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(21.1.19) ロドリゴ巡礼日誌 その6

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キリスト暦2009年6月24日

 巡礼の旅を上手に達成する方法に、荷物をできるだけ軽くすることがございます。長期間、しかも山中を歩くことが多いのですから、登山と同様に軽装備であればあるほど楽なのは言うまでもございません。
もちろんそうしたことはムッシュ タムも私も十分心得ているのですが、実際仕度をしてみるとまったく異なった結果になったのは驚きでございました。

 私ロドリゴは過去に何度も長長距離の修行をおこなってまいりました。特にトランスエゾという蝦夷地1100km2週間かけて走り通す修行では、荷物を背中に背負って走るのでございますが、当初持っていた取り切りカメラ3個、トレーナー、懐中電灯、そして最後はパンツを含むすべての下着を捨てて、走ったものでした。
走るために邪魔になるものすべてを捨てたのでございます。

 こうした経験から今回必要な装備を最低限に絞り、昼の食糧と水を含めても5kg程度の重さしか有りませんでした。

 一方ムッシュ タムは日常的に登山をおこなっているのですが、年齢が71歳と無理が聞かない年齢になっておりかつ歩く速度が遅いことから、いつ遭難してもおかしくないと恐れているようでした。
このためビバーク用装備一式と非常食、水2日分、および昼間の食事を用意し、装備は約10kg程度になっておりました。

 ムッシュ タムは加齢により衰えた体力でさらに多くの荷物を背負ったため、坂道にさしかかるごとに私との差は軽装備の自動車と荷物をたっぷり積んだトラックの状態になってしまいました。

 当初は私はより遅く、ムッシュ タムはより早く歩くようにして何とか速度をあわしていたのですが、そうした努力も日がたつにつれてどうにもならない差に開いていったのでございます。

 さすがに私はムッシュ タムに「非常用の水、500mlは不要ですよ」といってみましたが、ムッシュ タムは昔、子供と乗鞍の登山をしたとき水をすべて飲まれてしまい、死ぬような苦しみをした経験談を話し、「だから水はどうしても必要なのだ」と決して捨てようとはしませんでした。

 もちろんムッシュ タムも巡礼の数日の経験からビバーク用装備は必要ないと悟り、トレーナーや羽毛の上着やマット等は捨てていましたが、最後まで遭難用の食糧と水は捨てようとしませんでした。
ムッシュ タムにとって食糧は命と同じ重みがあるようでした。

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 こうして私とムッシュ タムの歩く速度は加速度的に開いていったのですが、フランス青年セバスチャンがいる間はさして問題は有りませんでした。
セバスチャンはこの旅を約1週間かけておこなっており、キャンプ道具一式を背負いキャンプをしながら旅をしていましたので、荷重が15kg以上あり、歩く速度がムッシュ タムとほとんど同じだったからでございます。

 私が先行して待っていると、ムッシュ タムセバスチャンが追いつくという具合で、そうした旅を4日間繰り返したのでございます。

 セバスチャン26歳の青年で、システム関係の仕事をしているようでしたが、彼のエゲレス語は中学1年並であり、一方私のエゲレス語も決して褒められたレベルではありませんので、とうとう具体的な仕事の内容を理解することはできませんでした。

 またこれは巡礼の旅をしている間中感じたのですが、フランセはとてもジャポネにフレンドリーであり、押し付けがましいことがなく、セバスチャンなどははにかみながら話したりして、なにかジャポネとそっくりな風情でございました。
フランセはジャポネとそっくりだな」とムッシュ タムと話したものでございます。

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 こうして歩く速力に相違はありましたが、我ら3名はそれぞれの楽しみを持ちながら、この中央高地の旅をしていたのでございます。

 これがサンチャゴ巡礼フランス道の6日目の報告でございます。

写真を掲載します。
http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/wfWntK?authkey=Gv1sRgCP2ypdaamb2kqgE#

 

 

 

 

 


 

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