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(21.11.13) 世界の問題児 イギリス経済

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 ここにきて世界の問題児イギリス経済であることが明らかになってきた。
09年第3四半期(7月~9月)のGDPの伸び率が、アメリカ、ドイツ、フランス、日本といった先進各国がプラスに転じ、バーナンキFRB議長が「最悪期は脱した」と宣言したのに、イギリス経済は相変わらず水面下にある。

 あまりにひどい現状に格付機関のフィッチが「AAA格付のなかで、リスクがもっとも高いのはイギリス国債」であり、「財政の調整が進まなければ、格付の引き下げを検討する」と言ったものだから、イギリス経済に対する信任が大幅に低下し始めた。

 実際イギリス経済6四半期に渡ってマイナス成長を続けており、イギリスはスペイン、アイルランド、ギリシャ、ラトビアと一緒になって、一周遅れのランナーになっている。

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 イギリス経済は金融業、不動産業、北海原油で成り立っているようなものだが、金融業については金融機関を史上最大規模で支えているのに改善の兆しはまったく見えない。

注)イギリス政府は金融機関に対し約200兆円の支援を行っており、この金額はイギリスのGDPにほぼ匹敵している。
具体的には以下の通り

① 資本投入         約7.5兆円
② 債務保証         約88兆円
③ 今後の債務保証     約37兆円
④ CP等の購入       約20兆円等
 

 また不動産業は住宅価格がいつまで低下するのか分からないような状況で、北海原油も枯渇し始めた。

 イギリス経済をこれほどまでに苦しめている原因は、皮肉なことにサブプライムローン問題が発生するまで、イギリス経済に我が世の春をもたらしてきた金融業にある。

 世界に先駆けてビックバンという金融革命を成し遂げ、シティは世界でもっとも自由で世界最大の市場に生まれ変わった。
しかも主としてオイルマネーを導入するために、イギリスの指標金利は常にECB(欧州中央銀行)の指標金利より高めに設定されていた。
そのため「高金利で、安全で、自由に換金できるイギリス国債」の人気は高かったものだ。

 イギリスには資金が流れ込み、有り余った資金が不動産市場を加熱させ、2000年~2007年の間に不動産価格が約3倍に値上がりした(アメリカは約2倍)。
金融機関はすっかり舞い上がってしまい、自己資本に対する融資や証券化商品の残高は約8倍と、完全なレバレッジ経営になってしまったアメリカは約4倍)。

山高ければ谷深し」のたとえどおり、アメリカ以上にバブルったイギリス経済は低迷している。
日本やドイツが中国等の新興国への輸出増によってようやく最悪期を脱していても、イギリスは常に貿易収支が赤字で輸出増による回復もできない。

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金融機関は含み損を抱え、政府の支援でかろうじて生きてるだけだ。住宅価格はどこまで下がるかわからない。これじゃ回復のめどが立たないじゃないか・・・・・・」でるのはため息だけだ。

 果たしてイギリス経済は今後どうなるのだろうか。
現状はかつての日本の失われた10年にそっくりで、赤字国債を増発して史上最大規模の財政出動をしても、経済は一行に上向かない。

注)09年度のGDPに対する財政赤字は約14%。08年まではEUの財政規律の約3%を維持していた。

 日本には貿易黒字という脱出手段があったが、イギリスにはよれよれの金融と不動産、それに枯渇しつつある北海原油しかない。
もはや自力で復活する条件はなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

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