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(21.5.4) 人間臨終図巻 力道山 享年39

200pxrikidouzan1  次回の河村義人さんの読書会のテーマ本は、山田風太郎氏の「人間臨終図巻」でこの本を選んだのは他ならぬ私であり、私が次回の読書会の報告者になっている。

 この本は国内外の923人の臨終の模様だけを集めた奇書であるが、その中に実に懐かしい名前があった。力道山である。

 今の人はまったく知らないが、私が小学生だった昭和30年代には力道山は国民的英雄であり、プロレス中継が行なわれる日曜日の夜半には、ほぼ国民全員がテレビの前に釘付けになったものである。

 当時はテレビのある家庭は少なく、私も金持ちだったH君の家でこのプロレス中継を見せてもらっていた。
そこのお母さんは力道山シャープ兄弟に痛めつけられると悲鳴をあげ、最後に力道山空手チョップで逆襲する場面になると、興奮して立ち上がり、自身も懸命に空手チョップで空を切って叫んでいた。
ほれやれ、それやれ、やっつけろ

 当時の子ども達にとって力道山は英雄であり、その力道山がやくざとの喧嘩がもとであっさりと死亡してしまった時は一応に驚いた。
力道山は世界一強い世界チャンピオンなのだから死ぬはずはない」子供心にそう思ったほどだ。

 リングでの力道山は常に耐える男であり、ブラッシーデストロイヤーと言った悪役レスラーが反則の限りを尽くしてもそれに耐え、最後に空手チョップで逆襲して勝利を収めるというパターンだったが、それが演出だったことは当時は知らなかった。

 実際の力道山は、「性格は凶暴で、少しでも不満があるとリング外でも傍人に空手チョップを見まい『力道山またあばれる』としばしば新聞にニュースだねを提供していた」そうだが、すべて金で示談に持ち込み大きく報道されることは無かった。

 力道山が死亡する原因になったヤクザとの喧嘩も一方的に力道山が悪いらしく、クラブで酩酊していた力道山が、ヤクザに対し「足を踏まれた」と因縁をつけたことが原因らしい。

 このヤクザと「踏んだ」「踏まない」で喧嘩になり、頭にきた力道山が顎を拳固で殴りつけ、壁際に押し付けてさらに馬乗りになって激しく殴打したため、このヤクザが反撃にナイフで刺したのだという。

 傷は当初たいしたことがないと見られ、近くの山王病院で手術し成功したと言われていたが、入院期間中止められていた水を強引に飲んで(うわさでは花瓶の水を飲んだと言う腸閉塞を起こし、二度目の手術の途中で窒息死したのだと言う。

 窒息死とは信じられないような死因だが、「麻酔を担当していた外科医が気管内挿入に失敗して(外科医が死亡するときに手記でそのように述べた)」何度も繰り返していた間に窒息死したと言うのだから、英雄の死に際としては惨めと言う他ない。

 当時力道山は子ども達にとってもっとも誇るべき英雄だったが、リングでの表情とはまったく別人の粗暴な性格が災いして若くして死亡してしまった。

 この「人間臨終図巻」を読むと、人にはそれぞれその人特有の死に方が、当初から予定されていたような気がしてしまう。

 

 

 

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