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(21.6.1) 千葉市の財政崩壊とその隠蔽方法

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 千葉市長選
5月31日告示され、6月14日投票日に向けて選挙戦が開始された。
当初今回の千葉市長選挙は無風選挙といわれ、自民・公明推薦で元副市長の林孝二郎氏が、ほぼ無投票で当選するのではないかと言われていた。

 林孝二郎氏鶴岡前市長の実質的な後継者で、誰が立候補してもとても勝てそうになかったからである。
選挙戦が急に激戦になったのは、鶴岡前市長が収賄の容疑で警視庁に逮捕されたからで、鶴岡市政が金にまみれていた実態が明らかになるにつれ、鶴岡市政の後継でいいのかが急に争点になってきた。

 そこで急遽、民主党と市民ネットが推薦する熊谷俊人氏が対抗馬で立候補することになり、市長選は急に熱気を帯びだした。
29日には民主党の岡田幹事長が千葉市で熊谷氏の応援演説に来る等、実質的に千葉市長選は自民党と民主党の次期衆院選の前哨戦になってきている。

 私はほぼ15年にわたって千葉市民であったのだが、正直言って今まで市政について考えたことはなかった。何とかうまくやっているのではないか程度の感度で、千葉都市モノレールの延伸問題や、蘇我スポーツ公園整備問題について考え出したのはつい最近のことである。

 鶴岡千葉市政は一見問題もなく、当初は成功裏に任期を全うしたと思われていたが、本人が逮捕され、かつ千葉市の財務状況をよくよく見てみると、倒産間際のGMのような状況であることが分かってきた。

 なにしろ千葉市G翁さんから「プライマリーバラン(基礎的財政収支)が、全国783市中ワースト2位(1位は夕張市)。
また、借金返済の負担の重さを示す「実質公債費比率」は17政令市中16番目、公債償還などの「将来負担比率」は最下位になるほど、借金依存度は高いのです」
と教えてもらったほど財政状況が悪い

夕張市の次に悪い基礎的財政収支でよく鶴岡前市長は平気だったな」とその剛腹さにかえって感心してしまったが、実際は免罪符のような、財政健全化プランが作成されていたことを、熊谷候補のブログを見て知った。


 この免罪符は「千葉市財政健全化プラン」と言って、18年2月に市の財政局が作成したもので、今から3年前に作成されている。

*千葉市財政健全化プランの明細は以下のブログ参照
http://www.city.chiba.jp/zaiseikyoku/zaisei/zaisei/download/kenzenkaplan.pdf


 読んでみるとこの健全化プランは実はあるトリックがあって、一般会計についてのみ分析され今後の方策が検討されているが、特別会計についはそっと脇において分析検討の対象からはずしてある。

 
(以下の数字は平成7年から平成16年までの10年間の一般会計の実績数字

 それによると過去、市税収入が伸び悩み(▲140億円)、歳出規模は増加し(+58億円)、仕方なく市債を増発し(+2725億円)、埋蔵金の基金を取り崩したものの(106億円)、財政の弾力化は年々低下したという(経常収支比率 7年 87.1% → 16年 96.9%)。

 さらに、平成18年から21年までの今後の予想数字では、毎年250億円前後歳入欠陥が発生する見込になっており、そうしたことにならないように、具体的な諸方策を実施するとしている。

 そしてその結果は実に立派なもので、下記のように健全化プラン予測対比十分達成され一般会計は改善されたと言うことになった。
たとえば歳出額の18年度以降の推移は以下の通りで、歳入欠陥は発生しなかったことになっている。

(歳出額の予測と実績)

18年 予測 3538億円  結果 3484億円 ▲54 億円
19年 予測 3886億円  結果 3563億円 ▲323億円
20年 予測 3581億円  結果 3213億円 ▲368億円
21年 予測 3586億円  結果 3350億円 ▲236億円
(ただし20年、21年の結果数字は当初予算ベース)


 鶴岡市長はこの一般会計の数字を示し、「財政健全化は順調に進んでいる」と説明してきた。

 確かに一般会計だけを見るとその通りで、私などは鶴岡市政は実に立派な業績を残していたと思っていたほどだ。

 しかしこれはトリックで、千葉市の実際の会計は一般会計を凌駕する特別会計が存在し、そこにすべての問題が隠蔽されている。
21年度の一般会計 3350億円、特別会計 3901億円

 そもそも一般会計より特別会計の方が金額が多いことが問題で、これでは一般会計をいくら論じても全体のたった46%(21年度予算)の部分しか論じたことにならない。
しかも発表される数字のほとんどが一般会計で、特別会計は闇の中だ。

 実際は鶴岡市政の財政改善発表とは裏腹に、毎年市債の残高は積みあがっており、17年度以降1兆円を越えている。
財務が改善して、一方借金が増えるのは実際は財務改善に失敗しているからだ

* 千葉市の市債の発行残高の増大は熊谷候補の以下のブログに詳しい
http://www.kumagai-chiba.com/policy/zaisei.html

 特に私が問題と思うのは特別会計の中の公債管理という項目で、この金額が突出して多い。どうみてもここが隠れ蓑になっている可能性が高い(21年 1601億円、一般会計・特別会計を合算した数字の22%)。

 結局鶴岡市政は財政悪化の実情を隠すために一般会計だけを糊塗し、その裏で特別会計を膨らまし、市民の目を欺いてきたがその限界が見えたので市長を辞したようなものだ(実際は逮捕されたため辞表を出した)。

 千葉市の財政状況の調査は、特別会計公債管理を追っていくことで明らかになると私は予測している。
このテーマはとても興味があるので引き続きブログで掲載していくことにしたい。




 

 

 

 

 

 

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評論 地方自治 千葉市」カテゴリの記事

コメント

駅前にぽっと出来たような新しい住宅地は、下水道の整備が間に合わず、応急措置として浄化槽が設置、というトホホな所があります。収益が苦しい市が、市街化調整区域内でも駅前1km以内は先に住宅化しても良いという条例を立てたせいだそうです。

(山崎) 情報提供、ありがとうございます。

投稿: 横田 | 2009年6月 1日 (月) 22時59分

千葉市の財政問題は、昨年、新聞で知り関心を持つようなりました。熊谷候補は立候補前から財政危機を訴え、ブログでも警鐘を鳴らしてしてきました。財政再建の道筋をつけて、1日も早く健全な財政規律を堅持できるようにとする熱い思いが伝わって来ますね!。
確かに一般会計にばかり注目しても、特別会計も合わせてみなければ問題の本質は判りませんよね。「特別会計」は、国でも地方でも「官の聖域」、「ブラックボックス」、「特別扱いで官が自由自在に操る魑魅魍魎の世界」と言うように、市民の目から隠されていて透明性に欠けます。「特別会計」も議員・役人の利権や無駄使いの温床となっているかも?。
次郎さんが「特別会計」にも目を向けてみることに期待していますよ。
「特別会計」は地方自治法の規定により、「事業」(千葉市:国民健康保険事業、競輪事業等)の円滑な運営とその経理の適正を図るため設置されている。「特別会計」においては、各事業の収入、他会計繰入金、借入金及びその他の収入をもってその歳入とし、当該事業に係る経費、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子その他の諸支出をもってその歳出としている。そこで、「千葉市一般会計・特別会計歳入歳出決算18年度版」(07'8.27)が参考にできるかも?。
かって、TVで塩川元財務大臣が「母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特別会計)ではすき焼きを食っている」と言っていました。
今日、収賄罪の鶴岡前千葉市長が保釈されました。報道は地味で、裁判まで静かなままでしょう?。花沢元県議の市税不正免除事件のときのように、内部調査「指示された者はいたが、指示した者はいなかった」と同じような結論が、与党側多数で幕引きがされるでしょう!。

(山崎) G翁さんのコメントはいつも参考になります。ありがとうございます。

投稿: G爺 | 2009年6月 1日 (月) 22時42分

「鶴岡市政は財政悪化の実情を隠すために一般会計だけを糊塗し、その裏で特別会計を膨らまし、市民の目を欺いてきた。」
事実であれば、重大なコンプライアンス違反です。新市長は全ての財政に関する事実を明らかにし、市議会を解散し、市民全体で出直さざるを得ない事態に
波及する可能性があります。「特別会計の公債管理を追っていく。」山崎さんの市財政監査の続報を待ちます。
市長候補者3名も特別会計に関する認識と是正措置を述べるべきです。良いことも、悪いことも事実を共有し、みんなで議論し改善可能な問題から一つずつ取り組む。
この繰り返しがリスクと向き合うことだと感じています。また、その中で千葉市を担う人材が育成されるのでは。
自らの不勉強を恥じます。反芻自戒。山崎さん、これからも知らされていない事実を伝えてください。期待しています。

(山崎) 熊谷候補は財政再建を訴えていますが、他の2候補はその認識ががないようです。林候補は分かっているけれでも触れないというところだと思います。

投稿: TADA | 2009年6月 1日 (月) 20時07分

現在、千葉市内での戸建てを購入しようと検討中です。
夕張は破綻してから市のアパートを格安(\1000~のオークション)で販売していたので、
千葉市も破綻した場合は、土地価格の下落があるのではないかと思っております。
そこで質問なのですが、千葉市が破綻する可能性はあるのでしょうか?
また、その場合、千葉市の財政(借金?)がどの程度になたったら破綻するのですか?
素人の質問で済みません。ご存じでしたら教えてください。

(山崎) 夕張市が倒産した最大の要因は人口減です。ピーク時に12万だった人口が現在は1万人になり、さらに人口減少が続いています。
一方千葉市は毎年1万人弱の人口増があり、現在95万人で人口面での心配はありません。
アパートや土地価格については、この人口動態が反映されますので、夕張市のような価格低下はなく、一般的な市場価格で推移するはずです。

また、千葉市の財政破綻の最大の要因は箱物行政で無用とも思われる施設を作ってきたことですので、モノレールのような施設の建設の中止がまず行われるはずです。
これは誰が市長になっても行わざる得ないことで、鶴岡市政が財政破綻の最大の原因ですからその転換が図られれば、夕張市のような状況にはなりません。

投稿: たかし | 2009年6月 1日 (月) 18時01分

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