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(21.5.14) トヨタは復活するだろうか

240pxtoyota_headquarter_toyota_city  トヨタ09年3月連結決算が発表された。それによると営業利益▲4610億円で、これは実に71年ぶりの赤字だと言う。

 71年と言うと戦前からだから、今まで決して赤字にならなかったほうがビックリだが、トヨタにしたら驚天動地のことだろう。
確かに100年に一度の危機にふさわしい数字だ。

 売上高も約22%減20兆5千億円だったが、赤字要因別分析では販売数量の減少▲1兆5000億(56%)、為替差損▲7600億(28%)、全体▲2兆7000億円営業利益が減少したのだと言う。

 10年3月期もさらに厳しい見通しになっており、売上高さらに20%ダウンし、営業利益▲8500億円になると見ている。

 販売台数も落ち込む一方で08年3期 890万台09年3期 756万台から10年3期 650万台の予想だ。
一頃1000万台に達すると言われていたが、この数字は蜃気楼のように雲散霧消してしまった。

 つい1年前まで世界のトヨタと呼ばれ、国内企業の中で売上高、利益とも日本一だったのが嘘のようだ。
輸出立国日本はこのトヨタで持っていたようなところがあったから、トヨタの不振で日本全体が落ち込んでしまった。
トヨタが赤字なら、日本が駄目なのは仕方ない

 今日本ではトヨタがいつ復活できるかに固唾を呑んでいる。

 そのトヨタ復活戦略を見てみると、
① 北米市場偏重から中国、ブラジル等の新興国に販売の重点を移行させること
② 原価低減、設備投資の減少で約8000億円の費用を浮かすこと、
だと言う。
ただし、それでも10年3月営業利益は▲8500億円になるのだそうだ。

 考え込んでしまった。
これではどのように努力しても赤字体質は免れないと言っているのと同じじゃないか。対応が甘いのじゃないか

 トヨタにとっては基本的な問題がいくつかある。

① 1000万台生産体制の過剰設備問題。

700万台で利益があがる体質を作るといっているが、そうした場合は米テキサス州の大型ピックアップトラックのような、いくつかの不採算工場の閉鎖を実施しなければならない。
大雑把に言って、3割が過剰設備になっている。


② アメリカ偏重から新興国にシフトする場合の販売網の問題。

ただし新興国といっても同じように景気が後退しており、たまたま中国では新車購入時の税金の減免で販売数量が伸びているに過ぎない。
販売先は常に移動すると想定する必要がある。


③ 輸出基地としての日本での生産縮小問題。

国内工場を閉鎖する場合、多くの下請け工場が閉鎖に追い込まれる一方国内生産にこだわれば常に為替差損の問題が発生する。

④ 売れ筋の環境対応車に資源シフト問題。


車種が多すぎて現状では資源がひどく分散されている。車種を徹底的に絞って売れ筋に特化しなければならない。 

 
いづれもトヨタにとって厳しい選択をせまられることばかりで、本当にこうした基本問題を解決できるのだろうかと疑問に思ってしまう。
トヨタが伸びていた時は、生産規模の拡大も、アメリカ市場での強さも、日本での生産も、車種が多いこともすべてが強みだったが、今はすべてが弱みに変ってしまった。

 一方で、今期のメーカー7社の決算を見てみると、誰が勝ち組で誰が負け組みか明確に分かる。

 今回の連結決算では、ホンダとスズキ黒字決算になったのには驚いた。当初は全社赤字だと予想されていたからだ。
たとえばホンダは昨年の12月段階では、赤字決算を見込んでいたが、最終的には営業損益は1896億円の黒字になった。

 なぜホンダとスズキは勝ち組になったのだろうか?

 ホンダはHV車のインサイトが好調なのと、スズキは軽自動車ワゴンRが売れているからだろう。この2社は売れ筋の車を持っている

 
こうした結果から、トヨタ復活戦略のポイントが見えてくる。

① 販売の中心をHV車、プリウスに傾斜させること
② 軽自動車の販売をさらに強化すること(実際は連結先、ダイハツ工業のムーブ、タント等の販売強化)
③ 一方で不要設備の削減をすすめて700万台体制に縮小すること

 
この三つが、逆境の環境の中でトヨタが生き残る道だろうと思うが、生産規模の3割削減にもたもたしていると、トヨタといえどもしばらく前の日産のような立場に追い込まれてしまうかもしれない。

 思うにトヨタはあまりに金融バブルの世界にディペンドし、それゆえに売上高も利益も驚異的に伸びたのだが、金融バブルが弾けた今は、新しい世界に適応できない恐竜のように見える。

 

  

 

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