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(21.8.11) 貿易黒字が減ってなぜ悪い?

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 私が長年疑ってきたテーゼは「貿易黒字は善」というテーゼで、これは間違いではないかと思っていた。
なぜなら日本は長く貿易黒字が続き、国際収支も黒字が定着し、外貨準備も積みあがってきたにもかかわらず、日本人の生活が目に見えて改善されたという兆候がないからだ。

 これは同じく貿易立国といわれる韓国中国も同じで、一方毎年貿易収支で大幅な赤字を出しているアメリカの生活レベルの方が圧倒的にいいのは合点がいかなかった

なぜ、汗水たらして働き多くの収益を上げている国が貧しく、一方働きを止めて収益が落ち込んだ国の生活水準が高いのか」これほど不思議なことはない。

 極端な言い方をすれば働けば働くほど貧しくなり、遊べば遊ぶほど裕福になる。

 財務省が7月23日に発表した09年上半期貿易統計では、前年同期比、輸出額が▲43%、輸入額が▲39%で、過去最大の減少率を示し、貿易収支は83億円の黒字だった。
リーマンショック以前は日本は毎月1兆円前後の黒字(半年で6兆円)だったのだから、激減といって数字になっている。

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 こうした数字を見て貿易立国日本の凋落を云々する議論があり、日本の将来はないような議論があるが、本当にそうかは検討の余地がある。

 結論を先取りして言えば、貿易立国(日本、韓国、中国)とは長良川の鵜であり、せっかく収穫した魚を食べられない哀れな存在といえる。

 こうした視点で議論を展開している人に、三國陽男氏がおり氏の「黒字激減で自立する日本」という論文がVoice8月号に掲載された。

三國氏によれば

① 輸出の拡大は日本国内の生産を拡大し、雇用や賃金の増加に寄与する。そしてかかる生産の増加は将来の生産を増やすため設備投資の増加に結びつく。

② しかし、国内生産活動への寄与は生産面に限定される。(それも)輸出関連の設備投資を除くと、国内経済は落ち着いたままになっている。

③ そのうえ、黒字に見合う輸出代金は国内に回収されず、海外で米国債等で運用されており、アメリカ人の生活向上には役立つが日本人の生活向上には役立たない。

 三國氏が言いたいことは、「貿易立国は輸出産業だけが活況を呈するが、その利益のほとんどが米国債という形でアメリカに回収され、日本人の生活向上にはほとんど役立たない」ということで、「我々はアメリカという鵜匠に操られている鵜にすぎない」ということだ。

 ところでアメリカはその鵜をどうやら日本から中国に代える事にした。日本産の鵜が魚を捕らなくなったからで、粋のいい中国産の鵜にかえるつもりのようだ。

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 その証拠の一つ7月27日28日の両日開催された米中戦略・経済対話
アメリカは日本を一顧だにせず中国に擦り寄っている。

 理由は日本の貿易収支が大幅に悪化してアメリカ国債の購入ができなくなったので、貿易収支が黒字で購入余力がある中国を取り込むことにした訳だ。

 オバマ政権は「アメリカと中国で世界を取り仕切ろう、我々はG2なのだ」といって中国の自尊心をくすぐり、一方でアメリカ国債の購入を依頼した。

 もう一つの証拠は、日本大使にシリコンバレーの弁護士事務所CEOのルース氏を任命したことだ。ルース氏はオバマ政権樹立のための資金集めに奔走した功労者だが、能力はそれだけで外交面はまったくの素人といっていい。

日米関係の歴史などまったく知らないし、外交手腕など有るはずがない。それでも良いとの判断をオバマ政権はした。
日米関係で米国が期待することは何もない。まあ選挙のときと同じく日本から金を引き出せれば御の字だ。だからルースでいい

 一方で中国大使はジョン・ハックマンユタ州知事だが、こちらは共和党のホープで、中国語を自由に操る共和党きっての中国通といわれている。
アメリカのアジア政策は中国がキーだ。だからジョン・ハックマンでなくてはならない

 さてこうした状況を我々はどのように判断したらよいのか。一般的には日本はアメリカから見放され、アジアにおいては中国が覇権国家として東アジアを取り仕切るようになった、という判断だ。

 しかしこれはものの一面で、中国はかつての日本と同様にその収益のほとんどをアメリカに吸い取られ、使えもしない外貨準備がふくらむだけの見かけ上豊かな国家となったともいえる。

 一方日本はアメリカのくび木から逃れることができ、アメリカのために懸命に黒字を出さなくて済む。
さらに赤字になれば米国債を売却して(ここができるかが次の正念場だがドル売り・円買いを継続的におこなうことになるから、これは円高要因になる(今までは米国債を買うことで、円売り・ドル買いをしていたので、継続的に円安になっていた)。

 円高になれば、輸入物資は安価に入手でき、輸出産業は苦境に陥るものの輸入産業と国内産業が活況を呈し、日本人の生活はしばらく前のアメリカ人のように裕福になるはずだ。

 こうしたシナリオを想定すれば、貿易黒字が減っても日本人の生活は一層向上することになり、何ら問題はないことになる。

(注) ただし以下の注意がいる。 

 日米安保条約による日本の保護と、日本の米国債購入はバーターになっている。アメリカから見れば日本を北朝鮮や中国の野望から守っている見返りに、アメリカの国債購入を日本に課してきた。

 今後日本が国債購入を止めたり取り崩しをすれば、アメリカは当然の措置として日本防衛を実質的に放棄してくる。
従ってこの場合は、日本は独自に防衛力強化を図らなければならなくなる。

 

  

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コメント

>>(注) ただし以下の注意がいる。 
>>日米安保条約による日本の保護と、日本の米国債購入はバーターになっている。
>>アメリカから見れば日本を北朝鮮や中国の野望から守っている見返りに、アメリカの国債購入を日本に課してきた。
>>今後日本が国債購入を止めたり取り崩しをすれば、アメリカは当然の措置として日本防衛を実質的に放棄してくる。
>>従ってこの場合は、日本は独自に防衛力強化を図らなければならなくなる。

二大債権国のもう一方の中国が手を出して来た場合 安保が実質的に機能するかどうかですね。
余計なことをすると米国債を売却すると中国がいい出すかもしれませんし。

投稿: さ) | 2010年6月 7日 (月) 12時16分

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