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(22.2.7) 嫉妬のデノミネーション 北朝鮮経済

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(北朝鮮に一体何が起こっているのだろうか????)

 北朝鮮が09年11月30日100分の1デノミを実施し、さらに自由市場を閉鎖してから3ヶ月北朝鮮経済は大混乱に陥って、再び自由市場に復帰するようだ。
毎日新聞が北京情報として伝えたところによると、デノミの実質的な責任者、朴南基党財政計画部長日本的概念では財務・金融大臣)が金正日総書記によって責任を問われ解任されたと言う。

注)北朝鮮では2002年7月頃から、私企業や自由市場の存在が正式に認められていた。

 北朝鮮の実施したデノミは実に不思議なデノミだった。それは嫉妬のデノミとしか言いようのない代物だった。

 通常デノミはインフレが更新して、たとえばりんご一つが1兆円程度になってしまい、市民生活がなんとも不便になった場合に実施される。

 第1次世界大戦後のドイツがその例で、買い物はリックサックに札束を背負ってしなければならなかった。
ほい、1兆マルクでりんご1個ちょうだい
リックサック一杯の札束でようやくりんご1個買えるのだから、この労力は大変なもので買い物はリックサックを背負える屈強な男性しかできなくなった。
これはいくらなんでもひどいと1兆分の1のデノミを実施した。

注)デノミを実施する場合、同時に物資の十分な供給や労働者の賃金の凍結等を行い、需要と供給をあわせる措置が必要になる。そうしないと再びインフレが更新して、再度デノミを行わなくてはならなくなる。

 もう一つのデノミの形態は、国家の威信を高めるために実施するもので、「1ドルが100円じゃかっこ悪い。1ドルを1円にしたら、円とドルが等価のようになるじゃないか」と言う理由で実施するものである。

 日本が2000年前後に検討したデノミがそれだが、コンピュータシステムをすべて変更しなければならず、一方そうしたからと言って経済にプラスの影響は何もないのだから、「無駄な道路工事と同じゃないか」ということで沙汰止みになった。

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 しかし今回北朝鮮が実施したデノミはインフレ対策でも国家の威信を高めるためでもなく、嫉妬心から行われた特異なデノミと言える。

注)確かにインフレは更新していたが、今回のデノミはインフレ対策が主たる目的ではない。

国家の核心層(金正日総書記に忠誠を誓っている層)が国家のためにテポドンや原爆を開発し懸命に努力しているのに、自由市場を利用してしこたま金を溜め込んだ不埒な商人層が跋扈し、核心層より良い生活をしている。
この商人層の資産を没収しろ


 自由市場を停止し、100分の1のデノミを実施したが、旧ウォンと新ウォンの交換は1世帯当り10万ウォン日本円で3000円程度)しか認められなかった。
これでは市場経済で営々と築いてきた資産がたった3000円になってしまったことになる。

注)その後15万ウォン(4500円)まで交換を認めた。

 一方で核心層に対する給与はそのままだったから核心層は一挙に100倍金持ちになったことになる。
父ちゃんは金持ちになった。坊主、なんでも買ってやるぞ
一斉に買い物に殺到したのでたちまちのうちに物資がなくなってしまった。

 商人層は資産を4500円に減らされ、市場も閉鎖されたので何もすることができない。また公的な商店にはもともと商品などはほとんどないのでたちまちのうちに売り切れ完売になって売るものがなくなってしまった。

とうちゃん、金持ちになったんだからバナナを買ってちょうだい
坊主、それが商品がどこにも売ってないんだ。自由市場も閉鎖されたので買い物もできない

 食料が市場から消え、核心層に餓死者が出そうになって、さすがに金正日総書記も反省したらしい。
人民が白米を食べれず、いまだにとうもろこしを主食にしていて心が痛む
デノミの失敗を認めて責任者を更迭し、自由市場を再び認めることにした。

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冷静に考えれば嫉妬のデノミなんて失敗するものさ

 もともと嫉妬心から実施するデノミが成功するはずがない。商人層はウォンを溜め込んでも紙切れにされるのを知っているから、新ウォンを誰も受け取らない。
お客さん、ウォンは羊のえさにしてください

 物々交換か、元やドルと言った通貨でしか売買はしなくなった。
そうなると紙切れだけを持っている核心層の生活が困窮してしまう。
坊主、食べ物がなくなった。仕方がないからウォンを食べておけ

注)なお元やドルでの取引は違反だから、おおっぴらにすることはできない


 嫉妬のデノミはこうして3ヶ月間の大騒ぎの後に大失敗だったと金正日総書記が認めて収束に入ることになった。
経済現象を嫉妬で変えようとしたデノミは、あたかも徳政令を一瞬喜んだ鎌倉時代の御家人と同じ様に更なる貧困を生んだだけだった。




 

 

 

 

 

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