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(21.10.13) ウィニーは中立的な技術  大阪高裁の判決

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 ファイル交換ソフト、ウィニーを開発・公開し、インターネット上で映画などの違法コピーを助長したとして、著作権法違反のほう助罪に問われていた、元東京大助手、金子勇被告(39)に対し、大阪高裁は罰金150万円とした1審・京都地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した(10月8日 毎日新聞)。

 私は金子被告が無罪になることは、(20.3.31)ウィニー問題は大変だと言うブログで指摘しておいたので大阪高裁の判断には驚かないが、検察が金子被告を裁判にかけられると判断し続けていること自体は驚きだ。

 そもそも著作権違反のほう助罪なるものの成立要件は、直接に金子被告が特定人物に技術情報を教え、かつそれが違法に著作権侵害が可能であることを伝えない限り成立しない。

 一方金子被告WINNY(ウィニーと言うソフトが、サーバーを使用せずにパソコン同士で、かつ匿名性を保持したままファイル交換ができると、インターネット上で公開しただけだ。
いわば技術的には中立なソフトを公開しただけで、特定の個人に対しなんらほう助など行っていないし、またこうしたファイル交換ソフトは他にも存在して、WINNYだけが匿名性を持っているわけではない。

 もしこうした中立的な技術が問題だとなると、コピーメーカーのキャノンセイコーエプソンなども当然「違法コピーのほう助を行っている」と言うことになるし、銃器メーカーのコルトウィンチェスターなどは毎回殺人のほう助罪に問われてしまう。

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 大阪高裁の判決は非常に冷静で、まずWINNYを「価値中立のソフト」として認め、その上で「開発したソフトをインターネット上で公開した提供者はダウンロードした者を把握できず、違法行為をしているかを把握できない。
価値中立のソフトを提供した行為について、ほう助犯の成立を認めれば、ソフトが存在し、ソフトを用いて違法行為をするものがでて来る限り、提供者は刑事上の責任を無限に問われることになる
」として、罪刑法定主義の立場から金子被告無罪を言い渡した。

 京都地裁が頭に血が登って「利用者の多くが著作権を侵害することを明確に認識、認容しながら公開を継続した」として有罪判決を下したのとは大違いだが、京都地裁が頭に血が登った理由も分かる。

 それはWINNYを使用した個人情報等の漏洩が、日銀や官庁や自衛隊や、当の裁判所でも頻繁に発生して、このままでは社会の安定性が保てなくなってきたからである。
ならば「金子被告をいけにえにして、匿名のファイル交換ソフトを駆逐しよう」と思ったとしても不思議ではない。
京都地裁と検察は魔女狩りをしようとしたのだ。

 しかし日本は法治国家だし、今は中世ではない。
著作権法違法容疑はWINNYを使用して、違法コピーをした者にあり、価値中立のソフトを作成した人にはない。
またWINNYを使用して個人情報を盗んだ者は、その人が犯人であって、ソフト制作者の金子氏が犯人ではない。

 インターネットの時代は難しい。一度ソフトを公開すれば全世界の人が等しく知ることができる。そしてそれをどのように使用するかを開発者は具体的に把握できるわけでない

 だからわれわれのこうしたソフトに対する対応は、使用者にマナーが問われているのであり、① 違法な用途に使用しないようにすることと、② 暴露ウィルスが添付されて知らないうちに情報漏えいが行われないように、常時WINNYのチェックを行うことあるいは自動的にチェックを組み込んでおくこと)が必要なのだと思う。

 

 
 

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