(21.7.21) ロドリゴ巡礼日誌 その7
キリスト暦2009年6月25日
今回の巡礼中に泊まった巡礼宿で、もっとも愉快だったのはパオの巡礼宿でございます。パオとは蒙古高原に住んでおります遊牧民族のテントのことで、それがここフランス国の中央高地の高原にあったのには笑ってしまいました。
パオの中には10以上のベットが円形状に並べられておりました。
そこは10数軒の集落で、この巡礼宿は自宅を一部改修し食堂とシャワーとトイレを併設し、寝室についてはパオというとてもユニークなジット(巡礼宿)だったのでございます。
家の周りにはとても美しい花が咲き誇り、まったく申し分がなかったのですが、唯一の欠点はハエが異常に多かったことでございます。
夕食は外のベランダでしたのでございますが、夕食のパンがハエでごま塩のようになってしまったのには閉口いたしました。
一般に巡礼者が好んで宿泊する宿は、大きな町か村の巡礼宿で、そこには店があって食糧を入手しやすいためなのでございます。
そのためこうした10軒程度の小さな集落を飛ばしていくのですが、このときは距離と時間の関係からこのジットに泊まることにいたしました。
ここはかなり年配の夫婦が経営していたのですが、信じられないことに10才前後の少女とシェパードが住んでおりました。
この少女と老夫婦の関係は分かりませんが、ここ中央高地では人と会うことがほとんどなく、会っても老人と相場が決まっておりましたので、この少女の存在には驚いてしまいました。
このような寒村では少女には見たところシェパード以外の友達はいそうもなく、この犬が唯一の友達のようでした。
周りは一面の牧草地でまさに蒙古高原のようなところでしたが、少女は自転車で一周1km程度の周回路を髪をなびかせて走り、その後をシェパード追いかけておりました。
なにかアルプスの少女ハイジのような光景でした。
このジットにはムッシュ タム、セバスチャン、私の3名の他に、途中からよく一緒になったドイツ人 ピーターが宿泊しておりました。
ピーターはドイツ人らしい大柄な体躯と、とても親切な気持ち持った巡礼者で、年齢は55歳程度、はるばるドイツの南部の街からイスパニアのサンチャゴまで2ヶ月に渡る巡礼の旅をしている途中でございました。
ピーターはドイツの自動車メーカーアウディに勤務していたようですが、そこを辞めて(自主的に退職したのか馘首されたのかは分かりません)、自由な時間が取れたので2ヶ月の巡礼の旅をしているのだと言っておりました。
ドイツ語の他にエゲレス語、フランス語を自由に話し、言葉上の問題はまったくないようでございました。
ピーターに限らず今回巡礼の旅をしている間に会った人の中には、会社を辞めるか辞めさせられ、自由な時間ができたのでその間巡礼をしている人が多いのには驚かされました。
最初に巡礼道の矢印の意味を教えてくれたフランセ ステファン、その後シャンブルというジットより高級な宿泊施設で会ったフランセの集団もそうした人々でした。
なにかここ巡礼道にも不況の影がさしているようでしたが、ジャポネのように無職であることを後ろめたく思っているような気持ちはまったくなく、かえって自由な時間が取れたことを喜んでいる風情でございました。
これがサンチャゴ巡礼フランス道の7日目の報告でございます。
写真を掲載します。
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