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(21.12.17) GDP改定値の怪  なぜ大幅下方修正になったのか

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 内閣府が12月9日発表した09年7~9月期GDPの改定値を見て、腰を抜かさんばかりに驚いてしまった。
なにしろ1次速報値では実質GDPの年率換算が+4.8%と言っていたのに、改定値では+1.3%だと言う。

 約4分の1に下方修正されたのだから、驚かないほうがおかしい。
日本の統計の正確さは世界一だと言われていたのに、こんなに予測数字がぶれるようでは本当は無能なのではなかろうか・・・・・・

 もともとGDP1次速報値2次改定値も、そのときまでに入手できた統計資料を基に推計するのだから、より実態に近い統計数字が出るたびに修正されるのは分かる。
しかし今回の下方修正はあまりにも乖離が大きすぎるし、社会に対する影響も大きい。
日本も完全に回復基調に入った。年率換算で+4.8%はEUやアメリカより回復が早い」誤解してマスコミがはしゃいでいたのはついこのあいだだ。

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 第2次改定値が大幅に下がった理由は、設備投資の推計で失敗したからだ。
第一次速報値で設備投資を推計した統計資料は「鉱工業生産指数」でその中の「資本財出荷指数」が+5.2%だった。

 これを受けて統計官は、国内の設備投資が前期比+1.6%と推計した。
従来、資本財出荷指数が5%前後上昇すると、国内設備投資が1.5%程度上昇していたからだろう。

 しかしその半月後に出された「法人企業統計調査」をみて統計官はびっくりしてしまった。「企業設備投資」が▲8.8%とまったく「鉱工業生産指数」と反対の動きをしていたからだ。

注)「鉱工業生産指数」は供給者側の資料で、一方「法人企業統計調査」は需要者側の資料。今回「法人統計調査」の数字を元に「設備投資」を+1.6%から▲2.8%に修正した。

なぜ供給側の数値はプラスなのに、需要側の数値が大幅マイナスなのか?」大騒ぎになった。
答えは「国内で投資が行われず、もっぱら中国等の海外で投資が行われている」からである。

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 日本国内ではデフレギャップが大きく、稼働率もよくて70%~80%程度であり、今後需要が伸びても現状の設備で十分対応できる。
一方中国やその他新興国の需要は急拡大しているから、自動車も電気産業も化学プラントももっぱら海外生産にシフトしている。

 日本企業の設備投資全体は落ちているのだが、なかでも国内ではほとんど投資が行われないと言う状況になって、資本財の行く先は海外になってしまった。
日本国内の空洞化が始まっている。

注)大企業・製造業の09年度設備投資金額は前年度実績比▲28.2%

 製造業としては当然の対応だが、それがあまりに急激に始まったため統計官が推計できなかったというのが実態だ。
統計は過去の資料を基に推計を行うから、質的な変化があると推計値を間違う。
どうやら日本は設備投資を行うのに適さない国になったらしい

 なんども同じことを言って恐縮だがこれは当然で、日本のような成熟した社会で、しかも老人人国が年を追って増大していく国で、需要が拡大しGDPが増大するなんてことはありえない。
企業は需要のある場所に出て行かないと生き残れないので、設備投資は海外が中心になる。

注)もちろん政策的にGDPをあげることはできる。赤字国債をばんばん発行して公共投資を行ったり、減税をしたり、子供手当てを増額したりすればそれなりの効果はある。
ただしそうした手当てを打ち切れば元に戻ってしまうので、自立的な成長ではない。


 今回のGDP改定値の怪とはそうした統計官が間違うほどの質的変化が急激に発生していることを示したものといえる。
日本経済は変わっているのだ。

 

 



 

 



 

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