(21.9.8) 東京オリンピック招致絶望 石原都政の黄昏
16年夏季五輪に立候補した4都市に対するIOCの評価報告書が公表された。
東京招致委員会の武田副会長は3日、都庁で会見し「他都市と比べて低い評価と言うわけでない」と述べたが、昨年の1次選考では4都市中トップの総合成績だっただけに焦りの色が隠せなかった。
東京は安定した財政力、コンパクトな開催、治安が評価されたものの、世論支持率では4都市の中でもっとも低い55.5%だったことがマイナス要因とされている。
「一所懸命なのは石原都知事だけだろう」と言うことだ。
実は東京開催については、昨年の1次選考以降開催に不利な条件が続出している。
この8月に行われたIOC理事会で16年夏季五輪の追加種目は7人制ラクビーとゴルフに決まり、野球とソフトが落選した。
このことは16年オリンピックは野球やソフトがメインになっている都市では行わないと、IOCの理事会がメッセージを出したと言うことだ。
東京は苦しくなった。
また、財政力については「(東京都の)開催準備金400億円などで十分に対応できる」としているが、IOCも東京都も本気で信じていない。
オリンピックでは思わぬ追加費用が発生するのが普通であり、そのために政府の財政支援がぜひとも必要だが、日本では麻生首相の個人保障しかない(国会決議がない)。
民主党が東京オリンピック開催に反対していたからで、それだけでなく民主党は石原都知事の新銀行東京への対応をにがにがしく思っている。
個別案件としても計画にある五輪スタジアム建設には大反対だ。
「石原は新銀行東京で大失敗をし歴史的汚名を残そうとしているが、これをオリンピック招致をすることで名誉の回復を図ろうとしている」
民主党はマニフェストで不要な公共事業は抑制するとしており、公共事業を削って福祉予算を増大しようと言うのが戦略だから、おいそれと石原都知事の戦略に乗るはずがない。
またこの東京オリンピック開催について国民の支持がないのは明白なので、民主党としては「石原の個人的パフォーマンスに付き合うのは馬鹿馬鹿しい」と思っている。
かくして政府の財政支援はあてにできないため、財政力が十分というわけに行かなくなってきた。
石原都知事はIOC総会に、鳩山新首相が乗り込んで、「財政支援を100%行う」と言ってほしいのだが、いままでの民主党と石原都知事との関係から鳩山新首相が総会に出ることはないと思う(かえって民主党は東京オリンピック開催を失敗させて、石原都知事の自民党都政から民主党都政への奪還を狙うはずだ)。
ここにきてブラジルのリオデジャネイロが得点を重ねている。リオデジャネイロは南米で始めてのオリンピック開催と言うことでのアピール性もあり、また国を挙げての開催の機運ももりあがっている。
実際問題として国の後押しが期待できるのはブラジルだけだ。
その他の国はリーマンショックの対応で財政は火の車だ。
唯一の問題は安全面だが、オリンピックの期間中ぐらいは軍隊を派遣してでも安全確保を図るはずだから、問題はなさそうだ。
開催都市決定は10月2日だから、開催日決定まで1ヶ月を切った。この段階でもっとも有利なのはリオデジャネイロで、次がシカゴと言うところだ(シカゴはオバマ人気で沸いたが、アメリカ政府の財政支援が得られるかどうかが不明確だ。景気対策や金融対策で手一杯でオバマ政権としてシカゴ開催のサポートをする余裕がない。この点が不安材料になっている)。
東京とマドリードは圏外と言う状況だ。石原都知事の都政も完全に黄昏を迎えてきた。
(21.9.28)追加
私の予想に反して、鳩山首相がIOCの総会に出席すると平野官房長官が発表した。鳩山首相が出ても東京オリンピックの目はないと私は思っているが、この首相出席には驚いている。
政敵石原氏を追い落とすいい機会なのに、この鳩山首相の甘さはどうしたことだろう。
上杉謙信が武田信玄に塩を贈った故事に倣ったのだろうか。
鳩山氏は育ちのよさと優しさを兼ね備えた政治家だが、これが命取りになるようなことがないことを望むだけだ。
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