(21.11.27) 民主党政権のスキャンダルはネガティブキャンペーン
政治の世界において最も効果的な敵の追い落とし作戦はネガティブキャンペーンである。アメリカでは特に大統領選挙の終盤戦にこれが行われ、「ブッシュは兵役の義務を金で回避した」とか、「オバマは外交がずぶの素人で何も知らない」とか盛んに言われたが、日本のネガティブキャンペーンはもっぱら「金と女(または男)」と相場が決まっている。
昨今の鳩山首相と小沢幹事長に対するネガティブキャンペーンはもっぱら金に絡むものだ。
鳩山首相は自らも「恵まれた家庭に育ったものだから、自分自身の資産管理がきわめてずさんだった」というように、金の面で脇があまい。
特に、自身の政治資金管理団体「友愛政経懇話会」と鳩山家の資産管理団体「六甲商会」との資産管理があいまいで、政治資金が不足するとこの六甲商会から融通を受けていた。
注)現在まで判明した金額は六甲商会から3億円、母親から数千万円の資金が、友愛政経懇話会に流れている。
しかしそのことを政治資金収支報告書に借入金として記載せず、なぜか架空の個人から献金を受けていたことにしたが、これは政治資金規正法に違反する虚偽記載に当たる。
注)政治家個人からの政治資金管理団体への献金の上限は1000万、その他個人は150万だから、それを越える分は借入金にしなければならない。
なぜ正直に記載しなかったのかの理由はいろいろ言われており、「個人献金が少なく格好がつかなくて、大衆政治家としての見栄で六甲商会(自身が鳩山家の当主)の金を献金として偽装した」とか、「他に記載できない筋(外国人、闇の世界の人)からの献金があるからだ」とか言われている。
しかし私の正直な感想は、自分の資金と政治団体の資金の区分がつかないほど渾然一体となっていたことと、自身の資産が大きいため金の動きに執着しなかったためだと思っている。
なにしろ鳩山首相は他のどの閣僚よりも金持ちで、資産家のお坊ちゃんだ。
「特に献金をしてもらわなくても、うちには資産がある」と言うのが実態だろう。
しかし、それは首相としての脇の甘さにつながり、敵対者の格好の攻撃材料にはなる。
一方小沢幹事長の方の最近のネガティブキャンペーンの内容は非常にせこい。
小沢氏の第一秘書が、同党の副幹事長青木愛議員の公設秘書採用で「給与の一部(10万円)を青木愛氏の政治団体に寄付する」ように強要したと言うものである。
公設秘書の採用のメカニズムは、力のある政治家の公設秘書が取り仕切っていることが分かったが、寄付の強要は明らかに公設秘書給与法違反である。
この青木愛氏の秘書は仕方なく10万円の寄付をしていたが、途中で6万円に値切ったため、小沢氏の第一秘書から「なめるなよ」と脅されて、秘書を辞めたという。
公設秘書の世界はやくざの世界と似ているらしい。
公設秘書の給与は公務員のように号俸体系になっており35万円から55万円の間だそうだが、この青木愛氏の秘書は最低の35万円の給与から10万円を寄付するように強要され、居直ったようだ。
「25万円では大卒の初任給レベルじゃないか」
この問題で小沢氏が直接かかわっていたとは思われず、狼の皮をかぶった狐が権力を行使していたのだと思うが、ネガティブキャンペーンとしては有効だ。
「小沢のやつ、またせこいことをしているのか」と言うことになる。
注)小沢氏は公設秘書が団体献金を個人献金といつわって記載したと言われて、民主党代表をおろさせられた。
自民党を中心とした反民主党グループは、当面こうした鳩山首相と小沢幹事長をターゲットとしたキャンペーンを繰り広げていくようだ。
一方は金にルーズで一方は金にせこいから格好のターゲットになるのだろう。
日本では金と女の問題が発覚すると、ほとんどの場合政治家にとって命取りになるので、民主党としては油断大敵だ。
注)民主党は敵が多い。特に普天間基地と日米密約の公表でアメリカを敵に回した岡田外相が、次のネガティブキャンペーンのターゲットになる可能性が高い。
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