(21.6.13) 市民の手で千葉都市モノレールを守ろう
みんなで千葉都市モノレールを守ろう。油断すると市当局と土建会社が共謀して再びモノレールを食い物にしてしまうからだ。
千葉都市モノレールの延伸計画のことである。
県庁前から市立青葉病院までの約2kmを延伸し、それには176億円必要だという市が試算している。
実は千葉都市モノレールは乗客がまったく伸びない。当初計画では1日あたり16万人の乗降客を見込んだが、実際は平成7年に4万5千人を越えた頃から乗客数は減少に転じてジリ貧になり、最近になってようやく4万5千人(18年度)に戻ったところだ。
モノレールの懸命な営業努力でも4万5千人が限界に近い。
最大の理由は市の人口が伸び悩んでいることもある(当初は2000年に117万人になると予測したが、実際は09年で95万人)。ただしそれ以上に当初計画は乗客数を上乗せした。
「モノレールを作るためだ。何でもいいから数字をかさ上げしろ」
結果的に約3.5倍もサバを読んだ計画を作って、2560億円の巨費を投じ、結果として大赤字になってしまった。累積赤字が05年に296億円に達したため、06年に懸命な再建計画を作成し、
① 100億の資本金を1億に減資し、さらに
② 県と市の貸出金204億を棒引きし、
③ 減価償却資産90億円を市に肩代わりさせた。
約400億円の徳政令だが、こうして千葉都市モノレールを身軽にさせ、ようやく07年、08年と単年度収支で黒字化にこぎつけることができた。
「よかった。これでどうにか独り立ちできた」
ところが喜んだのもつかの間、ようやく単年度収支で黒字にできた千葉都市モノレールを、無理な建設を強行して赤字企業にしようというのが、この延伸計画である。
延伸計画を推進しようとしている市の高梨室長によると「延伸で一日平均乗客数が約8800人増え、83億円の増収を見込む」(毎日新聞)という。
一体どのように計算したらこのような数字が出てくるのだろうか。
現在の乗客数が延伸割合で増加すると仮定すると、
45000人×2km/17km=約5300人 となる。これが常識的な数字だ。
市の当初計画では16万人という3.5倍のサバを読んだが、さすがに今回は約1.7倍(8800÷5300)のサバに止めている。しかしサバであることには変りが無い。
通常民間会社が設備投資をおこなう場合、3種類の予測を作成する。もっとも楽観的な予測、通常の予測、そして悲観的な予測である。
民間会社では、この中の悲観的な予測であっても、なお収益を確保できるかを判断して投資を行なうが、一方公共団体の場合はもっとも楽観的な予測を前提に投資を行なう。
これではうまく行くと思うほうがどうかしている。
せっかく19年度に4億円の黒字が出たと思ったら、延伸計画が実行に移されると私の試算では約7億円の赤字企業になってしまう。
千葉都市モノレールの延伸問題参照(リンクが張ってあります)
一方高梨室長の83億円の増収と言う数字は何の数字かまったく分からない。なにしろ19年度の運輸収入が30億円なのだから、どう計算しても83億なんて数字は出てこない(もしかしたら8.3億円の間違いかもしれない。これなら私が試算した増収4億の1.7倍=約7億に近い)。
今回、はっきりと私たち市民は言うべきだ。「もっとも楽観的な数字で収益があがるとでっち上げ、挙句の果てに千葉都市モノレールを赤字会社に落とすのは止めよう」
今回の市長選挙ではこの延伸問題が一つの争点になっている。
① 延伸して都市モノレールを再び赤字にするか、それとも②単年度黒字を確保した都市モノレールを守るのか が問われている。
この延伸問題は鶴岡前市長の公約だったが、これを継承して市当局と土建会社の餌食にしては千葉都市モノレールに未来はない。
だから、千葉都市モノレールを守るため「延伸を阻止する」と私たちは表明すべきだと思う。
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コメント
おかげさまで負債増加への歯止めが掛けられそうです。
「市民の手でモノレールを守ろう」という演繹には目からウロコ、でした。
(山崎) 熊谷新市長が当選して、本当に良かったと思っております。
投稿: 横田 | 2009年6月16日 (火) 03時25分