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(22.2.12) ユーロの弱い輪 その2 ポルトガル経済

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 現在市場はユーロ圏のもっとも弱い輪として、ギリシャ、ポルトガルを狙い撃ちしている。両国の国債レートが急激に上昇しており、最も安定的な国債レートとされるドイツ国債と比較するとギリシャ+4%前後7%程度ポルトガル+2%前後の5%程度になってきた。

注)ユーロ圏では通貨はユーロで一緒のため、その国の経済状況は国債レートに反映される。当然弱い経済国家の国債は高レートとなる。

 両国とも財政赤字が09年度に入り急拡大しており、ギリシャ12.7%ポルトガル9.3%対GDP対比)と、EUの基準3%を大幅に上回ったことが、国債レート急上昇の理由になっている。

注)日本の財政赤字は10%を越えているが、国債の購入者が日本人がほとんど(約95%)のため、財政赤字とレートとの相関関係はない。

 特にポルトガル08年度2.6%とEU加盟基準を下回った優等国だったのに、世界経済悪化による財政支出が急拡大し瞬く間にユーロの落ちこぼれになってしまった。

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 ポルトガル経済は90年代後半まで年率4%程度の拡大をしていたが、2000年代に入りすっかり成長から見放されてしまった。
最大の理由は投資先としての魅力がなくなったからである。
新たにEUに加盟した東欧諸国の賃金はポルトガルよりはるかに安く、かつ勤勉な労働者がそろっている。

 一方ポルトガルは左派政権が続いたこともあって労働者の権利は非常に厚く守られており、年間1ヶ月間の有給休暇と、14ヶ月の給与が保障されている。プラス2か月分は休暇手当クリスマス手当で、労働者にとっては天国のような制度だが、投資家から見たら投資先としての魅力がない。
ポルトガル人は遊んでばかりいて、その上高給取りだ」ということになる。

 また隣のスペインはヨーロッパ中の資産家や中産階級が別荘地として不動産を買いまくったが、ポルトガルは規制が厳しいため建設ブームからも取り残されていた。

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 このため金融恐慌が発生するとサブプライムローンとも不動産ブームともほとんど関係がなかったため、日本と同じで当初は「蜂に刺された程度」だと思っていた。
しかし世界市場が冷え切ってしまいまったく輸出が振るわず、またかろうじてあった投資もなくなり国際収支が急激に悪化してしまった。
09年度GDP▲3%(ほぼ日本と同じと推定されている。

 ポルトガル経済はもともと弱く、慢性的な貿易赤字経常赤字に悩まされてきたが、これを国債発行でファイナンスして帳尻を合せてきた。
しかしここに来て財政支出が急拡大し、国債発行も未消化分が発生するなど、市場から見放されつつある。

注)5年国債の保証料はギリシャの次に高くなっている。

 ユーロ圏の各国はこうした場合、通貨切り下げという手段が取れない。共通通貨ユーロは欧州中央銀行の所管だからだ。
残された道は財政再建を進め、社会保証制度を見直したり、公務員を削減したり、給与水準を引き下げることしかない。
しかしこうした措置は国内政治としてはとりがたい。いつ政権を失うか分からないからだ。

 実際は地方財政法案というばらまき法案を通過させる等財政赤字拡大がとどまりそうがない。
ポルトガルの財政は当面改善しない。国債は売りだ」市場から完全に狙われてしまった。

注)現在のポルトガル政権は社会党が第一党だが、過半数に達しないため断固とした経済運営ができない。

 

 

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