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(21.8.31) 衆議院選挙結果と民主党の国政運営(経済政策)

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 衆議院選挙結果は予想通り民主党の大勝に終わり、自民党政治が終焉した。
自民党政治の耐用年数が過ぎていることはこのブログで何回も記載してきたので選挙結果は当然と思うが、それでも戦後政治のほとんどの期間で政権担当してきた自民党が下野したことに感銘を覚える。

 私自身、今回の選挙について自分自身の政治的センスを確認するために事前に選挙結果予測を公表したが、公明党を除いてほぼこの予測通りの結果になったことに満足している。

(21.8.26)の衆議院選挙の予測と民主党政権の行方を参照

注:公明党だけ予測を間違えた。公明党は都議選と総選挙との間隔をあけるように主張したが要望がかなえられず、7月、8月と両選挙が行われた。
公明党は特殊な選挙方法をとってきたといわれており、今後はそうした特殊形態の分析が必要なようだ


                          予想        実績  
・ 民主党    300±20       308 
・ 自民党    115±12       119
・ 公明党      31±3               21
・ 共産党       9-1         9
・ 社民党       7-1         7
・ 国民新党     4-1         3
・ みんな       4-1         5
・ 改革        1-1         0


 さて次は新たに発足する民主党を中心とした政権についての国政運営だが、マニフェストでは国の総予算207兆円を全面組み替えることになっている。
具体的には以下の通りで新たに約17兆円の財源を確保するという。

 もっともこれは25年度までに達成するということだから、21年度予算をすぐさまこのようにするわけではない。

① 「国の総予算207兆円を徹底的に効率化。ムダ使い、不要不急な事業を根絶」して約9兆円の財源確保

② 「埋蔵金を国民のために活用」して約5兆円の財源確保

③ 「租税特別措置のみなおし」で約3兆円の確保


 21年度予算については実際問題としていったん決まった予算を全面的に組み替えることはできるはずもないから、若干の修正程度しかできないのだろう。
民主党政権の本当の予算案については22年度からとなると言うのが実情だ。

 さて、22年度から民主党が導入しようとしている子供手当ての半額実施や、公立高校の実質無償化等の必要財源約7兆円は、上記の①②③によって実施することにしているが、はたしてそれだけで財源が確保できるだろうか。

 特に③の租税特別措置の見直しはそれによって利益を得ている団体や個人からの抵抗がありそうだし、①についても川辺川ダムや八ツ場ダムの中止には圧力団体がありそうだ。

 民主党のマニフェストを読んで見て一番感ずるのはこの財源問題(他に外交問題もあるが前にブログで述べているのでここでは触れない麻生首相から攻められていたとおり、この問題は一筋縄ではいきそうもない。

 財源手当てがうまく行かない場合の対応策は、消費税の導入は4年間はしないと約束しているので、結局は赤字国債を発行することになるのだろう。

 日本の財政赤字は世界的に見ても突出しているので、これ以上財政を悪化させてよいのかという議論が財務省あたりから出てきそうだ。

 竹中平蔵氏のような財政再建論者から見たらとんでもない対応ということになるが、幸いにも現在は金融恐慌対応として各国政府は財政赤字を拡大しており、オバマ政権といえども国債手当て以外に財源を持っていない。

まあ、どこの国でも国債を増発しているのだからいいじゃないか」ということになりそうだ。
かつてはムーディーズのような格付機関が日本国債の格付けを引き下げて日本政府の顰蹙を買ったが、格付機関の信頼もサブプライム問題で評判が地に落ちてしまったので問題はなさそうだ。

 しかし私のように物心ついたときから自民党政治を見てきたものについて、今回の選挙結果は歴史的変革だということがよく分かる。
幕藩体制が崩壊した明治維新のような感覚だ。

 今後民主党政権が行き詰ったとしても、元の自民党政権には戻りそうにない。自民党政権の歴史的使命は終わっているからだ。
長らく生きていると、実にいろいろな経験ができるものだと感銘している。

(注:自民党政権が歴史的使命が終わっていることは、(21.8.16)自民党幕府の崩壊と大政奉還を参照)

 

 

 

 

 

 

 

 

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(21.8.30) 今日は総選挙

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 今日は総選挙の日だ。民主党にとっては待ちに待った選挙だし、一方自民党にとっては本当はしたくもない選挙だ。
麻生総理は当初選挙管理内閣と思われていたが、直後に発生したリーマンショックを逆手にとって「政局より経済だ」と半分は国民をおどしながらここまで政権を維持してきた。

 その間に神風が吹くことを期待し、実際民主党小沢前代表の政治献金問題で優勢に立ったものの、自らの舌禍や中川前金融担当大臣の酩酊会見等の失点が大きく作用し、国民の信頼を失ってしまった。

 民主党が断然優位を保って総選挙を向かえており、今日の深夜には大勢が判明しているだろう。
私は今回の総選挙は小泉郵政選挙逆バージョンで、民主党中心の内閣が組閣されることは間違いないと思っているから、次のステップは民主党政権の今後のあり方にかかってきたといえる。

 先日の金曜日の夕刻母の介護から帰ってきたとき、鎌取駅前で民主党公認候補の岡島一正氏が民主党のマニフェストを配布していた。私は岡島氏本人からマニフェストを受け取って読んでみた。
実を言うと私がマニフェストをまじめに読んだのは今回が初めてだ。
最もマニフェスト選挙は民主党の小沢前代表が前回の参議院選挙のときから本格的に始めたのだから、それほど歴史があるわけではない。

 しかしマニフェストはいいものだと思う。言った事と実際の比較が可能になるので、政権運営をするほうは、「ありゃ、選挙のときだけの口約束だ」なんて言えなくなるし、一方野党も「マニフェストと違うではないか」と攻めることができる。

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 今回の民主党のマニフェストを読んでみて、子育て支援、官僚の排除、地方分権が民主党のキーワードだということがよく分かった。

 子育て支援についは、日本の出生率が世界的に見て最も低い国の一つであることは間違いないからその必要性はわかる。
子供を育てるのが難しい社会ということで、実際私も子供は2人だが3人目を作るには経済的に躊躇した。
子供手当てや出産支援で今後出生率が上向く可能性は高い。
私の息子は「年額31.2万円の手当ては大きい」と言っていた。

 官僚支配からの脱却は自民党政権ではまったく不可能だったのだから期待ができる。
官僚がいかに力を持っていたかは「事務次官会議」と言うものを見ると分かる。
日本の政治の実質的な決定機関はこの「事務次官会議」でここを通過した案件だけが、内閣の了承事項になる。

 はっきり言ってしまえば事務次官が「NO」と言えば、法律もあらゆる政策も何一つ決まらないのだから、政治家は官僚のスポークスマンのようなものだ。これを今回政治家主導の「閣僚委員会」に権限を移そうと言うものだ。
昔陸軍、今官僚と思えばイメージがわく

 日本で天下りや外郭団体がやたらに多いのも、この日本の実質的な支配者が官僚組織であることからきている。こうした官僚支配の構図が民主党政権で変わることを期待しよう。

 地方分権はこれも官僚機構に対する挑戦の一つで、中央集権の方が何かと中央官庁にとってやりやすい。地方に権限を与えてしまうと、中央官僚が地方官僚を抑えることができなくなってしまう。

 全国一律の金太郎飴のような日本を目指している中央官僚にとっては、地方ごとに特色ある地方自治などが発生してしまうと面倒だ。
地方分権のイメージは江戸時代の幕藩体制のようなもので、幕府は藩の内政には関与しなかった。その結果地方は地方独特の文化が芽生えたのだが、それを中央集権の明治政府がことごとくつぶしたと言うのが実態だ。

 さてここまで民主党のマニフェストを読んでみて、外交問題にほとんど触れていないことに驚いた。民主党政権は完全に内向きの政権であり、世界のことについては何も考えないか、考えようとしない政権だと言える。
(注)正確に言うとマニフェストの最後の項目で外交政策が少しだけ記載されているが、いかにも付け足しという感じで意欲はまったく感じられない。

 おりしも海の向こうではオバマ政権と言うこれも完全な内向き政権が誕生し、世界のことよりも自国の経済の建て直しと医療保険制度の確立だけに邁進している。
リーマンショック以降の世界は地政学の世界だと言われているが、地政学とは日本で言う戦国時代と同じだと思えばイメージがわく。

 アメリカが世界の警察官から降りてしまい、それぞれの国家が自国の責任で、その防衛をはからなければならない時代で、日本にとりならずもの国家北朝鮮と覇権国家中国との対応を、アメリカの支援抜きでしなければならない時代に入ってきた。

 民主党政権はそうした難しい外交戦略をとらなければなら時に政権運営をするのだが、アメリカの軍備に全面的に頼った自民党政権ほど外交が上手だとはとても思われないのが気がかりだ。

 

 

 

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(21.8.29) 母の看護

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 母親の看護を始めてから4週間たつ。母親は玄関の段差で転んで第2腰椎の圧迫骨折をしてしまい、全治6週間といわれていた。
当初は弟が面倒を見ていたのだが音を上げてしまい、妹を含めて兄弟3人で面倒を見ることにした。

 私は木曜日から土曜日まで2泊3日の看護をすることにし、八王子の実家に毎週帰っている。
当初は歩くこともできず、トイレに抱えて連れて行っていたが、幸いにも私が看護を始めた1日前からトイレに自分で行けるまで回復した。
よかった、下の世話はしないで済む

 私の仕事は食事作りと、買い物と、裏の草刈やごみ出し程度になり、夜は安眠できる。
この程度のことはいつもしているので、作業はいたって簡単だ。
ご飯などはレンジでチンして、インスタント味噌汁を作り、適当におかずを見繕えばいいのだから、ものの5分もあれば用意できる。

 かみさんから見ると「おとうさんは何でも手抜きだから・・・」ということになるのだが、それ以外の食事の作り方は知らないのだから致し方ない。
しかしそうなると時間をもてあまし、暇でしょうがない。
買い物も草刈もすぐ終わってしまい後は待機をしながら寝ているだけなので身体がおかしくなってきた。

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こりゃまずい、何とかしないと腹に脂肪がたまってしまう
先週からは近くの小宮公園JOGを始めた。小宮公園は都市近郊の公園としては例外といっていいくらい深山にある国立公園に似ている。

218_019  下が湿地帯になっているため木道が整備されており、上り下りが適度にある尾瀬を小型化したような公園だ。すっかり気に入ってここの木道を走り回っている。
登りは少しきついが走った後は汗だくになって実に気持ちがよい。

 幸い母親も来るたびに元気になり、食事の後片付けや入れ歯の歯磨きなども自分でできるようになってきた。
外に出ることはできないが家の中の作業であれば一人でできる。
これなら、もう完全看護は必要なさそうだ
弟と相談して看護のレベルを下げることにした。

 しかし今回はこの程度で済んだが、これは介護生活の最初の一歩ということになるのだろう。骨折は癖になるから、母親はこうした骨折を繰り返して、最後は本当に歩けなくなるということを覚悟しなければならない。

 そうしたとき「兄弟で母親を面倒見るのか、介護施設にあずけるべきなのか」というどこの家庭でも発生する難問に立ち向かわなければならなくなりそうだ。
いままで老人介護の問題を考えたことがなかっただけに、今回はいい経験をしたと思っている。

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(21.8.28) 高校柔道部の同窓会

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(現在の母校。建て替えられて美しくなっていた

 先日(22日)高校柔道部の2回目の同窓会が行われた。私たちが高校生だったのは45年以上も前のことだからほぼ半世紀前のことになる。
集まったのは8名で昔の話に花が咲く。

 同窓会のいいところは現在の地位や立場に関係なく、45年前にタイムスリップしてしまうことで、たとえ頭髪がどんなに薄くとも気持ちは高校生になる。
オマエの背負いはどうだった」とか内股の切れが悪かった」とか、ああだ、こうだと言い合っているうちに若かった高校生の自分がよみがえる。

 私のいた高校は都立の進学校で、柔道部はお世辞にも強いとは言えず、私立の強豪チームにいつもぼろ負けだった。
相手高は対戦相手がわが高校柔道部だと知ると、「これは楽勝だ」ということで二線級の選手を出すほど余裕があったものだ。

 もっともそこまでなめられてしまうと、当方としても一矢を報いなければ男が立たないので、私などは高校生がほとんど使用しないかにバサミという奇襲戦法でめでたく一矢を報いたものである。

 当時高校柔道部の練習場は戦前からの建物(現在は建て替えられて残っていない)の一角にあり、掃除はするものの漆喰がぼろぼろ落ちてきて埃っぽいことこの上なかった。その上柔道着はほとんど洗濯をしないので臭さを通り越していた。

 男臭さだけが売り物(本当に臭かったのだ)の柔道部員は、同級生の女性たちからは見向きもされなかったがその理由が分からず、「女は男を見る目がない」などとうそぶいていたものだ。

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 毎年の夏の合宿は実に面白かった。最終日にはコンパ場で打ち上げ会が行われるのだが、合宿のときだけ現れる先輩が酒を振舞ってくれた。
もちろん青少年が酒を飲むのは違法なのだが、当時はそうした規制はあってなきがごとくだった。

 酔って罵声をあげて、戦前から引きつがれきたエロ歌を歌うのだが、あまりの騒々しさに回り近所の住民からクレームがついた。
お前たち、いい加減にしろ。うるさいぞ・・・・・・・・」壁の向こうから大声がする。

 先輩の一人が私に言った。
オマエ、あんなことを言われて黙ってていいのか。主将だろう・・・・言い返して来い
オッス、行ってきます

 壁の前に立っていったものだ。
前たちこそ、うるさいぞ、つべこべ言うな!!!」

 壁の外の住人は完全に頭に来て警察に通報し、コンパ場に警察官がやってきたときは心底驚いた。
周りの住民から苦情が出ていますので、静かにしてください
当時の警察官は粋だったから酒を飲んでいることはお目こぼしをしてくれたようだ。

 思えば高校生が酒を飲んでエロ歌を歌っても許してくれた時代だった。
今だったら校長が責任を取って辞職しなければならないだろう。

 そうした古きよき時代を思い出したひと時だった。

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(21.8.27) 映画「剣岳 点の記」を見てきた

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 新田次郎の小説を木村大作監督が映画化した本年度日本映画の最高傑作の一つである。
この映画はいつものように四季の道で会うGoogleおじさんに誘われた。
山崎さん、『剣岳 点の記』はいい。是非見に行ったら

 昨年、剣岳ちはら台走友会の夏山登山をした頃から、この映画がロケされているのを知っており、是非見に行こうと思っていたので早速出かけて行った。

 『剣岳 点の記』は日露戦争直後、北アルプス剣岳の登頂を命じられた測量官、柴崎芳太郎をモデルにした小説を映画化したものである。
当時、日本全国の測量は陸軍の参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が実施していた。
そして高山の登頂は、修験者によって初登頂された山(実は剣岳も修験者に初登頂されていた)以外の山は、ほとんど陸地測量部によって登頂されていたという。

 この当時地図はある意味で国家の軍事機密であり、それゆえ陸軍の管轄だったのだが、ロシアなどはソビエト政権が崩壊するまでモスクワの正確な道路地図を公開していなかったくらいだ。
日本でも伊能忠敬が作成した日本地図のコピーをシーボルトに渡した幕府天文方、高橋景保が斬首されている

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 映画は剣岳周辺の測量剣岳登頂を命じられた柴崎芳太郎が、山案内人宇治長次郎とともにこの困難な仕事を成し遂げていく過程を、自然の厳しさを織り交ぜて撮影されており、カメラワークはすばらしい。

 また人物描写においても、柴崎芳太郎役の浅野忠信や宇治長次郎役の香川照之が好演しており、行者役の夏八木薫が風雪に打たれながら念仏を唱えているシーンは心に残った。
一言で言ってとても好感の持てる映画だ。

 撮影はほぼ1年かけて現地ロケを実施し、山岳測量シーンは監督の「これは撮影ではなく『行』である」との信念に基づいて撮影されたという。
登場人物の目線や感覚を大切にするため、空撮やCG処理に頼らず山小屋やテントに泊り込みながら明治の測量官が登った山に実際に登り、長期間をかけて丁寧に撮影をおこなったそうだ。

 実際、テントが風雪に吹き飛ばされる場面や、大嵐に襲われる場面は実によくできており、また当時の登山の方法(ロープはあったが先頭で岩登りをする人の確保の方法は存在しなかったようだ)がよく分かって私には参考になった。

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 この映画のできはすばらしく、本年度の日本アカデミー賞を受賞することになると思っているが、たった一つこの映画には不満がある。
それは撮影が現地ロケで行われているため、最も困難な登頂の場面がないのである。

 正確に言うと柴崎芳太郎一行は現在長次郎谷(このときの長次郎の偉業をたたえてこのように命名された)といわれる雪渓を登っていくのだが、最後に約60mの垂直の岸壁が立ちはだかる

 ここを四等三角点を作るための資材(3mあまりの丸太)を長次郎が担ぎ上げたのだが、そのシーンがないのだ。
ここがルートの一番困難な場所で、剣岳に登ったことがある人ならカニの横ばいを思い出してもらえば分かる。

 だがそんな危険な場所では、カメラを抱えて撮影するわけに行かず、その結果山岳映画ではしばしば最も困難な場所の撮影ができない私の知っている限り、この最難関の登頂の撮影に成功した人は、世界的登山家でかつ映画監督だったガストン・レビッファしかいない。レビィファは『天と地の間に』でこの偉業を成し遂げた)。

 この最後の60mが抜けていることはなんとしてもこの映画の弱点で「画竜点睛を欠く」思いだ。
こうした場所の撮影はレビッファのような世界的な登山家以外は不可能なのだから、CG(コンピュータ・グラフィックを駆使して登坂画面を挿入してほしかった。
そうすればシルベスター・スタローンクリフハンガーのような迫力が出たのにと思うと残念でならない。

 だが、欲張るのはよそう。この映画は本年度の日本映画の最高傑作の一つであることは間違いなさそうだ。

注)この映画では陸地測量部と日本山岳会の小島烏水が剣岳初登頂を目指して競争する設定になっている。しかし実際は映画で描いたほどの登坂競争というようなものはなかったのではないかと私は思っている。

 なぜなら陸地測量部は測量が任務であり、実際4月から10月まで約半年間剣岳周辺で測量を実施した。測量のためには三角点が必要だが、剣岳山頂は主要な三角点の設置場所ではなく、ここに三角点がなくても測量はできたという(剣岳の三角点は4等三角点で、測量記録は3等三角点までなので記録に残っていない)。
柴崎芳太郎はこの測量の一環として7月13日に登頂している。

 一方小島烏水横浜正金銀行の銀行員であり、定年まで勤めているからサラリーマン登山家といえる。今も昔もサラリーマンが長期間登山のために休むことなどできないから、夏休みを利用して剣岳に登坂しようとしたはずだ。

 これでは小島が柴崎に勝てるはずがない。だから映画にあるような強烈なライバル関係はなかったのだと私は想像している


 

 

 

 

 

 

 

 

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(21.8.26) 衆議院選挙の予測と民主党政権の行方

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 私は選挙が行われるたびに、当選者数の予測をおこない実績値との突合せを行うことにしている。
これは私自身の政治的センスの確認のために行っているもので、ブログにいろいろなことを書いてきた結果とうまく整合性が取れているかのチェックとして行っている。

 もしうまく当てられることができれば、書いてきた内容は正しかったと証明されるわけだし、反対に外れればなぜ外れたのかの検討が必要になる。
また、予測をブログに掲載するのは、あとで「自分はそうは思っていなかった」なんて弁解ができなくするためで、大げさに言えば背水の陣をひくためである。

 今回の総選挙については自民党政権がすでに耐用年数を経過してしまったことは何回か記載してきた。もっとも民主党政権がその後釜としてうまく機能するかどうかは未知数だが、国民の大多数は「もう、自民党はいいや」という気分であることは確かだ。

注)自民党政権の耐用年数問題は「自民党幕府の崩壊と大政奉還」を参照してください

 そうした前提の下に、今回の結果予測のための前提条件をあげておく。

① 今回の選挙は前回小泉郵政選挙の逆バージョンになる。自民党と民主党は完全に入れ替わる。

② 公明党は手堅く現状維持をはかる。

③ その他の小政党は現状維持か、議席を減らす。

④ 予測の変動幅はおよそ1割程度

上記の前提条件を基に当選者数を予測すると以下のとおり。

・ 民主党    300±20
・ 自民党    115±12
・ 公明党      31±3
・ 共産党       9-1
・ 社民党       7-1
・ 国民新党     4-1
・ みんな       4-1
・ 改革        1-1

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この選挙が終了すれば、民主党を中心とした内閣が組織されるはずだが、民主党は内政に強いものの、外交はアキレス腱になる可能性が高い。

 内政では自民党道路族国土交通省が牛耳ってきた土建業政治(行政)がようやく終わりになって、福祉行政が始まりそうだ。
福祉に金が回らなかった原因の一つが、この道路建設ばかりに予算を配布していたことだったので、実に喜ばしいことだ。

 しかし外交は問題が多い。
小沢前代表の「
国連中心主義」や「日本の防衛のためには第7艦隊さえあればいい」という発言はアメリカの神経を逆撫でしていた。

 実際はアメリカもオバマ政権になってから、日本の防衛を真剣に考えなくなってきている。アメリカは自国の防衛のために日本や韓国に駐留している米軍をグァムアメリカ本土に引き上げたいというのが本音だ。
ソビエトは崩壊したし、中国は貿易の最大の友人だ。北朝鮮はほとんど取るにたりない。共通の敵がいないのになんで日本を守る必要がある

 だから民主党政権日米安保条約地位協定の見直しに着手したいと表明すれば喜んで応じてくれるに違いない。
その代わり、自国の防衛は自分でしなさい

 一方日本にとっては、周りに北朝鮮のようなやくざ国家や、東アジアで覇権を確立しようとしている中国がいる。両国ともミサイルと核兵器の保有国だ。
この二国にアメリカの後押しなく対抗することはまったく不可能だ。

 しかし日本の民主党のアメリカ嫌いと、アメリカ民主党の日本嫌い(オバマ政権は中国と手を握り、日本を無視する政策をとっている)がぶつかり合えば、戦前の日本とアメリカの関係が復活してくる。
だから民主党政権になった場合は、外交問題アキレス腱になる可能性が高いと私は思っている。

 

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(21.8.25) 韓国経済の光と影

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 韓国経済に対する見方が大きく分かれている。超楽観論と超悲観論といっていいような分かれ方だ。

 超楽観論は主として韓国政府から出されているもので、最近発表された第2四半期GDP対前期比+2.3%OECD加盟国の中で最高の伸び率になったことからきている。
それまでの推移は08年第4四半期▲5.1%09年第1四半期+0.1%だったので、ここにきて韓国経済は完全に底をうちV字型回復が可能になったというものだ。

 内訳を見ても民間消費、設備投資がいずれもプラスに転じており輸出も好調だったことから、この回復は本物で、韓国経済は不況を克服したという判断である。

 一方超悲観論英エコノミストや韓国経済に詳しい経済評論家の三橋貴明氏の分析によるもので、韓国の08年度ファンダメンタル最悪の数値を示したことにより以下のように説明される。

 09年3月英エコノミストによると、「新興市場のなかで最悪が南アフリカ共和国、ついでハンガリー、3番目がポーランドと韓国」でその理由は
韓国の外貨準備高に占める短期債務の割合は102%(だから期日が来て借り換えができなければ外貨準備はすぐに底をつく)で、かつ銀行預貸率も130%と高い(銀行は30%相当額を市場からの資金調達でまかなっており、市場がタイトになると貸し出しを圧縮しなければならない)」からと説明した。
これに対し韓国政府は猛然と英エコノミストに噛み付いた

 一方三橋貴明氏は最近発売された「完全にヤバイ韓国経済」(表題は週刊誌のようだが、分析は的確)の中で以下の3つのグラフを基に次のように説明している。

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① 韓国経済は08年劇的な変化がおこった。それまで常に黒字であった経常収支と資本収支が一気に赤字になり、それまで延々と積み上げてきた外貨準備を取り崩すことで対応せざる得なかった(07年外貨準備2576億ドルー08年外貨準備2012億ドル=566億ドルの減少 約5.4兆円)。

注)資本収支とは韓国の場合海外からの短期借入金であり、07年までは金融機関が盛んに資金調達をおこない、その資金が株式や不動産を購入するために投資されていた。

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① 図1-8の経常収支をブレイクダウンすると、なぜ経常収支が08年に大幅に減少したか分かる。貿易収支が大幅に落ち込み、サービス収支(観光や輸送等)込みで見ると、大幅な赤字になっている(貿易・サービス収支が純輸出となる)。
この結果08年韓国の貿易は貿易立国であるにもかかわらず赤字に陥った。

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① 図1-8の資本収支が08年、なぜ赤字になったのかの原因はその他投資(海外からの短期資金)が06年、07年と大量に入っていたのが、08年になり引き上げられたからである。

この06年、07年がまさにバブルの時期に相当し、韓国の金融機関が短期金融市場で自由に資金調達していたのが、リーマン・ショック以降、資金調達ができなくなったことを示している。

② さらに言えば、直接投資や証券投資のような外資が06年、07年、08年と継続して流出しており、この頃から外資は逃げ出していたことが分かる。
それを韓国の金融機関が短期資金を調達して補っていた。


 このように三橋貴明氏は韓国経済を分析した後、この傾向は09年も継続し、最終的には韓国経済は破綻のカウントダウンが始まったと結論付けた。

 以上のように韓国経済については韓国政府のような超楽観論と、英エコノミスト三橋貴明氏のような超悲観論が拮抗しているのであるが、果たしてどのように判断したらよいのだろうか。

 結論を言えばどちらが正しいかはすべて中国経済の動向如何といえる。中国政府は財政と金融で世界に例を見ない規模で超緩和政策をとっており、この結果あまった資金が株式と不動産に流れてサブプライムローンに沸いたアメリカのようなバブルが発生している。

注)中国経済のバブルについては「世界経済の底入れと中国経済のバブル」で分析してあるので、その記事を参照してください。

 バブルで金周りがよくなった中国人が自動車や耐久消費財の購入に走り、中国のGDPは10%前後の超拡大が始まっており、その結果韓国や日本の対中国貿易が持ち直してきた。
09年第2四半期の韓国と日本の経済回復はこの対中貿易の輸出増によってもたらされた

 さて問題はこの中国のバブルがいつまで持つかにかかっている。アメリカのサブプライムローンの例を見るまでもなくバブルは必ずはじけるのだが、いつはじけるかについてははじけるまではわからない。

 三橋貴明氏は近い将来にはじけると想定しているが、私の予想はかなりバブルは持つのではないかと思っている。

 中国政府が金融引き締めに入ればその段階でバブルは収束するのだが、8%GDP信仰の中国政府が株や不動産の値上がり程度で引き締めに入るとは思われない。
成長しているのだから、今のまま超緩和策を継続しよう

 グリーンスパンでさえ防げなかったバブルを中国政府が軟着陸させれるとは思われないので、膨れるだけ膨れた後で、リーマン・ブラザーズの倒産のような形でこの中国バブルも収束するのだろう。

 それまでは韓国経済はファンダメンタルに時限爆弾を抱えながら、中国向け輸出主導でGDPの拡大を図っていくというのが私の予想だ。

注) 韓国経済の基本問題は貿易立国の立場を中国等に追い上げられ、貿易収支が傾向的に悪化してきたことによる。
これを海外からの短期借入金によってファイナンスしてきたが、短期借入金は経済状況によってたちどころに引き上げられるので、金融は常に不安定な状況下にある。

 こうした基本問題が08年に集中的に表れたが、現在は中国貿易の持ち直しによって一時的に小康状態を保っている。

 





 

 

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(21.8.24) オバマ大統領の不思議な戦争

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 オバマ大統領がはじめたアフガニスタンの戦争ほど不思議な戦争はない。
オバマ大統領はイラクの戦闘部隊を2010年の夏の終わりまですべて引き上げると宣言し、一方でアフガニスタンのアメリカ軍を現在の3万人規模から6万人増やして9万人にし、本格的な戦争をするのだという(年末までに6万8000人規模にし、さらに来年2万程度の増派を予定している)。

 現在のイラク派遣軍が約13万人だから、この措置はイラクの戦争の代わりにアフガンで同規模の戦争を行うと言っているのに等しい。

 今までのオバマ大統領のイメージは核兵器の廃絶をうたったり、イラクからの撤退を表明していたので、すっかり平和主義者だと思っていたが、どうやら違うらしい。
もっともオバマ大統領にすれば「われわれはテロリストだけを相手にする。アフガニスタンで戦う相手はテロリストだ。アフガニスタンの国民はわれわれの敵ではない」のだそうだから戦争とは思っていないのかもしれない。

 この言葉はかつてケネディ大統領が「われわれの敵はベトコンで南ベトナムの国民ではない」といっていたのに酷似していると日高義樹氏が指摘している。

 一番分からないのは、「なぜアフガンか?」ということである。イラクで散々苦労し、「もう中東問題に首を突っ込むのはよそう」というならそれはそれなりに理解できる。
しかし「イラクはシーア派とスンニ派の争いで泥沼状態なので、こちらは手を抜いてアフガンに集中しよう」という戦略はなんとも奇妙だ。

 中国戦線が泥沼になったので、乾坤一擲アメリカと戦争を開始した旧日本軍や、イギリスの空爆で大失敗をし、急遽ロシア戦線を開始したナチスドイツのようなものだ。

 イラクは石油埋蔵量でサウジアラビアに匹敵することが分かっているので、ブッシュがイラクにこだわった理由は分かる。アメリカにとり石油の支配こそはアメリカの覇権維持のキーで、サウジアラビアとイラクがアメリカ資本の元に押さえ込まれれば確かにアメリカの1000年王国は可能かもしれない。

 しかしアフガンにはアルカイダのようなテロ組織しかいない。しかもテロ組織は何もアフガンだけでなく、パキスタンにもイランにもアフリカの紛争国にもどこにでもいる。アメリカ軍が現在戦闘をおこなっているイラクなどもテロ組織の巣窟だ。

 だからイラクに派遣していた精鋭部隊を引き抜いて、アフガンに派遣する理由は何なのかさっぱり分からない

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 一方アフガンはイラク以上に難しい場所だ。この点について日高義樹氏が「オバマ外交で沈没する日本」という書物の中で、かつて一度も外国勢力がアフガンを支配に成功したことはなかったという事例を挙げていた。

① 紀元前4世紀、アレキサンダー大王は精鋭部隊10万人でインド国境のカイバル峠まで進駐したが、アフガン人の抵抗にあい補給路を立たれて孤立して退却した。

② 1839年、イギリス軍は一時アフガンを占領したが、1842年にはアフガン人の大々的な抵抗にあい、撤退をしようとした1万6500名のイギリス軍とインド軍が全滅させられた。

③ 1979年、ソビエト軍がアフガンに侵攻したが1988年、ゴルバチョフが12万人の遠征部隊を引き上げた。この戦争で1万5千人のソビエト兵士が死亡し、その後ソビエト連邦は崩壊した。

 日高義樹氏の結論として「オバマ大統領はアフガニスタンで『アルカイダだけを敵として戦う』と自信たっぷりに宣言したが、このままいけばアフガニスタンはアメリカにとって第二のベトナムになる」と見ている。

 オバマ大統領の心を読むのは実に難しい。本当の平和主義者であれば、ブッシュが始めた戦争はすべて止めて、イラクからもアフガニスタンからも撤退すべきなのだが、テロとの戦いだけは継続するという。

 しかしもう一度言うがテロリストは何もアフガニスタンにいるだけではなく、隣国のパキスタンやイランにもわんさかといる。現在アメリカ軍が懸命に治安維持を図っているイラクもそうだ。
まさかこうしたすべての国とも戦闘を開くとオバマ大統領は決心しているのだろうか。

 日高義樹氏はブッシュ嫌いのオバマが何でもブッシュのしたことをすべてチェンジしようとしているのだと分析する。
ブッシュは「主戦場はイラクで、アフガンは片手間」で戦争をしてきた。
だから何でも反対のオバマは「アフガンが主戦場で、イラクは片手間にするのではないか」と疑っている。

 しかしアメリカ人もどうやらオバマの戦争に懐疑的になってきており、世論調査では「アフガンで戦う価値なし」が51%と過半数を越えてきた。
また「大統領は国のために正しい決定をしているか」という問いに49%が賛意を示したが、これはしばらく前の60%から大幅に落ち込んでいる。
オバマ大統領の指導性に黄信号がともり始めている。

 正直言って私にはオバマの戦争はよく分からない。かつてのアメリカは戦略的国家であり、必ず戦略に基づいた行動をしていたのでブッシュの石油戦争はよく理解できた。
しかし今ではオバマ大統領の気まぐれによって、戦争を止めたり始めたりする国家になってしまった。

 アメリカはなぜ戦略性を捨ててしまったのだろうか?

 

 

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(21.8.23) 陸ガメ カメゴンとの日々

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 陸ガメ カメゴンは夏場はいたって元気だ。二階のベランダを走り回り、屋外に置いてあるクーラーのファンなどは、カメゴンの突進でぐちゃぐちゃになってきた。
おとうさん、カメゴンの不始末はお父さんの責任よ」かみさんから言われている。
カメゴンは私の分身みたいなものだ。

 このカメゴンは息子が結婚をするのを機会に私に預けていったものだが、その後2年以上経過し、すっかり我が家の一員になっている。
当初は私と娘が陸ガメフリークだったのだが、最近はかみさんもフリーク仲間に参加している。
布団を干しているとよってきてかわいいのよ

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 ここに来た当座は3kg程度だったのに、ついに7k g程度に大きくなってしまった。力は非常に強くクーラーのファンの下に入ろうとして持ち上げてしまうほどだ。

 えさは当初はレタスだけを与えていたが、そのうち野菜類なら何でも食べることが分かった。今はキャベツ、レタス、きゅうりが主で、時にバナナをあげ、皮膚がからからになってきたときは動物性のハムチーズを少し与えることにしている。基本は草食性だが動物性のものも適度に与えるといい。

 性格はいたっておとなしく、呼ぶと1分ぐらいして飛んでくる。すぐに反応できないのは脳の構造の問題らしく、このテンポの遅さがなんともかわいい。
また一つのことをしているときは他のことが分からないらしく、食事を始めると頭をつついても何をしても食事に集中する。
そうでないときは「シュウー」という音を出して頭と手を引っ込める。

 陸ガメを飼ってみて一番大変なことはウンチの処理だということが分かった。ウンチをそのまま放って置くと食べてしまい、口の周りがウンチだらけになる。
おい、カメゴン、またウンチを食ったのか・・・・・・
風呂場で口の周りと腹(ここにウンチがついている)を洗うのだが、7kg程度になると持ち運びも大変だ。
おとうさん、カメゴンにあまり食べさせちゃだめよ、そのうち家で飼えなくなったらどうするの」娘がいつも心配している。

 最近はかなり太り気味で顔つきも肉好きがよくなってしまった。ついえさを与えすぎるからだ。
かめちゃんは女の子なのに、こんなに不細工になってしまったわ」娘のクレームが心に刺さる。

 冬場は身体をほとんど動かさないし、食事も少ないため便秘が始まる。1週間程度はまったく便が出ないことがあり、そうしたときは「このままで大丈夫だろうか」と心配してしまうが、よくしたものでそのうちに硬い便をしてくれる。
このあたりは本能で制御されているらしく、あまり心配しないでよいみたいだ。

21818_020_3  いづれにしてもカメゴンは我が家の一員として夏場は二階のベランダを駆け回り、テラスの壁に突進し、クーラーのファンを持ち上げて遊んでいる(通風口は今にも壊れそうだ)。
その物音があまりに大きいので、よくお客さんから「二階で音がしてますが・・・・・」なんていぶかられるくらいだ。


 

 

 

 

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(21.8.22) 家と学校の草刈について

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 我が家の芝生と小谷(こやつ)小学校のつつじの植栽が草ぼうぼうになってきた。
おとうさん、今日は芝生を綺麗にしてくださいね」かみさんから言われてしまった。

 昨年までは家の芝生も小谷小学校のつつじも綺麗さっぱりにしておいたのだが、今年はどうもいまいち乗り気がしない。
巡礼の旅をしていたり、母親の介護をしていたりしたらすっかり家の周りの環境美化に手が回らなくなってきた。

 これでは「世界で一番美しい遊歩道になるように、定年パワーを全開させよう」というキャッチフレーズが泣く。
今日は意を決して家と学校の草刈を行うことにした。

 草刈の大敵は暑さと蚊で、蚊の防御を怠ると体中蚊の餌食になってしまうし、一方完全防御にすると暑苦しいことこの上ない。
この辺のバランスを取るのが実に大変で、たいていの場合は暑さに負けてくたくたになってしまう。

 今日はまず我が家の芝生の手入れから始めたが、表の芝生だけでくたくたになってしまった。裏は明日することにして、次は小谷小学校のつつじの手入れを行うことにした。

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 小谷小学校のつつじは私が数年来かけて再生を図っているもので、一時は夏の猛暑で門の右側のつつじが全滅しかけていた。
それを数年間かけて何とか現状のレベルまで回復させたのだが、つつじが死に絶えた場所には松葉菊を植えておいた。

21818_011_3  しかし残念なことにこの松葉菊の根付きが非常に悪い。雑草に負けてしまうのかもしれないがすぐに枯れてしまう。
今年の松葉菊は特に惨めだ。松葉菊のようにどこにでも繁殖できる強い植物がどうしてだろうか不思議でならない。

 がっかりしていたら、信じられないことにゆりの花が咲き始めた。私が植えた覚えがないのだが、誰かが植えてくれたか自然に生えたのかもしれない。
なんとなくうれしくなって夏場はこのゆりの花をメインにすえようと思っている。

 清掃活動も四季の道だけでは、おゆみ野全体の美化にはならない。せめて家の周りの美化ぐらいはファイトを出してしておかなければならないのだが、本音を言えば疲労困憊だ。

 


 

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(21.8.21) 私がいつも見ているブログ

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 私が毎日見ているブログを紹介することにしたい。毎日見ているということはこの種のブログがほぼ毎日更新されているということで、よほどのことがない限り更新されないことはない。

 しかし実際に毎日書くということは大変なことで、旅行などするときは書き溜めが必要になる。よく旅行先にパソコンを持て行って書けばよいのにという人がいるが、実際は環境が整っていなかったり、パソコンの運搬に気を使ったりしなければならないので、言うほど簡単ではない。

 だから毎日更新するブログはブログの管理者が実に熱心にまじめに更新していることになる。他にも良く見るブログはあるのだけれど、今回は以下の3つのブログを紹介します。

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① 梅爺閑話
http://umejii.cocolog-nifty.com/blog/

 最近の梅爺さんの記事は、以下のとおりで興味は西洋史、それも主としてキリスト教関係の歴史について詳細な検討がされています。
また、アーサーとジョージは梅爺さんが読まれた本の紹介で、本の紹介はまだ日本で翻訳されていない本がほとんどです。

 文体は丁寧で分析はとても知的ですし、ブログによくある押し付けがましさはまったくありません。
歴史ものに興味のある方は是非読まれることを薦めます。

  • Arthur & George(アーサーとジョージ)(2)
  • Arthur & George(アーサーとジョージ)(1)
  • ローマ帝国は、何故キリスト教を国教としたのか(2)
  • ローマ帝国は、何故キリスト教を国教としたのか(1)
  • クレオパトラ(4)
  • クレオパトラ(3)
  • クレオパトラ(2)
  • クレオパトラ(1)
  • 二階から目薬
  • ピョートル一世(3)

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    ② ちば公園のベンチから
    http://midorinochiba.cocolog-nifty.com/blog/

     このブログは元千葉市花の美術館の館長をされていた斉藤さんが主催しているブログです。斉藤さんは千葉市で長い間景観の仕事をされ、幕張の松林や千葉市の公園の整備をされてきました。

     それを元にブログを記載していますが、特に植物に対するみずみずしい感受性はとても参考になります。
    また、斉藤さんはヨットマンでもありますので、このブログで初めてヨットというものを知りました。
    文体もユニークでなかなかユーモアのある人です。

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    ③ 福谷章子のまちづくり
    http://fukutani.blog.ocn.ne.jp/blog/

     このブログは千葉市会議員の福谷さんのブログです。最近私も地方自治に関心を持つようになリこのブログを見ております。特におゆみ野周辺の出来事については参考になることが多く、最新の記事はおゆみ野の駅前で問題になっているムクドリの追い出し作戦でした。

     




     

     
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    (21.8.20) ブログ写真について

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     正直言うと私はブログの写真をほめられるのが一番うれしい。
    サンチャゴ巡礼の写真が綺麗ですね」とか「花の写真が美しいですね」なんて言われると有頂天になってしまう。

     有頂天になる理由はかつて私が山岳写真家にあこがれたからだ。白旗史郎氏の一連の名峰シリーズにうっとりし、「いつか自分もこのような写真を撮りたいものだ」と思っていた。

     しかし当時の山岳写真はすべてといっていいほど高級カメラで撮られており高級カメラ以外で撮られた写真はほとんど相手にされていなかった。
    しかもその値段はたとえばドイツのリンホフスーパーテヒニカなどは新品で100万円前後、中古でも50万円前後していた。
    うぅーん、手が出ない。山岳写真家にはなれないのか!!!」ほぞをかんだものだ。

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     しかしデジタルカメラがでてから状況が一変してしまった。
    今私が使用しているカメラは富士フィルムFinePixだが、2万円前後で十分期待できる写真が撮れる。
    正確にいえば、写真のできそのものは従来のアナログカメラと同じだが、コンピュータで自由に編集できるので、プロ顔負けの写真に修正できる。

     私が現在使用しているソフトはGoogleが無料で提供してくれているピカサ(Picasa)というソフトだが、これが非常な優れもので一度使用を始めると手放すことができない。
    操作はいたって簡単で、編集に必要なほとんどの機能を持っているのでPotoshopのような高いソフトを購入しないですむのがうれしい。

     撮った写真はPicasaでまず明度と彩度と輝度の調整をする。かつてのアナログ写真ではこれがまったくだめだったので、当時は何段も絞りをかえて同じ写真を撮ったり、光線がベストの状態になるまで粘ったものだ。
    今ではいかようにも修正が可能なのでまったく気にせず気に入った場所の写真を撮っている。

     その後、風景写真の場合はシャープネスの機能を使ってシャープな画面に変更し、花の写真の場合はサチュレーションの機能を使ってあでやかさを増すように修正する。
    最後に傾きを正しく修正して、不要な場所を切り取れば完成だ。

    ① 明度・彩度・輝度の調整
    ② シャープさとあでやかさの調整
    ③ 傾きの調整と切り取り


     これで見違えるような写真に変身する。写真の編集をしたことのない人には是非勧めたいが、この写真の編集は女性のお化粧だと思えばイメージがわく。

     それも慣れてくれば演歌歌手のお化粧のような変身が可能だ。
    坂本冬美さんの例を出して恐縮だが、お化粧をしていない冬美さんはどこにでもいる普通のお嬢さんだが、化粧をしている冬美さんは私でもドキッとするような絶世の美女だ。

     デジタルカメラを使用し、Picasaで編集するようになってから写真撮影がとても楽しくなってきた。しかもそれをブログで掲載できて、かつ「とても美しい」なんていわれてしまうと、かつて山岳写真家になろうとしていた夢がかなえられたような気分になってしまう。


    注)なお写真の編集にはそれなりのトレーニングがいります。まずオリジナルの写真の特性を見抜いてそれをどう修正するかの方針を立てる必要があるからです。
    私は試行錯誤の結果上記のような修正のパターンを身に着けましたが、これは何度も繰り返して実施していると自然と身につく技術です。

     

     

     

     

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    (21.8.19) 会議について

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     正直に言うが私は会議ほど嫌いなものはない。一番いやなのは時間がやたらとかかることで、その理由は日本の会議は全員がほぼ納得するまで続けられるからである。

     ある特定の個人が反対していると、その人を説得するために延々と会議が続く。いい加減に妥協するのが日本のルールなのだが、時にはこのルールを無視して自説を主張する人がいるので頭を抱えてしまう。
    いい加減に妥協してくれ

     会議が終わった後はすっかりくたびれてしまい、かつ精神が興奮しているので寝つきも悪い。
    幸いなことに私は定年退職者でリタイアしているので、そうした会議とは無縁になったが、昔を思い出すとよく我慢してきたと感心してしまう。なにしろ40年余りもそうした世界にいたのだ。

     私がもっとも苦手とする人は原則論を主張して一歩も後に引かない人だ。
    私が関係した事例では小さな会社を設立することにしたのだが、この会社の定款を大会社のそれとまったく同じように作れと主張してやまない人がいた。
    この会社は従業員もほとんどいないのだから、簡単にしましょうよ」といっても聞いてくれない。

     株式会社論をぶたれてしまい、従業員が数人しかいない会社に役員が10名近くになってしまった。
    役員会はとても立派なのだが、何しろ従業員が数名だから頭ばかり大きな組織となり、しかも大会社並みの役員会の頻度にしたので、従業員の仕事はもっぱら役員会向け資料の作成になってしまった。

     数年でこの会社は「収益を生まない会社」として整理されてしまったのは無理もない。
    私は忸怩(じくじ)たる思いだったが、この原則論を主張した人は、まったく意に返さないようで、その後も相変わらず原則論をはいていた。

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     もっとも原則論がすべて悪いわけではないが、この人の場合は議論では正論といえるような原則論を主張するのだが、議論以外では実に無原則なのだ。
    人には時間厳守を言いながら自分は時間にルーズだし、宴会などでは酒を飲んでは結婚している女性をすべて「オマエ」呼ばわりし、「オマエは馬鹿だ」なんて罵詈雑言をはいて泣かせてしまう。

     いつもこちらの方がはらはらしてしまった。
    それだけ議論で立派なことを言うなら、実生活も立派にしろ
    言いたくなるが、議論を始めるとまた正論を吐くので対応が実に難しかった。議論をしているときだけ立派で、後はすべてだめという人とどう対応したらいいのだろうか・・・・・


     最近は原則論の人だと分かると付き合わないようにしているので、被害は少なくなったがボランティア活動なんかで時に原則論が好きな人がいる。
    せっかく楽しい人生を過ごしているのだから、過去の経験を生かして、そうした人には敬して遠ざかるようにしている。


     

     

     

     

     

     

     

     

     

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    (21.8.18) 世界経済の底入れと中国経済のバブル

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     ここにきて世界経済が底入れしたのではないかと思われる指標が相次いで発表されている。

     本日(17日)発表された日本経済について言えば、09年4~6月期のGDPの伸び率が、対前期比年率3.7%(前期▲11.7%)の増加に転じた。5期ぶりの増加なのだから底入れといっていい。
    特に輸出(対中国向け)と個人消費、公共投資の寄与率が大きい。

     09年4~6四半期については、日本だけでなくアメリカは▲1%(前期▲6.4%)、ユーロ圏は▲0.1%(前期▲2.5%)、中国は前年同期比7.9%(中国の統計だけは常に前年同期比対比で出される。なぜ前期比対比で出せないか経済学者はいぶかっている)だから、世界経済は回復に向かっていると言えそうだ。

     なかでも中国経済の健闘が光っており、ゴールドマン・サックスなどはさっそく09年度の中国のGDP伸び率は前年比9.4%(従来は7.9%)になると予測を修正した(8月10日)。

     中国の株価の上昇も著しく最低時の倍にまで上昇し、最近は証券会社を中心に中国株への投資勧誘の言葉が踊っている。一頃低迷していた不動産価格も上昇に転じて北京では住宅価格が年初来30%も上昇したという。
    すわ中国経済の復活は本物だ、中国投資こそ日本の生きる道だ
    ふたたび中国シフトが始まった。

     しかしこうした中国株式や不動産の上昇については景気回復というよりも無理な金融緩和によるバブルとの分析が、三橋貴明氏によってされており、その論文「中国経済・偽りのV字回復」がVoice9月号に掲載された。

     三橋氏の主張は「ありあまった資金が株式と不動産市場に流れおり、早晩中国人民銀行が引き締めに転じると、07年11月の引き締めと同様に急激な株安と不動産価格の低落が始まる」というものである。

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     具体的には以下のように論旨が展開される(一部意訳して掲載しているので、別途三橋氏の全文を記載しておく)。

    ① 中国人民銀行は2008年9月以降5回にわたる利下げと、融資目標の設定による資金供給に乗り出した。

    ② このため人民元融資増加額は08年対比、09年度上期で1.5倍の101兆円(通年換算では3倍の約300兆円になる)の大幅な伸びになっている(アメリカの量的緩和枠は170兆円。イギリスは28兆円規模

    ③ しかしこの資金の流れを見ると、銀行は安全な大企業融資に絞り、本来の目的である資金が枯渇している中小企業融資に向かっていない(日本も同じだった)

    ④ 資金を押し付けられた大企業は、もともと設備投資の意欲が低くいので、一部設備投資に振り向けたものの残りは株式投資と不動産投資で運用している(
    このため株価の上昇と不動産価格の上昇が起こっている)。

    ⑤ 一方政府は国債を発行して4兆元(約55兆円)の公共投資を向こう2年間で実施することにしており、公共投資は拡大している(これが日本の輸出増と結びついている)。

     この資金は国債を発行して市場から調達するが、最近市場が加熱して公債の発行が思うに任せなくなってきた(
    09年7月、中国財務省が実施した200億元の国債入札が2週間で3度目の札割れになった。これは金融機関にとって公債よりももっと収益があがる株式や不動産案件が増えてきたため)。

    ⑥ このため中国人民銀行は融資を抑制して国債消化を図るか(
    公共投資を拡大するか)、このまま融資拡大路線をとって株式と不動産のバブルを放置するかの選択にせまられているが、07年11月の教訓から早めの引き締めに転ずるだろう。

    ⑦ 中国人民銀行が引き締めに転ずればバブルは一気に崩壊し、株式と不動産価格は暴落し、中国は深刻な経済不況にふたたび落ち込む。

    全文は以下のURLをクリックしてください。
    http://news.goo.ne.jp/article/php/world/php-20090808-01.html

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     さて三橋氏の論文と、ゴールドマン・サックスのような中国経済へのもろ手を挙げた期待とどちらが正しいのだろうか。

     ポイントは中国人民銀行が「資金が中小企業の設備投資に回らず、もっぱら大企業による株式投資と不動産投資に回っている」ことをどのように判断するかにある。

    ① 株式でも不動産でもGDP押し上げ効果があるならそれでいい。
    ② アメリカや西欧でおこった不動産を中心とするバブル崩壊が中国で発生するのを事前に防ぐ。

     三橋氏は「中国人民銀行は、きわめて近い将来に金融引き締めに転じざる得ない。そして人民銀行が政策を転換した場合、中国の現在のバブルは100%に近い確立で、一気に崩壊することになるのだ」と述べている。

     私の予想は「中国人民銀行はかなり長い期間バブルを放置し、株式と不動産のバブルをふくらまし続ける」というもので、そうしないと中国政府の公約である8%成長が確保できないことと、景気がいいときにバブルを潰すことはグリーンスパンでさえできなかった事例があるからだ

    政府の顔を立てよう。成長しているなら株式でも不動産でもいいじゃないか

     中国の株式は07年10月のピーク時から中国人民銀行の引き締めで08年10月のボトムまで、軒並み7割程度暴落した。今回も三橋氏の言うとおり暴落は間違いないとしても、アメリカと同様バブルを膨らませるだけふくらました後、大崩壊が起こるというのが私の予想だ。

    注1)中国のバブル崩壊のパターンは1990年前後の日本のバブル崩壊と酷似する可能性が高い。理由は主として大企業が株式、不動産投資を行っていることと、資金を金融機関が無制限に貸し出しているところが日本と同じだからだ。

    アメリカ型にならない理由は中国は消費者金融がアメリカのように発達しておらず、また国内市場の開放が十分進んでいないので、中国国内だけの閉じられたバブルで収まるため。


    注2)なお、中国政府の国債発行が不調に終わったのは金利設定が低いからで、今後国債発行金利を上げて資金を市場から調達せざる得ない。

     

     

     

     

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    (21.8.17) 耳がますます聞こえなくなってきた

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     どうしたらいいのだろうか、ますます耳が聞こえなくなってきた。テレビなどを見ていてもまともに聞こえるのはNHKのアナウンサーの声だけで、ドラマや大好きな笑点のようなバラエティー番組になると何を言っているのかさっぱり分からない。同時通訳などはひばりのさえずりだ。

     思い余ってかなり前からテレビでは日本語字幕を出すようにしているが、ドラマはともかくニュースなどは字幕がかなり遅れて出てくるので今度は画面と字幕のアンバランスに悩んでしまう。
    実際、日本語を日本語字幕で読むというのはかなり奇異なものだ。

     また先週から母親の看病を週2日始めたのだが、母親はひどい難聴で補聴器がないとまったく会話が成り立たない。先日まで補聴器を修理に出していたのでその間は筆談で会話をしていたが、私も母親の蚊の鳴くような声は聞こえないので、これも筆談になってしまった。
    あんた、耳が遠いね」難聴の母親から言われてしまった。

     会議などでも聞き取れないことが多く、また騒がしい宴会場での話なども相手が何を言っているのかさっぱり分からない。適当に相槌を打っているだが、ときどき変な対応をして相手にいぶかられる。

     補聴器をすればいいと思われるが、自分の耳に補聴器を合わせるのは、実は至難の業なのだ。過去何回かトライしたがうまくいったためしがない。
    引出にはそうした悪戦苦闘したあとの補聴器が転がっている。

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     耳になんら傷害のない人には理解不能と思われるが、難聴といっても色々なレベルがある。

     一般的に難聴のレベルは以下のように進行する。

    ① 小さな声が聞こえなくなる。この場合は音を大きくすれば良いので、増幅器を購入すればよい。よく雑誌広告に出ている一つ2~3万円程度の補聴器がこれにあたる。

    ② 高い音か低い音が聞こえなくなる。通常は高い音の方が聞きづらい。この場合は聞こえない音域の音だけを増幅する補聴器が必要で、よくデジタル補聴器といわれているのがこれにあたる。
    値段の幅は大きく、一つ10万~20万円のものが多い。

    ③ ある特定の音、特に子音が聞こえなくなる。それもすべてというより最初の子音が特に聞きづらい。
    たとえば、「
    たてもの  tatemono」が「あてもの atemono」と聞こえてしまう。


     この場合、会話を継続すれば何を話しているか分かってくるので「あてもの」でなく「たてもの」の話だということが分かるが、つねに頭の中で修正作業をしないと会話が成り立たなくなる。

     現在、私の難聴の度合いはこの子音が聞こえないレベルになってしまい、このままで行くと母音しか聞こえなくなるのではなかろうかと危惧してしまう。
    しかも困ったことに私の経験ではこの子音を強調して聞きやすくする補聴器で効果的なものはない。

     子音が聞こえないと、状況は次のようになってしまう。

    「私は山崎次郎です watasiha yamazaki jirou desu」

    第一段階
    「あたしは あまざき いろう えす atasiha amazaki irou esu」
    第二段階  
    「ああいあ あああいいおう  えう aaia aaaiiou eu


     これでは相手が何を言っているのか、さっぱり分からない。

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     子音はともかく、音を増幅したり高音を聞きやすくする補聴器はあるのだから、それだけでも補聴器を使用する価値があるのだけれど、私の実生活と補聴器がどうしてもなじまない理由が一つある。

     それは私が年がら年中スポーツをしていることで、スポーツと補聴器の相性は決定的といっていいほど悪い。
    補聴器は体が動かないか、緩慢な動作しかしない人向きで、マラソンなどの運動をしていると汗で補聴器が滑りやすくなり、いつの間にかなくなってしまう。

     前にカナル式という耳にすっぽり入る補聴器を使用していて落としてしまったときは愕然とした。一つ20万円弱していたので、探しまわったが見つけることができなかった。
    落とすくらいなら、もう使用しない」すっかり補聴器の使用を諦めた。

     だがしかし、最近の難聴の度合いは限界を越しそうだ。そういえば森進一補聴器をして歌っていた。森進一がそうしてがんばっているのだから、私も嘆いてばかりいないで、もう一度補聴器にトライする必要がありそうだ。

    主よ、これは主が私に課せられた試練なのでしょうか、ロドリゴは主の試練に耐えねばならぬのでしょうか
    ロドリゴよ、心の声を聞くのじゃ、神の声のみ聞くようにせよ。笑点が聞こえないくらいで子供のように嘆き悲しむのではないぞ。
    おおそうじゃ、良いことがある。森進一の『おふくろさん』を歌って元気を出すのじゃ!!!

     

     

     

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    (21.8.16) 自民党幕府の崩壊と大政奉還

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     自民党幕府の崩壊は時間の問題で、この8月30日の総選挙の結果は既に決したも同然だ。
    民主党の地すべり的勝利と自民党の大敗北であり、前回の小泉郵政選挙の逆バージョンだと思えばイメージがわく。

     自民党政治が既にダッチロールになっていたことは安倍、福田、麻生と続いた政権がそれぞれ1年しか持たなかったことでも分かる。
    このような短期政権はかつてのイタリアを彷彿とさせるが、最近では例を見ないほど短命だ。
    衆議院で公明党を加えれば3分の2の議席を持っている政権で、このダッチロールは信じがたい。

     しかし自民党政権の寄って立つ基盤は既に崩壊していたと考えると、このダッチロールも説明できる。

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     外交面では日米安保条約によるアメリカとの同盟が一枚看板だが、安保条約そのものは強国ソビエトに対抗するための同盟であり、既に20年も前にソビエトロシアは崩壊してしまった。
    今残っているロシアは核兵器の保有と天然資源の保有は一流だが、経済は中国にはるかに追い抜かされた二流国だし、アメリカと表面きって対抗する意思はない。

     日米安保条約による共通の敵がなくなってしまい、残ったのはならず者国家北朝鮮と軍拡著しい中国だが、日本にとっては脅威であっても、アメリカにとってほとんど無視できるような存在だ。

    注)北朝鮮の脅威は核兵器をアルカイダ等のテロ組織に売却するのではないかという脅威だが、これは日米安保条約で保全する内容ではない。

     また中国については将来的にはともかく現状では空母も保有していない軍事二流国で、アメリカは中国を軍事的脅威とみなしていない。
    それよりも経済のパートナーとオバマ政権はみなしている。


     日本とアメリカの同盟は共通の敵がいないのだから「敵なき同盟」として当然空洞化しており、自民党幕府の外交の寄って立つ基盤が崩れている。

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     一方内政では自民党幕府は、実際の実務を官僚に任せ、自分達はもっぱらばら撒き政治で道路とダムと橋の建設に奔走する土建業政党だったが、これも限界が来てしまった。
    あまりに土木建築に邁進し、今では熊だけが遊んでいる道路を作ったり、何の目的か分からないダムを作るのには、さすがに選挙民が反対するからだ。

     土建業政党の自民党幕府の金づるは道路特定財源約6兆円の上がりにあったが、これによって特に地方の建設業者に仕事を配分し、一方自民党にたいする強固な金銭的支持基盤を作ってきた(一般会計の約80~90兆円は実質的に財務省が取り仕切っているため、自民党が自由になる金はこの道路特定財源のみといってよかった)。

     この道路特定財源田中角栄元首相が日本を土建国家にするために作った聖域財源であり、小泉元首相ですらこの聖域を犯すことができなかたものだ。
    みなしゃん、日本は広い。この国中に新幹線と高速道路をひきつめようじゃありませんか

     しかしこの道路特定財源を一般財源化する話は福田前首相が約束し09年度予算から一般財源化された実際はその使途が相変わらず道路建設にむけられたものの、外堀は埋められたといってよい。
    大阪城と同じで、本丸の落城は近いだろう。

     こうして自民党幕府は安保条約の空洞化と道路建設の衰退と共にその役割を終えてしまったといえる。

     私は外交・内政面で既に役割を終えた自民党が、惰性とは言えよくここまでもったことに感心してしまうが、さすがに限界があったようだ。
    自民党幕府にかわる民主党政権が明治政府になれるかどうかは未知数だが、大政奉還がおこなわれ自民党幕府の時代が終えることだけは確かだ。

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    (21.8.15) ヨーロッパ経済の分析はいかにしておこなったらよいのか?

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     私が経済評論を書くようになってから一番悩んでいるのは、ヨーロッパ経済の把握がなかなかできないことにある。

     どうやら問題が山済みのようだが、それを的確に説明できない。
    分からない理由の最大の要因は情報開示が遅れており、しかも時価会計の導入が不十分なため、十分な分析資料がないことによる。
    一頃の日本経済と同じだと考えると分かりやすい。
    ヨーロッパ経済は魑魅魍魎の世界だ」これが実感だ。

     その中で最も分かりやすいのはイギリス経済で、ここは金融と不動産の動きをおさえれば動向が分かる。
    ドイツ経済は日本経済と似ていて、自動車産業を中心とする輸出産業の動きを抑えればかなり把握ができるが、金融がいまいちよく分からない。

     最も把握が困難なのはフランス経済で、何をキーに分析してよいのかさっぱりわからない。いわゆるへそのようなものがなく、かつ社会主義的な経済運営をしているので、資本主義の経済分析手法が使用できない。なかでも金融情勢がさっぱり分からないというのが実情だ。(情報開示も不十分だ)。

    その他の国の経済状況はさらに分からず、「ヨーロッパは一体どうなっているんだ」と悩んでいた。

     そうしたら、Voice8月号が「ユーロ圏が沈没する日」という特集を組んでくれて、クレディ・スイスのチーフ・エコノミスト白川浩道氏が「中東欧、不良債権の危機」という論文で実に的確に問題点を説明してくれた。
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     以下、白川氏の論説に従って要旨をまとめてみたい。

    ① 容易ならざる「悪循環のループ」

    ・欧州の金融機関(ユーロ圏、イギリス、スイス)が抱える不良債権は約2兆ドル(190兆円)で、アメリカの金融機関が抱える不良債権額とほぼ同じ

    ・内訳はアメリカ向け不良債権(サブプライムローン等)が1兆ドル、のこる1兆ドルが欧州向けで、不動産市場のバブル崩壊によるもの、欧州の企業の収益悪化によるもの、中東欧向け不良資産がそれぞれ3分の1づつを占める。

    ・不動産市場のバブル崩壊はアメリカよりひどく、かつての日本の不動産バブルの崩壊に酷似している(アメリカの不動産バブルはそれを担保に消費者ローンを組む等金融バブル的な面が強かった)

    ・企業の収益悪化は中小企業が特にひどく、過剰な設備投資に苦しんでいる(日本のバブル崩壊後の中小企業の立場と同じ)。

    ・中東欧むけの不良資産は、オイルマネーやロシアの資金が欧州の金融機関を通じて中東欧に流れ込んだものだが、石油価格の低迷により逆流現象が起こっている。

    ・中東欧諸国は投資資金をユーロ、スイス・フラン、円で調達したが、為替相場が逆流現象により自国通貨安に振れているため、返済額が膨れ上がってしまった。

    ・このため中東欧諸国は実質的に破算する国(ウクライナ、ハンガリー、バルト3国等)が続出しており、貸出し側も不良債権の増加に苦しんでいる(オーストリア)。

     ここまで読んでどうやら欧州経済の一番の問題点は中東欧諸国の不良債権問題であることが分かった。このまま行けば中東欧諸国の財政は破綻する。それは即EUの破綻につながりかねない。
    だからここでの課題は」中東欧諸国を誰がどのようにして救うかの問題ということになる。

    ② 欧州諸国が破綻する日

    ・通常こうした状況での処方箋はIMFからの借入で外貨準備を積みますことだが(それによって為替の介入ができる)、見返りに緊縮財政を要請されるため、中東欧の経済は低成長に陥る。そしてここから這い上がるシナリオが見当たらない(アジアの韓国やタイように世界の生産拠点として復活できない)。

    ・一方中東欧に多額の債権を持つ国にオーストリアがある(イギリス、ドイツ、フランス、スイスも同じだがこちらは金融の奥が深い)。
    オーストリアの融資額は国内総生産の約8割に登っており、オーストリアの金融システムは崩壊の危機にある。

    ・欧州中央銀行によるオーストリア支援は、ユーロの増発につながり、域内のユーロの価値を引下げることになるため、ドイツ・フランスが躊躇していて、機動的な対応ができない。

    ・その他の国では、スペインに極端な住宅バブルが発生したが、主要な資金供給先のイギリスの金融機関が資金を引き上げ、大きく景気が落ち込んだ。ここにも誰が助けるかの問題が発生している。

    ・アイルランドも住宅バブルによって多量の資金が流れ込んだが、それが逆回転し始めたスペインと同じ。

     そして白川氏は「ユーロの悲劇は、過剰な楽観論を放置したことで通過価値があがりすぎ、その反動がではじめていることであ」と結論づけている。

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     ユーロが異常に通貨価値が上がっていることは、私自身最近フランスの巡礼の旅をして実感したばかりで、現在1€=140円前後だが、実質的な購買力は1€=100円程度だ。
    実生活レベルの感度では約4割程度ユーロ高になっており、これは早晩解消される方向に動くはずだ。

     今回白川氏の論文を読んで、ヨーロッパ経済の分析のポイント

    ① 中東欧への融資の実態と、中東欧諸国のそれに対する対応
    ② オーストリア、スペイン、アイルランドといった弱小国の金融機関の救済方法
    ③ 不動産バブルを経験したイギリス、スペイン、アイルランドの不動産動向
    ④今後の金融機関における不良資産の開示のレベルと規制方法

    に有りそうなことが分かった。

     私自身上記の仮説に従って、今後分析を深めてみたいと思っている。

     

     

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    (21.8.14) ロドリゴ巡礼日誌 パリ番外編 その6 最終回

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    キリスト暦2009年7月10日

     ロドリゴ巡礼日誌最終回を迎えました。ここまで継続して読んでいただいた方には心から感謝申し上げます。

     出発時間はパリ発11時45分でしたので、その2時間程度前にはシャルル・ドゴール空港に到着することにしておりました。
    私の持っている航空券はHISで購入した帰国便を1回だけ変更できる航空券で、今回は変更がなかったため事前にリコンファームをしておりませんでした。

     外国の個人旅行をしていていつも悩むのが、このリコンファームでございます。今回のHISからの注意書きにも「既に予約が入っている場合は、予約便搭乗日の遅くとも3日前までには、航空会社オフィスに変更の旨ご連絡いただくようお願い申し上げます」と記載されておりました。

     素直に読めば、変更がなければリコンファームをしなくてもいいはずなのですが、かつてはどのような状況でもリコンファームが必要でしたので、「もしかしたら、変更なくてもリコンファームが必要なのでは・・・」とつい疑ってしまうからでございます。

     そうした心配があるため、できるだけ時間の余裕をみてシャルル・ドゴール空港に郊外電車で向かうことにしました。
    幸いにパリの地下鉄や郊外電車の乗り方をマスターしておりましたので、スムーズに空港に着くことができ、また駅と空港を結ぶ通路に設置されていた掲示板で、第2ターミナルのどのブーツに行けば、アエロフロートのチェックイン窓口か分かったのでございます。

    (注)シャルル・ドゴール空港はターミナルが3つあり、そのターミナルごとにブーツが6箇所前後あるため、どこがアエロフロートの窓口か、すぐには分からないのです。

     飛行機は順調に飛び出しまったく問題はございませんでした。たまたま私の横にはジャポンからフランス国の旅行会社に勤務しているマドマーゼル ケイが座っておりまして、2週間余りの研修にジャポンに帰国するのだといっていました。

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     ケイは旅行会社に勤務しているだけあって、フランス国の事情に精通しておりました。
    私が今回巡礼の旅をしていて最も不思議に思ったのは、若者や中高年の失業が多く、そうした人たちが好んで巡礼の旅を楽しんでいることでした。
    こうした疑問をケイに聞いてみました。

    ケイ、私はとても不思議に思うのだけど、フランス国では失業問題はおおきな問題にはならないのかい。
    3年前にフランス国では初期雇用契約(
    26歳未満の若者の雇用にあたり2年間の試用期間を設け、この期間中は雇用者側は理由を問わず解雇することを認めるという法案)が可決されたけど、学生の大反対があって潰されてしまった。
     
     導入を図った首相は首を切られるし、一方で学生は大勝利だといっていた。雇用されるよりも失業している方がいいという判断はどこから出るのだろうか?」


    ロドリゴ、それはねえ、フランス国は身分差別の国で、かつ社会保障制度が極端に整った社会主義国のような国だからなのよ。

     大学生は卒業すると無期限雇用契約によって一生企業から首を切られないで済むの。一頃のジャポンの終身雇用制度のようなものね。
    そうして、この無期限雇用契約者だけが、会社の管理職になれるの。

     一方初期雇用契約者はジャポンの派遣労働者で簡単に首を切られ、そして会社の管理職には絶対になれないの。
    だから初期雇用契約は、大学生に対し、『
    お前達は永遠に下積みの労働者になれ、失業者よりはましだろう』と言ったのとおなじなの。

     それとね、ロドリゴ、フランス国では求職者登録さえしていれば失業手当はもらえるし、もし働いても給与が低ければ国から補填してくれるのよ。働かなくてもそこそこ食べていける社会主義国というわけ。

     だから大学生は奴隷身分より、失業の方を選ぶのだと思うわ

     ケイの説明で、この巡礼期間中最大の疑問「なぜ巡礼者には失業者が多く、そして失業を苦にしていない」が氷解できた。

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     さて私はこうして約3週間の巡礼の旅を終わったわけですが、これが私の人生に何か役立ったでしょうか。かみさんからは「行く前と同じでまったく悟りがない」といわれてしまいました。
    実際その通りかもしれませんが、こうした経験は一種のボディーブローのように効いて来るものですので、もう少し長い目で見て行きたいと思っております。

     なお、最後になりますが、ロドリゴ巡礼日誌を最後まで読んでくださった方で、ご感想をコメントで記載していただければ幸いです。

     

     

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    (21.8.13) ロドリゴ巡礼日誌 パリ番外編 その5

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    キリスト暦2009年7月9日

     地下鉄の乗り方をマスターした後は、パリの街を自由自在に動くことができるようになりました。道が分からなくなったり、自分の位置が分からなくなれば地下鉄の駅を探し、そこから目指すポイントまで乗っていけばいい訳でございます。

     明日はジャポンに帰ることにしていましたので、この日はまだ自分が見損なっていたと思われる場所に行ってみることにしました。
    なかでもモンパルナス駅近くにあったリュクサンブール公園はとても気に入りました。

     ここはどうも観光客が訪れる場所ではないらしく、一方パリジャンが好んで散歩やJOGをする場所らしく、深い木立に囲まれたとても気持ちのいい場所でした。
    パリの人は観光客を避けてこうした場所で憩いを求めてるのか・・・
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     また行きそびれていたシャルル・ドゴール広場に行くことにし、シャンゼリゼの大通りを歩いてみて、ここがジャポンでいう銀座であることを始めて知りました。
    私はものを買うことをほとんどしないのでショッピングには興味がなかったのですが、私でも名前を知っているルイビィトンといった店が軒を連ねておりました。
    またこの一角にトヨタアンテナショップがあったのには驚きました。
    トヨタが提案している未来の車の前には多くの人だかりがしておりました。

     セーヌ川の遊覧船に乗ったのもこの日でございます。シテ島の近くから上流に遡ってエッフェル塔の前で下船しました。エッフェル塔にはパリの観光客が全員集まったのではないかと思えるくらい人だかりがしており、塔に登る順番待ちをしておりました。
    とても埃っぽく、私はこうしたタワーには興味がありませんでしたので、早々に退散したものでございます。
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    パリの街に滞在して5日目になりますと、今まで気付かなかったことに気付くものでございます。
    21_1083  一番興味があったのはベリブと呼ばれる貸自転車で、パリの交通渋滞と環境改善のためにパリ市内に約2万台の貸自転車が設置されているのだそうでございます。

     パリの街では外側一車線をバスと自転車専用道路に指定している場所が多くあり、自転車を乗るのが便利な交通体系になっておりました(一方ジャポンと異なり自転車は歩道を走れません)。
    私も乗ってみたかったのですが、保証料を払って登録をおこなうという手続きが必要らしく、観光客が簡単に使用するというようにはなっていないようでした。

    21_1073  もう一つ感心したのは清掃体系で、50m間隔ぐらいにビニールのゴミ入れが設置されており、それを清掃車が毎日回収しているようでした。ジャポンではゴミの持ち帰り運動の方が盛んで、ゴミ箱がほとんど撤去されていますが、観光客にゴミの持ち帰りを指導してもほとんど不可能なので、こうした体系がとられているものと思われました。

     ジャポンも外国から観光客を呼び寄せる観光立国になるには、ゴミの回収体系の確立が必要で、パリの街やシンガポールの街をまねたゴミ処理体系を是非導入して欲しいものだと思ったものでございます。

     こうしてパリ滞在5日目はゆったりと時間が流れたものでございます。

    写真を掲載いたします。
    http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/zgEGJJ?authkey=Gv1sRgCOPt99eAo52Z3wE#

     

     

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    (21.8.12) 酒井法子容疑者に同情してしまった

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     ここ数日の酒井法子容疑者に対するテレビ、新聞、週刊誌等の報道合戦は私には異常に見える。
    なにか酒井容疑者以外の事件はまったくないかのようだ。

     私はこの事件が起こるまでは、酒井法子容疑者についてまったく知らなかったし、テレビで盛んに顔写真が映されても、「きれいな人だな」とは思ったが、初めてみる顔だった。

     しかし連日の報道で、かつてミリオンセラーになった「碧いうさぎ」を歌った歌手で、紅白歌合戦にも出場したことがあり(ただし私はこの歌も、本人も覚えていない)、かつテレビドラマにも何回も出演しており(私は見た覚えは無い)、何より「おかピー」「マンモスうれピー」とかいう「のりピー語」(この言葉も始めて知った)で1世を風靡していたということも、この過剰報道をみて始めて知ったのである。

     だから芸能音痴の私が酒井法子容疑者について記載する資格など最初からないのだが、報道を見て気になったことが一つあった。
    それは法子容疑者の夫の祐一容疑者についてである。

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     法子容疑者と祐一容疑者は趣味のボディーボードを通じて知り合い、1998年に結婚して子供一人を設けているという。
    結婚する時に法子容疑者は妊娠していたから、いわゆるできちゃった結婚だが、現在は法子容疑者と祐一容疑者は別居中だということだ。

     今回祐一容疑者は「覚醒剤は自分のものではない。自分も使っていたが、妻も使っていた」と供述しており、一方法子容疑者は「去年の夏ごろ夫に勧められたあと、数回使っていた」と供述している。
    別居中ではあるが、この夫婦間には意思の疎通があったことになるが、報道を見て一番奇異に感じたのは、祐一容疑者が「自称プロサーファー」だと言っていたことだ。

     実は日本には「プロサーファー」なる職業は存在していない。
    私の息子はやはりサーフィンが趣味で四六時中海に行っているのだが、あるとき息子に聞いたことがある。

    そんなにサーフィンが好きなら、いっそプロサーファーになったらどうだ
    オヤジ、この世界は日本ではまったくマイナーで、賞金で稼いでいる人はおそらくトップ10までで、それも賞金だけでは暮らせないので、サーフショップを経営したりしているのが普通だよ。
    オーストラリアみたいに競技人口は多くないし、賞金だってしれているんだ。
    プロサーファーなんて夢のまた夢さ


     祐一容疑者が他に職業を持たず「プロサーファー」と言っていたなら、それは「俺は法子のヒモだ」といっているのに等しい。
    おそらく多額の金銭を祐一容疑者が要求していたのだろう。
    俺が薬中だと知れていいんか!! 清純派女優に傷がついてもいいのか!!! 大した金じゃないだろ。くれよ

     そうでなければ無職の祐一容疑者が職務質問をされた時に、10万円相当の覚醒剤を保持しているわけがない。週刊誌の報道では祐一容疑者は覚醒剤のヘビーユーザであったとのうわさが以前から流れていたという。
    さらに、法子容疑者のも覚醒剤取締法違反で逮捕されている(この金はどこから出たのだろうか

     法子容疑者の周りは覚醒剤使用者ばかりだ。
    清純派女優と覚醒剤常用者の存在、これはひどいストレスになる。
    あんたら、私から金ばかりねだって、それで覚醒剤を吸ってて、私はなんなの!!!!、私だって吸ってやる

     私の目から見ると、法子容疑者は被害者だ。よってたかって食い物にされて、思い余って覚醒剤に手を出したのだろう。
    それにしても法子容疑者は男運の悪い人だ。もう少しまともな男がいてもよさそうなものだが、男を見る目はなかったのだろう。

     客観的には祐一容疑者が最も悪質だと思っているが、報道は法子容疑者に集中している。
    だから法子容疑者の報道がエスカレートすればするほど、「そこまで言わなくてもいいだろう」と法子容疑者に同情してしまうのだ。

     

     

     

     

     

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    (21.8.11) 貿易黒字が減ってなぜ悪い?

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     私が長年疑ってきたテーゼは「貿易黒字は善」というテーゼで、これは間違いではないかと思っていた。
    なぜなら日本は長く貿易黒字が続き、国際収支も黒字が定着し、外貨準備も積みあがってきたにもかかわらず、日本人の生活が目に見えて改善されたという兆候がないからだ。

     これは同じく貿易立国といわれる韓国中国も同じで、一方毎年貿易収支で大幅な赤字を出しているアメリカの生活レベルの方が圧倒的にいいのは合点がいかなかった

    なぜ、汗水たらして働き多くの収益を上げている国が貧しく、一方働きを止めて収益が落ち込んだ国の生活水準が高いのか」これほど不思議なことはない。

     極端な言い方をすれば働けば働くほど貧しくなり、遊べば遊ぶほど裕福になる。

     財務省が7月23日に発表した09年上半期貿易統計では、前年同期比、輸出額が▲43%、輸入額が▲39%で、過去最大の減少率を示し、貿易収支は83億円の黒字だった。
    リーマンショック以前は日本は毎月1兆円前後の黒字(半年で6兆円)だったのだから、激減といって数字になっている。

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     こうした数字を見て貿易立国日本の凋落を云々する議論があり、日本の将来はないような議論があるが、本当にそうかは検討の余地がある。

     結論を先取りして言えば、貿易立国(日本、韓国、中国)とは長良川の鵜であり、せっかく収穫した魚を食べられない哀れな存在といえる。

     こうした視点で議論を展開している人に、三國陽男氏がおり氏の「黒字激減で自立する日本」という論文がVoice8月号に掲載された。

    三國氏によれば

    ① 輸出の拡大は日本国内の生産を拡大し、雇用や賃金の増加に寄与する。そしてかかる生産の増加は将来の生産を増やすため設備投資の増加に結びつく。

    ② しかし、国内生産活動への寄与は生産面に限定される。(それも)輸出関連の設備投資を除くと、国内経済は落ち着いたままになっている。

    ③ そのうえ、黒字に見合う輸出代金は国内に回収されず、海外で米国債等で運用されており、アメリカ人の生活向上には役立つが日本人の生活向上には役立たない。

     三國氏が言いたいことは、「貿易立国は輸出産業だけが活況を呈するが、その利益のほとんどが米国債という形でアメリカに回収され、日本人の生活向上にはほとんど役立たない」ということで、「我々はアメリカという鵜匠に操られている鵜にすぎない」ということだ。

     ところでアメリカはその鵜をどうやら日本から中国に代える事にした。日本産の鵜が魚を捕らなくなったからで、粋のいい中国産の鵜にかえるつもりのようだ。

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     その証拠の一つ7月27日28日の両日開催された米中戦略・経済対話
    アメリカは日本を一顧だにせず中国に擦り寄っている。

     理由は日本の貿易収支が大幅に悪化してアメリカ国債の購入ができなくなったので、貿易収支が黒字で購入余力がある中国を取り込むことにした訳だ。

     オバマ政権は「アメリカと中国で世界を取り仕切ろう、我々はG2なのだ」といって中国の自尊心をくすぐり、一方でアメリカ国債の購入を依頼した。

     もう一つの証拠は、日本大使にシリコンバレーの弁護士事務所CEOのルース氏を任命したことだ。ルース氏はオバマ政権樹立のための資金集めに奔走した功労者だが、能力はそれだけで外交面はまったくの素人といっていい。

    日米関係の歴史などまったく知らないし、外交手腕など有るはずがない。それでも良いとの判断をオバマ政権はした。
    日米関係で米国が期待することは何もない。まあ選挙のときと同じく日本から金を引き出せれば御の字だ。だからルースでいい

     一方で中国大使はジョン・ハックマンユタ州知事だが、こちらは共和党のホープで、中国語を自由に操る共和党きっての中国通といわれている。
    アメリカのアジア政策は中国がキーだ。だからジョン・ハックマンでなくてはならない

     さてこうした状況を我々はどのように判断したらよいのか。一般的には日本はアメリカから見放され、アジアにおいては中国が覇権国家として東アジアを取り仕切るようになった、という判断だ。

     しかしこれはものの一面で、中国はかつての日本と同様にその収益のほとんどをアメリカに吸い取られ、使えもしない外貨準備がふくらむだけの見かけ上豊かな国家となったともいえる。

     一方日本はアメリカのくび木から逃れることができ、アメリカのために懸命に黒字を出さなくて済む。
    さらに赤字になれば米国債を売却して(ここができるかが次の正念場だがドル売り・円買いを継続的におこなうことになるから、これは円高要因になる(今までは米国債を買うことで、円売り・ドル買いをしていたので、継続的に円安になっていた)。

     円高になれば、輸入物資は安価に入手でき、輸出産業は苦境に陥るものの輸入産業と国内産業が活況を呈し、日本人の生活はしばらく前のアメリカ人のように裕福になるはずだ。

     こうしたシナリオを想定すれば、貿易黒字が減っても日本人の生活は一層向上することになり、何ら問題はないことになる。

    (注) ただし以下の注意がいる。 

     日米安保条約による日本の保護と、日本の米国債購入はバーターになっている。アメリカから見れば日本を北朝鮮や中国の野望から守っている見返りに、アメリカの国債購入を日本に課してきた。

     今後日本が国債購入を止めたり取り崩しをすれば、アメリカは当然の措置として日本防衛を実質的に放棄してくる。
    従ってこの場合は、日本は独自に防衛力強化を図らなければならなくなる。

     

      

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    (21.8.10) 老人介護が始まった

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     私は不覚にもこの年になるまで老人介護のことをまったく考えたことがありませんでした。自分自身が健康で(精神性胃炎がよく起こりますが病弱とは言いがたい)、かみさんも子供たちも病気とは縁遠かったので、どこに介護の必要があるかといった気持ちだったのです。

     確かに私には87歳になる母親がいますが、「子供達に面倒はかけない」が口癖で、父親が死去した後、父親が残した家で一人でけなげに暮らしておりました。

     幸い弟が母親の近くに暮らしており、弟が母親の面倒を見ていましたので、私自身は通常母親のことを思考の外においていたのです(私は就職してからは家を離れ、一方弟は長く家にいましたので、いわゆる末子相続のような関係になっておりました)。

     母親が家の玄関の段差で転んで、第2腰椎の圧迫骨折をしたのは、私が巡礼の旅をしている最中で、全治6週間といわれ、家で寝たきりの生活になっておりました。
    その間もっぱら弟が介護に当たり、泊り込みの生活をしていたのですが、昼間は教職につかねばならず、とうとう肉体的にも精神的にも限界に達したようでした。
    兄貴、何とかしてくれ」電話がかかってきたのです。

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     弟は私と違ってとても忍耐力があり耐える性格ですので、その弟からの依頼となると、完全に緊急事態といってよい状況だったのです。

     私の兄弟は私を含め3人で、私、妹、弟がおります。この3人で手分けをして母親の面倒を見ることにし、私自身は毎週木曜日、金曜日の2日間泊り込むことにして、八王子の実家に出かけて行ったのです。

     当初は下の世話と食事の世話、それ以外に買い物や洗濯が必要と思われましたが、幸いにも私が泊まり込む前日から、トイレには手すりを伝わりながら行くことができるようになり、下の世話はしないで済みました。

    やれやれ、下の世話がないのは大助かりだ
    弟の話ですとそれまで夜半に数回起こされ、それ以降寝付くことができず、昼間の授業がまともにできなかったのだ言っておりました。

     どうやら今回は母親は再び歩けるようにはなりそうですが、年齢から見て今後も圧迫骨折を繰り返し、最終的には歩けなくなるものと想定せざるを得ません。
    今までは老人介護保険制度について考えたこともなく人事と思っていました。
    しかし今後は真剣に検討しなければならない立場になってしまいました。

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     母親は「子供達には迷惑をかけず、般若心経の写経をしながら息絶えるのが本望だ」といっていますが、現実は子供達や社会の介護を受けながら、息を引き取るのが通常です。

     考えてみれば63歳(8月でそうなります)まで、老人介護のことを一切考慮せずに生きて来れた方が僥倖というもので、これからは世間一般の常識と同様、老人介護の悩みを共用しながら生きることになりそうです。

     

     

     

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    (21.8.9) ロドリゴ巡礼日誌 パリ番外編その4

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    キリスト暦2009年7月8日

     パリの街を自由に移動する最大のノウハウは地下鉄を乗りこなすことでございました。パッケージツアーですとバスが手配され、添乗員の方がすべて取り仕切ってくれるので、移動についての問題は発生しないのですが、個人旅行の場合は、公共機関の乗り方が必須のノウハウになるのでございます。

     とりあえず私は歩ける範囲は歩いてしまったため、つぎに行きたい場所であるベルサイユ宮殿や、帰りのドゴール空港にはどうしても地下鉄や郊外電車(パリ市内では地下鉄と同じで、郊外に行くと電車になる)を利用する必要があったからでございます。

     私はジャポンの地下鉄と変らないだろうと思ってましたが、近くの地下鉄の駅に行ってみて頭を抱えてしまいました。改札口はあるのですが、駅員もおらず、切符売場もないのでございます。
    どこで切符を買えばいいんだ!!!!!

     仕方なくもう少し大きな地下鉄の駅に歩いて行ってみることにしました。
    ここには自動販売機が1台あったものの、今度は操作の仕方がまったく分からないのでございました。
    たまたま若いフランセが切符を購入しましたので、じっと見ていたのですが、トイレットペーパーのようなロールをくるくる回して切符を購入していました。
    そうか、トイレットペーパーをまわせばいいのか

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     私もそのフランセのまねをして、なにやら分からずロールをまわし、適当にお金を入れましたら、嬉しいことに切符が出てきたのでございます。
    しかしこの切符はゾーン3までのパリ市内の切符で、私が求めているベルサイユまでのゾーン6の切符ではありませんでした(本当はゾーン6の切符も入手できるはずですが、操作が分かりませんでした)。

     フランス国では乗り越しという制度がなく、恐ろしいことに乗り越しは罰金の対象になると聞いていましたので頭を抱えてしまいました。

    これじゃ、ベルサイユにいけないじゃないか。それならばターミナル駅に行って、パリ・ビジットを手に入れよう
    パリ・ビジットとは外国人専用の数日間の定期のようなもので、ゾーン別・日数別になっていて、これがあればそのゾーンと日数の範囲は自由に乗り降りができる優れものでございます(JTBの旅行案内書にそう書いてありました)。

     路線を懸命に確認し、地下鉄に乗って北駅というターミナル駅(ジャポンのイメージでは上野駅)まで行き、懸命に並んでようやくそこで念願のパリ・ビジットを入手することができました。
    切符を手に入れるのにこんなに苦労しなくてはいけないのか・・・・

     ジャポンでは考えられないことでございました。ジャポンではどこの地下鉄の駅にも駅員がおり、切符を自由に購入できるのですが、パリではターミナル駅以外では駅員がおらず(いるのかも知れませんが私は発見することができませんでした)、切符の購入もかように難しかったのでございます。

     しかしこのパリ・ビジット路線図(パリ・ビジットを購入すると案内書として渡してくれますさえ入手してしまえば、あとは鬼に金棒で、どこで迷っても地下鉄の駅さえあれば必ず目的地につけるのでございました。

     私はゾーン6の3日間パリ・ビジットを購入したのですが、これで念願のベルサイユにもドゴール空港ににもいけるようになったのでございます。
    もっとも若干の注意は必要で、郊外電車などは行き先がいくつか分かれている場合があり、間違うととんでもないところに行ってしまうのですが、駅の電光板さえ確認すれば問題はありませんでした

    注)パリ・ビジットはジャポンのイメージでは江戸市中の地下鉄と、近郊のJRの線が乗り降り自由というイメージです。

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     今回ベルサイユにこだわったのは、前回パリに遊びに来た時には切符の購入の仕方が分からず、ベルサイユに行きそびれたからでございます。
    今回は絶対に行き着くぞ」思いは通じたのでございます。

     ベルサイユ宮殿ルイ14世が、フランス国が世界の中心で有った時に建設した宮殿なので、その優美さは世界に類例がないほどでございました。
    文化財は権力者が作るものだといわれますが、まさにここベルサイユ宮殿はそうした権力者の意思の賜物と思われました。
    ロドリゴのような権力なき者のあばら家とは比較にならなかったのでございます。

     これがパリ在住、4日目の報告でございます。

    写真を掲載します。

    http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/GbjSXJ?authkey=Gv1sRgCNjf2-SyuYW77AE#

     

     

     

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    (21.8.8) ロドリゴ巡礼日誌 パリ番外編 その3

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    キリスト暦2009年7月7日


     昨日は結局ルーブル美術館の5分の1程度を見ただけで、後は街の散策をして過ごしたので、今日こそは美術館めぐりで一日をすごく決心をいたしました。

     まず最初にホテルに近かったフランス歴史博物館に行ってみたのですが、あいにくと休刊日でございました。これはだんだんと分かったのでございますが、常時開いている美術館はルーブル美術館のような巨大美術館だけであり、オルセー美術館でも月曜日は休館であり、それより規模の小さな美術館や博物館は催し物をおこなう時のみ開館するという形態が多いようでした。

     今日はオルセー美術館から美術館めぐりをする予定でしたが、あいにくと人出が多く時間がかかりそうでしたので、もっと人出の少ない、中小の美術館から先に見ることにし、科学博物館に行ってみましたがここも休館でございました。
    どこか開いているところはないのかよ・・・・・・・

     次に科学博物館とセーヌ川を隔てて反対側にある、軍事博物館を見たいと思いましたが入口が分からず、結局同じ建物内にある解放勲章博物館と、ナポレオンの棺が埋葬されているドーム教会を見ることになりました。

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     その後で、ルーブルと並ぶ著名な美術館オルセーにようやく行くことができたのでございます。
    オルセー美術館ルーブル美術館よりチェックが厳しく、私の持っているザックは入口で預けさせられ、また写真撮影も一部は禁止されていました。

     私はここでも美しい乙女の絵画に魅了されて写真に収めていたのですが、すぐに係官がやってきて「写真を抹消するように」指示されてしまいました。
    主よ、ロドリゴは悪魔の誘惑で美しいマドマーゼルの素肌に見せられてしまいました。心弱きロドリゴをお許しください

     このオルセー美術館は展示物もなかなかのものでしたが、建物自体が実に美しく、私の目からはフランス建造物の第一級品に見えたのでございます。

     こうして、美術館を見て周り、街を散策してその日が終わったのですが、足で歩き回れる範囲はすべて回ってしまったため、明日は行動範囲を拡大するために地下鉄に挑戦することにいたしました。
    しかしこの地下鉄に乗るまでが大変だったのでございます。

    21_985  夜はいつもの裏さびたホテルでしたが、時間が経つにつれてここがかなり物騒な地域であることが分かってまいりました。
    夜寝ている間に闖入者によって首を掻っ切られるのではないかとの不安感が高まったため、入口にバリケードを築いて寝ることにしたのでございます。

     バリケードは椅子と机だけの簡単なものでしたが、それでも闖入者が入ってくれば物音で分かり、せめて殺害される前に相手のふぐりを潰して一矢を報いるつもりでございました。
    なおふぐりを潰す殺害方法は鎌倉幕府の二代将軍源頼家が殺害された方法でございます。

    ル・モンド 7月7日
    さすが、日本の武士・・・・死して闖入者のフグリを潰す

     東駅近くの貧民街のホテルに宿泊していたジャポンの武士ロドリゴさんは、夜半に金品を奪おうとした闖入者に襲われ、拳銃で数発の銃弾を浴び死亡した。

     しかし、死亡する前に闖入者のフグリを潰し、一矢を報いることが出きたのは、さすが歌麿の国ジャポンの武士だと、パリジャンの間で評判になっている。
    このワザは忍法フグリつぶしといい、伊賀の忍者の間でひそかに伝えられていた秘伝で、ロドリゴさんがその最後の継承者だったという。

     なお、闖入者は激痛に耐えかね股間を押さえもだえ苦しみながら憤死した。


     これがパリ滞在3日目の報告でございます。

    写真を掲載いたします。
    http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/bieWnG?authkey=Gv1sRgCMuE8rLBxK6e6QE#

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    (21.8.7) 日本は何処まで特殊か? 貯蓄率急落現象

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    (マッスル氏撮影 山崎 編集
     
    Voice8月号の「巻頭の言葉」に掲載された「貯蓄率急落の先にある悲劇伊藤元重NIRA理事長、東京大学教授)の論評を読んで考え込んでしまった。

     そこにはおおよそ以下のような内容が記載されていた。

    ① 日本の家計部門の貯蓄率が急速に低下しており、1990年の始めに15%あった家計部門の貯蓄率が3%に低下している。

    ② 低下の主要な原因は高齢者の割合が増え、貯蓄を切り崩して生活する人が増えたことをあげている(
    なお私はこれと同じくらい重要な要因として若い人が貯蓄ができないほど生活が厳しいことがあるのではないかと考えている

    ③ 金額で見ると約1400兆円の個人金融資産の約70%が、60歳以上の人が保有しているが、今後は増加する要因はない(
    私の場合はほとんど預金がないので1400兆円に貢献していない)。

    ④ 日本政府は国と地方を合わせてGDPの約150%の債務を負っているが、1400兆円の相当部分が、公債の購入に当てられている。

    ⑤ 財政赤字は大胆な歳出拡大が必要なため、ますます公債の依存が増える。

    ⑥ 公債発行が増加すると通常は長期金利の急騰(国債価格の暴落)か悪性インフレが発生するはずだが、そうならないのは家計部門の貯蓄がこの公債購入に向かっているためである。

    ⑦ しかし今後個人資産が増加しない(低下する)と、この公債を誰が購入するかという問題が発生する。

    ⑧そうなると(
    通常は日銀が引き受けることになり、これは紙幣の増発と同じだから)、長期金利の上昇か、悪性インフレか、円の暴落が起こる可能性がある

    P7260374
    マッスル氏撮影 山崎 編集

     この論説の主題は、日本は特殊な国であり、従来国民が貯蓄を低金利の銀行預金として運用してきたので(それ以外の運用については一部の人を除いて消極的だった)、政府は金融機関に低金利の公債を押し付けることができ、国債をファイナンスできた。
    しかし今後はそうは行かないだろう、ということである。

     日本国債のムーディーズの評価は上から3番目Aa2だが、この理由は日本の国債残高は約800兆円GDPの約1.7倍(アメリカは約0.6倍)であることにあった。こうした日本国債の低評価が海外では一般的だが、日本政府は噛み付いた。
    ボツアナレベルとは信じがたい
    実際は、日本は特殊な国であり、日本人の多くが銀行預金という低金利に甘んじ、国債を購入してきたことは事実だ。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:National_Debt_of_Japan.svg

     通常は国がこのように借金を重ねると長期金利が上昇するのだが、(国民が国債をファイナンスしてくれるので)まったくそうはならず、1.5%前後で低位安定している(アメリカ国債の利回りは3~4%)。
    これほど国に尽くす健気な国民は世界中を見回しても日本人くらいだ

     結局日本の国債残高が圧倒的に多いのにもかかわらず、利回りが低いのは政策金利を0.10%と低く抑え、定期金利10年物でも0.6%前後に抑えているからだ。
    このため1.5%の国債でも金融機関は利益があがる仕組みになっており、政府の実質的な割当(形式的には割当は廃止された)に応じることができる。

    P7260398
    マッスル氏撮影 山崎 編集)

     さて問題は伊藤元重氏が心配している今後についてである。若者は貯蓄ができず、老人は貯蓄を取り崩す。国債を購入する資金はなくなり、アメリカのように海外に販路を求めるか、日銀に引き受けさせることになるのだろうか。

     私の予想は、長期的には国債の金利は上昇して、政府の財政圧迫要因になると思う。したがってそうした場合は、政府は消費税をあげて財源を確保するか、あるいは再び小さな政府を標榜することになると思う。

     結局特殊要因がなくなれば、一般要因で経済は動くのだから、貯蓄なき日本は何処の国もとる政策をとらざる得なくなるのだろう。

     

     

     

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    (21.8.6) ロドリゴ巡礼日誌 パリ番外編 その2

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    キリスト暦2009年7月6日


     私が宿泊した場所はパリ東駅の近くで、セーヌ川から約2km程度北側に入った場所で、セバストポル大通りから路地に入った所にありました。
    パリの街は札幌の街の様な碁盤の目ではなく、放射線状に道路が伸びておりますので、放射線状の道は分かるのですが、それを蜘蛛の横糸のように縫う道は大変分かりづらいのでございます。

     それでもセーヌ川一帯の場所は、セーヌ川を基点として行動すればよく、しかもこのあたり一帯にルーブル美術館オルセー美術館が点在しておりますので、歩くのには大変便利な場所でございました。
    パリ市街はジャポンの山手線の内側程度で、その中でここセーヌ川一帯はジャポンの皇居周辺の大手町、丸の内、銀座、霞が関といった感度で歩けるのでございます。

     私ロドリゴは巡礼から戻ったばかりで歩き回ることはまったく支障がありませんでしたので、「主を称える絵画があるパリの美術館をすべて見てみよう」と思ったのでございます。
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     しかしこの企てはすぐに無謀だということが判明いたしました。この日は月曜日で、どうやら開いている美術館はルーブル美術館だけだったようですが、ここのエジプト室、メソポタミア室、そして主を称える宗教絵画を見ただけで、ほぼ半日経ってしまい、しかもクタクタに疲れてしまったからでございます。

     おそらくすべての陳列品の5分の1程度だったと思いますが、これではルーブル美術館に通うだけで5日間もかかることになってしまいそうでございました。
    こりゃ、駄目だ。美術館めぐりには限界がある

     問題は美術館はとても疲れるということでございました。巡礼と異なり歩いては止まることを繰り返すため、ちょっとしたサーキットトレーニングのようになってしまい、美術館の椅子に腰をかけながらため息をついたものでございます。

     なお私がルーブル美術館で一番驚いたことは写真を自由に撮る事ができることでした。フラッシュは禁止でしたが、フラッシュさえたかなければいくらでも写真撮影ができるのです。
    私が知っているジャポンでは、ほとんどの美術館で撮影禁止になっておりますので、ルーブルのこのおおらかさは何処から来るのか不思議な感じがしました。

     写真は当初、主のお御影のみ撮っていたのでございますが、そのうち女性の美しき素肌に魅了されてしまいました。
    主よ、悪魔のささやきに溺れた、心弱きロドリゴをお許しください

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     この日はルーブル美術館を半日程度で退散し、あとはひたすらセーヌ川沿いに歩き回ることにいたしました。
    ルーブル美術館の前からテュイルリー庭園を経て、大きな公園や建物が有れば、それを目指して歩くことにしたのでございます。

     パリの天候は南フランスのからっとした天候とは異なり、晴れていたと思うと雨が降り出し、また晴れると言った猫の目のような天候なのには驚きました。
    パリの人が南フランスにあこがれるのは、この天候のせいか」なんとなく納得したのでございます。

     食事は世界共通のマクドナルドの店がありましたので、そこで6€程度のセットで済ませ、夕食はジャポンのコンビニのような店で食材を買いこんで済ませることにしました。
    こうした簡単な食事が私には一番合っているので、何とも嬉しかったのでございます。

     唯一の悩みはホテルの一泊40€でございましたが、歩き回ってホテルがあれば値段を確認しましたが、これ以下のホテルを見つけることができず、その日も東駅のそばの若干怪しげなホテルに泊まったのでございます。

     これがパリ滞在2日目の報告でございます。

    写真を掲載いたします。
    http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/xZfArE?authkey=Gv1sRgCM7ngei1i-bNHg#



     

     

     

     

     

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    (21.8.5) ロドリゴ巡礼日誌 パリ番外編 その1

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    キリスト暦2009年7月4日


     朝早く、ムッシュ タムは巡礼の旅を継続すべく出発していきました。私は昼頃このカオール駅を出発し、パリのオステルリッツ駅に到着する列車に乗り込む予定でしたので、午前中はカオールの街の公園で寝そべって時を過ごしました。

    何か今までにない自由なのどかの時間が過ぎたのでございます。
    雲だけが流れている・・・・・・・・・
    毎日の労働から解放されたような気持ちでした。

    カオールをその日に出発する列車は10本程度で、それも午後に集中し午前中は運行がありませんでした。信じられないことに午前中は駅のトイレにも鍵がかかっており、使用ができないのでございます。
    ジャポンの新幹線に慣れている目から見ると、何とも不思議なのんびりとした駅舎でございました。

     フランス国の国鉄では来る時、ル・ピュイにうまくいけずトラブルがありましたので、今度も同じようなことがないか緊張しましたが、そうしたことはまったくなく、夕方6時にはオステルリッツ駅に到着いたしました。

     ただ、パリの街に近づくにつれ、鉄道沿線の壁という壁、家の鉄道沿線側、それに列車の外側に目いっぱい落書きがされていることに目を見張ってしまいました。ジャポンの比ではなく、消すことすらしないようでした。

     サンチャゴ巡礼道の素朴で自然だけの景色を見慣れている目からすると、まったく異質の世界に入り込んでしまったような感覚でございます。
    これで観光都市パリと言えるのだろうか

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     フランス国においてはジャポンの東京駅のようなすべての路線が集まるターミナル駅はなく、各方面別のターミナル駅が別々にあり、その間を地下鉄で結んでおります。
    従ってターミナル間を移動するには地下鉄の乗り方に知悉していなければならないのですが、私のような旅行客にとって地下鉄を乗りこなすのは至難の業だったのでございます。
    でもまあ、いいや。パリの街は広くないから歩こう

     当日の最大の課題は宿の確保でした。パリのホテル料金は地方の比ではなく、ジット15€以下で過ごしてきた身には、二つ星でシングル80€前後、ダブルで100€を越える料金は目の玉が飛び出るような価格に見えました。

    何とか安く泊まれる方法を探そう
    当初はインフォーメーションでパリのジットを紹介してもらう予定でしたが、オステルリッツ駅のインフォーメーションは日曜日はしまっており、情報を入手する手段はありませんでした。

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    北駅のインフォーメーションは開いているから、そこまで歩いて行って聞いてみようか・・・・・・
    オステルリッツ駅近くの安宿はうまく探せなかったので、北駅まで行くことにしました。
    北駅は東欧からの乗客が多く、ジャポンで言えば上野駅のような感じの駅で、安宿があると思ったのでございます。

     オステルリッツ駅から北駅までは約3km程度ありました。
    北駅東駅のさらに北方にあり、だんだんと薄汚れた街並みになって行き、それに応じてなんとなく怪しげなホテルが路地裏に点在するようになりました。
    その中で無印ホテルで一泊30€~40€と書かれているホテルがありましたので、当日はここに泊まることにしたのでございます。

     ここは東駅の近くで、後で地元情報に詳しい人から聞いた話ではアフリカ街と呼ばれ、アフリカからの移民が多く居住しているおり、このホテルの主人もジダンのようなアルジェリア人のような顔つきをしていました。
    確かにアフリカンと呼ばれる黒人がだんだんと多く歩いている場所でしたが、幸いアメリカのハーレムのような恐ろしさはありませんでした。

     こうしてとりあえずは、思いっきり簡素で、若干怪しげな雰囲気のあるダブルの部屋(60cm四方のシャワーと、同じく60cm四方のトイレがありました)を40€で泊まることができたのでございます。
    うぅーん、これで40€(約5000円)かよ、高い。明日は他の宿を探そう

     しかし結果的にはこの宿より安い宿を見つけることができず、パリ滞在中5日間、この宿で過ごすことになったのでございます。

     これがパリ滞在1日目の報告でございます。

    写真を掲載します
    http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/rLSRmH?authkey=Gv1sRgCKKv8Pmj_4TMCA#

     

     

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    (21.8.4) 養老渓谷バスツアー  山ひるの巻き

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     私が参加しているおゆみ野の森の有志が企画した「養老渓谷バスツアー」に2日(日)、参加した。
    養老渓谷はここ千葉県のほぼ中央に位置し、千葉県で最も標高が高い場所にあるが、もともと千葉には高い山がなくここも標高300m程度の場所である。

     おゆみ野の森のメンバーのオータム兄さんの家族は、現在はおゆみ野に住んでいるが養老渓谷出身であり、今も実家で農業を営んでいる。
    オータム兄さんに「いいところですよ」と紹介され、何回か養老渓谷までJOGをしたことがあるので、このあたりの場所はよく知っているつもりでいたが、今回バスツアーでいった場所は私の知っている温泉街ではなく、純粋に渓谷そのものだった。

     今回の企画はこれもおゆみ野の森のメンバーのNさんが企画した。今まで実質的におゆみ野の森を管理してくれていた新都市ライフOさんが、おゆみ野担当から外れることになったため、その送別会を兼ねていた。

     参加メンバーは25人で、ほとんどの人が顔見知りのお父さんやお母さんと子供たちだ。
    私は養老渓谷へはいつもJOGで行っていたので、今回もJOGで行くことにした。もっとも夏場のJOGはつらいので、家から35km程度のところにある高滝湖でバスに拾ってもらうことにした。
    幸い、ちはら台走友会のメンバー、Oさんも一緒に走るという。

     我々2名は朝の5時におゆみ野をスタートして、遠回りになるが自動車の少ない川沿いの道(村田川を下り、養老川を遡る)を走ることにした。しかし信じられないことに途中で道を間違え、交通量の多い大多喜街道を走ることになってしまった。
    うぅーん、こんなこともあるんだ・・・・・・・

     早朝JOGで走りやすかったのだが、高滝湖の集合地点に4時間かけて9時ごろ着いた時はフラフラになっていた。それでもバスが来ないのでさらに養老渓谷に向かって走り続けて、高滝湖から数キロ先でようやくバスに拾ってもらった。

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     養老渓谷はとても涼しい快適な場所で、養老川に何本も支流が流れ込んでいて、そうした場所には沢蟹がたくさん生息している。
    私をはじめお父さんやお母さん、それに子供達が支流に入って沢蟹を捕ったのだが、同時にそこが山ひるの生息地だとは知らなかった。

     しばらくして足がちくっと痛む。見ると私の左足の足首に5cm程度ひるが食らいついている。あわてて引き離そうとしたが、ひるの食いつく力は相当強くなかなか離れない。
    それでもようやくのことで思いっきり引っ張って足から離したら、今度は手に噛み付かれてしまった。これも大騒ぎしてようやくひるを離した時には実にほっとした。

     幸い食われた途端に発見したので、血が流れ出ることはなかったが、ちいさな女の子が足の親指の付け根を目いっぱい吸われ、血が止まらず泣き出していた。
    オータム兄さんが「最近、シカやイノシシが里に下りるようになって、山ひるもそれについて里におりてきている。このあたりでは農作業をする時塩を必ず持参し、くわれたら塩を振りかけて離すのだ」と言っていた。

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     ひるに食われるなどめったにない経験だが、走友会のOさん(登山愛好家でもある)の話だと、登山中にひるが大挙して足に襲ってくるときは恐怖感を覚えるほど迫力があるのだそうだ。
    映画「エイリアン」さながらの恐怖感らしい。

     こうして今回の養老渓谷へのツアーは思わぬところで自然そのものを満喫する旅になってしまった。

     

     

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    (21.8.3) ロドリゴ巡礼日誌 その16

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    キリスト暦2009年7月4日


     今まで正確に記さなかったため、一部の方に誤解を与えておりますが、実は私ロドリゴはこの巡礼の旅の目的地、サン・ジェン・ピエル・ポーまで行く予定ではありませんでした。

     目的地まで行くのはムッシュ タムで、私はそのサポートを依頼されたのでございます。
    ロドリゴ、私一人ではかみさんが巡礼の旅を許してくれない。一緒に行ってくれないか
    全部で5週間ですか、少しながすぎるなあ、半分程度だったら何とかしましょう

     私は引退の身で確かに時間は自由なのですが、それでも毎日の修行である清掃活動やブログの作成を長期間中止することができず、とても5週間は難しそうでございました。

     結局私は3週間の予定で、ムッシュ タムが一人で巡礼の旅ができるまでサポートする約束をしたのでございます。
    ムッシュ タムと別れる予定の場所はこの巡礼の中間地点カオールか、さらに数日間行ったモアサックを予定しておりました。
    そこからパリに向けて国鉄の路線があったからで、他の場所からはパリに行く手段がほとんどなかったからでございます。

     すでに巡礼の旅を始めて2週間たち、宿泊の仕方やルートの見分け方等巡礼のノウハウは十分身につけておりましたし、ネット2週間で中間地点カオールまで到着させるという目標も達成していましたので、私の役割は終えようとしていました。

     ムッシュ タムとしてはカオールではなく、モアサックまで付き合って欲しい気持ちがあるようでしたが、私としてはこのあたりで別れるのが適切でないかと思っておりました。

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     一番の理由は旅のスタイルが私とムッシュ タムとの間でひどく異なっており、歩く速度や食事の仕方でしばしば精神的葛藤を繰り返していたことでございます。

     ムッシュ タムは、日中2時間程度の休息を取りながら、レストランで十分食事をし、時速3km程度のスピードを維持していけば、必ずサン・ジェン・ピエル・ポーまでいける自信を持っておりました。
    昼間の暑い時間帯に2時間程度休めば、必ず30kmは歩ける」が口癖でございましたし、事実その通りだと私にも分かっておりました。

     それでも私はカオールではなく、モアサックまで付き合うか否か逡巡していたのでございます。

     カオールの町についてすてきなレストランを見つけたムッシュ タムがいつものように「このレストランで食事をしよう」と私を誘いました。
    ムッシュ タムはサラダとハムアンドエッグ、私はパイを注文したのでございますが、ムッシュ タムは「ロドリゴのパイと私のサラダとどちらが美味しいのかな」と至福の顔をして私に尋ねました。

     その時私の胃には猛烈な胃酸が噴出しており、主にお祈りをしていたのでございます。
    主よ、このフランス国からレストランというものを一掃してくだされば、このロドリゴの命を捧げます

     正直言ってこれ以上レストランに付き合うのは、食事嫌いの私にとって煉獄の苦しみ以外の何者でもなかったのでございます。
    そしてこの苦しみから逃れる唯一の方法は、ここカオールムッシュ タムと別れることだと強く決心いたしました。

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      この日は15km程度の行程でしたので、昼前にはカオールに着き、ムッシュ タムと遊覧船に乗ったりして、最後の旅の思い出を同伴いたしました。

     こうしてカオールムッシュ タムと別れることになったのですが、カオールからパリまではバスで行きたいと思いました。バスの旅が始めてであり、また国鉄とは異なった景色を見ることができるのではないかと思ったからでございます。

     明日の切符を入手しようとして、教えられていたカオール駅のバスステーションに行ったのですが切符売場がありませんでしたので、国鉄の切符売場に行ってバスの切符は何処で入手できるか聞くことにしました。というのもそのバスはフランス国鉄が運営していたからでございます。

     しかしこの切符売場の女性は私が何を聞いても、「ノン」としか言わないのです。
    エゲレス語が分からないから「ノン」なのか、ここはバス売場でないから「ノン」なのかさっぱり分からないのです。

     私はバスの時刻表を見せて、ジェスチャーでこの時間のバスの切符が欲しいと懇願したのですが、女性が何かを言い、私がよく分からないままに「ウイ」といった途端に、翌日のパリ行きの電車の切符を発売されてしまいました。

     おそらく会話は以下のようなものだったのではないかと後で想像いたしました。
    あんた、ここは国鉄の切符売場でバスの売場じゃないのよ」
    バスでパリに行きたいのです
    分からない人ね、バスじゃないと言ったでしょ、ここは電車。電車の切符なら売ってあげるわよ、それでいい
    ウイ
    じゃあ、これ明日の12時、バスと同じ頃の出発時間よ。分かった
    ウイ

     分けも分からずに「ウイ」と言って、信じられないような結論になってしまいましたが、バスであろうが電車であろうが、とりあえずパリまでいけることが分かったので、了承することにいたしました。

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     そしてまだ帰国までは1週間の余裕がありましたので、かつて一度行ったことのあるパリの街を散策し、ルーブル美術館で主を称える絵画を見ることにしたのでございます。
    それでも心には一抹の不安がよぎっておりました。
    主よ、ロドリゴは間違っているのでしょうか。レストランの食事の悪夢から逃れられるために、ムッシュ タムと別れることは、主の御心にかなっているのでしょうか」

     ムッシュ タムはその日も遅くまでカオールの街の散策をして、目いっぱいの食糧を入手してジットに帰って参りました。
    ロドリゴは明日はルーブルか、気楽でいいよな」と言っておりましたが、明日からの一人旅がムッシュ タムの気持ちを不安にしているようでした。
    しかしそれでもここで別れることを了承してくれたのでございます。

     こうしてジャポンを出てから16日目で、私のサンチャゴ巡礼フランス道の旅が終わったのでございます。

    写真を掲載します
    http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/niKxLI?authkey=Gv1sRgCK2uqMSEn5yMAQ#

     

     

     

     

     

     

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    (21.8.2) ロドリゴ巡礼日誌 その15

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    キリスト暦2009年7月3日

     サン・シルク・ラポピィという村をご存知でしょうか。「フランスで最も美しい村の一つ」といわれ、ロット川の川岸、約100mの断崖絶壁の上に建てられた中世の城郭都市(現在の感度では村)で、人口は約200人でございました。

     ムッシュ タムは事前勉強を怠ることなくこの村の情報を入手しており「ロドリゴ、今日はどうしてもこのラポピィを見に行こう。一見に値する村なのだ」と提案したのでございます。
    ラポピィに行くにはこのセレ川を下り、ロット川との合流地点で、上流に約4km程度遡ったところで、断崖を登るのでございました。

     実は昨日、ムッシュ タムはインフォーメーションでラポピィ周辺の観光案内を入手して、信じられないような提案を私にしたのでございます。
    ロドリゴ、これを見てごらん。ラポピィからカオールまで、観光船があるみたいだ。この観光船に乗れば2日分の行程を歩かなく済みそうだ

     さすがにこの提案には躊躇しました。
    ムッシュ タム、我々は巡礼の旅をしているのに、乗り物になど乗ったら神様がお許しくださいません
    ロドリゴ、我らの目的は何だ。サン・ジェン・ピエル・ポーに到着することだろう。到着できなかったら神は嘆き悲しまれる。だからその間の手段は問わないのだ

     実はこの計画はすんでのところで未遂に終わりました。と申しますのもこの観光案内に書かれていた遊覧船はラポピィ周辺カオール周辺の観光船で、決してラポピィからカオールまでの2日間の旅を短縮する観光船ではなかったからでございます(インフォーメーションで確認して分かりました)。

    主よ、ムッシュ タムの言葉は悪魔のささやきでございます。我らを悪魔の魔手からお救くいくだされたことに感謝いたします

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      こうしていつものように約30kmの道のりを、時に国道を通りながらラポピィに立ち寄り、その日の宿にたどり着いたのでございます。
    しかし、このときは一騒動が起こってしまいました。

     宿泊を予定したレ マズという村にはジットがなくシャンブルという形態の宿しかなかったのでございます。
    実は我ら2人はもっぱらジットに泊まっていたのでシャンブルのルールを知りませんでした。

     行くと簡単にそこのムッシュが部屋に案内してくれたのですが、しばらくするとマダムが血相を変えて部屋に入ってきたのでございます。
    片手に予約表を持って、「お前達はこれか」と聞くのでございます。
    ノン」といいましたら、「お前達は別か」と何回も念押しして、「この部屋から出て行け」と大騒ぎを始めたのでした。

     後で分かったのですが、シャンブルという形態は自宅の一部をそのまま部屋ごと貸し与える形態で、必ず予約が必要らしく、宿泊料はジットより高いのですが、その代わり食事は豪華で、主人が顧客をもてなすというようなスタイルでございました。

     宿泊客もやや上流クラスが主で、ジットのように予約がなくても誰でも何でも泊めるというようなことはなかったようでございました。

     ここのマダムが余りに大騒ぎをして部屋から出て行けというので、この場所の宿泊をほとんど諦めていましたら、隣の小さな部屋に案内して「ここに泊まれ」と言うのでございます。

     マダムのつもりとしては、「ここは予約客があるので、泊められないが、小さな部屋でいいなら泊めてやる」ということだったのですが、剣幕がものすごかったので、すぐにでも追い出されるような気持ちになってしまいました。
    しかしこの剣幕は[予約のない客が来るはずがない]というルールが破られたために、マダムが単にパニックに落ち行っていただけで特に悪気はなかったということが後で分かりました。

     落ち着いて見回してみますとここは大変な邸宅で、庭にはプールまであり、敷地は何処まで広がっているのか分からないような広さでございました。
    また一緒に泊まったフランセは6名で、ジットとは異なりとても上品な感じの人たちでパリから巡礼道を1週間ずつ何回か分けてたどる旅をしているとのことでした。

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     グループの内訳は男性2名女性4名でしたが、男性の話ですと「今まで勤めていた保険会社が55歳以上の人員のリストラをしたので、自分達もリストラされたのだ」といっていましたが、別段リストラを悩んでいる様子はなく、かえって自由な時間が取れたことを喜んでいる風情でした。

     食事はここの主人が作っているぶどう酒が振舞われ、またフォアグラガチョウの肝臓を脂肪で膨らませたもの)や肉が振舞われ、その間主人を交えた会話を楽しむのがルールのようでした。

     フランセの男性はきれいなエゲレス語を話し、会話をとぎれさせないコツを心得た、とても紳士的な人たちでした。
    最もムッシュ タムエゲレス語をほとんど解さないため、後で「どうもシャンブルみたいな宿は、窮屈で二度と泊まりたくない」と申しておりました。

     これがサンチャゴ巡礼フランス道の15日目の報告でございます。

    写真を掲載いたします。
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    (21.8.1) 米中同盟は腐れ縁

    P7250340  (マッスル氏撮影 山崎編集)

     7月27日
    28日の両日、米中戦略・経済対話がアメリカで開催された。
    開催に先立ちオバマ大統領孟子を引用し「人が通らない山道はたちまち雑草で覆われる」と演説し、中国側が"Yes,We can"などとオバマ大統領のキャッチフレーズを引用したりしてすっかり蜜月時代を演出したので、世界のマスコミは「すわG2だ。米中二国間時代の始まりだ」と騒ぎ始めた。
    世界はアメリカと中国で仕切られるようになったとの認識だが、それは過大評価というものだ。

     確かに戦略対話では気候変動、北朝鮮・イランの核問題、中国の人権問題等が議題には登ってはいたが、両国ともこうした問題を本気で取り扱うことはせず、もっぱら経済問題、それもアメリカ国債の購入問題に焦点が当てられていた。

     この会議は、はっきり言ってしまえば経済的に疲弊したアメリカが「頼む、アメリカ国債を買ってくれ」と依頼し、金持ち中国が「それなら国債が減価しないようにしっかり経済運営を行なえ」と釘を刺した会議に過ぎない。

    P7250342  
    マッスル氏撮影 山崎編集)

     なぜそういえるかといえば具体的に内容を見てみれば分かる。戦略対話では以下の課題が話しあわれたが、単なるジェスチャー以外の何者でもない。

     気候変動クリーンエネルギーがテーマになったが、この両国こそが二酸化炭素を世界にばら撒いている元凶で、それをやめればたちまちのうちに経済が減速するから、話し合いの余地など最初から無い。このまま垂れ流しを継続しようというのが結論だ

     人権問題は中国が「ウイグルやチベットは国内問題」だと主張しており最初から話し合いの対象にならないが、アメリカは国内の人権派を意識してパフォーマンスで言ってみただけに過ぎない。

     北朝鮮やイランの核問題は、前者は6カ国協議でも難航しているのだからいまさらの感があるし、後者は中国と話し合いをする内容ではない。

     アフガン・パキスタンの安定化もアメリカの問題で中国は関係がない。

     だから戦略対話など話あう内容がまったくないのだ

     一方経済対話については、従来は元安中国の為替の操作)問題が最重要課題となっていた。
    元が不当に安いため、中国の輸出が急拡大しているという問題意識である。

     就任早々にガイトナー財務長官が「オバマ大統領は中国が為替操作をしていると信じている」といって牽制したが、今回はまったく元安問題は議題に登らなかった。

     それは昨年のリーマンショック以降、アメリカの貿易収支は大幅に改善しているからで、アメリカが世界から物を買えなくなっているからである。輸出も輸入も落ちているが、輸入の落ち込みの方が激しい

     このため輸出立国中国、日本、韓国が大幅に経済減速しており、「元安だから貿易収支が赤字ではなく、アメリカの過剰消費が問題だ」とした中国の主張が裏付けられた形だ。


     現在アメリカの最大の課題は拡大する財政赤字を誰がファイナンスしてくれるかにかかっている。
    金融機関の救済や自動車産業の救済に金は湯水のように出て行くが、すべて国債発行でまかなう以外に手段はない。
    従来は日本がそうした財政赤字をファイナンスしていたが、日本の貿易収支は大幅に悪化して新たに米国債を購入する余裕がなくなった。

     まだ貿易収支が黒字で余裕がある国は中国ぐらいで、アメリカは経済立て直しの資金を中国から調達しようとしている。
    一方中国は約200兆円の外貨準備があるが、うち約75兆円がアメリカ国債で、さらに約75兆円がアメリカの不動産担保債といわれている。

     合計で150兆円もアメリカ債を買い込んでしまい、アメリカに対する最大の債権者になってしまった。
    こうなると不振会社に融資を続けた金融機関と同じで、中国とアメリカは一蓮托生の国といえる。
    アメリカが倒産したら中国は150兆円の不良債権を抱えてしまう。

     もし一蓮托生を解消しようとすればアメリカ国債を売却することになるが、中国が売りに出たことが知れれば市場はパニックになり、アメリカ国債の減価は何処まで拡大するかわからない。
    何と言うことだ。国債を売ることもできないのか」一頃の日本と同じ立場だ。

     結局中国はアメリカ国債の価格維持のために、これからも国債を購入し続けなくてはならないことに気付き愕然とした(中国が購入しないとFRBがひき受けることになり、これは通貨の増発と同じだからインフレが進む。
    インフレが進むとドル安が進み、中国が持っている国債が減価してしまう
    )。

    P7250343  (マッスル氏撮影 山崎編集)

     今回の経済対話はアメリカが弱者の恫喝をおこない、中国がしぶしぶそれに応じた会議に過ぎない。かつてのアメリカと日本の関係に似ている。
    こんな会議がどうして、「米中2国間時代の始まり」などといえるだろうか。

     確かに米中同盟は始まった。しかしこれはアメリカ国債を契機とした単なる腐れ縁に過ぎない。

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