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(21.6.4) GMは本当に再生するか

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 GM
が6月1日に連邦破産法11条の破産手続きを申請し倒産したことにより、今後は60日~90日の間に再建計画を策定し、裁判所によって承認を得ることが必要となった(承認が得られれなければ清算手続きに入る)。

 裁判所が承認を与える条件は、① 債権者の過半数以上が賛成し、② かつ賛成者の債権額が3分の2以上になる、ことが必要条件だ。
アメリカ政府もGMのヘンダーソンCEOも、早期の再建計画の承認に自信を見せている。
 
 倒産時のGMの債権約9兆円債務約17兆円で、約8兆円債務超過になっていた。
この不足分をアメリカ政府カナダ政府約5兆5千億円公的資金を投入し、残りの2兆5千億円踏み倒すことでGMの再生を図ろうというのが、今回の再建計画の骨子となっている。

 もっともそれだけでは現在対前年比約6割に落ち込んでいる販売数量とバランスが取れないので、工場ディーラーの数を減らし、従来の60%の規模に縮小して、再生を図ることになる。

 このため大雑把に言って、従来GMと取引関係があった部品メーカー、ディーラーの4割が契約を打ち切られ、また工場と工場労働者の約4割が工場閉鎖や人員整理に追い込まれることになる

 さてこうなった場合、はたしてGM再生するのだろうか。
オバマ大統領は「GMはもう一度、米国の成功の象徴となるだろう」と胸を張ったが、はたしてそうなるだろうか。

 考えても見て欲しい。倒産した企業の車を消費者が喜んで買い、売掛金を踏み倒された部品メーカーがいくらでも部品の供給をし、債権額を削減された金融機関がさらに追加融資に応じるだろうか。
そんなことはあるはずがない」と考えるのが普通だ。

 実際はGMクライスラーも唯一残ったフォードにシェアを奪われ、またトヨタホンダとのエコカーレースに負けて、段々と市場から撤退していくというのが最もありそうなシナリオだ。

 GMがさらに販売不振に陥れば、アメリカ政府としてはさらなる資金援助と、場合によったら外国車の輸入制限でもしてGMの経営をささえる以外方法はない。
しかし無制限の公的資金の投入は共和党国民が反対し、輸入制限はWTO違反だから世界が猛反発するだろう。

 一度企業が坂道を転げだした場合、再生が可能なのは通常は以下の条件がある場合だけだ。

① 景気が好調でGDPが拡大し、消費者の購買意欲が強い場合
② その企業が特殊なノウハウや商品を持っており、消費者がどうしてもその商品を必要とする場合

 現状はGDPマイナス成長が続き、自動車産業の生産規模が前年対比4割程度落ち込んでいて、さらにGMの主力商品はSUVとかピックアップトラックと言った最も売れない自動車しか存在しない。

もう一度問おう。GMははたして再生するだろうか?

 結局GMはアメリカ政府の支援を得たものの、最終的には「かつてGMという大企業がアメリカに存在した」と歴史の教科書に書かれながら細々と経営を続けていると私は思っている。

 

 

 

 

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評論 世界 アメリカ経済 自動車」カテゴリの記事

コメント

プラグインに対応するハイブリッドカーの市販があと少しの所だったようです。
米の底力を見た気がします。
http://eco-car.onsaito.net/3002007_chevrolet_volt_concept.html
こうしてみるとトヨタやホンダのハイブリッドは「ちょっと技術の出し惜しみしてない?」とも思えるのだから不思議なものです。

(山崎) GMは商品開発力はあるのですが、それを商品にするのがとても下手なようです。最大の原因は他に売れ筋の車種があると、「エコカーなんていわなくても利益が出せる」と判断して、開発を中断してしまうからだと思います。
短期に利益を出さなければならないアメリカ企業の欠点でしょう。

投稿: 横田 | 2009年6月 4日 (木) 15時14分

普通、メーカの復活には、すぐに製品化でき、しかもニーズにあった特殊技術や
ノウハウを、保有しているか、否かが鍵となります。
 これから開発しますでは、とても体力が続かないでしょう。
GMには、厳しいかもしれません。

ただ、何でも有りになってきたアメリカ。中国のように、
 日本メーカから知財の踏み倒し、などをやったりしたら、分かりませんが。

(山崎) アメリカ政府がGMを支えるために、輸入制限やGM車を購入した場合にプレミアムをつけるような、不公平取引に乗り出す可能性があります。
この場合は自由貿易が阻害されますから、世界的規模で生産が縮小することになるでしょう。
GMの再建が軌道にのらなかった場合の、アメリカ政府の次の一手がとても重要だと思います。

投稿: たか | 2009年6月 4日 (木) 08時44分

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