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(21.8.1) 米中同盟は腐れ縁

P7250340  (マッスル氏撮影 山崎編集)

 7月27日
28日の両日、米中戦略・経済対話がアメリカで開催された。
開催に先立ちオバマ大統領孟子を引用し「人が通らない山道はたちまち雑草で覆われる」と演説し、中国側が"Yes,We can"などとオバマ大統領のキャッチフレーズを引用したりしてすっかり蜜月時代を演出したので、世界のマスコミは「すわG2だ。米中二国間時代の始まりだ」と騒ぎ始めた。
世界はアメリカと中国で仕切られるようになったとの認識だが、それは過大評価というものだ。

 確かに戦略対話では気候変動、北朝鮮・イランの核問題、中国の人権問題等が議題には登ってはいたが、両国ともこうした問題を本気で取り扱うことはせず、もっぱら経済問題、それもアメリカ国債の購入問題に焦点が当てられていた。

 この会議は、はっきり言ってしまえば経済的に疲弊したアメリカが「頼む、アメリカ国債を買ってくれ」と依頼し、金持ち中国が「それなら国債が減価しないようにしっかり経済運営を行なえ」と釘を刺した会議に過ぎない。

P7250342  
マッスル氏撮影 山崎編集)

 なぜそういえるかといえば具体的に内容を見てみれば分かる。戦略対話では以下の課題が話しあわれたが、単なるジェスチャー以外の何者でもない。

 気候変動クリーンエネルギーがテーマになったが、この両国こそが二酸化炭素を世界にばら撒いている元凶で、それをやめればたちまちのうちに経済が減速するから、話し合いの余地など最初から無い。このまま垂れ流しを継続しようというのが結論だ

 人権問題は中国が「ウイグルやチベットは国内問題」だと主張しており最初から話し合いの対象にならないが、アメリカは国内の人権派を意識してパフォーマンスで言ってみただけに過ぎない。

 北朝鮮やイランの核問題は、前者は6カ国協議でも難航しているのだからいまさらの感があるし、後者は中国と話し合いをする内容ではない。

 アフガン・パキスタンの安定化もアメリカの問題で中国は関係がない。

 だから戦略対話など話あう内容がまったくないのだ

 一方経済対話については、従来は元安中国の為替の操作)問題が最重要課題となっていた。
元が不当に安いため、中国の輸出が急拡大しているという問題意識である。

 就任早々にガイトナー財務長官が「オバマ大統領は中国が為替操作をしていると信じている」といって牽制したが、今回はまったく元安問題は議題に登らなかった。

 それは昨年のリーマンショック以降、アメリカの貿易収支は大幅に改善しているからで、アメリカが世界から物を買えなくなっているからである。輸出も輸入も落ちているが、輸入の落ち込みの方が激しい

 このため輸出立国中国、日本、韓国が大幅に経済減速しており、「元安だから貿易収支が赤字ではなく、アメリカの過剰消費が問題だ」とした中国の主張が裏付けられた形だ。


 現在アメリカの最大の課題は拡大する財政赤字を誰がファイナンスしてくれるかにかかっている。
金融機関の救済や自動車産業の救済に金は湯水のように出て行くが、すべて国債発行でまかなう以外に手段はない。
従来は日本がそうした財政赤字をファイナンスしていたが、日本の貿易収支は大幅に悪化して新たに米国債を購入する余裕がなくなった。

 まだ貿易収支が黒字で余裕がある国は中国ぐらいで、アメリカは経済立て直しの資金を中国から調達しようとしている。
一方中国は約200兆円の外貨準備があるが、うち約75兆円がアメリカ国債で、さらに約75兆円がアメリカの不動産担保債といわれている。

 合計で150兆円もアメリカ債を買い込んでしまい、アメリカに対する最大の債権者になってしまった。
こうなると不振会社に融資を続けた金融機関と同じで、中国とアメリカは一蓮托生の国といえる。
アメリカが倒産したら中国は150兆円の不良債権を抱えてしまう。

 もし一蓮托生を解消しようとすればアメリカ国債を売却することになるが、中国が売りに出たことが知れれば市場はパニックになり、アメリカ国債の減価は何処まで拡大するかわからない。
何と言うことだ。国債を売ることもできないのか」一頃の日本と同じ立場だ。

 結局中国はアメリカ国債の価格維持のために、これからも国債を購入し続けなくてはならないことに気付き愕然とした(中国が購入しないとFRBがひき受けることになり、これは通貨の増発と同じだからインフレが進む。
インフレが進むとドル安が進み、中国が持っている国債が減価してしまう
)。

P7250343  (マッスル氏撮影 山崎編集)

 今回の経済対話はアメリカが弱者の恫喝をおこない、中国がしぶしぶそれに応じた会議に過ぎない。かつてのアメリカと日本の関係に似ている。
こんな会議がどうして、「米中2国間時代の始まり」などといえるだろうか。

 確かに米中同盟は始まった。しかしこれはアメリカ国債を契機とした単なる腐れ縁に過ぎない。

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評論 世界 アメリカ経済」カテゴリの記事

コメント

アメリカ経済はしたたかというか、抜け目ないというか、懲りてないというか。
どっちにしても、「汗水たらして働け!」。

投稿: 横田 | 2009年8月 5日 (水) 01時03分

今日は、巡礼シリーズは、お休みですね~

花の写真を撮影されたというマッスル氏は、巡礼でご一緒の方ですか?

(山崎)ちはら台走友会のメンバーです。写真は先日飯豊山に登山したときの写真です。

投稿: あずき | 2009年8月 1日 (土) 13時34分

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