(21.5.30) クローズアップ現代 「マイホーム無残」を見て
昨日(27日)に見たクローズアップ現代の「マイホーム無残」には驚いた。
それによると、最近注文住宅で家を建設をした人が、住宅メーカーが途中で倒産してしまい、まったく家が建たないか、途中まで建ったもののそのまま放置されて途方にくれている例が続出しているという。
特に問題なのは銀行等からローンを借り、通常の支払いベース(契約時1割、着工時3割、上棟時3割、完成時3割)より早めにほぼ全額支払ってしまうケースがあり、被害が拡大しているのだという。
レポートでは住宅メーカーから「早期の支払いをすれば5%価格を値引きします」と言われてほぼ8割程度の支払いをしたところ、直後にメーカーが倒産し、借金だけ残った人の事例が紹介されていた。
倒産したのはアーバンエステートとか富士ハウスといった中堅中小の注文住宅メーカーで、この金融危機の影響で金融機関からの借り入れが思うに任せず、いきおい顧客からの入金を運転資金に回していたが倒産してしまったのだという。
債権者集会の模様が放映されていたが、負債総額が50億以上で一方手元の資金はゼロに近く、「すでに支払われた顧客の建設費を返済できない」との説明が社長からされていた。
「それじゃ、詐欺じゃないか」と怒号が飛んでいたが無理もない。
専門家という人が「注文住宅の支払い方法が実態とあっておらず、メーカーがその金を運転資金として利用できることが問題だ」と言っていたが、私も注文住宅で我が家を建設した経験があり、今思えばメーカーが倒産しなくて本当に良かったと胸をなぜ下ろしたほどだ。
レポートを見ていて特に問題と思ったのは、完成保証制度というものであり、それに入って保証料を払っていたのにもかかわらず、実際は完成しないという事例だった。
完成保証制度にはいっていたという女性が、「このパンフレットを写してください。これが完成するはずだった我が家ですよ。でも家が建たないのです」と言っていたが、思わずむねが締め付けられる思いがした。
レポートによると完成保証制度の主旨は「建設中のメーカーが倒産しても、保証会社が新たな建設メーカーを斡旋して問題なく家が建つというもの」だが、実際はそのとおりにならないのだという。
なぜそうなるかというと以下の通りだそうだ。
① 支払い方法と建設の速度が同じでなく、大抵の場合は支払いが先行しているので(この金は回収できず)、顧客は新たなメーカーに二重払いをせざる得なくなる。
② 新たなメーカーがその後の建設を引き受けるまでに期間がたつと、柱や床の建設資材が痛み、結局作り直しを要求される(いままでの支払いが無駄になる)。
「これじゃ、完成保証など実際は保証されていないのと同じじゃないか」思わず声が出た。
こうなると家を建てる側の防衛策としては以下のようになりそうだ。
① 注文住宅を諦めて、建売住宅の購入をすること(家を建てるリスクは顧客でなくメーカーが負っている)
② つぶれそうもない注文住宅メーカーと契約すること(ただし中小のメーカーにとっては死活問題になる)
金融危機に伴う貸し渋りが中小の建設会社の資金繰りを圧迫し、結果として顧客がローンを抱えたまま家が建たないという悲劇が発生していることを、このレポートが教えてくれた。
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コメント
つぶれそうもないメーカーをどうやって判断すればいいのでしょうね。
(山崎)とても難しい質問で、実際に被害にあわれた方の質問だけに、答えるのに窮します。
一般論としては以下の通りです。
① 大手メーカーについては決算書等が公表されており、新聞等を読んでいれば業況把握が可能です。
② 中小以下の場合はそうした情報がないので、インターネットで検索してトラブル情報が掲載されているかどうかをチェックしてみます。
トラブルが多い業者は止めるべきです。
また企業の資金繰りの悪化は企業にとって最高秘密で(それがうわさされる様になったらほとんど倒産まじか)、一般の人は分からないのが普通です。
ただしその場合にも企業側から、放送でもあったように「早く支払えば値引きする」というような申しいれがあるので、「資金繰りが厳しいのだな」と分かります。
なお相手の企業を見抜く目は、一種の動物的勘のようなものが必要で(かつて私が融資担当者だったころ、倒産する企業は大体分かりました)、そうした勘を働かせておくより仕方がないのが現状のようです。
投稿: 富士ハウス被害者 | 2009年5月30日 (土) 08時19分