(21.8.31) 衆議院選挙結果と民主党の国政運営(経済政策)
衆議院選挙結果は予想通り民主党の大勝に終わり、自民党政治が終焉した。
自民党政治の耐用年数が過ぎていることはこのブログで何回も記載してきたので選挙結果は当然と思うが、それでも戦後政治のほとんどの期間で政権担当してきた自民党が下野したことに感銘を覚える。
私自身、今回の選挙について自分自身の政治的センスを確認するために事前に選挙結果予測を公表したが、公明党を除いてほぼこの予測通りの結果になったことに満足している。
(21.8.26)の衆議院選挙の予測と民主党政権の行方を参照
(注:公明党だけ予測を間違えた。公明党は都議選と総選挙との間隔をあけるように主張したが要望がかなえられず、7月、8月と両選挙が行われた。
公明党は特殊な選挙方法をとってきたといわれており、今後はそうした特殊形態の分析が必要なようだ)
予想 実績
・ 民主党 300±20 308
・ 自民党 115±12 119
・ 公明党 31±3 21
・ 共産党 9-1 9
・ 社民党 7-1 7
・ 国民新党 4-1 3
・ みんな 4-1 5
・ 改革 1-1 0
さて次は新たに発足する民主党を中心とした政権についての国政運営だが、マニフェストでは国の総予算207兆円を全面組み替えることになっている。
具体的には以下の通りで新たに約17兆円の財源を確保するという。
もっともこれは25年度までに達成するということだから、21年度予算をすぐさまこのようにするわけではない。
① 「国の総予算207兆円を徹底的に効率化。ムダ使い、不要不急な事業を根絶」して約9兆円の財源確保
② 「埋蔵金を国民のために活用」して約5兆円の財源確保
③ 「租税特別措置のみなおし」で約3兆円の確保
21年度予算については実際問題としていったん決まった予算を全面的に組み替えることはできるはずもないから、若干の修正程度しかできないのだろう。
民主党政権の本当の予算案については22年度からとなると言うのが実情だ。
さて、22年度から民主党が導入しようとしている子供手当ての半額実施や、公立高校の実質無償化等の必要財源約7兆円は、上記の①②③によって実施することにしているが、はたしてそれだけで財源が確保できるだろうか。
特に③の租税特別措置の見直しはそれによって利益を得ている団体や個人からの抵抗がありそうだし、①についても川辺川ダムや八ツ場ダムの中止には圧力団体がありそうだ。
民主党のマニフェストを読んで見て一番感ずるのはこの財源問題で(他に外交問題もあるが前にブログで述べているのでここでは触れない)麻生首相から攻められていたとおり、この問題は一筋縄ではいきそうもない。
財源手当てがうまく行かない場合の対応策は、消費税の導入は4年間はしないと約束しているので、結局は赤字国債を発行することになるのだろう。
日本の財政赤字は世界的に見ても突出しているので、これ以上財政を悪化させてよいのかという議論が財務省あたりから出てきそうだ。
竹中平蔵氏のような財政再建論者から見たらとんでもない対応ということになるが、幸いにも現在は金融恐慌対応として各国政府は財政赤字を拡大しており、オバマ政権といえども国債手当て以外に財源を持っていない。
「まあ、どこの国でも国債を増発しているのだからいいじゃないか」ということになりそうだ。
かつてはムーディーズのような格付機関が日本国債の格付けを引き下げて日本政府の顰蹙を買ったが、格付機関の信頼もサブプライム問題で評判が地に落ちてしまったので問題はなさそうだ。
しかし私のように物心ついたときから自民党政治を見てきたものについて、今回の選挙結果は歴史的変革だということがよく分かる。
幕藩体制が崩壊した明治維新のような感覚だ。
今後民主党政権が行き詰ったとしても、元の自民党政権には戻りそうにない。自民党政権の歴史的使命は終わっているからだ。
長らく生きていると、実にいろいろな経験ができるものだと感銘している。
(注:自民党政権が歴史的使命が終わっていることは、(21.8.16)自民党幕府の崩壊と大政奉還を参照)
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