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(21.9.15) 温室ガス削減交渉COP15は成功するか?

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 次期首相の鳩山由紀夫氏が「2020年までの日本の温室ガス削減目標(中期目標)として1990年対比25%削減」を表明したことに対し、世界中が驚いた。
ただしこの表明は「すべての主要国(アメリカ、中国のこと)の参加による意欲的な目標の合意が、日本の約束の前提」と条件付にはなっている。

 特にヨーロッパでは「日本は大きな一歩を生み出した」とか「膠着している先進国と途上国の削減目標などの議論を前に進める力になる」等、非常に好感を持って受け取られている。
民主党の福山政調会長などは「日本がこれだけ賞賛されたのは見たことがない」と手放しの喜びようだ。

 麻生首相90年対比8%の削減目標を表明したときは、国連のバン事務総長が「もっと野心的なものを期待していた」とがっかりしていたのを思い出す。何しろ国連の要請数字は25%~40%の削減だったから、8%などは削減しないのと同じだと写ったのだろう。

 このように世界の評価は中国を除き(中国は「各国の国情を十分に考慮し、先進国と途上国を区別すべきだ」とクレームをつけた。日本が何をしようと中国は温室ガスの削減はしないと言う意味だ)好意的なものだが、国内に目を転じると産業界はブーイング一色だ。
経団連清水副会長(東京電力社長)は「達成には失業者の大幅増加、多大な国民負担を伴う。納得性のある説明が政治の責任だ」と、日本の実情を無視した決断だと言わんばかりだ。

 こうした目標数字を鳩山次期首相が表明したのは、この12月から温室ガス削減交渉COP15が始まるからで、それに先立ち民主党の「環境重視の立場」を明確にしようとしたものだ
民主党は自民党政治とは違って、ヨーロッパと共同で温室ガス削減交渉を前進させる

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 だがこの温室ガス削減交渉とは非常に問題のある国際会議で、一言で言ってかつての国際連盟のような主要国が参加しない、片肺飛行のような会議といえる。

 1997年に締結されたCOP3京都議定書ではアメリカ、中国、インド、ブラジルと言った二酸化炭素主要排出国がそっぽを向いたが、今回も中国をはじめとする開発途上国は削減目標に反対している。
温室ガス削減は先進国の任務だ。開発途上国は二酸化炭素を撒き散らそう

 前回の温室ガス削減交渉は大失敗だったのは、世界のトップ排出国、アメリカと中国がこの枠組みから外れてしまったために、温室効果ガスの削減はまったく不可能になってしまったからだ。
注)この2カ国のウェイトは約40%だが、近年ますますそのウェイトが増加しており、ヨーロッパや日本がいくら削減しても意味がなくなっている。

 それでもヨーロッパはまじめに取り組んできたが、日本はすっかりやる気をなくし、90年対比で約10%も温室ガスが増加してしまった。2012年までの削減目標が6%だったため、都合16%も増加しており、日本は削減国にペナルティーを払わなければならない。
削減なんてできそうもない。金を払えばいいんだろう」これが自民党政権の基本的立場だった。
注)ペナルティーの金額は5000億円から1兆円の間になりそう。

 日本は環境先進国とよく言われるが、それは全体の約35%を占める産業部門だけの話で、残りの運輸(約19%)、オフィス(約18%)、家庭(約14%)などはまったく手付かずと言っていい。

 運輸においてはハイブリッド車や電気自動車が決め手なのだが、本年のに入りようやくハイブリッド車が売れ出したと言う状況だ。
オフィスは従来に比較して省エネに熱心になったとはいえ、残業好きの日本人がいる限り、蛍光灯もクーラーもたった一人のために稼動していたりする。
また家庭の省エネなどはどこでやっているのという状況だ。
かくして日本の二酸化炭素の排出量は毎年増加してしまった。


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 実は二酸化炭素の排出を抑えるためにまず実施しなければならない方法は、炭素税の導入である。
炭素税は北欧諸国やイギリスなどではすでに導入しているが、フランスでもサルコジ大統領が来年から導入すると表明した。

 炭素税とは二酸化炭素を出すものにはすべて課税され、たとえばガソリン、石炭、ガス等の使用に対し使用者が支払うことになる。
簡単に言えばガソリン代、電気代、ガス代に上乗せされるのだから、一般的には増税になる。
二酸化炭素を使用することにペナルティーを与える
注) ただし日本の場合はガソリンは暫定税率で税金が高く設定されているため、暫定税率を廃止してそれに変わって炭素税が導入されそうだ

 こうして税金を上げ、二酸化炭素を使用することが高価になると知らしめた後に、二酸化炭素を使用しない生活へのモデルチェンジを誘導する。

具体的には25%削減のために以下の政策が必要になるとされている。
注)ただし数値は麻生内閣の試算で使用した数値で、財界の要請を強く受け、温室ガス削減が不可能な理由付けのために使用された。

① 石油・石炭の火力発電所を原子力発電所に代える
② 太陽光発電を大幅に導入する(現状の55倍程度)
③ 新車販売の90%を次世代カーに切り替える
④ 省エネ効果のない住宅の建替えをする
⑤ 企業に排出枠の割り当てと排出枠取引を導入する


 こうしたことで25%削減を達成できなければ、ふたたびヨーロッパにペナルティーを支払わなくてはならない。

 やや試算が大げさとしても、常識的には後10年余りで、このような措置が可能となりそうもない。
原子力発電は住民の反対が多いし、太陽光発電が55倍になるなんてありそうもないし、新車販売の90%がエコカーになるはずがない。
結局民主党の二酸化炭素削減策はCOP3の京都議定書と同様金で解決するよりほかに手はなさそうだと言うのが実情だ

注)今回の選挙で私は民主党を応援したのだから、責任のいったんは自分にもある。ペナルティーを払うだけでは能がないから、何とか25%削減の方法がないか、このブログで検討していくことにしよう。
理想主義の息子を持った親が、息子の後始末をしなければならないような立場になってしまった。





 

 

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