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(21.5.31) 自転車のパンクで大騒ぎだ

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 私の愛車、マウンテンバイクベガサスがパンクしてしまった。
先日(25日)、久しぶりで江戸川を遡り、関宿利根川と江戸川の分岐点までサイクリングに出かけた。

 私の家から片道100km往復で200kmの距離だ。私の時速は約20kmだから、乗りっぱなしだと10時間で行って帰ってこれるが、実際は食事や休みを取るので11時間程度かかる。

 朝のうちは小雨模様だったが、だんだんと回復し午後には晴れ間も見える絶好のサイクリング日和だった。
私はこのコースがことのほか好きで、現役の頃「定年になったらこのコースを自転車で走りたい」と夢見ていたのだから、念願がかなったことになる。

 江戸川堤は元々マラソンの練習コースとして利用しており、川間から葛西臨海公園までの約45kmが定番のコースだったが、自転車の場合はさらに関宿までの片道60km往復120km全コース走れることが嬉しい。

20920_014  今日もルンルン気分で走り、「今日一日楽しかった」なんて気分でいたら、帰りの新習志野の近くで急にパンクの大音響がして空気がすっかり抜けてしまった。
見ると大きな釘が刺さっている。
しまった。パンクかよ
新習志野から自宅までまだ20kmある。自転車なら1時間の距離だが、歩くと5時間だ。
5時間歩くのかよ、うんざりだな・・・・・・・、でも利根川でパンクしたら100km歩くことになったんだから、まあいいか・・・」ブツブツ。

 かつて私の自転車好きの友達が言ってたことを思い出した。
山崎さん、自転車で遠出をするのならパンク修理ができなければ駄目ですよ」本当にそうだ。
自転車を引っ張りながら歩いていると、ライダーが気の毒そうな顔をして通り過ぎていく。

 1時間もそうして歩いていたら、すっかり気持ちがなえてきた。
家まで歩くなんて、もうやだ。なんとか自転車屋さんを見つけよう

 中学生に聞いて、検見川浜の駅前のスーパーの一階に自転車屋さんがあることを知った。
修理に1時間程度かかったが、直った時は心底ほっとしたものだ。

 しかしどうしたものだろうか。この自転車に乗って今まで約2500km走ったが、初めてのパンクだ。今後もこの程度の割合でパンクが起こると思わなければいけないだろう。
この自転車屋さんで将来のために「パンク直しグッズ」を購入しておいた。

 遠出をする時はこのグッズを必ず持っていくことにしたが、実際に直すとなると、おいそれとはいかずかなりトレーニングがいりそうだ。

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(21.5.30) クローズアップ現代 「マイホーム無残」を見て

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 昨日(27日)に見たクローズアップ現代の「マイホーム無残」には驚いた。
それによると、最近注文住宅で家を建設をした人が、住宅メーカーが途中で倒産してしまい、まったく家が建たないか、途中まで建ったもののそのまま放置されて途方にくれている例が続出しているという。

 特に問題なのは銀行等からローンを借り、通常の支払いベース(契約時1割、着工時3割、上棟時3割、完成時3割)より早めにほぼ全額支払ってしまうケースがあり、被害が拡大しているのだという。

 レポートでは住宅メーカーから「早期の支払いをすれば5%価格を値引きします」と言われてほぼ8割程度の支払いをしたところ、直後にメーカーが倒産し、借金だけ残った人の事例が紹介されていた。

 倒産したのはアーバンエステートとか富士ハウスといった中堅中小の注文住宅メーカーで、この金融危機の影響で金融機関からの借り入れが思うに任せず、いきおい顧客からの入金を運転資金に回していたが倒産してしまったのだという。

 債権者集会の模様が放映されていたが、負債総額が50億以上で一方手元の資金はゼロに近く、「すでに支払われた顧客の建設費を返済できない」との説明が社長からされていた。
それじゃ、詐欺じゃないか」と怒号が飛んでいたが無理もない。

 専門家という人が「注文住宅の支払い方法が実態とあっておらず、メーカーがその金を運転資金として利用できることが問題だ」と言っていたが、私も注文住宅で我が家を建設した経験があり、今思えばメーカーが倒産しなくて本当に良かったと胸をなぜ下ろしたほどだ。

 レポートを見ていて特に問題と思ったのは、完成保証制度というものであり、それに入って保証料を払っていたのにもかかわらず、実際は完成しないという事例だった。

 完成保証制度にはいっていたという女性が、「このパンフレットを写してください。これが完成するはずだった我が家ですよ。でも家が建たないのです」と言っていたが、思わずむねが締め付けられる思いがした。

 レポートによると完成保証制度の主旨は「建設中のメーカーが倒産しても、保証会社が新たな建設メーカーを斡旋して問題なく家が建つというもの」だが、実際はそのとおりにならないのだという。

 なぜそうなるかというと以下の通りだそうだ。

① 支払い方法と建設の速度が同じでなく、大抵の場合は支払いが先行しているので(この金は回収できず)、顧客は新たなメーカーに二重払いをせざる得なくなる。
② 新たなメーカーがその後の建設を引き受けるまでに期間がたつと、柱や床の建設資材が痛み、結局作り直しを要求される(
いままでの支払いが無駄になる)。

これじゃ、完成保証など実際は保証されていないのと同じじゃないか」思わず声が出た。

 こうなると家を建てる側の防衛策としては以下のようになりそうだ。
① 注文住宅を諦めて、建売住宅の購入をすること(家を建てるリスクは顧客でなくメーカーが負っている
② つぶれそうもない注文住宅メーカーと契約すること(
ただし中小のメーカーにとっては死活問題になる

 金融危機に伴う貸し渋りが中小の建設会社の資金繰りを圧迫し、結果として顧客がローンを抱えたまま家が建たないという悲劇が発生していることを、このレポートが教えてくれた。

 

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(21.5.29) GMの破算とCDSの爆発

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 アメリカ政府がGMに求めた再建計画提出日6月1日の期限が近づいているが、どうやらGMは倒産を免れることができないらしい。
金融機関等の債権者との交渉が暗礁に乗り上げたからだ。

 このため長い間金融専門家の間で「それが爆発すると、サブプライムローンの比ではない」といわれていたCDSが本当に爆発しそうになってきた。
CDSとは金融危機が発生する前までは、もっとも人気のあった金融商品の一つで、一種の企業保険のようなものだ。

 今回の例で言えば、GM270億ドル(約3兆円弱無担保社債を発行しているが、これを購入した金融機関やヘッジファンドは無担保なのでリスクが高すぎると判断する

 そこで金融機関やヘッジファンドはAIGのような保証会社(保険会社)に、GMが倒産した場合のヘッジとして保険料を支払い、全額または一部の債権を保全してきた。
GMが倒産しても、AIGが代わりに払ってくれるから安全確実だ
それがCDSだ。

 今回のGMと債権保有者との交渉が難航して決裂したのも、このCDSがあるためである
債権額の90%削減なんてとんでもない。それよりかGMが倒産してAIGに100%の保証を実行してもらおう。わが社にとってはGMの倒産が一番の利益だ

 オバマ政権としたら、失業者をこれ以上増やさず、業況を悪化させないためにも、何とかGMの債務削減交渉を成功させたい。
最悪でも事前調整型の破産法適用クライスラーと同じ)に持って行きたかったが、どうもそうは問屋がおろさない状況になってきた。
事前調整のない、本当の倒産になりそうなのだ。

 実は世界には総額で6000兆円全世界のGDPとほぼ同じ)のCDSがあるといわれ、AIGだけでも約40兆円CDSを保有している。
今回のように企業が倒産しそうになると、政府や労働組合は何とか企業存立に向けて努力するが、一方金融機関やヘッジファンドはその企業を倒産させてCDS契約に基づく債権回収を図ろうとする
、金融機関は政府の公的資金の支援が期待できるので妥協の余地はあるが、ヘッジファンドには支援がないため、妥協の余地はない

 実際GMが倒産すれば270億ドル規模のCDSの保証実行がされるのだが、関連会社等への波及を考えると(関連会社が倒産して、ここでもCDSの実行が発生する)、その規模がどの位ふくらむか、現状では誰もわからない。

 CDSの爆発が始まれば、小康状態にある金融市場が再び大荒れになる。だから6月1日はアメリカにとっても、世界にとってもエポックとなる歴史的な日になりそうなのだ。

(21.6.1)追加
 米政府はGMが連邦破産法11条の申請をして破産するとの声明を出した。これに伴い米政府とカナダ政府が約4兆円の支援を行い、両政府あわせて72%の株式を取得して、国有化することになった。

 上記ブログで記した債権額270億ドルの約半数はGMの提案を呑むことになったが、残りの半数は拒否している。拒否をしたファンドや金融機関はCDSの実行を実施することになる。

 私が上記ブログで記載した約半分の規模でCDSが実行されるのだが、その広がりについては今はまだ分からない。

 

 

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(21.5.28) インドの衝撃 NHKスペシャルを見て

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(NHKスペシャルより

 NHKスペシャル、「インドの衝撃 膨張する軍事パワー」を興味深く見た。
日本では、アメリカ中国韓国の情報はそこの国の住民と見間違うほどよく入ってくるが、それ以外の国の情報は極度に少ない。
日本にとってこの3国以外はまるで存在していないかのようだ。

 今回NHKスペシャルで取り上げられたインドについても、私などはガンジーの無抵抗運動ネール首相非同盟政策印パ紛争といった半世紀前の知識と、最近のIT産業の躍進ムンバイでのテロ以外にはほとんど知っていないというのが実情だった。

 特に今回取り上げられた軍事パワーなどまったく知らなかったといってよく、インドがインド洋でのシーレーン確保のために、海軍力と空軍力の大軍拡をしていることを始めて知った。

 海軍の増強のために駆逐艦の建造や、空母の建造に着手し、また空軍の増強のために最新鋭の戦闘機126機購入する計画だという。
このための兵器購入費は約1兆円だそうだ。

 空母については戦後のアジアでははじめての建造で(戦前は日本が空母を持っていた)、かつ最新鋭の戦闘機購入についてはロシアのミグ35とアメリカのF16スーパーバードを競わせ、高度なレーダー技術を入手するのが目的だという。

 現在インドの空軍は約500機の戦闘機を持つ世界第4位の空軍力だそうだが、実際はミグ21という、数世代前のオンボロ機が中心で、これを一気に世界最高水準の空軍に変えるのだという。

 なぜインドが軍拡に乗り出したかは、経済成長で軍備を拡張できる余力が発生したこともあるが、本当の目的は中国である

 中国のインド洋への進出はめざましく、主として保護国ミャンマーのインド洋側に海軍基地を設け、さらにスリランカのような周辺地域にも経済援助と見返りに軍事基地の提供を得ようとしている。
このままいくとインド洋は中国の中海になってしまう

 こうした動きを見過ごせないと感じたのはアメリカインドで、特にインドは21世紀の大国として世界をリードするライバル同士と認識しており、中国への警戒感が強い。

インドのシーレーンはインド海軍が守る」とインドの海軍司令官が言っていたが、アメリカがインド洋から撤退した場合は、インドだけの力でもインド洋を守りきろうとしているようだ。

 かつて1962年に、インドと中国はカシミール近郊で国境紛争を行い、この時は中国が完勝した。おかげでこの地域の領有権は中国が持ち、インドはこのときの屈辱を忘れていない。

 インドが敗北した原因はネール首相の非同盟政策で、インド軍の力が弱体化していたからだといわれている。
インドが核開発に乗り出したのは、このときの失敗に懲りたからでインドの仮想敵国は中国である。

 インドと中国は表面はともかく、互いの信頼感はゼロといってよい。
さらに近年インド洋のシーレーンが重要なのは、アラビアの石油とアフリカの石油・鉄鉱石の交通路がインド洋だからである。
経済発展が著しいインドと中国にとって死活のシーレーンになってしまった。

 もしインドと中国の間で再び紛争が起こっても、インド洋を押さえてしまえば中国は石油も鉄鉱石も入手できない。
反対に中国に押さえ込まれてしまうと、中印紛争の二の舞で、インドは再び完敗する。

 こうしてインドと中国はインド洋のシーレーンをめぐって大軍拡を競い始めた。
日本の立場からすると、尖閣諸島で煮え湯を飲まされたり、何かというと南京大虐殺を持ち出して日本を揺さぶったり、日本の常任理事国入りに反対して日本大使館を襲わせたりする中国よりは、はるかにインドの方が友好的だ。

 安倍元首相は「インドとの友好関係を深めるべきだ」と言っていたが、国家的戦略としては、インドと組む遠交近攻策が、日本の基本的戦略になるべきだと私も思う。
インド洋のシーレーンは日本にとっても生命線であり、インドとの友好関係は日本の安全保障の強化に確実につながるはずだ。

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(21.5.27) 中国大学生の就職問題  大学バブルのゆくえ

250pxpeople27s_republic_of_china__2   昨日(25日)、NHKのクローズアップ現代で中国の大学生の就職問題が取り上げられていた。
それによると本年度の大学卒業者は約530万人で、そのうち約200万人が就職できずに、いわゆる就職浪人になると言う。
比率にしたら約4割だから、日本の比ではない。

 中国では中国政府の方針で高等教育の充実を図ることにしたところ、2000年ごろから大量に大学が粗製乱造され、それまで100万人程度だった卒業生が今年は530万人約5倍に増えたのだと言う。

 このため大学バブルが発生し、そこに世界的な経済不況が押し寄せたため、レベルが低いとみなされた大学の卒業生は就職できなくなったようだ。

 番組では上海の華東理工大学の大学生にスポットを当てて、約半年に及ぶ就職活動の模様をレポートしていた。
番組でははっきり言わなかったが、この大学はエリート大学ではないらしく、「貴方のような専門性のレベルでは、会社の要望に答えられない」と企業の就職担当者から冷たくあしらわれていた。
就職難のため、企業は優秀な大学の学生しか採用しないらしい。

 この番組に出てきた王さんと言う学生は、福建省の片田舎から出てきたのだが、中国の農村地帯では子どもを大学に行かせて、その子供を大企業に就職させることが貧困から抜け出す唯一の方策なのだそうだ。
この家族は年収25万円で、借金をして息子を大学に行かせていた。

 就職した子供は家族への仕送りで恩を返すと言う仕組みで、社会福祉がない中国では家族福祉が唯一の老後対策だと言う。

 王さんは家族への仕送りと、弟の大学の学費の面倒を見るため、4万5千円以下では就職しないのだと言っていた。
しかし王さんは金融機関に就職しようと努力したものの、金融バブルがはじけた後だけにおいそれとは就職できず、就職浪人になってしまったと番組は伝えていた。

 中国の大学生が就職難であることは知っていたが、実際に映像で見るとその様はすさまじい。
中国では中央が指令を出すと、各地方の共産党組織が競争で突っ走るため、常に中央の予想をはるかに越えてしまう結果になる。
大学の数も中央の予想の約2倍になったのだという。

 紅衛兵運動改革解放もすべて行き過ぎたり加熱してしまうのはそのせいで、何か中国という国柄のような気がする。
もっともこの程度で驚いていては、中国の指導者にはなれないらしく、こうした事態に冷静を装って(実際はテンヤワンヤの大騒ぎをして)大人として対処するのが中国式政治らしい。

 中国の専門家という人が「まず既成事実を作り、問題があれば後で解決するのが中国式」だといっていたが、世界最大の人口を持つ国家の運営はことのほか難しいようだ。

 中国政府としては、地方の道路の建設やダムを作る公共工事を拡大し、また地方公務員として一時的に就職させるように指導しているが(このあたりは日本とそっくりだ)、さすがに200万人の就職浪人を吸収するのは至難の業らしい。

 

 

 

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(21.5.26) 恨(ハン)の国の大統領

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 ノムヒョン前韓国大統領
の自殺が世界に衝撃を与えている。韓国大統領といえば晩節を全うできない大統領というイメージが強く、やはりと言う気もするが、伝統のようにノムヒョン氏もその一員に加わってしまった。

 なにしろ独立後の歴代大統領の運命はいづれも悲惨なものだ。
李承晩氏はハワイに亡命してそこで死去し、朴正熙氏は部下に暗殺され、ゼントカン氏は収賄罪で死刑宣告を受け(特赦で釈放)、ノテウ氏も収賄容疑で2年間服役し、キムヨンサム氏はあっせん収罪で逮捕され、今度はノムヒョン氏が不正資金事件を苦にして自殺してしまった。

 今回の収賄容疑は夫人や、長男、長女が大統領の権威を傘にきて約6億円の金品を集めたとの疑惑だが、その事実をノムヒョン前大統領が在任中知っていたかどうかが、本人が逮捕されるか否かの分かれ目になっていた。

 当然、ノムヒョン氏は「在任中は知らなかった」と言っていたが、検察当局にネチネチ責められれば、前大統領としてのプライドが大いに傷つき、思い余って自殺をしたのだろう。
韓国世論は「国策捜査」だといきまいている。

 なぜ歴代大統領がこうも死亡(暗殺、自殺)したり、収賄罪で逮捕されるのかの説明で「大統領に権限が集中し、それを親族が利用するからだ」との説明がされていたが、どうもそれだけではなさそうだ。

 大統領権限が強いのは韓国だけでなく、アメリカやフランスでも同様だが、一部例外を除いて韓国のような状況にはなっていない。

 韓国で大統領が晩節を全うできない理由は二つあると思う。

① 一つは儒教国家で家族の絆が強いこと。反対に言えば一族で出世頭がでれば、その権威を一族中で利用すること。
② 二つ目は恨(ハン)が国民的性格で、冷や飯を食わされた現政権が、前政権に対する恨みを復讐として徹底的に晴らそうとすること。


 特に恨(ハン)については、韓国には長い伝統がある。
たとえば李舜臣といえば、亀甲舟豊臣秀吉の朝鮮出兵を打ち破った英雄と目されているが、一時、内部の政争に巻き込まれて反対派から死刑の判決を受けて殺されそうになった(救国の英雄でも反対派閥が政権をとると、死刑にされる例)。

 また日韓併合についても李氏朝鮮内部の改革派と保守派の骨肉の争いが激しく、改革派は保守派に対する恨みで日本という外国勢力と手を結び、(保守派はロシアと結んでいた)結果的に日本に植民地化されてしまった(骨肉の争いが激化すると国をも売ってしまうという例。一方日本の例では幕末、外国勢力の進出を勝海舟等の努力で回避している)。

 ハンの国、韓国では「日本」という言葉に対しいまだに「怨念」を抱いていて、竹島問題歴史認識で燃え上がるが、それは外国人に対してだけでなく同国人に対しても同じで、常に反対派を弾劾してやまない(韓国では地域主義の伝統が残っており、互いに反発しあっている)。

 こうした恨(ハン)の伝統がある限り、韓国大統領は晩節を全うできないのはいたし方がないことで、政争が激化しこれからも大統領の逮捕が繰り返されると思っておくのが妥当だろう。

 

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(21.5.25) 千葉市長選のゆくえ

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 千葉市の市長鶴岡啓一氏が、東起業からのワイロ100万円を受け取ったとされた事件で警視庁に逮捕されてから、千葉市長選は一気にきな臭くなってきた。

 それまでは鶴岡氏の後継者として、自他共に認めていた元副市長林孝二郎氏が実質無投票で当選する勢いだったが、急遽民主党熊谷俊人(くまがい としひと)氏が対抗馬で出馬を表明した。
これで林氏との一騎打ちになった。

 今まで林氏は「鶴岡市政の後継者だ」と言って、それを前面に押し出していたが、鶴岡氏が逮捕されてしまうと「じゃ、収賄についてもおなじなのか」といわれ、返す言葉がなくなってきた。
すっかり、鶴岡市政から距離を置く戦術を取り始めたのはいたし方がないところだ。

 先日(23日)、熊谷氏を推薦している市民ネット熊谷氏を囲んで話を聞く会を開催したので、私もその席に参加してみた。
熊谷氏は31歳の青年そのもので、もし当選したらもっとも若い市長の一人になりそうだ。

 実は私は最近まで市政について考えることはまったくなく、千葉市の借金が1兆円を越えていて、政令市の中で上から2番目に財政状況が悪く、なおかつ箱物といわれる建設計画が目白押しだとは知らなかった。

 そのなかでモノレールの延伸問題についてだけは最近調査をおこない、2kmの延伸に176億円の経費がかかり、一方で維持費が増加してせっかく黒字になったモノレール会社が、赤字に転落することをブログに記載している(千葉市モノレールの延伸問題)。

 箱物問題はこれだけかと思っていたら、熊谷氏の説明で蘇我スポーツ公園整備事業で総事業費が350億円かかっていることを始めて知った。
蘇我スポーツ公園とは元製鉄所跡地に、サッカー場、陸上競技場、テニスコート等を整備する計画で、サッカー場はすでにジェフ千葉のホームグランドとして使用されている。

 今回問題になっているのは陸上競技場で、千葉市にはすでに県の陸上競技場が整備されているのだが、さらに市が管理する陸上競技場を作るのだと言う。

 スポーツ関係者なら誰でも知っているが、この陸上競技場ほどコストのかかる施設はない。なにしろ陸上競技の大会は年間を通して多くはなく、さらに観客動員数が極度に少ない。

 たとえば国立競技場全日本選手権を開催しても、入場者数は1万人前後で、バックスタンドなどは閑古鳥が鳴いている。
作れば作るほど維持費がかかって四苦八苦するのが陸上競技場で、わざわざ市の財政を困窮させるために作るようなものだ。

 こうした「無駄な費用を削減しよう」と言うのが熊谷氏の政策で、私などは大いに賛成するのだが、なぜ鶴岡市長とその後継者が箱物にこだわるかと言うと、それが金になるからである。

 正式な政治献金にしろ、またワイロにしろ建設業界からの資金こそが政治家の生命のようなところがあり、あの清廉潔白の呼び声が高かった鶴岡市長でさえ手を染めていた。

 箱物行政は政治家にとり金のなる木ではあるが、しかし一方で市財政は1兆円にのぼる借金が積みあがってしまう(税金を上げられないので借金を増やすのが日本の政治のパターン)。
熊谷氏は「このまま行くと将来の市民に負担を強いるだけだ」といっていたが、私の判断では市財政の崩壊は「借金の踏み倒し」になる可能性の方が高い。

 従来金融機関は千葉市を信頼しおおらかに市債を購入をしてきたが、今後は金融機関といえどもおいそれと金を貸してくれそうもない。
市町村の倒産が珍しくなくなり、借金比率の高い市町村から倒産していくからだ(千葉市は政令市の中で2番目に借金比率が高い)。

 そうした意味で市債を無限に膨らませる箱物行政は完全に行きづまっており、もともと鶴岡市政の後継などはできないのが実情だ。

 だからここは箱物行政からの脱却を明確に表明している熊谷氏を応援するのがよさそうだというのが私の判断だ。

(注)なお、千葉市モノレール延伸問題ブログ(21.2.22)に対する、G翁さんの以下のコメントは傾聴に値します。

 千葉都市モノレールの延伸は凍結するべきでしょうね!。千葉駅西口再開発事業も同じですよ。今は財政の健全化(財政再建)の方が喫緊の課題でしよう。千葉市の財政指標の悪化は目を覆うばかりです。例えば、プライマリーバランス(基礎的財政収支)が、全国783市中ワースト2(1は夕張市)。また、借金返済の負担の重さを示す「実質公債費比率」は17政令市中16番目、公債償還などの「将来負担比率」は最下位になるほど、借金依存度は高いのです。

 鶴岡市長は7月に退陣するけど、財政再建の道筋はつけていない。後継者は林副市長(選挙後)になるでしょうが、大型投資を継続するため、財政健全化はさらに遠くなりますね。

 市民には、増税と行政サービスの低下につながり、次世代の負担も大きくなるでしょう?。次郎さんの「落書き消し」剥離・ペンキ代補助もカットされるかも?。次郎さんが市民オンブズマンだったら適任だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(21.5.24) 家族との登山   登山NO 11

1982年 36才
志賀高原 家族と 5月の連休 
 

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 この年は私にとって最悪の年だった。
急激に右の耳の中耳炎が悪化して、どうにもならない状況になってしまった。

 近くの診療所で見てもらったが埒があかなく、仕方がないので順天堂大学病院で見てもらうことにした。
検査の結果、真珠性中耳炎ということが分かって手術をすることになったが、手術日がなかなか決まらずイライラしたものだ。
ほぼ1ヶ月間にわたって順天堂大学病院に入院していた。

 志賀高原には、中耳炎が悪化する前の5月の連休に家族で出かけていった。
ここには会社の寮があって、格安の値段で泊まれたのだが、この時は資金計画を完全に失敗してしまった。

 娘が9才、息子が7才で、息子もJRの運賃がかかるようになっていたのを完全に忘れていた。
まずい、金が足りない
志賀高原の寮ではスキー道具一式を貸してくれるのだが、息子の電車賃を払うと、スキーを借りるためのお金がなくなってしまった。

 仕方なく無料のそりに乗って遊ぶことになったが、せっかくの春山スキーをしそこなったのは残念だ。
もっとも娘と息子はそりに乗ってはしゃいでいたのだから、そり遊びを十分楽しんでいたようだ。

Image0_2  志賀高原には笠が岳という2000m程度のずんぐりむっくりした山があり、どこからでも眺めることができる。
5月の連休の時期は山肌に残雪が残っており、残雪をたどれば直登ができる。
子どもには少し無理そうだったので、一人で登ることにした。

 こうした時期の登山はとっても楽で、どんな急斜面でも手と足を雪に深く差し込んで楽々と登ることができた。
笠が岳からの眺望は実に見事でうっとりしたのを覚えている。

 もっともこの時期は中耳炎が悪化していた時期で、体調は常に不安定で、「もしかしたら自分は40歳まで生きられないのではなかろうか、これが最後の家族旅行になるのではなかろうか」と言う気持ちに襲われていた。

 

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(21.5.23) 為替相場の動きが変だ

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 ここに来て為替相場の動きが変調をきたしている。一頃100円前後だった対ドル為替相場円高局面に突入し、22日には一時93円台になり、再び90円前後に向かい始めた。

 5月20日に内閣府から、「09年1~3月のGDPが年率換算で▲15.2%という先進国の中でも最悪の落ち込みだ」と発表されたのにもかかわらず、円高が進んでいる。

 この2月08年10~12月期GDPが年率換算で▲12.7%(今回▲14.4%に下方修正)と発表されたときは市場はすぐさま反応し、それまで90円前後だった為替相場がたちまちのうちに100円前後の円安になったのは記憶に新しい。

「なぜ世界最悪のGDPの落ち込みなのに円安にならないのだろうか。前回と今回に何の違いがあるんだ」不思議な気持ちがする。
市場は日本のGDPがどのような数字であっても、まったく驚かず反応しなくなってしまった。

 円高になった説明として
① FRBが09年度のアメリカのGDP予測を下方修正したこと、
② 4月の住宅着工数が過去最悪の記録になったこと、
③ 4月の小売売上高が前月比マイナスになったこと、
等があげられているが、すべてアメリカ側の要因の説明で、日本のGDPなどいくら低下しても考慮外だという。

 たしかに上記の要因も円高の説明にはなるが、先進国中最大の日本のGDPの落ち込みを相殺するほど重要な要因とは思われない
アメリカのGDPが大幅に落ち込んだり、住宅着工数が低迷しているのは今に始まったことではないからだ。

 私の見るところ、円高になる最大の要因はGMである。
GMはこの6月1日までにアメリカ政府を納得させる改善案を出さないと、連邦破産法11条による倒産になるのだが、その可能性が刻々と近づいている。

 クライスラーのほぼ4倍の規模を持ち、かつては「GMに良いことはアメリカにも良いことだ」と豪語していたGMだが、そのGMが破算に追い込まれると、「アメリカ製造業の終焉」が誰の目にも明確になる。

「第2のリーマンショックが近づいているのではなかろうか
あわてた政府はGM金融会社約7000億円の公的資金をつぎ込んで支援の姿勢を見せたが、市場の不安を払拭するところまでは行っていない。

 現状のGMの状況は、労組との間で、労務コスト削減の暫定合意にまでたどり着いたようだが、銀行団との債務削減交渉は難航している。
なにしろ銀行団に対しては、無担保債務270億ドル9割を棒引きしろと言うのだから、銀行団としてはおいそれと妥協するわけに行かない。

 このまま交渉が決裂すれば、クライスラーの場合とは異なり、事前合意なき連邦破産法11条の適用になる。
最悪はGMの消滅にまでなってしまいそうだ

 GMの処理を見極めるまでは、市場はドルの信認を控えざる得ない。
もしかしたら300万人規模の失業者が出るかもしれないのだから半端ではなく、アメリカ政府の努力がいっぺんで吹っ飛んでしまう数字だ。

 その結果日本の世界最悪のGDPの落ち込みなど蜂に刺された程度と見なされ、市場の注目はGMが破産するか否かに集中してしまった。






 

 

 
 

 

 

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(21.5.22) 家族および弟との登山  登山NO 10

1981年 35才
尾瀬(燧ケ岳) 家族と 9月21日~23日 


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 この年は実に多くの登山をしていた。タムさんとは冬山の訓練に出かけたり、南アルプスの北岳、間ノ岳、農鳥岳に登っている。
奥秩父には2回、会社の同僚と1回、それとワンゲル部出身の弟と登った。

Image0  秋には家族で尾瀬に行くことにした。長女が8才小学校2年、、長男が6才で幼稚園生だった
尾瀬
に入ったのはこのときが初めてで、鳩待峠から尾瀬ヶ原にはいり,尾瀬の木道を尾瀬沼に向かって歩いた。かみさんはこの頃あまり調子がよくなく,歩いている間中眠りたがっていた(
木道で寝ていた)。


 尾瀬沼のほとりの山荘に泊まり,翌日は燧ケ岳(ひうちがたけ)2356mに登った。娘も息子も登山に慣れていたのでけなげに登ったが,登山客からは「こんな小さな子が良く登ること」といわれた。
子ども達は楽しげに登っていると思っていたが、後年息子から「何であんな苦しい思いをして登山をしているのか分からなかった」と述懐された。

 この頃は写真にこっていて,6×7の大型カメラを持って写真をとりまくっていた。いまでも家で尾瀬の家族写真を飾っているが、とてもいい写真だ。


奥秩父(鶏頭山) 弟と 10月10日~11日


Image01  弟と登った鶏冠山(とさかやまは、奥秩父甲武信岳2475mの稜線上にある飛び切りタフな山だった。通常の登山道がなく、足跡が僅かに残っている程度で、岩肌が思いっきりゴツゴツした岩山だった。ほとんどがロッククライミングの続きで、熟練者以外の入山を禁止していた。

 西沢渓谷の途中から,注意しないと分からないぐらいの目印が有り,そこから岸壁に取り付く。西沢渓谷の入口には「登山禁止」の立て札が立っており,ここが危険地帯だということが分かる。

 鶏冠山のルートはわずかに踏みあとがあるだけで,基本は稜線をはずさずに登る必要があった。前に男性1名と女性3名のグループがいて,男性がリードしていたが、ロープで互いに確保しながら登っていた。

 岩と岩の隙間が1m程度きれ落ちている場所を登らなければならなかった時は困惑した。

 こちらの岩からから前の岸壁に「エイヤー」と飛び移って、それから岸壁を登るのだ。
とても荷物を背負ったままでは飛び移れなかったため空身になり、後でロープで荷物を引き上げた。背負っているのと違い、ロープで引き上げると非常な重さに感ずる。

 くたびれきって頂上に着いたときは本心からほっとしたものだ。
やれやれ、どうにか生きていられた」そんな感じだった。

 翌日は国師岳奥千丈岳経由で帰ったがかなりの距離があり、すっかりつかれきった弟は不機嫌になっていた。

 その他に時間さえあれば毎週のように丹沢沢登をしていた。なにかこの年は登山に取り付かれていたといえる。


 

 

 

 

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(21.5.21) 文学入門  日本臨終図巻

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 今日(20日河村義人さんが主催する読書会が行なわれた。今回の発表者は私で、選んだ本は山田風太郎氏の「日本臨終図巻」だった。
この「日本臨終図巻という本に興味を持ったのは、これが臨終場面だけを集めた奇書だからである。

 本件についてはブログで何回か記載したが、おゆみ野の森ビッグ兄さんから山崎さん、最近の山崎さんのブログは暗すぎるよ」と言われてしまった。
一般的に死を扱う書物や、その本の書評はあまり好まれないらしい。

 私としては生きることと同様に死の事についても考えてみようといった程度の感覚だったが、ビック兄さんの提言をいれて、臨終に関する書評はこれを最後にすることにした。

 今日の読書会で、河村さんは以下のような書評を述べている。
古今東西の歴史的人物の死にまつわるゴシップ集。これが本書の第一印象である。・・・・・・・試しに、自分がよく知っている人物の項を読んでみる。そこには・・・紙幅の関係上評伝ほど詳しい記述は無理なので、自ずとその人物の略歴や特徴的なエピソードなどが語られることになる。

・・・・(読んでみて)読後にどんな印象が残っただろう。・・・大した印象は残っていない。・・・その理由はゴシップのあしらい方にあるのではないかと、気づいた

 たとえゴシップを扱っても、卓抜な警句や小話が挿入されていれば興味がわくが、そうしたものがないためこの本は印象に残らなかったと言う。

 一方私の本書の読み方は資料集である。約900人あまりの人物の臨終の様子について、資料として知りたかったのであり、インターネットの検索のような感じで読み進めた。

 参加者の一人が「ここに書かれていることと、違った内容の解釈がある」と指摘してくれたが、そのとおりでこのブログで若山牧水を取り上げた時もWikipedia等の検索と照らし合わせて、比較検討が必要だった。

 この本の最後の書評として、日本人の死生観について触れておくことにする。

 一般に日本人は無宗教だから死後の世界があるとは考えず、その先は無の世界と思っている。

 たとえば吉田松陰は死刑が宣告されると「彼縛らるる時、誠に気息荒く、切歯し口角泡を出すごとく、実に無念の顔色なりき」だった。
死ぬなんてとんでもないと言う気持ちだった。

 有島武郎波多野秋子と心中したのだが、遺書には「おそらく私たちの死体は腐乱して発見されるだろう」と淡白に書いている。
有島武郎内村鑑三の弟子だからキリスト者で自殺は禁止されているはずだが、死に方は日本的だ。

 三島由紀夫が切腹する時の時世の句は「散るをいとう 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹くそよ風」で「さきがけ」として死んで行くといっているだけで、死後の世界を夢見ているわけではない。

 織田信長が最後にまったといわれる幸若舞の『は「人間50年、化天のうちをくらぶれば、夢幻のごとくなり・・・」で単に「化天8000歳の天人が暮らす世界)」に比べると短かったといっているだけだ。

 林芙美子の葬儀委員長は川端康成だったが、その挨拶は「死は一切の罪悪を消滅させますから、・・故人を許してもらいたいと思います」で、同性の女性を傷つけて止まなかった芙美子の生前の所業の許しをこうている。
川端氏の認識も「死は一切の罪悪の消滅」だから死後は無になると言っているのと同じだ。

 松尾芭蕉の辞世の句は「旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る」だったが、「かねては草を枕にして死ぬ自分と覚悟していたのに、こんな立派なしとねの上で・・・死ぬるとは冥加につきる」と静かに他界した。

 この本を読むと日本人の死生観というものがよく分かり、生前にどのような行動や思想を持っていたとしても、そこに日本人独特の「死は無に帰す」という日本的宗教感情を強く感じることができた。


なお、河村義人さんの書評人の死を数多く眺めると言うことの全文は以下のURLをクリックしてください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2009/05/21521-14f7.html

 

 

 

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(21.5.20) ムーディーズの深き陰謀

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 この18日、米格付け会社ムーディーズが、日本国債の格付けを1段階引上げ、上から3番目Aa2にしたと発表した。
このAa2先進7カ国の中ではまだ最低レベルで、ようやくイタリアと並んだと言うレベルだ。

 そもそもムーディーズ日本国債2002年上から6番目A2まで落とし、「ボツアナレベル」だと日本政府を激怒させたのだが、そのときの理由は「対GDP対比日本が突出して国債残高が多い」と言うものだった。

注)詳細は以下のURLを参照
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_03_g05.html

 しかし今度は一転して日本国債の評価を上げようとしている。

 日本では麻生政権が補正予算を組んで、09年度の新規国債発行額約44兆円にものぼるといわれているときの引上げなので市場は一応に驚いた。
何かの間違いではないか、なぜ日本の国債の評価が上がったんだ

 ムーディーズの説明によると引上げ理由は、① 外貨建ての債権が圧倒的に多く(約100兆円の外貨準備がある)、② 多額の貯蓄残高があり(約1500兆円と言われている)、③ その結果国債購入余力が高い、と言うのだが、そんなことは2002年の引下げ時も同じでいまさらのことではない

引き下げる時は対GDP比率で、引き上げる時は外貨建て債権と貯蓄の多さか?」
市場は疑心暗鬼になっているが、その答えはアメリカである

 08年末の段階で、アメリカの国債残高は約600兆円で、日本の約800兆円より少なく、対GDP対比でアメリカが約0.6倍、一方日本が約1.7倍だった。

 これを根拠にアメリカ国債の格付けを最高のAaa、日本をAa3(4番目)にしていたのだが、本年度のアメリカ国債の発行予定額が約200兆円規模になり、残高ベースで日本と並ぶことになってしまった
しかも場合によっては200兆円ですまないかもしれない。

まずい、アメリカが日本に近づいてきた。対GDP比率も上がっている」
対GDP比論理だとアメリカ国債の格付けを引き下げなければならない 
だが、それでは国債が売れなくなる。
何とかアメリカ国債の評価を下げない方法はないものだろうか

 その答えが日本国債の引上げである。アメリカ国債の格付けを引き下げられないから、相対比較で日本国債の評価を上げたのだ

担当者しかし、日本国債の評価を上げる理由がありません。相変わらず対GDP比率は高いですし・・・・・
経営者我々の使命はアメリカ国債の価値を守ることだ。アメリカ国債は常にAaaであらねばならぬ。日本国債の評価を上げる理由はなんとでもつくだろう

担当者それではダブルスタンダードになってしまいます。日本をはじめ世界が納得しません
経営者「いいかね
アメリカのためのダブルスタンダードは神も許してくださる。そもそも格付け会社はアメリカのためにあることを忘れてはいけない。
いままで格付け会社が客観的な評価をしたことが一度でもあったかね。すべてアメリカ政府とアメリカ企業のためにやってきたんだろう。
ダブルスタンダードこそが我々の生きる道なのだ

 

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(21.5.19) おゆみ野の森の市民参加

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 ここ数ヶ月、おゆみ野の森の今後のあり方をめぐってJunJun姉さんをはじめ、フォーシスターズファイブシスターズとも言う)が悩んでいる。

 ことの起こりは来年4月以降は、この森の管理運営市民が行なうことになるのだが、その運営母体をどのように立ち上げるかで苦慮しているからだ。

 ここおゆみ野の森は普通の公園ではなくて、元々はUR都市機構が保有していたものを、10年間の契約で千葉市に貸与したものだが、その維持管理は市ではなく市民が行なうことになっている。

 市民緑地設置事業と言うのだが、千葉市で2件目でありあまり例がないだけに、運営母体を立ち上げるのが難しい(注、市も財政が厳しく、すべての公園の管理に手が回りかねており、ボランティアによる管理を試行しているのがこの事業)。

 現状はUR都市機構の子会社新都市ライフが、ここおゆみ野の森の実質的な維持管理やイベント企画を行なってきており、それを来年4月から市民主体に変えようとしている。

 ここでは月一回の定期活動と、これも月1回の草刈、それ以外に年2回、春と秋のお祭り、それ以外のイベントとしてキャンプ等が行なわれている。
従来はこうした企画の詳細はすべて新都市ライフOさんを初めとするスタッフによって計画されてきた。

しかし、来年からは新都市ライフに頼むわけにはいかない。さてどうしたらよいものか
フォーシスターズは「やってみ隊」という組織を立ち上げ、来年以降の準備として企画にも参加し始めたが、自分達だけでは荷が重い。
そこで男衆を集めるため実行委員会を立ち上げることにした。

21515_016_2  この森には「やってみ隊」「草刈隊」「キャンプ実験隊」「ふれあい隊」といった組織があるので、その責任者と有志による実行委員会の設置がようやく昨日(17日)決まった。

 これでJunJun姉さんはじめフォーシスターズの肩の荷はだいぶ下りたのだが、 だがそれでも問題が残る。
ここの組織は三層構造になっており、
① おゆみ野の森を育てる会メンバー(参加している人全員)、
② 実行委員会(実際にイベントの準備や実施をしている市民メンバーとそのサポーター)、
③ 執行委員(予算、年間計画、詳細計画の立案をしている新都市ライフ)、
から構成されている。

 問題は執行委員が今のところ新都市ライフ男性3名、女性2名)によって行なわれているのだが、これをどのようにして市民団体が引継いでいくかで、やはり給与をもらっての仕事とボランティアではおのずと密度は異なる。

 私の当初のイメージは、最低限草刈と清掃をして森の維持管理を行なうことと、年2回のイベントを行なうことだったが、最近のイメージは毎月イベントを行なっていくというイメージになっている。

 そうなると執行委員が大変で、なり手がいなくなってしまうのではないかと危ぶんでいる。
JunJun姉さんフォーシスターズの悩みもそこなのだから、今年はともかく来年4月以降は催し物を制限して、自分達のできる範囲内で行なうのがいいのではなかろうか。

 市民参加の公園管理も、実際行なうとなるとなかなか苦労することが分かった。

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(21.5.18) 麻生首相は希代の強運児 その2

Images3  麻生首相強運にはつくづく舌を捲いた。元々選挙管理内閣と思われていた麻生政権が、08年11月の公明党が求めた総選挙を封じ込め、その後は09年度予算、その補正予算を人質にとって延命している間に、何と民主党小沢代表がこけてしまった。

 政治は「一瞬先が闇」だから何が起こるかわからないとはこのことだ。
西松建設の政治献金疑惑で、世論はすっかり小沢氏からはなれ、その分麻生首相の評判はあがるという春の椿事が起こった。

 の事件では小沢代表の第一秘書が逮捕されたが、事件そのものは何とも胡散臭い陰の動きが感じられる。
小沢氏は「政治資金については、一点のやましさもない」といっているが、従来の政治資金規正法の解釈からは小沢氏の言説はまったく正しい。

 もともと政治資金規正法はひどいザル法で、個人の資金管理団体が企業献金を受けるのを禁止しているが、地方の政党支部実際は政治家個人の別団体)が企業から政治資金を受け入れることは認めている。

 だから個人からでも企業からでも政治家は献金が受けられ、これは単なる事務処理の問題に過ぎなかったのだから、小沢氏とすれば自信を持って「潔白」と主張できる訳だ。

 しかし、この国の世論はことのほか清廉潔白だから、「政治資金規正法がザル法だ」なんて説明に納得するはずがない。
小沢止めろ」の大合唱が起こってしまった。

 小沢氏としたら憤懣やる方なかったところだろう。
選挙で勝てるのは自分しかいないとの自負があり、実際07年7月参議院選挙ではそうなった。
これだけの実績があるのになぜやめなければならないのだ」と歯軋りしたはずだが、この国では実績より失点が少ないことが大事だ(注、サラリーマン社会を経験した人なら、出世する人は実力がある人より、ミスをしない人だと知っているはずだ)。

 一時期、麻生首相の支持率ががた落ちしたのは、麻生首相自らの舌禍と朋友中川大臣の酩酊会見のせいだが、その後学習効果が効いて最近では舌禍がまったくなくなった。
その一方で小沢代表がこけたのだから、自民党としては千載一遇のチャンスが到来した。

 本当はすぐにでも解散総選挙をしたいところだが、そうは行かない理由が麻生首相にはある。
なにしろ自身の政権延命策として「経済対策が一番だ」と言い続けてきた手前、補正予算が国会を通過するまでは解散するわけに行かない。
とりあえず補正予算は13日に衆議院を通過したので、後は60日ルールで自然成立する7月上旬まで待たねばならない。

「俺は本当に強運だが、総選挙だけは都合よく思い通りの時期にはできないな」と言うところだろう。

 一方この国の世論は熱しやすくさめやすい。今では小沢氏のことはすっかり忘れ、新代表の鳩山由紀夫氏に注目している。
だから本当に強運かどうかは、鳩山氏との一騎打ちを経てからでないと分からない。

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(21.5.17) 斎藤さんのブログは楽しい

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 私が最近毎日見ているブログに斎藤さんのブログちば公園のベンチから」(リンクが張ってありますがある。斎藤さんは元千葉市の花の美術館の館長をされていた方で、私はおゆみ野の森で知り合いになった。

 私より年配のはずだが、とてもダンディな方で、クルーザーに乗ったり、バイクを乗り回したり若大将の気分で、私など足元にも及ばない。
この斎藤さんのブログを読んでみると、斎藤さんが非常なメカ好きであることが分かる。

029_41  若い頃からバイクを乗り回していたらしいが、35歳の時にイタリア製のべスバと言うスクーターを購入したと言う。
べスバとは「ローマの休日」で、オードリー・ヘップパーングレゴリー・ペックが乗り回していたあのスクーターのことだ。

 私などはヘップパーンの美しさにただ魅了されて、スクーターの種類など眼中になかったが、斎藤さんはメカ好きだけあって、その種類を目ざとく認識し、その後そのスクーターを入手した。
そしてそのヒップラインを楽しんだのだと言う。

 同じ映画を見ながら、私はヘップパーンのお尻を見ていたのだが、斎藤さんはべスバのお尻を見ていたわけだ。

 斎藤さんによるとべスバのヒップラインは蜂のお尻をイメージしてとても美しいのだそうだが、私などは人間のヒップライン以外には興味を示さないので、このあたりで趣味が大きく分かれてしまう。

 また斎藤さんは55歳の頃、今度はVWビートルを購入したのだそうだが、これはヒップラインカブトムシのお尻でこれも何とも美しいのだと言う。
花の美術館の元館長だけあって、植物だけでなく、その植物に群がる昆虫のお尻に興味があるようだ。

 また斎藤さんは幕張新都心の都市デザインの千葉市側の担当者で、ここでは都市景観について研鑽を積んだそうだ。

 幕張新都心の景観のコンセプトは、① 生活臭を出さない(洗濯物が外から見えない)、② 環境色に徹する(自然のやわらかい色彩を記帳とする)、ことだそうで、それがあの幕張の美しい都市景観を支えているのだと言う。

 そして街の色には必然性があり、たとえばエーゲ海の街並みが真っ白なのは石灰石で家ができているからだそうだ。
そういえば日本の古い街並みが暗っぽいのは、かや木材でできているからだろう。

 バラの話もなかなか興味があった。斎藤さんがバラ園を整備しなければならなくなったとき、どうしたらよいか京成バラ園研究所の鈴木省三氏(故人)に、教えを請いに行ったそうだ。

10primav1_21_2   その時鈴木氏が教えてくれたのが、ポッチチェリのミロのビーナスで、その絵のバラは古典ローズと言い、現在の品種はここから枝分かれしたのだと言う。
したがって「時代を追うように新種の系統図を作ってまとめたらどうか」と言うのが、鈴木氏のアドバイスだったそうだ。

 斎藤さんのブログを読むと、植物のことや都市景観だけでなく、昆虫のお尻にも造詣が深くなり、非常にためになることが受けあいだ。

 

 

 

 

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(21.5.16) 弱剪定の季節 その2

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(ここが私が弱剪定をしている鎌取駅前の駐輪場

 この時期になると四季の道も草木が一斉に生長をはじめ、1週間もすると草ぼうぼうの草原になったり、植栽も急成長し、あちこち枝葉が飛び跳ねてくる。

 そうなると私の弱剪定の季節が始まる。弱剪定とは飛び出した枝葉を切りそろえ、植栽の上をつる草が覆っている時はそれを除去して植栽の日当たりを良くすることで、植物に対するダメージはまったくない。

 当然この四季の道も業者が入って手入れをするのだが、数ヶ月に1回程度で、その間も植物は成長し続ける。
業者はほとんど強剪定をするのだが、業者が剪定をしない期間、私が弱剪定をして四季の道の植栽の手入れをしている。

 もっとも四季の道6kmあまりもあり、全部を同じレベルで実施することができないので、もっぱら駅周辺と私が住んでいる夏の道が主で、それ以外の場所はよっぽどのことがないとしない。

 やり方はここ数年の経験で、よく分かるようになった。
① 弱剪定は頭を切りそろえているだけだから、植栽に対するダメージはまったくない(最初はおっかなびっくりだった
 つる草を除去してやることにより、植栽が見違えるほど元気になる(植栽に植えられている木は元々強いので、環境さえ整えればほっておいても丈夫に育つ

 特に太鼓橋の脇の植栽は日当たりが悪く、その上つる草に覆われており、病気がちで、葉っぱが黄色かったものが、今では生き生きとしている。
また、これまでは切った枝葉をそのままにしていたが、最近はできるだけ持ち帰るようにしている。美しい植栽と言うイメージを大切にしたいからだ。

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(この時期になると四季の道も雑草で覆われてしまう

 もう一つの問題は芝生である。

 四季の道には芝生が通路の両側に植えられているが、この時期になると雑草で覆われる。
先日、ちはら台かずさの道をJOGしていたら、かずさの道に面する家の人が、雑草を手で除去していた。

 自分の庭の手入れと同じような感覚で、雑草をとっている。残念なことに四季の道ではそうした姿を見ることはほとんどなく、全体として荒れた感じになっている。

 景観は全体としてみるものだから、自分の庭だけ美しくしても意味がない。街全体をトータルに保全するために、積極的に四季の道の手入れもして欲しいものだ。

 公共物に手を入れてよいか躊躇される方もいると思うが、現在はボランティアの時代で、市が予算やその他の関連でできかねていることは、積極的に応援すべきだと思う。





 

 

 

 

 

 

 

 

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(21.5.15) 何があっても世界は不変 長谷川慶太郎氏の世界観

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 今、長谷川慶太郎氏の「それでも『平成恐慌』はありません」という本を読んでいる。長谷川氏と言えば長い間、経済・政治・軍事関連の日本の第一人者と目された評論家で、特に1990年前後の社会主義国崩壊の前後には非常に鋭い指摘を行なっていた。

 ソビエトロシアが崩壊する数年前、長谷川氏が「なぜロシアが崩壊するか」と予言している一節があった。

 記憶をたどって記すと「ロシアの唯一の輸出資源が石油なのにもかかわらず、経済計画において石油の産出量や販売計画がまったく触れられておらず、あたかも石油が無いかのごとくだ。

 このような経済計画を立案しているソビエトロシアは遠からず崩壊する
」と言うものであったが、そのとおりになり私は舌を捲いた(当時、私はソビエトロシアがあんなにあっけなく崩壊するとは思っていなかった)。

その後長谷川氏は「中国の崩壊」を予言したが、こちらはまったく当たらず、最近では「鉄鋼生産量や化学産業ばかりを強調する」どちらかと言えば忘れられた評論家という立場にあった。

 その長谷川氏が久々に出した本がこの「平成恐慌はない」と言う本である。

 この本で長谷川氏は以下のように論説を展開する。
まず「今度の「金融危機」で国際経済全体に根本的な改革の動きが発生することはないだろう」と言う。

 たとえ金融危機がどのようなものであったとしても、それは資本主義体制特有の景気変動の一種で、現在のアメリカ中心の国際経済体制未来永劫、びくともしないと言う。

 その上で、長谷川氏は「現在は戦争のない社会で、その結果デフレが基本的趨勢なのだから、(戦争がない以上)デフレギャップを埋めるための公共事業投資が必要」だとケインズ政策を推奨する。

 そしてこのために「いくら赤字国債を発行し、いくら公共投資を行なっても、これはデフレギャップを埋めるための投資だから、インフレには結びつかず、かえって経済活動に大きいコストダウンを提供する」のだそうだ。

 ここまで読んで考え込んでしまった。確かに21世紀は戦争のない世紀と言えるが、だからと言って無限大に近い規模まで赤字国債を発行しても問題ないとはどうして言えるのだろうか。

 たとえば日本では失われた90年代に、景気回復のための公共投資を大々的に行ったが、赤字国債が積みあがり財政の硬直化は先進国中第一位になってしまった。

 私の認識は「先進国の戦争と公共投資」は非常に似通った性格を持っているというもので、どちらも無駄な投資というものだ。

 戦争では、かつては戦勝国は賠償金を掠め取ることができたが、第二次大戦後はアメリカの例で見れば分かるとおり、かえって経済援助をしなければならない(マーシャル・プラン、ガリオア・エロア、イラク支援等)。

 また公共投資は十分すぎる位い投資がされてしまい、今では熊が遊んでいると揶揄される高速道路や、ヤンバダムのようになんで作るのか不明なダムが残っているだけだ。
こうした不要なハコモノはかえって維持費がかさんで、とても経済活動を支援するような代物でない。

(注)経済学の用語で収穫逓減の法則と言うものがあり、たとえば千葉と川崎を結ぶアクアラインを1本作った時は、それなりの経済効果が期待できるが、同じアクアラインを2本、3本と作ってはまったく無駄だというようなもの

 要するに戦争も公共投資も、確かにデフレギャップを埋めることはできるが、だからと言ってそれが次世代の経済活動を支援するようなものでなく、単なる負債を後世に付回しているだけの措置に過ぎない。
麻薬のようなものだ。

 しかし、長谷川氏は自信を持って言う。
道路網が整備され、交通渋滞が解消され、大都市の住民に限らず国民全体全体の受けるメリットは言うまでもない。そしてこうした経済効果も投資額をはるかに上回るに違いない

 何も変らず、大胆なケインズ政策さえとれば、経済は復活し、アメリカ中心の世界が維持できて万々歳だと言うわけだ。
これでは長谷川氏はアメリカ中心のこの世界秩序を何とか守りたいために、そうした論説を展開しているだけといわれても仕方ない。

 読んで見て、もはや長谷川氏は評論家ではなく、単なる体制維持のプロパガンダーに過ぎないという印象を強く持った

 

 

 

 

 

 

 

 

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(21.5.14) トヨタは復活するだろうか

240pxtoyota_headquarter_toyota_city  トヨタ09年3月連結決算が発表された。それによると営業利益▲4610億円で、これは実に71年ぶりの赤字だと言う。

 71年と言うと戦前からだから、今まで決して赤字にならなかったほうがビックリだが、トヨタにしたら驚天動地のことだろう。
確かに100年に一度の危機にふさわしい数字だ。

 売上高も約22%減20兆5千億円だったが、赤字要因別分析では販売数量の減少▲1兆5000億(56%)、為替差損▲7600億(28%)、全体▲2兆7000億円営業利益が減少したのだと言う。

 10年3月期もさらに厳しい見通しになっており、売上高さらに20%ダウンし、営業利益▲8500億円になると見ている。

 販売台数も落ち込む一方で08年3期 890万台09年3期 756万台から10年3期 650万台の予想だ。
一頃1000万台に達すると言われていたが、この数字は蜃気楼のように雲散霧消してしまった。

 つい1年前まで世界のトヨタと呼ばれ、国内企業の中で売上高、利益とも日本一だったのが嘘のようだ。
輸出立国日本はこのトヨタで持っていたようなところがあったから、トヨタの不振で日本全体が落ち込んでしまった。
トヨタが赤字なら、日本が駄目なのは仕方ない

 今日本ではトヨタがいつ復活できるかに固唾を呑んでいる。

 そのトヨタ復活戦略を見てみると、
① 北米市場偏重から中国、ブラジル等の新興国に販売の重点を移行させること
② 原価低減、設備投資の減少で約8000億円の費用を浮かすこと、
だと言う。
ただし、それでも10年3月営業利益は▲8500億円になるのだそうだ。

 考え込んでしまった。
これではどのように努力しても赤字体質は免れないと言っているのと同じじゃないか。対応が甘いのじゃないか

 トヨタにとっては基本的な問題がいくつかある。

① 1000万台生産体制の過剰設備問題。

700万台で利益があがる体質を作るといっているが、そうした場合は米テキサス州の大型ピックアップトラックのような、いくつかの不採算工場の閉鎖を実施しなければならない。
大雑把に言って、3割が過剰設備になっている。


② アメリカ偏重から新興国にシフトする場合の販売網の問題。

ただし新興国といっても同じように景気が後退しており、たまたま中国では新車購入時の税金の減免で販売数量が伸びているに過ぎない。
販売先は常に移動すると想定する必要がある。


③ 輸出基地としての日本での生産縮小問題。

国内工場を閉鎖する場合、多くの下請け工場が閉鎖に追い込まれる一方国内生産にこだわれば常に為替差損の問題が発生する。

④ 売れ筋の環境対応車に資源シフト問題。


車種が多すぎて現状では資源がひどく分散されている。車種を徹底的に絞って売れ筋に特化しなければならない。 

 
いづれもトヨタにとって厳しい選択をせまられることばかりで、本当にこうした基本問題を解決できるのだろうかと疑問に思ってしまう。
トヨタが伸びていた時は、生産規模の拡大も、アメリカ市場での強さも、日本での生産も、車種が多いこともすべてが強みだったが、今はすべてが弱みに変ってしまった。

 一方で、今期のメーカー7社の決算を見てみると、誰が勝ち組で誰が負け組みか明確に分かる。

 今回の連結決算では、ホンダとスズキ黒字決算になったのには驚いた。当初は全社赤字だと予想されていたからだ。
たとえばホンダは昨年の12月段階では、赤字決算を見込んでいたが、最終的には営業損益は1896億円の黒字になった。

 なぜホンダとスズキは勝ち組になったのだろうか?

 ホンダはHV車のインサイトが好調なのと、スズキは軽自動車ワゴンRが売れているからだろう。この2社は売れ筋の車を持っている

 
こうした結果から、トヨタ復活戦略のポイントが見えてくる。

① 販売の中心をHV車、プリウスに傾斜させること
② 軽自動車の販売をさらに強化すること(実際は連結先、ダイハツ工業のムーブ、タント等の販売強化)
③ 一方で不要設備の削減をすすめて700万台体制に縮小すること

 
この三つが、逆境の環境の中でトヨタが生き残る道だろうと思うが、生産規模の3割削減にもたもたしていると、トヨタといえどもしばらく前の日産のような立場に追い込まれてしまうかもしれない。

 思うにトヨタはあまりに金融バブルの世界にディペンドし、それゆえに売上高も利益も驚異的に伸びたのだが、金融バブルが弾けた今は、新しい世界に適応できない恐竜のように見える。

 

  

 

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(21.5.13) 人間臨終図巻 夏目雅子 享年28

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 今日(12日四季の道の清掃活動をしていたら、四季の道のランナーでひときは徳の高い観音姉さんに出会った。
観音姉さんは私のブログの読者で、この20日に図書館で行なう読書会のことを知っていた。

山崎さん、私も人間臨終図巻を読んでいるのだけれど、読書会に参加していいかしら」と聞く。
この読書会は河村義人さんが主催しているのだが、基本オープンなので誰でも、いつでも参加可能だ。
ええ、是非来てください。今回の報告者は私ですから、参加者が多いのは大歓迎です」喜んでさそった。

第1巻は若い人が中心だから、何ともかわいそうな死に方が多くて、特に夏目雅子なんかとても気の毒で」と観音姉さんが言う。

 私も実は同じ気持ちだったので、観音姉さんと別れた後、夏目雅子についてブログをまとめてみる気になった。

 女優夏目雅子28歳の若さで、血液の癌といわれる「急性骨髄性白血病」で死去したのは1985年のことだから、私が39歳の時で、そのころ私はシステム開発の仕事をしていた。

 私が夏目雅子を知ったのは彼女の代表作「鬼龍院花子の生涯」を見たからだが、正直言って何とも美しいが、おっかないお姉さんだとの印象だった。

(注)この映画はとても不思議な映画で、題名と主演女優がまったく違う。映画を見れば分かるが、花子は刺身のつまで、主演は花子を支える夏目雅子が演じる松恵(土佐の大親分、鬼龍院政五郎の養女)である。

 その怖さはこの映画で夏目雅子が演じた松恵と言う女性の役柄からきている。
自分の愛した男性がヤクザの抗争に巻き込まれて死去し、その葬儀に松恵は列席するのだが、男性(元高校教員)の家族や親戚からヤクザ者といわれて葬儀の列席を拒絶される、
その時にはいた台詞がすごかった。

なめたら、なめたら いかんぜよ!!」

 しかし夏目雅子は本当に美しかった。
最後の遺作となった「瀬戸内少年野球団」の監督篠田正浩は「20代の女優さんではもっとも美しい、日本一きれいな女優さんでした。憂いを持った美貌で、彗星のごとく現れ、流れ尾を引きながらきえていったひとですね」と言ったと言う。

 美人薄命とは夏目雅子のためにあるような言葉だが、それ以上に私は夏目雅子から影響を受けたことがある。

 そのころ私はあるシステム開発責任者だったが、当時の技術水準ではとても不可能な課題に取り組み、はっきり言って失敗していた。

 このことをワンマンの異名を持つ上司の部長が苦々しく思い、ある会議の席上、「お前のような無能な顔は見たくも無い、この部屋から出て行け」と罵倒されてしまった。
 通常サラリーマン社会では、こうした場合黙って出て行くのだが、この時私はそうせず、言い放った言葉が夏目雅子だった。

おうさ、ならばここで すぐさま首を切られよ

 目いっぱいドスの効いた声で言ったので、後で同僚から「ヤクザのようだった」と言われたが、イメージが夏目雅子だったからヤクザぽいのは致し方ない。

 もちろん金融機関のような場所で、上司と部下がヤクザさながらに罵り合ってしまっては、品性が疑われてしまったのは止む終えないが、人間追い詰められると野獣になるのはどこでも同じだ。

 こうして夏目雅子は私に多大な影響を残して、他界してしまった。

(読書会参加のおさそい)

 この読書会は上記に記載したとおり、参加は自由(
毎回来なくても可)ですので、興味のある方は是非参加ください。
なお、最初の参加は「見学」という形式で、特に本を読んでなくともかまいません。


日程は、5/20(水)13:00~、
場所は緑図書館集会室、
テキストは山田風太郎の『人間臨終図巻1』(徳間書店、全3巻のうち第1巻のみ)、
講師は山崎





 

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(21.5.12) 4月27日 大百池公園で被害を会われたお子さんのご家族へ

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 昨年の6月に、おゆみ野地区で恐喝暴行を受けたA君のお父さんから、今回大百池公園で恐喝暴行を受けたご家族に対し、A君のお父さんの経験を伝えて欲しいとのメールをいただきました。

 こうした経験は稀なものですので、A君のお父さんの経験情報は大変有用なものと判断されます。できればこの記事が今回被害に会われたご家族の目にとまることを願って止みません。

以下全文を掲載します。


 

 山崎様、4月27日大百池公園で発生した恐喝暴行事件(詳細はおゆみ野守り人を見てくださいで緑区に住む16才の少年4人が南署に逮捕されました。4人は暴行は認めているが、強盗は否認していると千葉日報が報じました。

 また少年犯罪です。息子が遭遇した事件と類似しています。残念です。被害者は、自ら求めなければタイムリーに加害者の捜査や裁きがどう進むのか知ることができません。

 もちろん、事前の知識があるわけでもなく、私は情報量の少なさと警察の事務的な対応、さらに加害者から謝罪がないことに憤慨し悶々とした日々を過ごしていました。

 私が経験した少年犯罪事件の流れを紹介します。何かの参考になれば幸いです。

1. 事件発生、被害届を警察が受理
   ↓
2. 警察捜査開始
   ↓
3. 加害者逮捕
   ↓ (
48時間以内に検察官に送致
4. 加害者勾留
   ↓ (
10日間で警察は捜査、検察は起訴または不起訴を決める。)
5. 勾留延長
   ↓ (
延長は10日間以内、余罪など関連の捜査が多い時に適用される。
6. 起訴、家庭裁判所送致
  ・加害者の身柄は警察から少年鑑別所に移される。
  ・警察の被害者への対応は終わり、ここから家庭裁判所が対応する。
7. 家裁から被害者に通知が届く(
逮捕から約1ヶ月経過
   ↓
8. 審判(
刑事罰が決まる
  ・家裁送致から審判まで25日間であった。少年犯罪は加害者の更生を促すために、不必要に時間を先延ばししない。


 この流れに沿うと、4・27大百池公園事件は「4.加害者勾留」の段階にあると推測します。窓口は南署生活安全課でしょうか。

 とにかく、こちらから聞かなければ詳しい事は誰も教えてくれない。被害者、加害者双方の了解がなければ警察は名前さえ教えてくれない。報復行為などの二次的な事件発生への配慮であるという。悪いことをしたら謝る。そんな当然なことでも、簡単にはできない仕組みがある。

 法的には、起訴処分が決まるまでは被害者は待つしかない。明らかに傷を負うていても、加害者からは謝罪さえない。そんな状態が起こるのです。良識ある保護者であれば、あらゆる手を尽くして連絡を取り被害者に謝罪するだろう。

 被害者もまた、法の壁の前に右往左往することになる。私は利用しなかったが、検察庁被害者ホットラインでも相談を受け付けている。窓口は千葉地方検察庁(TEL 043-221-2065)です。

 刑事処分とは別に民事処分があります。怪我の治療費や慰謝料などの損害賠償です。怪我の回復が固定した段階で、将来のリスクを含めて請求金額を決めます。これは弁護士に相談するのが妥当でしょう。

 先ずは話し合いでの示談をめざしましょう。話し合いが不成立の場合、民事裁判を起こすことになります。しかし、民事裁判は労力、費用もかかりその代価が100%保障されるとも限りません。

 そしてもう一つ、病院の診察治療に第三者行為による怪我では、原則健康保険は適用されません。健康保険組合に事情を説明して、第三者行為での健康保険適用の申請を行いましょう。会社などの総務担当の中には、このような事例に慣れていない人もいます。私も知らないことの連続でした。病院からは支払方法の決定を催促され、やはり自分で直接健保組合事務局に足を運び書類を確認したものです。

 加害者が了解すれば保険外で治療費を被害者が一時立て替え、加害者に後日請求することも可能ですが、保険外ですので高額請求となります。病院によって金額が異なるので良く調べてください。

 診断書の費用は最初の1回は警察が支払ってくれます。警察に申し出てください。

 今回の事件は、早ければ14日には家裁送致が決まる可能性があります。その時は、警察に家裁の連絡先を聞き今後の対応を相談し、スケジュールを確認してください。

 裁判官または調査官への意見陳述、取り調べ調書の閲覧などが申請すればできます。また昨年12月からは少年審判の傍聴も制度化されました。しかし、事件発生後、出来るだけ早いタイミングでの加害者とのコミニュケーションが確保されない中での審判傍聴は、お互いにリスクが大きいように感じます。

 私は傍聴が制度化される以前で、調査官に意見陳述し審判の結果等通知で内容を知ることになりました。
調査官との対話の中で、事実の多くを確認し自分の心の置き場所を見つけることができました。

 被害者が気軽に相談でき、プライバシーを守ってくれる窓口。事件発生から最後、被害者が納得するまで寄り添ってくれる組織を横断した機関があると安心できると感じます。また、加害者も地域とのつながりを失わないようにするためには、何が必要なのか。過去のしがらみを断ち切りたい。そっとしておいてほしいとの思いもあるでしょう。出来るなら、勇気ある加害者や関係者と対話できないか。そんなことを思い描いています。

 この山崎さんのブログを介して、情報交換できればとも感じています。

 被害者と、そのご家族にお見舞い申し上げ、筆を置きます。ありがとうございました

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(21.5.11) アメリカのストレステストは大本営発表

Images  7日、米財務省FRBは、金融大手19社に対する特別検査ストレステスト)の結果を発表した。

 それによると、10社が資本不足に陥る可能性があり、その額は746億ドル約7兆5千億円)であるが、すでにアメリカ政府が投入した公的資金バンカメ 450億ドル、シティ 450億ドル、ウェルス・ファーゴ 250億ドル等)で十分であり、アメリカ政府の優先株を普通株に転換するだけでいいと言うのだ(ただし各金融機関は普通株の公募も行なうと発表した)。

 市場は一応に歓迎して株価は上昇し、格付会社(S&P)バンカメシティの格下げを今回は行なわないと発表した。
いわばアメリカ中お祭りムードで「これで金融危機は収束した」といっているようなものだが、今回の発表はオバマ政権の政治的配慮の報告で、実態を反映したものではない。

 そもそもストレステストの方法が問題で、日本の金融庁が01年に行なった金融検査とは大いに異なる。日本の場合は個別取引先ごとの一件審査で、そのときの検査は厳格を極めた

 不動産関連企業などはそれだけで査定対象になり、担当者が「この企業はバブルの中でもしっかりしていた企業なのに、こんな査定をされては融資もできない」と嘆いていたくらいだ。

 一方アメリカが今回行なったストレステストマクロ経済指標を使った数学的手法なのだが、何よりもその前提条件が問題と言える。

今回の前提条件は、09年度米国の実質成長率▲3.3%、失業率8.9%と言うのだが、これは第一四半期の実質成長率▲6.1%より楽観的で、4月の失業率8.9%とまったく同じ数字になっている。

 これでは経済は第一4四半期が底でその後急回復し、失業者はこれ以上増えないと言っているのと同じだが、本当だろうか。

 つねにFRBの予想は楽観的過ぎるところがあり、たとえば2月19日FRB09年度のGDP予測を発表したが、それは▲1.3%だった。その舌の根の乾かないうちに第一四半期▲6.1%になったのだから思わず笑ってしまった。

 しかし政策担当者の発表と言うものはこうしたもので、日本でも大本営発表は嘘ばかりだったが、「日本軍はいたるところで敗退しており、勝つ見込みはまったく無い」などといったら、誰も戦わなくなるのだから、ある程度致し方ない面もある。

 しかしこの発表を真に受けて「アメリカの経済は底を打った」とはしゃぐのも問題で、「アメリカ政府はこれ以上の公的資金の投入ができないので、現状で大丈夫だと政治的発表をした」と判断するのが適切だろう。

 今はアメリカ政府の発表で一時的に楽観ムードが出ているが、実態は隠しようが無いので、今後発表される統計数字を見て再び悲観ムードが漂うことになるだろう。
今までも政府の強気な発表の都度、市場は一時的に好感し、その後正気に戻ることの繰り返しだった。

 近い将来、オバマ政権はストレステストの結果が甘かったことを認めて、金融機関に対するさらなる公的資金の追加に追い込まれると思っておくほうが妥当だと思う。

(22.7.11追加)
アメリカ政府はその後、低金利資金を金融機関に大量に貸し込むことで、公的資金の追加投入をしないで済んでいる。
金融機関はその低利の資金をヘッジファンド等に融資することで業容は急回復した。

いわば、バブルを新たなバブルでおおい隠す戦略だが、これは次のバブル崩壊までの単なるユーフォリアにすぎない。

 

 

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(21.5.10) 体調悪化が続いている

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先日はひどい便秘に悩まされたが、今度は風邪で悩まされてる。
数日前に喉が異常に痛んだので「変だな」と思っていたら、続いて鼻づまりや頭痛が始り、昨日は歯痛や目の痛みまで始まった。

まずい、完全に風邪をひいてしまった
一瞬医者に行こうかと思ったが、今は新型インフルエンザで大騒ぎしている最中だ。

一応、保健所に届け出て検査しましょう」なんてことになったら大変だ。
海外旅行もしていないのに、あちこちの検査機関につれまわされて、最後に「良かったですね、ただの風邪でした」なんてことを言われる頃には、それこそ本当の病気になってしまう。

 家で静かに寝ていることにした。今日(10日)は、プラットおゆみ野ふれあい市の日で、オータム姉さんから手伝って欲しいと言われていたが、それもキャンセルした。

 しかしどうしたことだろう。身体が丈夫なだけが取り柄だったのに、最近の体調悪化には悲しいほどだ。
高校生の頃、どんな風邪をひいても一日寝れば直ったのに、今では何日もグズグズと回復しない。

 今も頭のあちこちの血管がピリと痛むので思わず顔をしかめていた。本当はブログを書くのもつらいのだが、これはプロ野球の金本選手の連続出場記録のようなものだから、なんとか更新しようと心を奮い立たせている。

 健康と言えば、私が今読んでいる山田風太郎氏の「人間臨終図巻」のなかに山本周五郎が載っていた。
山本周五郎は、元来自分でも『踏み殺しても死なないだろう』と笑うほど頑健な身体を持ち、その上うるさいほど健康には一家言を持っている人であったが、61歳の時、・・・肋骨を二本折って入院する出来事があって以来、急速に衰弱した」という。

 そして体調を崩してから「ぼくは、かあさんと結婚する時に、日本一の作家になってみせると約束したが、どうもとうとう日本一になりそこなったらしい」と言って、64歳で他界した。

 何か私の健康観は山本周五郎のそれとそっくりなのだが、いくら健康に留意しても限界と言うものがあるようだ。
いずれは神様のお迎えが来るのだから、そうしたものとして素直に受け入れるのが一番だろう。

願わくば 花の下にて 春死なん
      その如月(きさらぎ)の望月(もちづき)のころ

 

 

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(21.5.9) 金融恐慌と大リーグバブルの崩壊

Images7_3    5月5日毎日新聞米大リーグの実に興味深い記事が掲載された。
それによると「世界的な経済危機が・・・右肩上がりで数字を伸ばしてきた大リーグにも影響を与え、昨年より選手年俸総額や観客動員数が減少する球団も出てきた」という。

 実は大リーグは昨年まではわが世の春を謳歌しており、毎年大リーグ全体の収益は増加し、その結果選手年俸も止まるところを知らなかった。
たとえばここ3年総収益の推移を見ると、06年 52億ドル(5200億円)、07年 61億ドル(6100億円 +17%)、08年 65億ドル(6500億円 +7%という具合だ。

 大リーグの収益は、入場料収入、放送権収入、商標権収入、スポンサー収入、グッズ収入等からなり、太宗は入場料収入で、全体の5割程度を占めている。


 各球団はこの入場料毎年値上げし、それでも観客数は増加していた。 しかし昨年のリーマン・ブラザーズの倒産を契機に(それ以前から影響はあったが)、入場者数に急ブレーキがかかってしまった。
07年の大リーグの総入場者数は7950万人08年7621万人となり、約4%の減少になった。

 この傾向は本年になっても続いており、ここ2ヶ月の結果でも対前年比約4%の減少が続いている。
特にヤンキースの落ち込みが激しく、対前年比12%も落ち込んでしまったが、これは新ヤンキーススタジアムのオープンと同時に入場料を思い切って値上げしたためである。

 たとえば日本で言うボックスシートが年間契約で400万円~2000万円VIPルーム6000万円~8500万円と言われた。当初はそれでも予約が殺到し、ヤンキースの戦略は成功したかに見えたが、いざふたを開けてみると閑古鳥が鳴いてしまった。

 金融恐慌のおかげでウォール街のスターが次々に消えてしまい、こうした高額シートを購入できる層がいなくなったためだろう。
たまらず球団側は半額値下げセールを始めたが、これはバブルで踊った高額住宅を、大幅値引きでたたき売りをする住宅会社とまったく同じ構造だ。

 本年度の大リーグの収益については、増加する要因がまったくない。観客数は減少し、入場料は上げられず(一部には値下げが始まっている)、放映権料はテレビ局から値下げの要請が強く(スポンサーが高額のスポンサー料を払えなくなっている)、その他の収入も伸び悩みそうだ。

 すでに年俸の引下げは始まっており、USAトゥデー09年度30チーム中14チームで選手年俸総額が減少したと伝えている。
選手には球団収入の約60%が分配される構造になっており、球団収入が減少すればそれに応じて選手収入も減少するのは仕方がない。

 現在大リーグの選手年俸は20億円以上が何人もおり、日本人選手でも10億以上の年収が当たり前になっているが、これは明らかにバブルと言える。
それがどの位バブルかは、日本のプロ野球の年収と比較すると良く分かる。

 たとえば大リーグでもっとも高いヤンキースの平均年俸約5億円だが、日本のプロ野球でもっとも高い阪神の平均年俸約6000万円だ。

 1チームの選手数が同じでないから(大リーグは40名、日本は外国人選手を除いて約60名)一概に比較はできないが、それでも約8倍の差がある。
最高年俸の個人で比較してもロドリゲス選手約25億で、金本選手約5億だから、約5倍の差がある。

 問題はこうした年俸が経済規模や人口に比較してふさわしいかどうかだが、アメリカは経済規模で約3倍、人口で約2倍強だから、バブルのイメージは日本の2倍~3倍程度だ。

 大リーグと言えども、その国の経済状況と無関係に存続することはできず、大リーグバブルもいずれ収束するはずだ。
近い将来大リーガの年俸も現在の半分程度になり、「あの当時は本当にいい時代だった」と懐かしむことになるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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(21.5.8) ちはら台走友会Y会長の萩往還奮闘記

35203aa0000003833_11_4   ちはら台走友会Y会長萩往還250kmを見事完走した。この競技は毎年5月の連休にネット2日間かけて開催されている。
スタートは山口市の瑠璃光寺(るりこうじで、ほぼ山口県を一周し、最後に萩と山口市をほぼ直線で結ぶ萩往還路(かつて幕末の志士が疾駆した道を経て、再び瑠璃光寺に戻ってくるコースだ。
今回は2日の夕方6時にスタートして、4日の夕方6時までにゴールにつかなければならなかった。

 日本で開催される250kmレースとしてはもっとも伝統のあるレースで平成元年からスタートして、すでに21年になる。
このレースは元々は手作りの大会で、小野さんという個人が独力で始めたレースだが、雑誌ランナーズ人気投票でしばしば1位を占めるほど評判が高い。

 大規模レースのようなしっかりしたエイドステーションが用意されているわけではないが、地元の中学生住民ボランティアがエイドを支えており、とてもフレンドリーな大会といえる
しかもボランティアはすべて小野さんの人柄を慕って集まっていると言うのだからすごい。

 Y会長はこの250kmの競技に始めて参加し、見事46時間47分(制限時間48時間)で完走した。私が素晴らしいと思うのは、私自身過去3回この競技に参加し、いずれも途中でリタイアしているからである。

 この250km走ではちょうど175kmの地点に宗頭文化センターという休憩所が用意されており、ここで仮眠できる。私の場合は常にここで仮眠が本当の眠りになって、走る気力を失ってしまった。
間に合いそうもないからここでリタイアしよう

 もし眠らずに250km48時間で完走すると仮定すると、1時間で5.2km進めばいいことになる。これはほとんど早足程度の速度で、誰にでも可能な速度だが、実際は食事の時間や睡眠をとるとたちまちのうちに時間が足らなくなってしまう。

 Y会長は今回の競技に参加するに当たって、完走のための4つのモットウを心に叩き込んだと言う。
そしてこの4つのモットウを守りきれば確かに完走できるのだが、実際はなかなか難しいのが実情だ。

・「気持ち」を切らさないこと長距離走は気持ちで走るので最も大事

・よく「食べる」こと(
エネルギー切れになると身体が動かなくなる

・「抑える」こと(
時速5.2kmでもかまわないと割り切る。通常ランナーは長距離走でも時速8km位で走って身体にダメージを与え、後半失速する

・「寝ない」こと(
これには精神革命がいる。通常の常識では2日間寝ないで走るなどありえないことだが、2日程度は寝なくても人間死なないことを理解する。本当に眠たくなれば道路の脇でも仮眠はとれる

 
Y会長はこの4つのモットウを守って完走したのだが、さすがに2日間寝ないと幻覚症状が出たのは止む終えない。
なぜか同僚の顔がこびりついてはなれなくなった」り、「マメを気にすると別の同僚が出てきた」り、「吐き気がするとクラブの某氏(
私のことかしら?)が出てきた」りしたそうだ。

 Y会長が非常に詳細な記録を残してくれたので、萩往還250kmで今回失敗した人や、あるいは今後この競技に参加を希望している人にはとても参考になると思う。

以下のURLをクリックすると、Y会長の結果報告を見ることができます。特に「完踏のために」はランナーには必読だと思います。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/


 


 

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(21.5.7) ちはら台走友会の春の登山

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(アカヤシオ

 ちはら台走友会は春と夏場の年2回登山をするのが恒例になっているが、今年の春の登山は両神山りょうがみさん)だった。

 深田久弥日本百名山にも収録されている著名な山で標高は1724m、言葉通りの信仰の山だが、私は今回登山をするまで両神山がどんな山かも、また正確にどこにあるのかも知らなかった。

 実は両神山奥秩父埼玉県側の一角にあるのだが、なぜか群馬県妙義山の近くにあると思っていたため、懸命に群馬県の地図を開いて探し回ってしまった。
両神山がどこにもないじゃないか

 地図で確認すると両神山荒川の源流に位置し、私は2年前に「川の道270km」というレースでこの近くの中津川(荒川の支流)の源流域を夜中にさ迷い歩いていたことを思い出した(そのときの模様は『魔境』と言う記事に記載してあります)。

 今回のメンバーは男性4人、女性3人の7人パーティーで、自動車1台で朝3時に集合して出かけた。両神山の麓まで約3時間で到着でき、6時ごろから登山できるのだからすごい。

 私は走友会に入るまでは一人で登山をすることが多く、その場合は公共機関を使用するので麓につくのが大体昼頃になってしまう。そのためその日は麓の宿かテントで一泊せざるを得ず、何かと時間がかかったが走友会の登山は徹底的に時間短縮ができる。

 また費用についてもガソリン代と高速代金を分担するだけなので、信じられないような安価な登山になるのも嬉しい。

 深田久弥によれば、「両神山の始原は『ヤオガミ』であり、・・・(そこから)竜神が導かれ、両神に変ったのだ」という。
なお『ヤオガミ』とは「八つの頭を持った竜王」のことで、この山の古縁起に「竜頭大明神を祭神にする」と記載されているのだそうだ。

 両神山は「頂上は岩の痩尾根で、両側は急峻な傾斜で一気に落ちている」はずだったが、あいにく曇りでかつ霧も出ていたため山容を確認することはできなかった。

 また両神山は高山植物の宝庫みたいなところがあり、登山道の両脇にニリンソウが咲き乱れていたり、頂上周辺にはアカヤシオ(ヤシオツツジ)の群落があって、登山者を飽きさせない。
今回の登山を計画したOさんが「いやー、いい山だ。歩きやすいし気持ちがいい」と何回も感嘆の声をあげていた。

 帰りは温泉に入り、高速道路も空いていたこともあって、夜の9時ごろには帰宅が出来た。一人の登山では考えることもできないようなスケジュールだ。

 今回の登山の写真を掲載します。
http://picasaweb.google.co.jp/yamazakijirou/2154?authkey=Gv1sRgCPSmoLzR8LqsWw#slideshow

 

 

 

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(21.5.6) 恐喝暴行事件にあわれたA君のお父さんからメールをいただきました

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「20年6月14日 高校生に対する恐喝暴行事件」
の被害に会われたA君のお父さんからメールをいただいたので、そのメール全文を掲載いたします(本件の恐喝暴行事件の内容は、このブログのカテゴリー「おゆみ野 恐喝事件」を参照してください

拝啓 山崎様、ご無沙汰しております。息子が遭遇した事件から、間もなく1年が経過します。息子はこの春から高校3年になり、あたりまえの高校生活を送っています。
2、3ヶ月間隔で通院し怪我の経過観察を続けています。歯根膜の吸収は静かに進んでいます。いつの日か歯が脱落するリスクは否定できないようです。

さて、本日は近頃おゆみ野地区で不穏な出来事が連続しており、恐喝傷害事件がまたしても発生したことを憂い連絡しました。
おゆみ野四季の道」「みどりのさんぽみち」「おゆみ野守り人」などのブログで次の記事を拝見しました。

・4月27日午後5時20分頃、大百池公園で県立高校3年生男子が、4人組の男に殴る蹴るの暴行を受け、現金1万4千円を奪われた。南署が犯人を探している。(千葉日報)

・どうのうしろ公園に爆竹の残骸、タバコの吸殻、オイルライターの焼けた残骸などが散乱していた。(5月1日みどりのさんぽみち掲載)

・5月2日おゆみ野の森にたき火の跡、使い終わった消化器放置。おゆみ野の森を育てる会の備品が紛失していた。

・いけのいり公園の東屋にタバコの吸殻と空箱、食事後のおにぎりの包み、カップ麺の容器が散乱していた。(5月4日みどりのさんぽみち掲載)

この1年間、同じ事が繰り返し続いている。いい加減、大人が毅然とした対応を取るべきだ。
警察、学校、地域など、あらゆる関係者がお互いの垣根を越えて行動すべきだ。自分たちの組織の限界を言い訳にする事は止めるべきだ。
おゆみ野の安全を守るために行動すべきだ。

私の考えは次のとおりです。

① 被害者は泣き寝入りしない。被害届を出す。

② 被害の相談を次の窓口にする。tel 043-227-9110 千葉県警相談サポートコーナー

③ 「おゆみ野守り人」にmailを送ることも、一つの手段だと思います。「守り人」のプロフィールを見ると、相談に乗ってくれそうです。また、mailは管理人で一度チェックを受けるので不特定多数に流失する心配はないようです。

④ 悪事の目撃者は見過ごさない。直接注意するか、警察や学校などに連絡する。


たくさんの組織、たくさんの人々が、この地域の安全を守るために活動しています。では、なぜ事件が後を絶たないか。組織を横断し、力を合わせて悪事を戒める術がない。             

悪事に至る状況を掘り下げ、ドロップアウトしたり、しかけた子どもを受け入れる場所がない。

青少年、児童の教育と、それを支援する活動に千葉市は予算を使うべきだ。将来を担う若者の育成を活発にさせるべきだ。しかし、行政組織こそ社会から乖離し内向きの議論に終始し、あてにならない。

思いを同じくする大人が、各自の良識と裁量で行動し、その真価を社会に問うしかないと感じています。

青少年犯罪の被害者の親として、事実を知らされない苦しみ。加害者保護はあっても、被害者は権利を制限される現実。その大義は「青少年の健全育成と更生」。

しかし、加害者が更生した姿を誰も教えてくれない。被害者は受けた傷を背負い、何を支えとしたら良いのか。被害者の健全育成は必要ないのか。
それらの問いに対する答えは見つからない。また、皆様と対話し歩き続けるしかないと覚悟しています。

山崎様、何か言わなければと思い書き出しましたが、まとまりません。この辺で筆を置きます。これからも、よろしくお願いします。お体、ご自愛ください。

敬具

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(21.5.5) 家族との登山 NO9

1980年 34才
奥秩父(国師岳から金峰山)8月2日~6日

Image0  この頃は私達家族は東京に転勤になって杉並の寮で暮らしていた。そして毎年夏場には家族登山をすることにしていた。
長女は7才、長男は5才だったが特に険しい山以外ならばどこの山にも登れたので今回は奥秩父に行くことにした。

 いつものようにキャンプをすることにしていたが、あいにくの雨模様になったため、3日目、4日目は山子屋に泊まる事になった。

 初日は西沢渓谷を遡り,不動小屋跡の前で一泊した。西沢渓谷はその後も何回も行ったがなめ滝が非常に美しい気持ちのいい渓谷だ。
ただしこの時は沢登りをしたのではなく、かつての木材運搬道沿いに奥秩父の国師岳2592mを目指した。

 子供の足では早く歩けないので翌日は天狗尾根まで行きそこで2泊目をした。尾根筋のテントが張れる程度の空き地を見つけてそこにテントを張るのである。

 当時の私の登山は疲れたり、夕方近くになればどこでもテントを張って寝ることにしていたので、この時もそうして尾根筋で宿泊した。
こうした場所は人っ子一人おらず、夜は熊やイノシシや狐や狸が徘徊する動物の世界になる

 
そのため夜中の山中は一人だとかなり緊張し、ちょっとした物音で目が覚めてしまうのだが、家族登山のように人数が多いとそうした緊張感に襲われることはない。
子供達はいつものように安心して寝入っていた。

 3日目は国師岳を経由して大池小屋に泊まった。ひどい雨でとてもキャンプを張る気持ちにならなかった。身体中濡れ鼠で靴も泥でぐちゃぐちゃだった。翌日この大池小屋に荷物をデポして金峰山2595mを往復することにした。

 4日目の金峰山へは稜線伝いだったので,きつくはなく、この日は良く晴れて気持ちが良かったのを覚えている。

 金峰山の頂上には約20m位の大岩があり、遠くからでも良く見えて目印になっている。息子と途中まで登ったが、頂上まで登るのには少し岩登りのテクニックが必要だった。

 さすがに5才の息子に岩登りをさせるのは躊躇されたので、この大岩の途中で休んでいたら、丁度中学生の一団が登ってきた。
先生は外国人だったが流暢な日本語で「頂上に登ろうなんて思ってはいけません。とても危険です」と注意していた。

 大池小屋(ここまで林道が延びているに2泊して麓のバス停まで下りることにした。バス停まではおよそ15km程度ありそうだった。歩いて下山しようとすると山小屋のお兄さんが麓のバス停まで自動車で乗せて行ってくれた。

 とても助かったので御礼をしようとしたが「に下りる用事が有ったのだから」と言ってこの純朴なお兄さんはお礼を受取らなかった。
その後バスで塩山まででて帰宅した。

 今、年を取って当時を振り返ると、なぜあの頃はあんなに元気だったのかと不思議な気持ちがする。家族4人分キャンプ道具と食糧をもっていくら歩いても平気だった。
人生にはその時にしかできない「」と言うものがあるようだ。

 

 

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(21.5.4) 人間臨終図巻 力道山 享年39

200pxrikidouzan1  次回の河村義人さんの読書会のテーマ本は、山田風太郎氏の「人間臨終図巻」でこの本を選んだのは他ならぬ私であり、私が次回の読書会の報告者になっている。

 この本は国内外の923人の臨終の模様だけを集めた奇書であるが、その中に実に懐かしい名前があった。力道山である。

 今の人はまったく知らないが、私が小学生だった昭和30年代には力道山は国民的英雄であり、プロレス中継が行なわれる日曜日の夜半には、ほぼ国民全員がテレビの前に釘付けになったものである。

 当時はテレビのある家庭は少なく、私も金持ちだったH君の家でこのプロレス中継を見せてもらっていた。
そこのお母さんは力道山シャープ兄弟に痛めつけられると悲鳴をあげ、最後に力道山空手チョップで逆襲する場面になると、興奮して立ち上がり、自身も懸命に空手チョップで空を切って叫んでいた。
ほれやれ、それやれ、やっつけろ

 当時の子ども達にとって力道山は英雄であり、その力道山がやくざとの喧嘩がもとであっさりと死亡してしまった時は一応に驚いた。
力道山は世界一強い世界チャンピオンなのだから死ぬはずはない」子供心にそう思ったほどだ。

 リングでの力道山は常に耐える男であり、ブラッシーデストロイヤーと言った悪役レスラーが反則の限りを尽くしてもそれに耐え、最後に空手チョップで逆襲して勝利を収めるというパターンだったが、それが演出だったことは当時は知らなかった。

 実際の力道山は、「性格は凶暴で、少しでも不満があるとリング外でも傍人に空手チョップを見まい『力道山またあばれる』としばしば新聞にニュースだねを提供していた」そうだが、すべて金で示談に持ち込み大きく報道されることは無かった。

 力道山が死亡する原因になったヤクザとの喧嘩も一方的に力道山が悪いらしく、クラブで酩酊していた力道山が、ヤクザに対し「足を踏まれた」と因縁をつけたことが原因らしい。

 このヤクザと「踏んだ」「踏まない」で喧嘩になり、頭にきた力道山が顎を拳固で殴りつけ、壁際に押し付けてさらに馬乗りになって激しく殴打したため、このヤクザが反撃にナイフで刺したのだという。

 傷は当初たいしたことがないと見られ、近くの山王病院で手術し成功したと言われていたが、入院期間中止められていた水を強引に飲んで(うわさでは花瓶の水を飲んだと言う腸閉塞を起こし、二度目の手術の途中で窒息死したのだと言う。

 窒息死とは信じられないような死因だが、「麻酔を担当していた外科医が気管内挿入に失敗して(外科医が死亡するときに手記でそのように述べた)」何度も繰り返していた間に窒息死したと言うのだから、英雄の死に際としては惨めと言う他ない。

 当時力道山は子ども達にとってもっとも誇るべき英雄だったが、リングでの表情とはまったく別人の粗暴な性格が災いして若くして死亡してしまった。

 この「人間臨終図巻」を読むと、人にはそれぞれその人特有の死に方が、当初から予定されていたような気がしてしまう。

 

 

 

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(21.5.3) 愚痴の日

 今日は愚痴の日にすることにした。なにしろ連休で各地には人手が繰り出して楽しい休みが続いているのに、私の生活はまったく何の変哲もない。

 毎日、朝の清掃2時間、ブログの作成2時間、JOG2時間を繰り返して、その作業と作業の間は疲れて昼寝をしているだけだ。
日々平穏といえば平穏なのだけれど、なんとも退屈だ。

 私は年金生活者だから別に連休に動く必要はまったくないのだが、それでも他の人が旅行に行ったと聞くと、たまには1週間程度旅行がしたくなる。
定年退職者で時間が自由だから、旅行など決心ひとつだと思われるかもしれないが、実はそうはいかない。

 一番の悩みはブログの作成で、休むあいだのブログの溜め込みをしておかなくてはならない。私のブログは活動報告と、時事的な政治・経済問題の評論が主体だから、タイミングが必要で事前の溜め込みがとてもしにくい。

それなら、休んでしまえばいいのに」とかみさんから言われるが、私は気が小さいので休むと何か読者に悪いことをしたような気持ちになってしまう。
現在私のブログを検索してくれる方は、毎日250名~300名の間で、常時見てくださる方は約100名になっている。

 こうなると、自分としては何かミニコミ誌の編集長のような気持ちになって「このブログを継続するのが私の使命だ」なんて妙に肩に力が入ってしまう。
その結果「ブログの溜め込みができないなら、旅行は止めよう」なんてことになる。気の小ささはいかんともしようがない。

 一方、私がよく読んでいる「梅翁閑話」のブログ作者「梅翁さん」などは外国旅行を良くされるのだが、その間のブログはばっちりと用意されていて、ブログが途切れることがない。
大したものだと感心している。

 旅行ができない理由はもう一つあって「私がいない間に四季の道がゴミだらけになったらどうしよう」というのも悩みの種だ。
実際しばらく旅行をして帰ってきた後の清掃は大変で、45Lのゴミ袋にごみがあふれんばかりになり、肩に食い込んでくる。
これだから、俺が旅行することもできない、ブツブツ・・・

 そんなこんなで、外出することもままならない。
本当はこうした何もない平穏な日々を幸せというのだが、人間は安穏な日々が続くと飽きが来ると言うどうにもならない性質があって、愚痴ってしまうのだ。

亀ゴン、どうしよう。何とも人生がつまらなくなってきた
先生は何か突発的なことが起こると、頭に血が登って大騒ぎするのですから、何も無い方がいいんじゃないでしょうか

いあや、亀ゴン、まったく何も無くて同じパターンの生活も苦しいもんだよ
私なんかは一生ケージの中とベランダ暮らしで、食べ物と言えばキャベツばかりですが、だからと言って愚痴などいいませんよ。
先生は既に老人の年代なのですから、刺激など求めず、恬淡として生きるべきです


 うぅーん、亀ゴンに言われてしまったが、亀のように生きるのは難しい。

 

 

 

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(21.5.2) クライスラーの倒産に未来はあるか

Images2  アメリカ第3位の自動車メーカー、クライスラーは30日、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請して倒産した。
そしてそれと同時にイタリア・フィアットとの提携も合意されたと発表された。

 今回破産法を申請したのは、債権者の一部(ヘッジファンド)が債権の70%カットに異議を唱えたからであるが、「そんなに駄々をこねるなら問答無用だ」と法的手続きに訴えたものだ。

 実は連邦破産法11条会社にとって非常に有利な破産法で、① 債務の支払いを一時停止でき、② 経営者はそのまま継続して残り、③ 残った経営者が再建計画を作成する(ただし今回は政府とフィアットが参加すると言うものである。

 もっとも再建計画の承認には、債権者数の過半数、債権額の3分の2以上の賛成が必要であるが、そうした賛成が得られることを前提に破産申請する場合を事前調整型の申請といい、今回の場合はそれに当たる。

 ヘッジファンドがいくら異議を唱えても、他の3分の2の債権者が賛同すれば問題ないのだから、今回の破算法申請はこうした不満分子を押さえ込むためだと言ってよい。

 オバマ大統領が言っている「破産法申請はクライスラーが復活する道であり、これにより3万人の雇用が維持できる」というのもそうした意味であるが、再建計画はおおよそ以下のような内容になるはずだ。

① 株式は無価値になる約80%の株式を保有しているサーベラス、約20%の株式を保有しているダイムラーは株式を放棄する

② UAW(全米自動車労組)は、労務費の削減、退職者医療費の圧縮に応じ、それによりほぼ日本メーカーと同レベルの労務コストとなる。

③ 債権者は貸出金69億ドルのうち約70%の債権カットに応ずる大口債権者はJPモルガン 16億ドル、チェース・リンカーン・ホスト・バンク 10億ドル、モルガンスタンレー 10億ドル、シティバンク9億ドル

④ 政府の融資40億ドルは債権放棄する。

⑤ 部品メーカーの売掛債権が債権カットされた場合、債権保証制度(債権額の2%の保証料を支払うとアメリカ政府が全額保証してくれる)により保全される

 株は無価値になり、借入金は70%削減され、政府の公的資金は返済無用になり、買掛債務は支払わなくても済むのだから、これほど会社にとって有利な再建法はない。

 これでクライスラーの過去のしがらみは一応なくなり、綺麗になったクライスラーフィアットが引継ぐのだが、だからと言って将来の展望が開けるかと言うとそうとはいえない。

 現状はこれでようやくトヨタホンダといった日本メーカーと対抗できる下地ができたと言う段階であり、これから日本メーカーの環境対応車との本格的な競争が始まる。

 しかしクライスラーが作ってきた車はいづれも燃費の悪い小型トラックSUVと言った車ばかりで、競争力はほとんど無いと言っていい。
現在年間200万台規模の販売台数も、今後ますます縮小していきそうだ。

 フィアットクライスラーを支援する本当の狙いは、効率のよいフィアットの小型車をクライスラーの工場で作り、それをクライスラーの販売網を使用してアメリカで売ることで、クライスラー社の車を販売する気持ちはほとんど無い
必要なのは工場と販売網だけだ
」これがフィアットの本音だ。

 オバマ大統領クライスラーの再生を高らかに宣言したが、再生するクライスラーは実質的にはフィアットであり、販売されるのはフィアットの車と言うことになるだろう。
もっともフィアットの小型車の販売が軌道に乗らない場合は、提携が解除され、そのときは完全にクライスラーは消滅する。

 だからいづれにしても今回の破産法11条の申請は、アメリカ企業クライスラーの実質的な死と言える。
私は本年度中にビッグ3ビック2になると予想したが、今回の破産法の申請によってその予想は的中した。

 なお、今回大口の債権者の中で金融機関は70%の債務の削減に応じ、ヘッジファンドが応じなかった理由は、金融機関は金融安定化法による損失分の補填が期待できるからで、一方ヘッジファンドはまったく期待できないからである。
つい最近まであれほど猛威を振るっていたヘッジファンドもこうして歴史から退場しようとしている。

 

 

  

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(21.5.1) 黄昏の橋 弱者連合のゆくえ

200pxshinseibank_head_office1_3    毎日新聞の26日朝刊に「新生銀行とあおぞら銀行が来年夏をめどとした経営統合の交渉に入った」との記事が掲載された。
両行はいづれも1998年に経営破綻し、一時国有化されたあと、米系投資ファンドに売却されその傘下で再生を図ってきた銀行である。

 新生銀行はかつて長期信用銀行と言われ、またあおぞら銀行債券信用銀行と言われて、いづれも日本を代表する金融機関だった。
私が社会人になった昭和45年ごろは、特に長期信用銀行の評判は高く、私も長銀にあこがれた一人である。

 しかしそのビジネスモデルが日本の大企業に対する長期資金主として設備資金)の供給だったため、大企業が自己資本を潤沢に蓄え、金融機関からの融資が必要なくなると、融資先が先細りになってしまった。1980年代のことである。

 そのためバブル期には主として不動産事業に資金供給をシフトして、不動産融資ビジネスモデルにしたが、バブル崩壊と共に1998年、自らも破綻したのは承知のとおりだ。

 その後は米系ファンドの元で再生を図ることになったが、そのビジネスモデル米系金融機関のそれであり、主として証券化商品購入とそのディーリングだった。
実は日本にはそうした戦略で高収益をあげていた金融機関があった。
農林中金である。

 かつて農林中金長銀日債銀と同様に割引債利付債で資金調達を図る債券発行銀行ただし農林中金は農協資金の調達もあった)だったが、国内に融資先が少なかったこともあり、早くから米国債券を中心とする投資銀行に特化していた。

 このビジネスモデルがアメリカの金融機関と同様、金融恐慌が発生するまでの高収益構造を支えたため、新生銀行あおぞら銀行もこのビジネスモデルを採用することにしたのである。
農林中金を見習え。証券化商品に投資しろ

 あおぞら銀行などは農林中金の元専務能見氏を社長に据えたほどの熱の入れ方だった。
しかしこの戦略は、世界的な金融バブルの崩壊でまったく裏目に出てしまった。

 09年3月期の決算は新生銀行▲1430億円あおぞら銀行▲1960億円の最終損失になり、しかも損失補填のための増資もままならない。倒産の過去を持つ2行には、農林中金メガバンクのように増資を引き受けてくれる先が無いからである。

まずい、このままでは再び倒産してしまう。公的資金の再投入しか手がない」ここに来て金融庁が動き出した。
しかし、金融庁としても2行の面倒を見るのはきつい。そもそも収益のビジネスモデルが描けず、今後とも展望が持てない2行を公的資金で支え続けることは難しい。
しかもこの2行からはまだ返済を受けていない公的資金4000億円があり、政治問題化しやすい。

なんとか、2行を統合し、経営規模を縮小することによって安楽死できないものだろうか金融庁の本音である。

 だが、この2行の筆頭株主はいづれも米系投資ファンドで、海千山千の相手だ。おいそれとは金融庁の戦略に乗ってくれない。
投資ファンドが損失を受けない統合しか容認できない
抵抗は厳しく、金融庁の大盤振る舞い以外に統合は難しそうだ。

 
 思えば大企業への長期資金の供給と言う役割が終わり、そもそも存在理由が無くなってからの2行の迷走は悲しいほどだ。

 一度目は日本の不動産融資に特化して失敗し、今度はアメリカの不動産投資(形式は証券化商品の購入)に特化して再び失敗してしまった。
次なるビジネスモデルはもはや存在しない。

 2行が統合しても、客観的にはメリットが無いのだが、過去、新生銀行だけでも約8兆円公的資金を投入してきた経緯がある。
金融庁としてはいまさら後に引けないから、しばらくは公的資金の投入で生かし続けざるえないだろう。

 しかしいつまでも黄昏の橋をわたり続けることはできそうもない。

 

 

 

 

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