。共通通貨ユーロは欧州中央銀行の所管だからだ。
残された道は財政再建を進め、社会保証制度を見直したり、公務員を削減したり、給与水準を引き下げることしかない。
しかしこうした措置は国内政治としてはとりがたい。いつ政権を失うか分からないからだ。

 実際は地方財政法案というばらまき法案を通過させる等財政赤字拡大がとどまりそうがない。
ポルトガルの財政は当面改善しない。国債は売りだ」市場から完全に狙われてしまった。

注)現在のポルトガル政権は社会党が第一党だが、過半数に達しないため断固とした経済運営ができない。

 

 

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(22.2.11) 元厚労省局長 村木厚子氏は無罪か

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(おい、この裁判、何かおかしくないか!!!)

 昨年6月、障害者向け郵便割引制度を悪用した不正事件で、偽証明書の作成に関与されたとして逮捕起訴された元厚労省局長、村木厚子氏冤罪の可能性が高くなっている。

注)障害者向け郵便は通常120円のところ8円で郵送されるため、障害者向けを装って通常のダイレクトメールが8円で出された事件。この制度を悪用した広告会社は約130億円の不当利益を得た

 現在大阪地裁で初公判が開かれているが、検察側が主張した村木氏が関与したとされる4つの根拠のうち3つが、検察側がでっち上げた誘導尋問の結果だったことが徐々に裁判で明らかになってきた。

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(どこが、おかしいの?)

 その4つの根拠とは以下の通り。

① 当時の部長から村木氏(当時課長)に対し政治案件(民主党石井議員からの依頼)としての指示がされた

 当時の上司塩田幸雄氏(部長)は担当検事から「あなたから民主党の石井一参議院議員に(事の経緯を)電話をした記録がある」と言われ、それなら村木被告から「証明書を発行したという報告を受けて石井氏に電話したのだろう」と供述したが、担当検事のいう電話の記録は存在してなかった。

 塩出氏は担当検事の誘導尋問に乗って「石井氏に電話をした」と供述したが、「まったくそのような記憶がない」と裁判で証言している。

② 上村被告(係長)へ偽の証明書を出すよう村木氏の指示があった。

 村木氏から上村被告に対して、「決裁などいいから、すぐに証明書をつくって」と指示されたと供述したが、公判では「指示はされておらず、証明書は一人で作り村木被告には渡していない」と証言すると弁護士に伝えている(まだ公判で証言していない)。

 上村氏は担当検事から「別件で逮捕する(何だろう?)」とか利益誘導供述したら罪を軽くする?)されたため、上村氏から「指示を受けた」との供述をしたと弁護士に述べている。

注)ここがこの裁判のもっとも重要な争点で、上村氏が上記の証言を法廷で行えば、村木氏はまったく偽証明書作成に関与していないことになる


③ 偽の障害者団体、凛の会の倉沢被告と村木氏の接触が4回あった。

 倉沢被告(凛の会)からの依頼で、村木氏が郵政公社に対し「凛の会を障害者団体として承認した」と電話し、さらに偽証明書を村木氏倉沢被告に手渡したとされる件。
倉沢被告は裁判で「日本郵政公社に電話をしてもらったことはなく、証明書を受け取りに出向いたときに上村係長がいなかったので、村木課長から証明書を受け取った」と証言した。

 検察側の供述書では、倉沢被告村木氏に対し4回会い、① 証明書発行に便宜を求めた、② 日本郵政公社に電話してもらった、③ 日付を遡った証明書を発行するように求めた、④ 証明書を受け取った、ことになっていたが、実際の接触は2回、①では単なる挨拶をしただけで、②、③のような事実はないと証言している。

 現在争点になっているのは、村木氏が直接倉沢氏に偽証明書を手渡したということで、村木氏は「まったく記憶にない」と証言している。

注)私の推理では村木氏は上村係長がいなかったため、上村係長に代わって証明書と認識せずに倉沢氏に偽証明書を渡したのではないかと思っているが、本件はまだ明確になっていない。

④ 民主党の石井議員が倉沢被告からの要請で厚労省の塩田部長に証明書発行を依頼した

 塩田部長は公判で「石井議員からの依頼はなかった」と証言した。供述で「依頼があった」と答えたのは担当検事から「石井議員との電話記録がある」と誘導され「それならば依頼があったのだろう」と供述したというもの。

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確かにこれでは村木おばちゃんは無罪じゃないかしら・・・・

 上記のごとく①、②、④はほぼ担当検事の誘導による虚偽の供述であることが証言され(あるいは証言の予定)ており、たった一つの事実は村木氏が偽証明書を倉沢被告に手渡したという事実(あるいは虚偽)だけが争点になっている。

 どうやらこの事件は大阪地検特捜部の見こみ捜査によるでっち上げ事件の公算が大きく、上村係長の独断で行った行為を厚労省の組織ぐるみの犯罪として告発したものと思われる。

 私の予想では大阪地裁の判決は「村木氏は無罪になる」と思っている。

注)検察によるでっち上げ事件として特に有名なのは戦前の帝人事件。
Wikipediaによると以下のように説明されている。


帝人事件(ていじんじけん)は、戦前の1934年に起こった疑獄事件。斎藤実内閣総辞職の原因となったが、起訴された全員が無罪となり、倒閣を目的にしたでっち上げ言われている・・・・・・・・。

(この事件では)帝人社長や台湾銀行頭取、番町会の永野護、大蔵省の次官・銀行局長ら全16人が起訴された。これにより政府批判が高まり、同年7月に斎藤内閣は総辞職した。なお、この事件の逮捕者の拘留期間は200日に及び、拷問による自白の強要もあったという。

 

また最近の事例では鹿児島事件がでっち上げだった。

 2003年の鹿児島県議会選挙議員選挙で当選した中山信一県議会議員の陣営が、住民に焼酎や現金を配ったとして中山氏やその家族と住民らが公職選挙法違反容疑で逮捕された事件。

 捜査において、鹿児島県警が自白の強要や数ヶ月から1年以上にわたる異例の長期勾留などの違法な取り調べを行なった、とされる事件で裁判では被告全員の無罪が確定した。

  

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(22.2.10) 攻勢終末点をむかえたトヨタ自動車 リコール問題

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 軍事用語で攻勢終末点という言葉があるのをご存知だろうか。それまで連戦連勝だった軍事攻勢がある地点に達するとピタッと進撃が止まり、その後は後退に次ぐ後退を迫られる地点のことである。

 実際は補給路が伸びきってしまったり、相手も敵の弱点を知ってそこを攻撃してきたりして、それ以上は勝利が望めなくなるのだが、当事者にはその攻勢終末点が分からない。
わが皇軍には敗北という言葉がない」誰もがそう思っているまさにその時を言う。

 太平洋戦争の日本軍で言えばガダルカナルがそれだし、ヒットラーにとってのスターリングラード、ナポレオンのモスクワ、アレキサンダー大王のインダス川、アメリカのイラク・アフガンといくらでも例があるが、日本経済の1991年のバブル崩壊もその例に入る。

 実際日本経済はバブルが崩壊した1991年以降長期停滞に入り、現在のGDPはバブル崩壊時のそれとほとんど同じで、この間日本はまったく成長していない。

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 トヨタ自動車約900万台の自動車を販売し、GMを抜いて世界NO1になったのは08年のあのリーマン・ショックの年だが、今思えばこの年がトヨタ自動車にとっての攻勢終末点だった。

 リーマン・ショックは全世界の自動車産業を巻き込み、GM、クライスラーは倒産し、フォードも赤字経営に悩んでいたから、自動車問題はアメリカ自動車業界の問題だと思っていたが、実は勝利に酔っていたトヨタ自動車の問題でもあった。

 この時を境にトヨタは何をやってもうまくいかなくなっている。
トヨタ車には従来からアクセルペダルに不具合があるのではないかと疑われていた。
アクセルの下に敷かれているフロアマットが引っかかり、アクセルがもどらないため自動車が暴走するという現象だったが、トヨタの対応は、「世界のトヨタに欠陥はない」というものだった。

 しかし09年8月、カリフォルニア州でレクサス車が暴走して、4人の死者が出た事故が、ターニングポイントになった。
世界のトヨタに欠陥があるのではないか」と消費者が疑い始めたからである。

 トヨタの対応は時間を追ってみると次のようになっている。

① 運転者の運転操作の未熟が原因と認識。

② フロアマットをしかるべき位置に敷いていないのが原因と認識。

③ フロアマットがアクセルに引っかかることがありうるのでフロアマットを無償で交換する自主的回収措置を実施(09年秋)

④ アクセルペダルに構造的欠陥がありそうなので、ペダルを無償で交換する自主的回収措置を実施(09年11月)

⑤ 正式にアクセルペダルの欠陥を認め、リコールを実施(10年1月)


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 時間的経緯を見ると、当初は運転者側に原因があって、トヨタの問題ではないと思っていた事が分かる。
原因がトヨタ車にあると認識したあとも、フロアマットの問題とし、資金的にも多大な持ち出しになるアクセルペダルの問題ではないと主張して自主回収に留めていた。

注)自主回収とリコールの差は、「問題がありそうだ」と「問題がある」との差であるが後者は法律に基づいて無償の交換をおこなう。

 リコール対象車は全世界で500万台規模に成りそうだから、半端な数ではない。08年、09年と2年連続で赤字になっていたが、これで10年度も赤字になる可能性が高くなった。

 トヨタは世界NO1になったとたん品質管理で油断をし、欠陥車だらけになって攻勢終末点をむかえてしまった。
トヨタが社運をかけて開発した3世代目のプリウスにもブレーキ系統の欠陥があり、これもリコールの対象に成なったからである(2月9日)。

 この問題ではトヨタは当初「ドライバーの感覚的な問題で、構造的な欠陥はない」と主張したが、一方で1月以降販売のプリウスについては問題点を修正したと発表した。

注)ABSという横滑りを防ぐためのブレーキ制御システムをドライバーの感覚に合せる措置を取った。

 
しかし「欠陥でない」といいながら一方で修正を行っていたため、トヨタの信頼は地に落ちてしまった。
ラフード米運輸長官は「トヨタの対応は遅い」と不満を募らせ、前原国交相は「トヨタの姿勢は顧客の姿勢がいささか欠けている」と苦言を呈している。


注)ラフード米運輸長官はこの機会にトヨタをNO1からの地位から追い落としGMを再び世界のGMにしようとする意図があり、悪意ある情報操作を行なっている。

 トヨタはだんだんと2000年から2004年にかけて発生した三菱自動車のリコール隠しと似てきた。
三菱自動車はハブが摩滅して車輪が外れる事故が多発していたのにそれを隠し、すべて整備の問題として片付け、最後にリコールになったときは経営が傾きかけていた。

 攻勢終末点をむかえた場合の軍事的措置は、自らが守れる戦線まで後退して守勢に徹することである。
トヨタにとっても、リコール対応が速やかに実施できる規模まで販売規模を縮小して、守勢に徹するほかに方法がない。

 特にアメリカがこれを機会にトヨタ車の追い落としを図ろうとしているのだから、生半可な対応で乗り切れるとは思われない。
今すべきことは消費者の信頼を取り戻すことを最重要の経営目標とすることで、もし苦し紛れの販売促進(軍事的には戦線拡大)などを行えば更なる苦境に陥ることは確かだ。

注)トヨタ車のリコール問題でアメリカではすでに30件以上の集団訴訟が提示されている。集団訴訟とはある特定の案件の判決が、同時に同じ状態にあるすべての人に対し効力が及ぶ訴訟。
たとえばプリウスのブレーキ故障でA氏に1000万円の和解金を払うことになると、他の20万台のプリウス保有者にも同額の和解金を払わなくてはならなくなり、和解金は天文学的な数字になる。



 

 

 

 

 

   

 

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(22.2.9) 寒い一日   おゆみ野の森と苅田郷の囲炉裏

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 この日(6日)の寒さは間違いなく今年一番の寒さだった。毎月第一土曜日はおゆみ野の森で草刈が行われるのだが、さすがに冬場は刈る草もない。
代わりに積んであった倒木をチエンソーで裁断したり、次回の定例会で実施する予定のお花炭(飾り炭)を試験的に作成したりした。

 お花炭とははじめて知ったが、「まつぼっくりや柊、椿等の植物を缶に入れ、蓋に小さな穴を開けて火にくべ、穴から煙がでなくなったら出来上がりという炭で、古くから床の間に飾ったり消臭効果もあるもの」だそうだ。

注)この日の活動内容については斎藤さんの「ちば公園のベンチから」に詳しい。

 私はやることがなかったので数年前に切断したつる草が、そのまま枯れて樹にまつわり付いていたのを除去していた。
しかしこの日の寒さは尋常でない。気温は6度程度だったはずだが、北風が吹きまくり体感温度はほぼ0度に近かった。

 10時から始め、その後森の会議もこの森で行われたため終了は午後1時半頃になり、すっかり身体が冷えて寒気までしてくる。
まずいな、近々四季の道の駅伝の準備が始まるのに風邪をひきそうだ

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 家に帰ったらすぐに風呂に飛び込んだ。
本当はそのまま家に居たかったのだが、この日は前からかみさんや友達と苅田郷(かったごうTさん宅で、囲炉裏(いろり)を囲む会が予定されていた。
Tさんはこの集落で築200年程度の旧家に住んでいるのだが、その一室に実に懐かしい囲炉裏がある。
この囲炉裏を囲んで野菜や肉を焼いて団欒しながら時間を過ごすと言う稀有な経験がここでできる。

パパさん、先に行ってるよ。後から来てね」かみさんと友達が出かけていった。
私はガラパゴス島海イグアナのように風呂とコタツで十分身体を温めてからようやく苅田郷に出かける気持ちになった。
この日は午後から北風がさらに強くなり自転車のハンドルが風圧で旨く操作できないほどだ。

 囲炉裏を囲む会は10名程度の人が集まっており、ほとんどが旧知で気の置けない人たちばかりだったが、なにしろ寒い。
火に面した方はあったかいのだが、背後から隙間風が私を襲う。外套衣で身を包んだが、朝から身体を冷やしてばかりいたのでとうとう頭痛までしてきた。

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 最初は大人だけだったがジュンジュン姉さんが一人息子のY君を連れてきた。小学校4年生だ。Y君は普通の小学生が興味を持つことをはるかに通り越している。
この家の当主が本箱に積んであった、塩野七生(ななみ)の「ローマ人の物語」を読み出した。
私もいつかは読もうとしていた一冊5cm程度の厚さがある本格的な本だ。

 この屋の当主が驚いて「こんな子は見たことがない。末恐ろしい」と感嘆の声を上げた。私は最初挿絵でも見ているのかと思っていたが、「カエサルに興味があるんだ」なんて言いながら読み進んでいる。

 当主は本当にこの4年生の児童が「ローマ人の物語」を読めるのか確かめたかったのだろう。
たまたまこの囲炉裏部屋に飾ってあった、福沢諭吉の格言集を指して「読めるかい」と聞いた。Y君はこの格言集を実にすらすらと読んでしまったが、私でも苦労するような代物だ。

お母さん、この子にはたまには漫画なんかを読ませたほうがいいんじゃないのか」あまりにも早熟だと思ったのだろう。
私も心底驚いたが、小学生が意外に能力が高いことはマラソン教室をして知っていた。
なにしろ小学校3年生の女の子に、私は短距離ではかなわない。

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 Y君は「この家は宝の山だ」なんて言いながら、昔の文芸春秋ビル・トッテンの著書、グリーンブックスから出ているアインシュタインの解説書を持ってきて、「おじさん、これ貸して」なんて平然と言っている。
この家の本はすべて持っていっていい」と当主は答えていたが、ますます信じられないという気持ちだったろう。

 私が小学校4年生の頃は川でザリガニやハヤという魚を捕まえて喜んでいたし、勉強なんかからっきしできなかったから、Y君の読書力には舌を巻く。
大人でも読めそうにない本だな」いやはや驚いた。
しかしこの日は寒かった。私は寒気がひどくなってきたので早々に引き上げようとしたらY君が「山崎さんは特別に早寝だと聞きました」なんてひどく大人びた言い方で見送ってくれた。

 

 

 

 

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(22.2.8) パラボナアンテナが破れてしまった

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(このように皮膜がはがれて破けてしまった

 信じられないことにBSCSを受信しているパラボナアンテナが破れてしまった。私は反射鏡はすべて金属でできているのだと思っていたが、薄い膜が金属面を覆っており、その皮膜がちょうど繊維が古くなって破れるような具合に破れている。
よく見ると皮膜が劣化で金属表面から離れているようだ。

 パラボナアンテナをチェックしたのは衛星放送が見えなくなったからだが、当初は電磁波や大雨や大雪のせいだと思っていた。
またかよ、我が家のパラボナアンテナは感度が悪くて仕方がないな
このアンテナは15年以上使用しているが、まさか破れるとは思ってもみなかった。

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テープで破れた箇所を補修したら又見えるようになった

 私は過去何回もこのアンテナを調整しては使用し続けてきた。固定されているネジが緩んで、方向と角度が微妙にずれてしまうからだが、やってみるとこの調整はかなり難しい。
ほんのちょっと動かしただけで電波を補足できなくなる。

注)前回の経緯は「テレビが映らない」を参照

 通常はアンテナを調整する人とテレビ画面をモニターする人が必要で、「どう、これで旨く写った」「ダメダメ、写らないわ。あ、今写ったのに動かすからダメなのよ」なんて具合で調整をする。

 これを一人で行うときはテレビのボリュームをいっぱいにあげて音声を聞きながら調節する。うまく電波を捉えられると音声が出るがそうでないとうんともすんとも言わない。
ちょっとしたソナー担当の兵士のような気分だ。

注)アンテナは二階のベランダ、テレビは一階にあるので直接テレビを見て調節することができない。

 しかし今回は物理的に破けてしまい、電波の反射ができなくなっている。
そうか、ならばガムテープで反射板を補修すれば再び電波を補足できるのではないだろうか

 やってみると信じられないことに再びテレビが映った。「すごい、ガムテープが反射板の代わりになる
だがいくらなんでもガムテープで補強しなければならないアンテナは寿命と言える。k’S電気でアンテナを購入してきて取り替えることにした。

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耐用年数が来たのでパラボナアンテナを交換した。このアンテナは少々方向が違っても電波を補足してくれた

 東芝のBS、CS対応アンテナだが約7000円だった。ほぼ1年半前にアンテナを新しいものにしようとしたら、本体が15000円、取り付け作業に10000円かかるといわれて止めた経緯がある。
しかし、たった1年半で半額か!!!! これでは電気メーカーも大変だろう」同情してしまった。

 私は定年退職者だから、アンテナの取り付けは自分ですることにしている。時間が十分にあるのと収入が固定されていて無駄な経費をかけられないからだ。
ただ私は本来不器用なたちなので、こうした工事は涙ぐましい努力と熱意を必要とする。
がんばれ、工事費を浮かすためだ」叱咤激励だ。

 工事を始めたらベランダの笠木が太すぎて、今回購入したパラボナアンテナ止め具は使用できないことが分かった。
それなら、今まで使用してきたアンテナの止め具をそのまま使おう

 止め具も同軸ケーブルも今までのものを使用したが、うまい具合にばっちりBSCSも映ってくれる。
俺の作業員としての能力もなかなかのものじゃないか」すっかり嬉しくなった。これで又15年程度は持ちそうだが、次回は自分で工事ができるかどうかはかなり怪しい。



見よ、カメゴン、俺はパラボナアンテナの設置のプロだ
作業をはじめる前は、解説書を前にウンウンうなっていましたよ

まあ、そうだが、この横に長いパラボナアンテナは方向を合わせるのに実に楽だ。だいたい合せたらOKなんだからすごい
前の丸いアンテナは1mm単位の調整が必要でしたから、確かにすごい進歩ですね。私も驚きました

 

 

 

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(22.2.7) 嫉妬のデノミネーション 北朝鮮経済

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(北朝鮮に一体何が起こっているのだろうか????)

 北朝鮮が09年11月30日100分の1デノミを実施し、さらに自由市場を閉鎖してから3ヶ月北朝鮮経済は大混乱に陥って、再び自由市場に復帰するようだ。
毎日新聞が北京情報として伝えたところによると、デノミの実質的な責任者、朴南基党財政計画部長日本的概念では財務・金融大臣)が金正日総書記によって責任を問われ解任されたと言う。

注)北朝鮮では2002年7月頃から、私企業や自由市場の存在が正式に認められていた。

 北朝鮮の実施したデノミは実に不思議なデノミだった。それは嫉妬のデノミとしか言いようのない代物だった。

 通常デノミはインフレが更新して、たとえばりんご一つが1兆円程度になってしまい、市民生活がなんとも不便になった場合に実施される。

 第1次世界大戦後のドイツがその例で、買い物はリックサックに札束を背負ってしなければならなかった。
ほい、1兆マルクでりんご1個ちょうだい
リックサック一杯の札束でようやくりんご1個買えるのだから、この労力は大変なもので買い物はリックサックを背負える屈強な男性しかできなくなった。
これはいくらなんでもひどいと1兆分の1のデノミを実施した。

注)デノミを実施する場合、同時に物資の十分な供給や労働者の賃金の凍結等を行い、需要と供給をあわせる措置が必要になる。そうしないと再びインフレが更新して、再度デノミを行わなくてはならなくなる。

 もう一つのデノミの形態は、国家の威信を高めるために実施するもので、「1ドルが100円じゃかっこ悪い。1ドルを1円にしたら、円とドルが等価のようになるじゃないか」と言う理由で実施するものである。

 日本が2000年前後に検討したデノミがそれだが、コンピュータシステムをすべて変更しなければならず、一方そうしたからと言って経済にプラスの影響は何もないのだから、「無駄な道路工事と同じゃないか」ということで沙汰止みになった。

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 しかし今回北朝鮮が実施したデノミはインフレ対策でも国家の威信を高めるためでもなく、嫉妬心から行われた特異なデノミと言える。

注)確かにインフレは更新していたが、今回のデノミはインフレ対策が主たる目的ではない。

国家の核心層(金正日総書記に忠誠を誓っている層)が国家のためにテポドンや原爆を開発し懸命に努力しているのに、自由市場を利用してしこたま金を溜め込んだ不埒な商人層が跋扈し、核心層より良い生活をしている。
この商人層の資産を没収しろ


 自由市場を停止し、100分の1のデノミを実施したが、旧ウォンと新ウォンの交換は1世帯当り10万ウォン日本円で3000円程度)しか認められなかった。
これでは市場経済で営々と築いてきた資産がたった3000円になってしまったことになる。

注)その後15万ウォン(4500円)まで交換を認めた。

 一方で核心層に対する給与はそのままだったから核心層は一挙に100倍金持ちになったことになる。
父ちゃんは金持ちになった。坊主、なんでも買ってやるぞ
一斉に買い物に殺到したのでたちまちのうちに物資がなくなってしまった。

 商人層は資産を4500円に減らされ、市場も閉鎖されたので何もすることができない。また公的な商店にはもともと商品などはほとんどないのでたちまちのうちに売り切れ完売になって売るものがなくなってしまった。

とうちゃん、金持ちになったんだからバナナを買ってちょうだい
坊主、それが商品がどこにも売ってないんだ。自由市場も閉鎖されたので買い物もできない

 食料が市場から消え、核心層に餓死者が出そうになって、さすがに金正日総書記も反省したらしい。
人民が白米を食べれず、いまだにとうもろこしを主食にしていて心が痛む
デノミの失敗を認めて責任者を更迭し、自由市場を再び認めることにした。

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冷静に考えれば嫉妬のデノミなんて失敗するものさ

 もともと嫉妬心から実施するデノミが成功するはずがない。商人層はウォンを溜め込んでも紙切れにされるのを知っているから、新ウォンを誰も受け取らない。
お客さん、ウォンは羊のえさにしてください

 物々交換か、元やドルと言った通貨でしか売買はしなくなった。
そうなると紙切れだけを持っている核心層の生活が困窮してしまう。
坊主、食べ物がなくなった。仕方がないからウォンを食べておけ

注)なお元やドルでの取引は違反だから、おおっぴらにすることはできない


 嫉妬のデノミはこうして3ヶ月間の大騒ぎの後に大失敗だったと金正日総書記が認めて収束に入ることになった。
経済現象を嫉妬で変えようとしたデノミは、あたかも徳政令を一瞬喜んだ鎌倉時代の御家人と同じ様に更なる貧困を生んだだけだった。




 

 

 

 

 

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(22.2.6) 鬼は退治される   朝青龍切腹

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 やはり堺屋太一氏が言った言葉は正しい。
日本では鬼は退治される。織田信長も井伊直弼も大久保利通も鬼として退治された
日本は和の国で際立ったキャラクターを持った独裁者やスポーツマンは退治される。
朝青龍は際立った個性を持ったスポーツマンだった。

 横綱朝青龍4日日本相撲協会に引退届けを出し、現役を引退した。
29歳優勝回数25回という歴代3位の偉業を打ちたて、初場所でも優勝したばかりの横綱の引退に世間は驚いた。
新聞は号外を出して、このニュースを伝えていたほどだ。

 朝青龍は「自分にとってのけじめ」として引退を決意したと言っているが、実際は横綱審議委員会の引退勧告を受けた日本相撲協会理事会が、親方と横綱に引導を渡したと言うのが実態だ。
朝青龍は今回もわびを入れれば許されると思っていたようだが、仏の顔も3度までだった。

大横綱が打ち首ではかわいそうだ。切腹しなさい」自主的な引退届けにさせたのは理事会の温情だ。

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 朝青龍は気力と実力を兼ね備えた横綱だった。
08年、朝青龍は引退の瀬戸際まで追い込まれたものの、その後奇跡の復活を遂げている。09年初場所を14勝1敗で優勝し、さらに09年秋場所、10年初場所と優勝したのだからその実力は確かだ。

注)私は20.10.3に「朝青龍の引退が近づいた」という記事を書いたが、このときは朝青龍の気力に私の記事が負けた。

 しかし朝青龍は問題横綱だった。病気療養中にサッカーをして二場所出場停止になったり、親方を無視する態度は目に余ったが、今回知人男性を泥酔して暴行を加え鼻の骨を折る1ヶ月の重症を負わせたことが致命傷になった。
なにしろこの事件は初場所が開かれていた間の出来事であり、朝4時ごろまで酒を飲んで泥酔したためだと報道されている。

 これでは「畏敬されるべき横綱の品格を著しく損なうものであり・・・・・横綱に対する国民の期待に背いた責任を免れるものでない」横綱審議委員会が言うのももっともだろう。

 しかし私が朝青龍の相撲で一番問題だと思っていたことは、勝負が決まってからの不要なダメ押しである。相撲は非常に怪我の多いスポーツだが、その最大の原因は土俵が一段と高い場所にあり、そこから転げ落ちてしまうからだ。

 そのため力士同士の暗黙の了解事項として勝負が決まり負けたほうが力を抜いた後は無用なダメ押しはしないことになっている。
実際朝青龍以外の力士は無用なダメ押しはしないが、朝青龍はさらに一押しして土俵の外に対戦相手を追い落とすのが常だった。

 もっとも最近はそうしたしぐさが少なくなって、「朝青龍も大人になったのか」と思っていたが、土俵でしなくなった分、酒の席で不要なダメ押しを行っていたことになる。

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 朝青龍は「土俵では鬼になる」と言っており、たしかにそうでなければ大横綱にはなれないが、一方相撲そのものは神事から出発しており、今も昔も土俵入りを神社に奉納するのはそのためだ。
神事としての相撲は形式美と神の前では正しい行いをするという態度が要求され、相撲道として結実されている。
不必要に相手を怪我させないのも、正しい行いの一つだ。

 やんちゃぼうずでモンゴル出身の朝青龍にそれを求めるのはいささか無理のあることは分かるが、それでも日本の国技を守っていくためには横綱に品格を求めざる得ない。
実際白鵬のように同じモンゴル出身でも品行方正な横綱もいるのだから、まったく無理な要求とも思われない。

 現在、相撲人気の凋落は目に余るほどで、地方場所では閑古鳥が鳴いてしまうほどさびしい。
日本人横綱がいないことが最大の理由だが、朝青龍が日本人とまったく異質な人間であったこともその理由だろう。
日本人横綱でなくとも、せめて日本人のような横綱になってくれ」相撲ファンの切なる願いだ。

 私なども朝青龍が負けると、なんとなくほっとしていた位だから、朝青龍が引退することで品格ある国技としての相撲が復活すれば、相撲界に対する打撃は少ないだろう。
ようやく「鬼が退治」されたのだと私は思っている。

画面はNHKニュース

 

 

 

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(22.2.5) 鳩山政権は5月末を乗り切れるか 普天間基地問題

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 はたして鳩山政権は5月末まで持つのだろうか。私ならずともそう思うはずだ。
なにしろ普天間基地移設問題にかかる政府内部のごたごたは目に余る。
よく政治の世界では「内閣不一致」と追求されて担当大臣が首を切られることが多いが、鳩山政権では誰が何を言おうとまったく問題にされない。
みんな仲間だ友愛だ。言いたいことを言おう」首相の権威はほぼゼロだ。

 しばらく前までは北澤防衛相が辺野古への移設しかないことを強調すると、岡田外相が嘉手納基地への移設を交渉すると言い出し、小沢幹事長は南海の孤島がいいという具合で、まったく政府としての一貫性はなかった。

 これではあまりにひどいということで、平野官房長官を移設問題の専担にして窓口の一本化を図ったが、名護市市長選挙の「移設反対派市長誕生」の結果を「一つの民意だが、新たな移設先を検討する上で斟酌しなければならない理由はない」といったので名護市民と社民党の怒りを買ってしまった。

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 ここでまた思いつきでものを言う岡田外相が「ほかに候補地がなければ普天間が今のままでありうる」と言ったので火に油を注いでしまった。
確かに「ほかに候補地がなければ」普天間がそのまま継続使用されるのは誰の目にも明らかで、単なる常識を言ったに過ぎないのだが、宇宙人鳩山首相が「移設先が普天間に戻ることは基本的には選択肢ではない」と行っている手前、この内閣不一致はひどい。

注)私は岡田外相はかなり資質に問題があると思っている。ありえない嘉手納基地への移設を持ち出したり、日米密約を1月末までに公開すると大見得を切って公開をしなかったりして、アメリカからは完全に無視されている。

 しかし鳩山首相は一体どんな戦略の下に5月末までに移設先を確定するつもりなのだろうか。いくつかの選択肢がありそうだ。

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(一体どこに決まるのだろうか? 熱帯魚が心配している)

① 名護市辺野古を移設先とする。

 移設をするとしたらここしか場所がないのだから、他に選択肢はない。
ただしこの場合は名護市民の民意を無視したと言うことと、社民党の反発を受け社民党は連立政権を離脱するだろう。

 5月末であれば予算案が通過しているか参議院で審議されている段階だが、予算は衆議院に優先権があるので、社民党の離脱は国会運営には支障はない。後は7月の参議院選挙で勝利すれば社民党とは完全に手が切れる。

② 移転先がなくて普天間基地を継続使用する

 辺野古への移設を沖縄県民の民意として選択肢からはずせば、残りは普天間基地の継続使用しかない。
ただしこの場合は鳩山首相が「普天間の継続使用はない」と説明してきた手前政治責任を問われる。5月末で鳩山政権は総辞職に追い込まれるだろう。

③ 南海の孤島のような場所に移設できるというそぶりを見せる。

 本当は何も決断しないのと同じだが、時間稼ぎができる。アメリカが了承しないのは当然だが「アメリカを説得できる」と強調して、岡田外相に交渉させる。
7月の参議院選挙で民主党が過半数をとれば社民党を閣外に去らせ、「交渉してもダメだった」と言って辺野古への移設を決定する。

 はたしてどのような選択になるだろうか。政治は一寸先が闇だからどのようなことがあっても驚かないが、上記の3ケース以外は思いつかない。

注)上記の3ケースはすべて参議院選挙で民主党が過半数を取れるとの前提で考えているが、私は過半数は取れると思っている

 
 

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(22.2.4) 作家になるのは大変だ

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 昨日(2日)、「企画のたまご屋さん」のYさんと一緒に日本でも有数な出版社といわれているK社を訪れた。
私の書いた企画書「ロドリゴ巡礼日誌」の企画についてK社の担当者から説明してほしいと言われたからである。

 K社は護国寺にあって通りに面して近代的な高層ビルと、昔ながらの古いビルをつなぎ合わせて建っていた。
K社の担当者は生活文化局に所属していたが、ここの部局はいわゆるハウツウ物と呼ばれる「君にもできる○○」というような本を出版している部局だった。

 会ってくれたTさんは大変柔らかな感じのする女性で好感が持てたが、指摘を受けた内容はシビアで、やはりこの世界も一筋縄ではいかないことがよく分かった。

2222_002  当然のことだがまず本として出版する以上は相応の需要者がいることが前提で、「売れる本と売れない本」を業界の人は良く知っている。

山崎さん、サンチャゴの道はスペイン道についてはかなりの日本人が歩いていて、そうした人が本を求めていますが、フランス道はマイナーでほとんどの日本人が行かないでしょう。
今回はそのフランス道なので、まず顧客層を捕まえるのが大変そうですね

サンチャゴまで歩いて、それを誰でも歩けるのだというような案内書にしてもらえればかなりの層の購買者は出てくるのではないでしょうか

それととても大事なのはオリジナリティーで、内容がどこにもないことがインパクトに成ります。たとえばリヤカーで世界を歩き回っている、とかそうしたことですね。今回は何がオリジナリティーでしょうか

 うぅーん、言われてみれば最もだ。今回私はル・ピュイからスペインとの国境の町までの半分しか歩いていないのだから、経験としても不足している。もともと本にするつもりがなかったので資料の収集も不十分だ。

 どうやら本を書くには、たとえばフランスの古道をほとんど走破して第一人者となり「フランス古道の歩き方」というような案内書を書くか、フランスからスペインまで1500kmを歩きとおして「誰でも歩けるサンチャゴへの道」というような本にするかどちらかのようだ。

うぅーん、またフランスやスペインを歩き回らなくてはいけないのか・・・・」うなってしまった。
とりあえず今までの経験は経験として整理し、足らないところは再び現地に足を運んで情報を仕入れるしか手はなさそうだ。
第一人者になるのも楽でない。

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 最もそれだけでは気力が継続しそうもないから「ココログ小説」(ココログが提供しているジャンルの一つ)に出来上がった内容はアップして読んでもらうのが良さそうだ。

 なにしろこの世界はいつ何がフィーバーするか分からないのだから色々と手を打っておこう。

注)最近私のブログ記事が急にフィーバーして多くの読者がアクセスすることがある。大抵の場合は他のブログで紹介されたか、掲示板で紹介されたかのどちらかだが、そうした時は本当に不思議な感覚に襲われる。
「何でこんなに多くの人が見るのだろ・・・・・」


 

 

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(22.2.3) バンクーバーオリンピックはトリノ並みか!!

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(wikipediaより転載

 バンクーバー・オリンピック2月12日から2月28日までの17日間に渡って開催される。カナダで2回目のオリンピックだが、バンクーバーは今まで開催された都市の中で際立って人口が多く213万人の都市だ。

 日本選手の活躍が期待されるが現実は相当厳しく、前回のトリノ大会並みの結果になりそうだ。
前回はマスコミがいやがうえにもフィーバーし、世界最大規模の取材陣で臨んだが、結果は荒川静香選手の金一つで、他に4位が5つという成績だった。

 地元のイタリアの新聞は「日本の取材陣が何もすることがなく、昼間からバーで酒を飲んでいた」と揶揄していたが、さすがに今回はマスコミも慎重になり、前回のようなちょうちん記事は書かなくなっている。

注)NHKも現地にスタジオを設けてメダリストの話を聞く手はずだったが、いくら待ってもメダルがとれず、4位の選手を呼んでは時間つなぎをしていた。

270pxmao_asada_2008_world_champio_2    今回メダルが確実に期待できるのは浅田真央選手安藤美姫選手といった層の厚い女子フィギュアスケートだけで、それも韓国のキム・ヨナ選手といった強敵がいるから確実に金メダルだともいえない。

 男子はシングルで高橋大輔選手織田信成選手といった一流の選手はいるが、世界に強豪がひしめいているのでメダルが取れたら御の字だろう。

 かつて日本のお家芸だったスキー・ジャンプ陣は時にフロックのように上位に入賞することがあるが、かつての舟木葛西のような圧倒的な強さがない。
信じられないことに往年の名選手、37歳の葛西選手が6回目のオリンピック出場なのだから、日本ジャンプ陣は若返りに失敗しており、個人も団体も銅メダルすら難しそうだ。

 スピードスケートはかつて清水宏保選手が長野で500mで金メダルを取ったが、今回は断トツの選手がいない。
500mでは長島圭一郎選手加藤条治選手及川佑選手といったトップクラスの選手は居るのだが、韓国のイ・ガンソク選手といった本命はいないので、メダルに手が届いたらこれも御の字というところだろう。

 ノルディック複合はかつて荻原健二選手がいた頃は金メダルを取っていたが、現状は低迷の一言に尽きる。最近渡辺暁斗選手がワールドカップ15戦で3位に入ったが、この程度でメダルが狙えると思うのは間違いだ。

 女子モーグルの上村愛子選手には期待したいのだが、このところ成績が不安定だ。オリンピックに向けた調整に失敗しているので残念ながらメダルは難しいだろう。

 やはり今回のバンクーバーオリンピックは良くて金・銀・銅がそれぞれ1個ずつくらい、悪いとトリノのようにメダル1個に成りそうだ。
どうやらあまり日本選手に期待せずにオリンピックそのものを楽しむのがいいのだろう。

(写真はいづれもWikipediaから

 

 

 

 

 

 

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(22.2.2) ロドリゴ巡礼日誌 旅行の準備

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 このところ体調が不調だ。一つはこの14日に四季の道駅伝が開催され、そのルートや交通整理を間違いなく実施することに気を使っていることと、もう一つは読書会河村さんが、2日にK出版者に私を連れて行くことになっているからだ。例の「ロドリゴ巡礼日誌」の企画書をK出版者T氏が見て、説明をしてほしいと言ってきたからだ。

山崎さん、Tさんに会うまでに完成原稿ができますか?」言われて胃が痛くなった。
私は毎日やっているルーチンワークにはめっぽう強いのだが、イベントのような特別な催し物があると、ひどく緊張して体調を壊してしまう。
今回も完成原稿を作ろうと決心したとたんに胃がシクシクと痛み出した。

まずいな、このままでは又病気になってしまう。なんとか病気にならないで完成原稿を作る方法はないものだろうか
ようやくひらめいたのが、ブログの中で完成原稿を作り上げてしまうことだ。

 正直言ってブログを書きながら、さらに本の原稿を書くというような離れ業はできそうもない。各単元ごとに書いていって、原稿に落とすときに校正すればいい。
ようやく方法論が確立したので、明日の打ち合わせでせめて第1章だけでもできていたらと書き始めた。


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第1章 旅だちの準備



 あれは何時頃のことだったろうか、私の山仲間のタムさんフランス巡礼の旅に一緒に行かないかと私を誘ったのは。

 タムさんは勤めていた金融機関の先輩で私より10歳程度年配だ。タムさんはこの金融機関の総合研究所勤務が長く、そこの主任研究員をしていた。
その間地方の調査があるたびに時間を見つけては登山をしていたので、深田久弥の日本百名山をほとんど登り切り、それでも飽き足らず世界5大陸の最高峰を目指していた。

 実際にヨーロッパアルプスのモンブラン、アフリカのキリマンジャロ、北アメリカのマッキンリーの登坂に成功し、南アメリカのアコンカグアにはもう少しのところで登頂を断念し、次はエベレストを目指していた。
山崎さん、エベレストに登ろうよ、今ではしっかりしたガイドが付いてくれれば誰でも登れるんだ。費用を二人で折半しないか」誘われた。

 私は確かに山登りは好きだが日本の山しか登ったことがない。最高で富士山なのだから4千メートルを越えた登山をしたことがない。
高山病になってしまいますよ、いくら何でもエベレストは・・・」躊躇した。

 その後タムさんは「それならヒマラヤの7000m級の山ではどうだい」と私を誘ったが、私は色よい返事をしなかった。
もっともタムさんもだんだんと年をとり、70歳を越えたのだから体力勝負の登山には見切りをつける年齢になっていた。

なら、山崎さん、フランス巡礼の旅にでないか、もともと中世の巡礼の旅はフランスから始まったんだ。その当時はフランスとかスペインとかの国境はなくて、キリスト教国というような一つのまとまりだったんだ
ある日タムさんがそう言った。この話には興味が持てた。

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 私は外国の町を歩くのが好きだ。はじめて外国旅行をしたのが43歳の時だが、その後毎年のように海外旅行をしていた。ただし学生がするような旅行だ。
学生のような完全な貧乏旅行ではないが、ほぼそれに近く飛行場の片隅でよく寝ていた。

 街は基本的に歩くことにしていたので、タイのバンコックの運河沿いの道や、フィリッピンのマニラ市の何か暗黒街のような街を歩いたり、香港の薄汚れた今にも崩れ落ちそうなアパートの一室に泊まったりした。
私の職場の同僚が「山崎さん、そんなことをしてゲリラにつかまって身代金を要求されたら事ですよ。山崎さんは一応大会社の管理職なんですよ」と注意してくれたが、幸いにそうした事故にも会わず、外国に行ったら常に体力の許す限り歩き回ることにしていた。

 だから今回のタムさんの申し出ではなかなか魅力的だった。
フランスの片田舎を歩くのも悪くないな・・・・・・、付き合いましょう

 タムさんは以前スペインのサンチャゴへの道をほぼ1ヶ月かけて歩いている。この道はNHKでも取り上げられており、スペインの高校生が日本で言う修学旅行の一環としてこの巡礼の道を集団で歩いてたルポがあった。

山崎さん、本当は巡礼はフランスから始まるんだ。このフランスからの道を歩めば、中世の巡礼者が歩んだその道を完全に追体験できる。ただどうやって歩いたらいいのかが分からない

 確かにフランスの古道の歩き方なんてまったく知識がない。おそらく道路マップを入手して主要な街道沿いに歩くか、専門の山岳地図のようなものを入手して、それにそっていけば行けるようには思ったが、まったく雲をつかむような話だった。

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 しかしタムさんは熱心だった。なにしろ専門は調査員だから、フランス古道を歩いた人たちの集まりがあることをインターネットで探し当てた。
日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会」という。ここでサンチャゴ巡礼を行く人のための情報交換会を開催していた。

 ほとんどの人がスペイン道を目指していたが、ごく少数だがフランス道を行こうとしている人が居る。
先達も何人かいて、その人からタムさんはとても重要な情報を得てきた。
山崎さん、どうやらル・ピュイからの巡礼道は日本の自然歩道のように整備されていてR65というらしい。このR65にそっていけば、スペインとの国境の町サン・ジャン・ピエド・ポーまで行けそうだ

 タムさんはさらに行った人から地図のコピーまでもらってきていた。
Maim Maim Dodo(ミアム・ミアム・ドゥ・ドゥというガイドブックのコピーだったが、確かにこれさえあればまず、間違いはなさそうだった。
そうか、フランスの古道は日本の自然遊歩道と同じで道が整備されており、ガイドブックもあるのか」すっかり自信を持った。

 地図さえあれば後はまったく問題ない。いつものリックに最低限の荷物を入れて旅立てばいいだけだ。
軽装での旅は完全に身についているので、すっかり気が楽になった。

 

 

 

 

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(22.2.1) 地方のテーマパークは死屍累々

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 かずさアカデミアパーク58億円の負債を抱えて倒産したと思ったら、今度は長崎県のハウステンボスが2度目の倒産をするか否かの瀬戸際にあることを知った。

 長崎県佐世保市にあるハウステンボス1992年に開園したが、1996年の入場人員数400万人をピークに入場者が減り続け、2003年2月に会社更生法を申請して倒産した。
倒産時の負債総額は2289億円だったが、その後野村證券グループの投資会社、野村プリンシパル・ファイナンスNPF)の支援で再建を図った。
しかし赤字経営が続きNPFがとうとう撤退声明を出したため、実質的に2度目の倒産になろうとしている。

 ハウステンボスには私も1回だけ行ったことがある。交通の便は必ずしも良くなく、私のような自動車を持たないものは夕刻になると佐世保市まで帰るのが大変だったのを覚えている。

注)ハウステンボスの観光客は周辺にあるホテルに泊まり、観光バスで移動する形態がほとんどのようだった。東京ディズニーランドのように目の前に駅がある訳でなく、本数もあまり多くない。

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 ハウステンボス
自体はオランダ風の家並みが美しく私は気に入ったが、入ったアトラクション会場には演じる人より見る人の方が少なく、確か10名程度しか観客が居なかった。
これではいくらなんでも収益を確保できないな」とひどく同情したのを覚えている。今から10年ほど前のことだ。

 NPTが撤退表明を出した後、旅行会社のHISが支援に名乗りを上げたが、資産査定を行った結果、とても支援は不可能だと逃げ腰になっている。
100億円程度の投資を覚悟していたが、実際はホテル等が老朽化していて200億から300億の資金をつぎ込まなければならず、とても採算に乗らないというのがその理由らしい。

 ハウステンボスのような地方のテーマパークにとって最大の悩みは集客可能な人口が少ないことで、東京ディズニーランドのような東京圏を相手にするのとまったく違う。

注)福岡県、長崎県、佐賀県の人口を足しても神奈川県程度の人口しかいない

 さらにテーマパークの特色として、観客は1回は来るが2回目はよほどの理由がなくては来ないということで、集客のために新たな投資を強いられる。
しかし追加投資をする資金が地方のテーマパークにはない。

注)東京ディズニーランドでも次々に新たなアトラクションを建設して集客に勤めている。

 その結果、東京の東京ディズニーランドと大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを除いていづれも集客数が激減しており、ハウステンボス、シーガイア、志摩スペイン村、倉敷チボリ公園といった地方のテーマパークは倒産か、実質的な倒産に追い込まれてしまった。

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 日本が世界の観光地になれば、まだ世界を相手に観光客を呼び込めるが、実際は09年度は前年度より外国人観光客は減っている。
円高、世界不況、新型インフルエンザと外国人観光客の呼び込みも目算通りにはいかない。

注)ハウステンボスは韓国人、台湾人、中国人の観光客の誘致に熱心だが、実際はこの地区からの観光客も減っている

 
リゾート法の後押しもあり、地方公共団体と企業がタイアップする第3セクター方式での開発が主流だったが、そうした地方のテーマパークが次々に倒産していくのを見ると、この種のビジネスモデルは失敗だったといわざるを得ない。

注)一般的には地方のテーマパークが失敗する原因は以下のように言われている。

① 大都市と違って集客対象人口が少ない。
② 十分な投資資金を集められない。
③ 第3セクター方式が多く、経営に責任を持つ人がいない。
④ バブル崩壊後開業したテーマパークが多く、完全に時流を失した。
⑤ 追加投資がなくリピータ客が来ない。
⑥ リゾート開発を併営しているが、そうした場所を日本人はリゾートとして選択しない。

 

 

 

 

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