(21.12.31) 09年10大予想の結果報告 その3
09年10大予想のNO7からNO10までの予実対比の結果です。
⑦ 不動産価格は引き続き低下する。
アメリカとイギリスの不動産価格はもう一段の大幅な低下が見込まれる。従ってサブプライムローンを組み込んだ証券化商品の含み損は拡大し、各国の大手商業銀行にも甚大な影響を与える。
日本の金融機関でも証券のウェイトの大きな金融機関の経営が苦境に落ちいる。
(結果)
アメリカの住宅価格はピーク時から35%低下したあたりで下げ止まりの傾向が見えてきたが、これはもっぱら政府支援の税控除措置等の恩恵によるもの。
税控除措置がなくなれば、専門家は45%まで低下すると予想している。
一方商業用不動産価格の低下は今始まったばかりであり、どこまで低下するか分からない。
不動産価格低下の影響は大きいが、サブプライムローンを元に組成した証券化商品は時価会計による評価を停止しているため、本当の含み損は隠蔽されてしまっている。
イギリスについてはアメリカ以上に価格低下がひどい。
日本の金融機関については農林中金や日本生命等に大きな影響を与えているが、こちらもアメリカに倣って時価会計の運用を弾力化しているので明確な損失は分からない。
(評価)
住宅価格については下げ止まり傾向があるが、一方商業用不動産産価格は暴落しつつある。
トレンドとしては引き続き低下傾向を示しており、ほぼ予想通りだが時価会計を止めて損失を隠蔽しているため、本当の損失規模は不明になっている。
⑧ 韓国は実質破算、北朝鮮は実質張成沢政権になる。
韓国の経済は完全に行き詰り、日本と中国の通貨スワップ協定によってかろうじて命脈を保つことになる。北朝鮮の金正日総書記は死亡するか、死亡しないまでも完全に判断能力を失う。結果として張成沢氏が実権を握る。
(結果)
韓国経済は中国経済の立ち直りにつられて急速に立ち直った。中国や新興国に対する輸出が大幅に改善する一方輸入が減少している。
国内経済は政府の支援策で自動車販売が持ち直し、余剰資金が不動産市場に流入し、価格が上昇している。
09年通期でGDPの伸び率はほぼ0%程度になる模様。
一方北朝鮮では金正日氏の健康問題は小康状態を保っており、一時の超激やせからは回復している。ただし激務には耐えられないらしく、後継者として3男の金正雲氏を指定して、権力移譲がスムーズに行くような環境作りを急いでいる。
たとえば最近実施した100分の1のデノミについては北朝鮮内部の小金持ちの資産を取り上げ、いっぽう軍や官僚層の給与を上げて(一部の報道では以前と同じ金額の給与を支払っているため、100倍の給与アップになったとのこと)、核心層の支持を得ようとする措置といわれている。
(評価)
朝鮮関連ではまったく予想がはずれ完敗だ。
韓国経済は現在中国経済の衛星国のような立場になっており、中国経済の立ち直りの影響を真っ先に受ける構造になっている。
私は中国経済の09年度のGDP成長率は0~+2%程度(実際は+8%程度)と予想していたため、韓国経済の立ち直りを予想できなかった。
北朝鮮については金正日氏がなかなかタフに生きており、当面いつ死亡するかは予想が難しくなっている。
人の健康のことは良くわからないというのが実態だ。
⑨ 株価は09年中は低迷する。
現在の株価はアメリカの株価の動向によって全て決まっている。09年度にアメリカ経済は立ち直ることはないので傾向的に株価は低下する。それにつられて各国の株価も低迷し、日本の株価も上がらない。
(結果)
アメリカも日本も3月はじめ頃を底に株価は徐々に上昇しており、NYダウ平均は年初の9000ドルから現在は10000ドル前後で推移、日経平均も9000円から10000円前後になっている。
一方香港や上海の株式は年初来倍程度にまで上昇しており、新興国の株式は概して好調といえる。
先進国は株価はやや持ち直し気味で、一方中国を始めとする新興国の株価はミニバブルの状態といえる。
株価上昇の要因は各国の金融当局がジャブジャブの資金供給をしたため、その資金が株式市場に流れ込んでいるため。
(評価)
先進国の株価は低迷しているがトレンド的には上昇、一方新興国の株式はミニバブル状態で、私の予想は外れた。
各国の類を見ない金融緩和が株式を押し上げており、その動きを捕らえることに失敗した。
先進国の実体経済は相変わらず悪いが、中央銀行がジャブジャブ資金供給を行えば株価は上がるという事例を示している。
⑩ 地球環境問題は主要課題から外れる。
経済が低迷し、実質的に二酸化炭素等の排出量が減少する。地球環境は自然に良い方向に向かう。各国は自国の経済振興に全力を注ぎ、地球環境問題は棚上げされる。
(結果)
09年度に限れば先進国の二酸化炭素排出量は減少している。一方中国等の新興国の排出量は経済の拡大に伴い増加している。
コペンハーゲンで開催されたCOP15はまったく何も決められずに物別れに終わっており、問題はCOP16に持ち越された。
環境問題は新興国中国と、先進国ではアメリカだけの問題になっており、西欧や日本は本質的には問題を解決している。
しかし中国もアメリカも経済を最優先にしており、自国に有利な条約以外は認めようとしない。
実質的には地球環境問題は棚上げされたが、地球環境が自然に良い方向に向かっているかどうかは資料不足で判断できない。
(評価)
COP15が何も決められなかったことは予想通り。先進国は経済が不況でその分二酸化炭素の排出量は減少し、緊急性が和らいでいる。
一方中国等の新興国の経済は拡大しており、こちらは二酸化炭素の排出量を増加させている。
トータルとして環境が改善されたか否かは、統計数字の確定を待たなければ分からない。
環境問題が主要課題から外れるというのは言いすぎだが、環境派が期待したような「環境問題が世界の主要課題になる」ということに失敗したことだけは確かだ。
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