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(21.11.21) 地方空港は生き残ることができるか? 松本空港消滅危機

Dscf0028  (EIKO氏撮影 山崎編集

 日本の地方空港の生き残りがますます難しくなってきた。日航が旅客数の減少や単価の低下に悩まされて不採算路線からの撤退声明を出したため、日航オンリーの地方空港の存続が危ぶまれている

 すでに地方空港の破産は北海道の弟子屈空港の事例(09年9月)が有る。
年間数百人程度の旅客数に悩まされた弟子屈町が廃止の申請をしたものだが、理由は安全管理のための投資約2億円ができなかったからである。
ほとんど顧客がいないのに安全管理や飛行場維持の費用など出せない

 現在もっとも問題になっているのは長野県の松本空港だが、ここはJALの子会社JAC札幌、大阪、福岡への航空路を持っている。
しかし搭乗率が極度に低く、96年26万人いた搭乗者が08年には6万人4分の1以下になってしまった。

 あまりの不採算に日航が悲鳴を上げて、松本空港のすべての路線から撤退することにしたため、長野県では大騒ぎになってしまった。
現状でも収入は直陸料2600万円程度であり、一方支出1億8000万円なので、約1億5000万円の赤字だがこれは全額長野県が補填している。

これからは一機も飛行機が飛ばないのに飛行場が存続してていいのだろうか?」子供でも不思議に思う状況になってきた。

注)長野県の村井仁知事は、現在コミュニティー航空会社に、松本空港への乗り入れを働きかけている。
しかし、それが実現したとしても直陸料は大幅に減少するはずだから、県の補填が増大することは間違いない。

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EIKO氏撮影 山崎編集

 同じような状況に置かれる空港に、広島西、札幌丘珠空港があり、何の対応をしなければやはり飛行機は一機も飛ばなくなる。

 また、来年3月に開港予定の茨城空港にいたっては、当初どこの航空会社も乗り入れを拒んだため、作った当初から廃港に追い込まれそうな状況になっていた。

 あわてた県は韓国のアシアナ航空に泣きを入れて毎日1便は確保したものの、旅客数が少なければアシアナ航空から、搭乗率保障を求められるだろう。

注)茨城県の当初計画では札幌、大阪、福岡、沖縄と路線を開設し、年間81万人の搭乗者を予定したが、国内航空会社から断られ、現状はアシアナ航空の約8万人のみが予定されている。しかしその数も期待数にすぎない。

このままでは総工費540億円、本体工事250億円はどぶに捨てたようなものだ」関係者からため息が漏れはじめた。

 なぜこれほどまでに苦境に陥る地方空港が発生するかと言うと、航空整備特別勘定約5000億円の資金がプールされており、1県1空港の掛け声に励まされて、飛行場を次々に作っているからである。

心配するな、金はいくらでもある。搭乗予想をでっち上げて空港を作ろう
旧運輸省の方針である。
それでも旅客数が増加している間は、何とか説明ができたが、昨年のバブル崩壊以降まったく目算が狂ってきた。
今年に入り国内・国際を問わず、旅客数が激減しており、どのような説明も不可能になっている。

注)日航、全日空とも国内・国際線の搭乗率が10%前後減少しており、回復のめどがたたない。

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EIKO氏撮影 山崎編集

 地方空港の受難はこれから始まる。JALは自分自身が倒産の危機にあり、不採算路線を維持することができない。ANAとてもJALほどではないが不採算路線を維持できないのはおなじだ。

 飛行機が一機も飛ばない空港はぺんぺん草が生えるだけで、職員や売店は何もすることがないのだから閉鎖する以外に方法はない。

 思えば、航空整備特別会計は罪な会計だ。予想をめいっぱいでっち上げて空港を作ったものの、あとにはぺんぺん草とカラスが遊ぶ飛行場を作るだけの公共事業に終わってしまった。

注)約100ある空港の9割は赤字といわれている。

 残されたのは地方自治体の赤字補填だけとは罪作りな話だ。


 


  

 

 

 

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評論 日本の政治・経済 地方空港」カテゴリの記事

コメント

東京から「のぞみ」で名古屋には2時間弱、新大阪だと2時間半で行けるというのに、松本までは新宿発の「あずさ」でたっぷり3時間、名古屋からは「しなの」で2時間を要します。出張で移動して歩くものから言えば、やはり「松本は遠い」印象です。

かと言って、羽田⇔松本便は飛んでいないし、また飛ばしてもそれほどのお客はいないでしょう。「あずさ」の乗客数から、およそ見当が付きますし、もしそんな飛行機を飛ばしたら今度はJRが間引き運転になって、かえって利便性を損なうことでしょう。JRで3~4時間で行けるところには、余程の乗客が見込めぬ限り飛行機は我慢してもらって、鉄道を利用していただきたい、と言うことになるのではないでしょうか。
乗客は、何と言っても東京と大阪に多いのです。地方都市を結んでも、乗客数などたかが知れています。

結果として税金の無駄遣いになることは、慎んでいただきたいものです。また、結果としてそのような事態を迎えた時は、事業遂行の決定者には責任を取っていただきたいものです。

私は北海道出身なので、上記の逆ですが北海道新幹線をとても心配しています。
今は新千歳空港が札幌の玄関口として機能しており、便数も多くとても便利です。へたに北海道新幹線などを引いてきても、北海道は遠い。東京から3~4時間では済まない距離です、いったい誰が乗ると言うのでしょう

新幹線が札幌まで伸び、そのために飛行機の便数が減って利便性が損なわれるだけだと感じています。
もっとも、新幹線を稚内から樺太に渡して大陸と結び、また九州から韓国、北朝鮮、中国と結んで、環日本海高速鉄道でも造る布石にするのなら面白いですが。?


投稿: yokuya | 2009年11月21日 (土) 14時54分

茨城空港も、情報番組で追及されてたのですが、推進県議は「国がなんとかするからね」と嘯いてました。
おらが空港が欲しいというのは、羽田・成田の両空港までの移動費用がかかりすぎる(鉄道だと人数分の運賃が掛かるがクルマだとガス代だけで済む)からだという理屈のようです。
高速道路の無料化ショックで、鉄道会社もパック運賃を考えても良い頃合いの筈ですね、デフレにもかかわらず目立った値下げの動きは殆どないです。
(北総の値下げは、適正価格水準にはほど遠いです)

投稿: 横田 | 2009年11月21日 (土) 12時31分

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