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(22.1.31) ヨーロッパ経済はもぐらたたき ギリシャの深い闇 その2

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 「ギリシャ人は嘘つきだと、ギリシャ人が言った」というのは有名なパラドックスだが、「ギリシャ人は嘘つきだと、EUが言った」というのは本当だ。

 ギリシャ2001年にユーロ圏の一員となったのだが、ユーロに加入するための基準である「財政赤字をGDPの3%以内・政府債務残高をGDPの60%以内」を満たすことができず、実際はこの基準を大幅に上回っていたのに統計数字を改竄することでユーロの一員になれた。

注)実際はギリシャの改竄に他のEU諸国は気付いていたが、目をつぶってユーロ加盟を了承した。

 その後ギリシャは2002年から2007年まで年率4%前後GDPが拡大をしたので、他の加盟各国はほっと胸をなぜ下ろしていたがそれもリーマン・ショックまでだった。
投資ファンドが一斉に引き上げてしまうと、後に残ったのは相も変わらない財政赤字・高失業国家ギリシャだった。

注)ギリシャには海運、観光、金融、公務員以外にまともな職業がなく、コネのない若者は失業者となって暴れまわっている。

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 現在世界の市場がギリシャに注目しているのは、ギリシャの財政赤字がユーロ加盟国の中で最悪の12.7%(対GDP対比)だからだが、この数字は改竄されているとEUの各国は見ている。
ギリシャの統計数字は嘘ばかりだ。実際はこれよりはるかに悪くデフォルト寸前のはずだ。失業率も最近まで10%程度だといっていたのに、実際は18%だと修正するし、何のことかさっぱり分からん

 ギリシャは国債を発行してこの急場を切り抜けようとしているが10年物国債の利回りは7.1%と急騰し、最もレートの低いドイツ国債とは約4%も差が付いてしまった。しかもこの先ますます国債レートは高くなりそうだ。

 ギリシャ経済は、昨年12月フィッチ・レーティングスがギリシャ国債の格付をAーからBBB+に一段階引き下げた頃から急激に暗雲が立ちこめ始めた。
ギリシャは日本と異なり、国債の購入者に外国人が多い。格付が下がればすぐに影響が出て国債利回りは急騰してしまう。

注)日本の場合は購入者は国内が約95%で、特に郵貯・簡保が大口購入者。したがって格付が何であろうと国債を購入してくれる。

 現在のパパンドレウ政権は昨年10月に発足した左派政権で、日本の民主党政権とよく似ている。
前政権の経済情勢悪化の責任を追及し、ギリシャ最大の山火事対応の遅れを突き、閣僚の汚職を追及して晴れて政権を担当することになったが、さりとて自身に的確な経済対策があるわけではない。

 政権をとるまでの口当たりの良さが、今は自身に降りかかってきた。
本来経済が急激に悪化したパパンドレウ政権が取り組まなければならなかったことは、以下のような内容であり、これは政権をとるまで国民にばら撒いていたイメージと180度反対の内容だ。

① 社会支出、医療支出の大幅な削減
② 増税
③ 余剰公務員の首切り
④ 公共部門と民間部門の賃金引下げ

注)EUは金融危機で財政規律の3%基準を緩和したが、大幅な逸脱を許容した訳ではない。

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 パパンドレウ政権の支持基盤は公務員を中心とする労働者だ。左派政権はこのジレンマを解決するために、経済指標の改竄で切り抜けようとした。
国民生活維持のために財政赤字を増大させたが、対外的には財政赤字を隠蔽するという方法だ。
財政赤字はせいぜい12%程度です

注)この数字は日本、アメリカ、イギリスと同じ程度。なお経済指標の改竄は前政権から行っていた。

 今、「ギリシャ人は嘘つきだ」とEUが騒いでいる。もともとユーロ加盟も嘘の数字で加入したのだからいまさら言っても仕方ないが、ユーロの最も弱い輪の統計数字が改竄されているため、市場の信頼を失ってしまった。

 一頃130円をゆうに越えていたユーロが今は125円前後に急速にユーロ安になっている。
市場はギリシャがデフォルトになれば次はポルトガルだとユーロを狙い始めた。
ヨーロッパ経済はアイスランド、アイルランド、ラトビア、ウクライナと弱い輪が次々にほころびを見せ、今はギリシャでまるでモグラたたきのようになっている。

 EU各国はさっそくギリシャ支援を約束したが、「その前に本当の赤字を教えてくれ」というのが支援国の偽らざる気持ちのようだ。

 

  

 

 

 

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