(22.2.17) 普天間基地移設問題がさらに複雑化した テニアン
鳩山政権の普天間基地移設問題は、なにかますます複雑化してきたようだ。
民主党内部でも辺野古案、嘉手納案、南海孤島案があるところに、社民党が今度は従来のグアム案以外にテニアン案を持ち出してきた。
テニアンとは実に懐かしい名前だ。太平洋戦争では日本軍のバゴイ基地があり、約2万人の住民と約1万人の軍人が駐留していた。
1944年のテニアンの戦いで日本軍守備隊は全滅し、アメリカ軍に軍事占領された。
その後基地が拡張され日本爆撃の基地となり、広島・長崎に原爆を投下したB29爆撃機が飛び立っていった場所である。
現在住民は3500名程度でまったく過疎の村といってよく、約200km程度離れたグアムが観光と軍事基地でますます栄えているのと対照的だ。
ここに社民党の阿部政審会長が沖縄基地問題検討委員会の一員として訪れ、北マリアナ諸島(テニアンはその一部)の知事から「(政府が了承すれば)テニアンに受け入れたい」という言葉を聞いて飛び上がってしまった。 なにしろその前にグアムのカマチョ知事から「グアムへの普天間基地海兵隊の受け入れは(設備の限界を越え住民生活に支障が出るので)不可能だ」と釘を刺されたばかりだったからだ。
社民党は軍事問題を住民問題としか理解できない。
名護市長選挙で移設反対派の市長が当選したので、「民意を尊重したら辺野古への移設はありえない」と強調している手前、グアムが民意で反対すれば移設を強硬できない立場にある。
しかしテニアンは違う。なにしろ知事が「ウエルカム」といっているのだから、住民の総意で「テニアンに移設しよう」ということになる。
注)実際は、社民党はグアムの住民が反対しても、辺野古への移設費用約4000億円をつぎ込めばグアム移設が可能だと自民党ばりの利益誘導策を提唱している。
国内は民意を尊重し、外国は民意を無視して金で解決ということらしい。
しかし軍事問題はダムの建設や道路建設と違って国内問題ではない。
なにしろ軍事とは相手があっての問題で、現在沖縄駐留アメリカ軍の仮想敵国は中国と北朝鮮である。
そして同時に日本の仮想敵国は中国、北朝鮮、ロシアなのだから、北澤防衛相の言う「抑止力として機能するか」が最大の課題といえる。
テニアンが過疎対策としてアメリカ海兵隊の受け入れを希望したとしても、米軍の戦略上不都合であったり、日本の防衛に役だたなかったら、軍隊としての役割がなくなってしまうのだからおいそれと応ずることができない。
民主党は今でも基地移設問題ではてんやわんやの大騒ぎをしているのに、民主党に輪をかけた軍事音痴の社民党がアメリカの過疎対策としてテニアンを持ち出してきたのだから、これでは問題を一層複雑化するだけだ。
もとはと言えば鳩山総理の不決断で5月まで結論を引き延ばしたのが問題なのだが、さらに不可思議な移転先が現れてきてひどい状況になってきた。
「政治とは決断の技術」だが、その決断を総理大臣がしないのだから普天間基地移設問題が百家争鳴になるのも止むを得ないのだろう。
注)画像はWikipediaより転写
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