(21.11.22) 日米首脳会談の唯一の成果 スマートグリッドの共同開発
(EIKO氏撮影 山崎編集)
鳩山首相とオバマ大統領の日米首脳会談が13日行われたが、実に寒々とした雰囲気だった。
普天間基地問題では互いに主張を言い合っただけだし、インド洋の給油活動中止の代わりに、アフガンに対し日本が今後5年間で50億ドルの民生支援をすることにした件は、アメリカは外交辞令的に謝意を述べただけだった。
14日には鳩山首相はオバマ大統領を日本に残してAPECの会議に出発したが、このことが何より日米間の隙間風を象徴している。
「日本はアメリカよりAPECが大事なのだ」
鳩山首相には東アジア共同体の構想しか頭にないようだが、自民党政権だったら絶対にこのような対応はしなかっただろう(最低限一緒に出かける程度の演出はしたはずだ)。
それでも唯一の成果は日米共同でスマートグリッドの共同研究をすることに同意したことだろう。
スマートグリッドとは「賢い送電網」という意味だが、現在のアメリカの送電網は100年前の技術を使用した不経済極まりない送電網で、はっきり言ってしまえば「おばかさんの送電網」だからだ。
(EIKO氏撮影 山崎編集)
この送電網を賢くするためにはいくつものハードルを越えなければならない。
オバマ大統領は09年1月に景気対策演説を行ったが、その中で「クリーン・ニューディール」なるものを提唱した。
石炭や石油や原子力に頼るエネルギーからクリーンエネルギーと言われる太陽光発電や風力発電等にエネルギー源を切り替えようと言うことだ。
注)原子力については二酸化炭素を排出しないのでクリーンエネルギーに分類されることもある。
しかし現実のアメリカのクリーンエネルギーの割合は世界のどこよりも低い。ブッシュ政権がクリーンエネルギーにまったく乗り気でなかったせいだが、太陽光発電などはヨーロッパや日本に大きく差をつけられている。
それでもアメリカは戦略の国だ。自然エネルギーの大量供給と家庭での省エネを目指したスマートグリッドで巻き返しを図ることし、そのパートナーに日本を選んだ。
「ヨーロッパは相手にしてくれないから、2、3位連合で西欧に対抗しよう」ということだ。
スマートグリッドの具体的中身はクリーンエネルギーの開発のほかには以下の内容が挙げられている。
① 各家庭の家電製品をネットワークで結ぶ。
② パソコンで家電製品の消費電力を管理する。
③ 料金の安い時間帯に電力を購入して逐電する。
④ ハイブリッド車の蓄電池に電気を蓄える。
日本においても鳩山政権が「20年までに二酸化炭素を25%削減する」と世界に公言したため、太陽光発電を20年度までに05年対比20倍増加させることになった。
(EIKO氏撮影 山崎編集)
スマートグリッドの問題点は、太陽光発電等で作り出した電力を現状の電力網に乗せて、従来の火力発電や原子力発電の電力と一緒に使えるかの確証を得ることにある。
「電力の安定供給ができなければ、太陽光発電は使えない」
日本の電力会社の安定供給能力は世界一だから、不安定な太陽光発電を嫌う。
実験は沖縄の離島で行う予定だったが、アメリカのニューメキシコ州で大々的に実験が行えることになった。
注)日本では規制が多く、既存電力網を使用しての実験は離島ぐらいでしかできないのだそうだ。
さてこの日米連合は成功するだろうか。日本はアメリカよりも停電範囲を最小限に抑える技術や、大規模工場の需要動向をIT技術で把握する方法や、電気自動車でアメリカを凌駕している。
一方アメリカはGoogleのリーダーシップのもとにスマートグリッドなる戦略を描いて、遅れたアメリカの送電網を21世紀型に変更しようとしている。
アイデアはアメリカが提供し、手足が日本という構図は今も昔も変わりがない。
隙間風が吹きすさぶ日米関係の中で、唯一の絆がスマートグリッドなのだから、できうれば成功してほしいものだと思う。
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