« (21.11.18) 文学入門 「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎著 | トップページ | (21.11.20) 日本経済の回復と輸出主導体質 »

(21.11.19) 日本に電子書籍が根ずくか

21118_040

 Googleが巻き起こした日本の書籍を含めたデジタル化事業については、11月13日Googleから和解案再修正が行われ、「対象となる書籍の範囲が縮小され、米国の作品以外で対象となるのは、米国著作権局に登録された作品か、カナダ、英国、オーストラリアの3か国で出版された作品に限定される。
これにより、日本の作品のほとんどは対象外となる
」ことになった。

 世界中の著作権者を巻き込んだ騒動はようやく収まることになり、ことは英語圏だけの問題になったが、一方日本では国立国会図書館が所蔵する蔵書を電子化して、インターネットで無料または有料で配信する構想が存在する。

注) すでに国会図書館では50年の著作権保護期間が過ぎた明治・大正期の書籍約16万部をデジタル化し、「近代デジタルライブラリー」として、ネットで無料配信している。 

 国会図書館各公共図書館の要請に応じて図書の貸出しをしているが、特に希少本などについては紛失や汚れの問題がある。
これを電子化したものをインターネットで検索してもらえば、原本の保管は完璧に行え、かつ利用者の利便性は格段に向上する。

 確かに日本全体でも国会図書館だけにしか残っていないような本はまったくその通りだが、デジタル化の対象が現在書店で販売されているような本になると問題が一気にきな臭くなり、出版社、著者、書店等を巻き込んだ騒動になってしまった。

21118_042

 もしそうした本まで国会図書館がデジタル化して、無料か無料に近い金額でインターネットで検索できるようになると、紙の書籍はまったく売れなくなってしまい本屋はすべて廃業することになってしまう。
また物理的な本そのものがなくなると、製紙業界や本の取次会社も経営問題が発生し、残るのは著作者とそれをサポートする出版社のコーディネーター位になってしまう。

電子書籍などとんでもない。文化の崩壊だ」一斉に反対の声が上がった。

注)09年6月の著作権法の改正で、国会図書館は著作権者の承諾がなくても著書を保存目的でデジタル化できるようになり、予算の範囲内でデジタル化を実施することにしている。

 Google全米作家協会等との係争は、絶版本をめぐっての係争で、Googleが出版社に代わって絶版本の配信を有料で行うと言い始めたので裁判沙汰になったものだ。
絶版本は商業ベースに乗らないから絶版本になったのだが、インターネット上での配信ならば、ディスクの許す限り書籍のストックができるから、いわば無限大の規模で書籍を在庫できる。

注)アマゾンはインターネットで大抵の本を販売してくれるが、それをディスク上に保管して、アマゾンを凌駕するすべての書籍の販売を行おうとGoogle はしている。

21118_028

 日本では国会図書館があらゆる本を予算の範囲内でデジタル化できるのだから、それを図書館内では無料、インターネット検索では安価な金額で有料のサービスを始めれば出版業界のビジネスモデルは崩壊する。消費者にとっては、電子書籍は紙の書籍に比較して信じられないような安価な金額で入手できるのだから便利この上ない。

 実際にこのネット環境を利用して無料化を実現しているものにブログがある。
ブログの作成費用はプロバイダーに対する利用料とNTTへの回線使用料の他にはほとんどかかっていない。
いわばただみたいな料金でブログは作れるのだから、費用を徴収してブログを維持しなければならないようなものではない。

 従来は書籍に比較してブログの水準は低く、いわば証券であればジャンク債のような扱いを受けていたが、昨今は著者によったら書籍を凌駕する水準のブログが現れてきた。
私もいくつかのブログをほぼ毎日見ているが、なまじ書籍を見るよりは面白く、専門性の高いものが多い。

 このようにインターネットの世界では無料でレベルの高いブログ文化というものが生まれている以上、紙で有料の書籍文化が徐々に廃れていくのはいたし方がない。

 完全に書籍文化がなくなるというのは言いすぎだが、紙の書籍だけにこだわっていては無料のブログ文化に負けてしまうので、その前に電子書籍という形でビジネスモデルを確立しようと思うのは当然の動きだ。

 だから世界ではGoogleが仕掛け、日本では国会図書館が仕掛けている電子書籍は案外早くこの世界に認知される日が来そうだというのが、ブログを毎日書いている私の予感だ。

 

 

 

 

 


 


 

 

 

|

« (21.11.18) 文学入門 「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎著 | トップページ | (21.11.20) 日本経済の回復と輸出主導体質 »

評論 日本の政治・経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (21.11.18) 文学入門 「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎著 | トップページ | (21.11.20) 日本経済の回復と輸出主導体質 »