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(21.10.25) 郵政国営化は成功するか

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 民主党政権ができる前までは、曲がりなりにも郵政民営化の方向だったが、亀井金融・郵政担当相になってからは、すっかり郵政国営化の流れになってしまった。

 当面の流れとしては、ゆうちょ銀行かんぽ生命、および持ち株会社の日本郵政株式売却の凍結を図ることになりそうだが、これは民営化は絶対に認めず、すべての株式を国が持って国営事業として郵政事業を行うということだ。

 これまでの方針は日本郵政西川社長の下で郵政3事業郵便、貯金、保険)の合理化を着々と進め、十分な収益基盤を作ったところで、株式を売却し国家に収益をもたらすはずだったが、すっかり目論見が狂ってきた。

 国家に収益をもたらす親孝行な郵政事業から、また国家がお守りをする郵政事業への転換だが、はたして郵政国有化は成功するのだろうか。

 民営化された郵政グループの21年3期の決算状況を見ると、グループ全体で最終利益が4223億円で、これはNTTグループについで高収益だから、信じられないような優良会社ということになる。

 すべての会社(日本郵政、郵便局会社、郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)とも黒字なのだから申し分ない。

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 しかし内容を詳細に検討してみる郵政グループの構造問題が分かってくる。
それは収益のかせぎ頭がゆうちょ銀行で、全体の約半分2293億円の収益を上げていることで、反対に言えばゆうちょ銀行の収支が悪化するとグループ全体の収益が大幅に減少するという構造になっている。

 ゆうちょ銀行がこの金融危機のなかで黒字とはびっくりだが、そのからくりは運用を手堅く国債で実施してきたからで、郵便貯金177兆円のうち、約9割155兆円国債運用に当てられている(それ以外も地方債等の運用で実に手堅い)。

 現在、国債の金利水準は10年ものが1.5%前後、一方郵便貯金の金利は5年物で0.3%だから、1%以上の鞘が抜けることになる。
現在の低金利政策の恩恵を十二分に受けている訳だ。

 意外だったのは従来の収支構造が崩れていることで、従来貯金と保険の黒字で郵便事業の赤字を補填してきたのだが、今回郵便事業が298億円の黒字になったことは快挙と言える。
お荷物と言われた郵便事業が黒字になるとは思わなかった。

 これは集配郵便局を約5000局から2000局に減らした合理化の賜物だが、一方で僻地で郵便物が届きにくくなったとの批判にさらされた。
民営化された郵便事業は金儲けばかりして、僻地に冷たい」と言うわけだが、黒字化したことは西川前社長の手腕だ。

 また郵便局が黒字なのはもっぱらゆうちょ銀行かんぽ生命からの手数料収入による。これは郵便局が赤字にならないように手数料率で手加減しているからだ。

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 さて、このように民営化された21年3期の成果は実に見事なもので、西川前社長の手腕は高く評価されてしかるべきだが、これが国有化された場合どのような変化があるのだろうか。

 現在全国一律サービスが義務化されているのは郵便事業だけだが、今後は貯金と簡保も一律サービスが義務化されそうだ。
都会はともかく、僻地の顧客がほとんどいない郵便局においてはシステム投資や人的配置をしなければならなくなり、収益は圧迫されるだろう。

注)通常ATM1台が1000万円程度するのだが、利用者は郵便局の職員だけと言うような事例が出てくる。

 またゆうちょ銀行が高収益なのは、現在の低金利政策にあるので、金利上昇局面になるといっぺんで収益は悪化する
郵政民営化ではそうなった場合の措置として自由な運用を認めているのだが、実際は金融機関と競争して企業融資に乗り出すノウハウはなさそうだ。
民営化された後も、国債や地方債以外の運用がほとんどないことがそれを示している

 従って金融情勢が変わり貯金金利が上昇すると、貯金事業は大幅な赤字に転落する。しかし民営化していれば独立採算のゆうちょ銀行だけの問題となり他に波及することはない。
一方国有化されて、再び郵政3事業が一体となれば、郵政業務が全体でひっくり返るというのが実態だろう。

 小泉改革では、独立採算制をとって経営努力を求め、それぞれの事業の黒字化を目指したのだが(実際21年3期はそうなった)、国有化されてどんぶり勘定になれば、しばらくは貯金業務で食いつなげるので合理化は停滞し、また昔どおりの郵便事業の赤字体質に戻りそうだ。

(今日のYou Tubeは飯豊山です。画面上部の←→をクリックすると、画面を大きくできます)
http://www.youtube.com/watch?v=DcyV6W07CC4

 

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