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(21.11.14) ヨーロッパ経済のブービーレースを制するのはどこか スペイン経済

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 ヨーロッパ経済のブービーレーススペインイギリスの間で行われている。この両国は一頃まではヨーロッパ経済の牽引役として、世界中から羨望の的だったのだから、世の変遷は激しい。

 スペイン経済94年から07年まで年平均3.6%の経済成長を遂げ、ユーロ圏の新規雇用の3分の1はスペインで創出されるといわれていた。未曾有の建設ブームに沸いていたからだ。
しかしサブプライムローン問題がささやかれ始めた07年夏場まではまだ住宅ブームに沸いていたものの、08年のリーマンショック後はジェットコースター並みの経済失速に見舞われている。

 スペインが未曾有の建設ブームに沸いたのには訳がある。
1999年ユーロ圏に参加して、人・物・金の動きが自由になると、イギリス・ドイツ・フランス・北欧等からスペインめがけて資本が押し寄せてきた。

 風光明媚で暖かく、不動産価格が相対的に安かったスペインの沿岸は、ヨーロッパの金持ちや中産階級の別荘ブームに沸いてしまった。
日本でもバブル華やかななりし頃は、長野や北海道に別荘を求める人があとをたたなかったのを思い出してほしい。

注)不肖私も長野県の学者村と言うところに、賃借権の別荘地を手当てしたが、いつまでたっても別荘が建てられずその後手放してしまった。

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 スペイン経済は観光と建設業でもっていたようなものだが、その住宅建設等に急ブレーキがかかり、とうとう直近で失業率は20%程度と、ヨーロッパ最悪の失業率になってしまった。
建設労働者が次々に失業しているからである。

 スペインの建築ブームは当初は外国人が主導していたのだが、不動産価格が1995年から2007年の間に約3倍程度上昇したため、スペイン人も舞い上がってしまった。
外国人に負けじと不動産を担保に金融機関から借入を図り、かつては堅実と言われていた性格がすっかりバブルってしまった。
1980年代の日本人と同じだと思えばイメージがわく。

 現在売れ残りの住宅が約150万件程度あり、これが新規建設に急ブレーキをかけており、回復までに5年~7年はかかると言われている。

 しかしリーマン・ブラザーズの倒産で世界中が大騒ぎになった08年9月の段階ではスペインはかなり冷静だった。
それはサンタンデールBBVAといたスペインのNO1,NO2の金融機関がサブプライムローンに汚染されていなかったからである。

注)スペイン中央銀行が市中銀行に危ない投融資(サブプライムローンがらみの証券化商品)をさせないように眼を光らせていた。

 日本では「蜂に刺された程度」と言う認識だったが、スペインでも同様で、反対にこれを好機として捉え、特にサンタンデールはイギリスの住宅金融会社やブラジルの市中銀行等を次々に傘下におさめ、一時は西欧の白馬の騎士だった。

注)日本の野村ホールディングスがリーマンのアジア・ヨーロッパ部門を買収したのと似ている。

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 しかしさすがのサンタンデールも息切れがしてきた。サブプライムローンこそ手を出さなかったものの、国内での不動産融資が次々に焦げだしたからである。
不良債権の割合が08年3月1.24%だったのが、09年3月には2.49%と倍増し、これからどの程度上昇するか分からなくなってきた。

 あわててサンタンデールは買収したばかりのブラジルの銀行の売却先を探さなくてはならなくなった。
遅れると資金繰りが逼迫して自らが倒産しかねないからだ。

 結局スペインは外国資本による建設ブームでもっていたのだが、それが去ってしまえば昔の観光だけで生きる静かな生活に戻らざる得ない。
今のスペインはバブルがはじけたあとの日本とそっくりだ。
家計や企業が目いっぱい不動産に投資したが、価格の急落で借金のほうが多くなってしまった。

 現在までに30%程度不動産価格が低下したが本格的な低下はこれからだ。スペインには長く厳しい冬が迫っており、イギリスとの間でブービーレースを演じているが、おそらくラストランナーは観光だけのスペインになるだろう。



 

 

 

 

 

 

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