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(21.12.4) 文学入門 ファイティング寿限無 立川談四楼

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 今回の河村義人さんの読書会のテーマ本は立川談四楼たてかわ だんしろう)氏のファイティング寿限無じゅげむ)だった。
この本を選んだのはこの読書会でいつも一風変わった本を紹介するOさんである。

 とても正統派とは思われない、それでいて人気のある作品を選択するのだが、私は立川談四楼氏もまたこの作品も知らなかった。
さっそくWikipediaで調べてみると次のように記されてあった。

立川 談四楼(たてかわ だんしろう、1951年6月30日 - )は、群馬県邑楽郡邑楽町生まれの落語家、作家。
1970年、(昭和45年)高等学校を卒業後、同年3月立川談志に入門。前座名は寸志。1975年11月の二つ目昇進後談四楼と改名。

 1983年、落語協会での真打昇進試験において、談四楼と兄弟子の小談志が不合格になる。これをきっかけに談志は弟子をつれて落語協会を離れ、落語立川流を結成。同年5月、落語立川流真打に昇進


 私と5歳違いの落語家で作家だと言う。昭和45年は私も社会人になった年なので感慨深かった。
そうか、この人は私と同じ年に、落語界に身を投じ、その後作家活動をしてたのか・・・・・・

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 小説の筋はいたって簡単で、落語家でボクサーのファイティング寿限無がたちまちのうちに世界王者になり、なったとたんにボクシングを捨てて落語にまい進すると言う話である。

 立川談四楼氏は落語家で作家だが、それを落語家でボクサーの寿限無に投影して、夢を描いたと思えば大体あたる。
この小説にでて来る師匠の橘家龍太桜は実際の師匠立川談志そのもので、語り口も話の内容もほとんど実際にあったものと推定される。

 私はボクシング業界についてはほとんど知識がないが、寿限無が入門した金丸茂二ボクシングジム金子ボクシングジムのことだし、寿限無を好意的に取り上げるニュースキャスター ヨネキュー久米宏といった具合である。

 この小説では実在の人物があたかもその人そのものと思われるキャラクターで現れてくるので、ちょうど水島新司氏の人気漫画「あぶさん」を読んでいるのと同じような感覚になる。

 作者が落語業界に詳しいのは当然としても、ボクシング業界の知識も相当なもので、私のようにこうした世界に無知なものにはとても新鮮な感覚で読めた。
また寿限無が瞬く間に世界チャンピオンになってしまうのだが、このあたりはかなり劇画風であり、映画「ロッキー」のようなのりだ。

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 ただし、寿限無を世界チャンピオンにするために作者はかなり無理な設定を行っている。
たとえば寿限無がボクサーとして頭角を表したことで、芸能人アスリートナンバーワンを決める特別番組に出場を要請され、寿限無は100m走に出場する。

 対抗馬は元バレーボールのメダリストで現スポーツキャスターの河田俊男で昨年のタイムは11秒65。
寿限無は一回目でこれと同じタイムを出し、ファイナルでは10秒59河田を振り切って優勝すると言う話になっている。

 思わず笑ってしまった。
いくらなんでも、そりゃないよ。ボクサーとしてのトレーニングをしたからといって、日本陸上選手権のセミファイナルクラスのタイムが出せるはずがないじゃないか
ボクサーのJOGは決して早く走るためのトレーニングではない。
フットワークを鍛えるためであり、実際立ち止まってシャドーボクシングをしては、又走ることの繰り返しだ。

 もう一つの無理は世界タイトルマッチに向けてのキャンプに二人の若手のボクサーを同行させるのだが、一人は中距離、もう一人は駅伝とハーフマラソンで高校、大学で鳴らした選手だったと言う設定だ。
この二人と寿限無は走りこみの練習をするのだが、キャンプの最終段階でこの二人をらくらく抜いてしまうと言う話になっている。

そりゃないよ。高校・大学まで一流選手だった人と、落語会に入って身体をなまけ、その後ボクサーとしてのトレーニングをしたからといって、陸上競技を専門にしてきたランナーに勝てるはずはない

 もっとも落語家でボクサーと言う二束のわらじを履きながら世界チャンピオンになれるというのも荒唐無稽なので、鼻白むようなことではないが、私のように長い間マラソンをしてきた人間から見ると、どうしても話の筋に無理が見えてしまう。

 しかし、あまり細かいことは言うまい。この本を読んでいた数時間は結構楽しく読めたのだから、人を楽しませてくれる本ということは言える。
まあ、落語と同じだ。楽しけりゃ、それでいいじゃないか


*この会の主催者河村義人さんの書評を掲載いたします。この本に対する高い評価を下されていますので、是非一読ください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2009/12/1129-9345.html

*また今回の読書会のチューターのOさんの感想文は以下の通りです。http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/


 

 

 

 

 

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