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(21.9.23)  大前研一氏の経済観とサービサー

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 大前研一氏が、Voice10月号に「急回復する世界、追いつけない日本」と題する論文を掲載していて、その副題が「中国の巨大な内需をどう掴むか」となっている。

 題名や副題でも分かるように、大前氏の主張は「アメリカ、ユーロ圏、中国(これをG3と呼ぶ)の経済が急回復しているのに日本だけが取り残されている。取り残されないためには中国市場をターゲットに、輸出や投資活動を活発化させなければならない」と言うものだ。

 私の感度はアメリカもユーロも急回復は無理で、中国は金融バブルで底上げしていると言うもので見解の相違が有るが、大前氏がアメリカ市場の回復の事例としてあげているサービサーの動きついては、確かに注目すべきだと思われた。

 ところでサービサーという業務をご存知だろうか。サービサーとは債権回収会社(露骨な言葉で言えば取り立て屋のことで、日本では2000年2月サービサー法が施行され、それ以来銀行、証券、ノンバンク等がこの法律に基づき債権回収会社を設立して、現在は約100社あまりの会社がある。

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 なぜこのような会社が必要かといえば、日本のバブル崩壊で多くの住宅融資や一般融資が焦げ付き、とても金融機関が自前で債権回収ができなくなったからである。
それまでは債権回収業務は本人(銀行)弁護士に限られており、私も金融機関の融資担当者だった頃、この回収業務を担当したことがあるが大変な仕事だった。

 さらに私の経験を言えば、監査役をしていた頃子会社のサービサー会社を監査したことがある。当初私は、サービサーやくざの取り立て屋のような商売だと思っていたが大間違いだった。

 実際はサービサー法で厳格に業務の内容が規定されており、たとえば「午後9時から午前8時までの電話連絡・訪問、および意思に反する勤務先の訪問、反復または継続しての電話の督促」が禁止されていた。

 時に無理やり取立てを行った職員などがいると監査対象になり、「われわれは暴力団でないのだから、法律に反することはしてはいけない」などと監査報告に書いたものだ。

 アメリカのサービサー場合はもっと簡単で取立てではなく、ほとんどの案件がすぐさま競売にかけられ回収される。
もともともの競売債権は額面の2~3%程度で金融機関から購入しているので、3割程度落札できれば確かに25%の収益はでてきそうだ。

注)日本の場合はあまり競売にかけたがらない。競落人に暴力団が入ることが多く、社会問題になりやすいからだ。そのため通常は競売人は競落人を事前に用意して競売にかける

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 大前研一氏の説明では「ブラックドックやピコムという巨大資産運用会社が動き始め・・・・彼らの新しい取り組みメニューがサービサーで・・・・彼らの計算によれば、不良債権を買い取ったうえでうまく処理して売却すると、年率25%の運用益が出る」と判断してるという。

 そして「ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどもこのサービサー業務に事業に参入して、不良債権争奪戦になってもおかしくないくらい、・・・底値買いのチャンスとなってきている」という。

 大前氏が言いたいことは、「巨大資産運用会社が、不良債権を買いあさり始めたのはアメリカ経済が底値を打って、これ以上悪化しないと読んでいるからで、アメリカ経済もこれから急回復するだろう」と言うことだ。
もっとも大前氏は「いまだ状況は予断をゆるさない」と言っているので、手放しでアメリカ経済の復活を予測しているわけでない。

 この「サービサーがアメリカで動き始めたので経済は底を打った」と言う判断は、いかにも大前氏らしい感度だ。
はげたかファンドが動いたら景気は底打ちだ。負けないように不良債権を二束三文で買いあされ」と言うとことだろう。
私にはサービサーの動向で景気の動きをつかむと言う感度が無かったので、大前氏のこの指摘は参考になった。


注)日本では長銀や日債銀、北拓が倒産し、その残務処理のためにサービサーが設立された。一方でアメリカではAIGもシティーグループもまだ存命している間にサービサーが動き出すのだから、さすがに動きが早い

 しかしアメリカのヘッジファンドもただで起きないのと言うのはこのことで、次は不良債権の売買で一儲けしようと言うのは、いかにもはげたかファンドらしい。

 

 

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