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(21.8.25) 韓国経済の光と影

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 韓国経済に対する見方が大きく分かれている。超楽観論と超悲観論といっていいような分かれ方だ。

 超楽観論は主として韓国政府から出されているもので、最近発表された第2四半期GDP対前期比+2.3%OECD加盟国の中で最高の伸び率になったことからきている。
それまでの推移は08年第4四半期▲5.1%09年第1四半期+0.1%だったので、ここにきて韓国経済は完全に底をうちV字型回復が可能になったというものだ。

 内訳を見ても民間消費、設備投資がいずれもプラスに転じており輸出も好調だったことから、この回復は本物で、韓国経済は不況を克服したという判断である。

 一方超悲観論英エコノミストや韓国経済に詳しい経済評論家の三橋貴明氏の分析によるもので、韓国の08年度ファンダメンタル最悪の数値を示したことにより以下のように説明される。

 09年3月英エコノミストによると、「新興市場のなかで最悪が南アフリカ共和国、ついでハンガリー、3番目がポーランドと韓国」でその理由は
韓国の外貨準備高に占める短期債務の割合は102%(だから期日が来て借り換えができなければ外貨準備はすぐに底をつく)で、かつ銀行預貸率も130%と高い(銀行は30%相当額を市場からの資金調達でまかなっており、市場がタイトになると貸し出しを圧縮しなければならない)」からと説明した。
これに対し韓国政府は猛然と英エコノミストに噛み付いた

 一方三橋貴明氏は最近発売された「完全にヤバイ韓国経済」(表題は週刊誌のようだが、分析は的確)の中で以下の3つのグラフを基に次のように説明している。

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① 韓国経済は08年劇的な変化がおこった。それまで常に黒字であった経常収支と資本収支が一気に赤字になり、それまで延々と積み上げてきた外貨準備を取り崩すことで対応せざる得なかった(07年外貨準備2576億ドルー08年外貨準備2012億ドル=566億ドルの減少 約5.4兆円)。

注)資本収支とは韓国の場合海外からの短期借入金であり、07年までは金融機関が盛んに資金調達をおこない、その資金が株式や不動産を購入するために投資されていた。

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① 図1-8の経常収支をブレイクダウンすると、なぜ経常収支が08年に大幅に減少したか分かる。貿易収支が大幅に落ち込み、サービス収支(観光や輸送等)込みで見ると、大幅な赤字になっている(貿易・サービス収支が純輸出となる)。
この結果08年韓国の貿易は貿易立国であるにもかかわらず赤字に陥った。

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① 図1-8の資本収支が08年、なぜ赤字になったのかの原因はその他投資(海外からの短期資金)が06年、07年と大量に入っていたのが、08年になり引き上げられたからである。

この06年、07年がまさにバブルの時期に相当し、韓国の金融機関が短期金融市場で自由に資金調達していたのが、リーマン・ショック以降、資金調達ができなくなったことを示している。

② さらに言えば、直接投資や証券投資のような外資が06年、07年、08年と継続して流出しており、この頃から外資は逃げ出していたことが分かる。
それを韓国の金融機関が短期資金を調達して補っていた。


 このように三橋貴明氏は韓国経済を分析した後、この傾向は09年も継続し、最終的には韓国経済は破綻のカウントダウンが始まったと結論付けた。

 以上のように韓国経済については韓国政府のような超楽観論と、英エコノミスト三橋貴明氏のような超悲観論が拮抗しているのであるが、果たしてどのように判断したらよいのだろうか。

 結論を言えばどちらが正しいかはすべて中国経済の動向如何といえる。中国政府は財政と金融で世界に例を見ない規模で超緩和政策をとっており、この結果あまった資金が株式と不動産に流れてサブプライムローンに沸いたアメリカのようなバブルが発生している。

注)中国経済のバブルについては「世界経済の底入れと中国経済のバブル」で分析してあるので、その記事を参照してください。

 バブルで金周りがよくなった中国人が自動車や耐久消費財の購入に走り、中国のGDPは10%前後の超拡大が始まっており、その結果韓国や日本の対中国貿易が持ち直してきた。
09年第2四半期の韓国と日本の経済回復はこの対中貿易の輸出増によってもたらされた

 さて問題はこの中国のバブルがいつまで持つかにかかっている。アメリカのサブプライムローンの例を見るまでもなくバブルは必ずはじけるのだが、いつはじけるかについてははじけるまではわからない。

 三橋貴明氏は近い将来にはじけると想定しているが、私の予想はかなりバブルは持つのではないかと思っている。

 中国政府が金融引き締めに入ればその段階でバブルは収束するのだが、8%GDP信仰の中国政府が株や不動産の値上がり程度で引き締めに入るとは思われない。
成長しているのだから、今のまま超緩和策を継続しよう

 グリーンスパンでさえ防げなかったバブルを中国政府が軟着陸させれるとは思われないので、膨れるだけ膨れた後で、リーマン・ブラザーズの倒産のような形でこの中国バブルも収束するのだろう。

 それまでは韓国経済はファンダメンタルに時限爆弾を抱えながら、中国向け輸出主導でGDPの拡大を図っていくというのが私の予想だ。

注) 韓国経済の基本問題は貿易立国の立場を中国等に追い上げられ、貿易収支が傾向的に悪化してきたことによる。
これを海外からの短期借入金によってファイナンスしてきたが、短期借入金は経済状況によってたちどころに引き上げられるので、金融は常に不安定な状況下にある。

 こうした基本問題が08年に集中的に表れたが、現在は中国貿易の持ち直しによって一時的に小康状態を保っている。

 





 

 

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