(21.5.13) 人間臨終図巻 夏目雅子 享年28
今日(12日)四季の道の清掃活動をしていたら、四季の道のランナーでひときは徳の高い観音姉さんに出会った。
観音姉さんは私のブログの読者で、この20日に図書館で行なう読書会のことを知っていた。
「山崎さん、私も人間臨終図巻を読んでいるのだけれど、読書会に参加していいかしら」と聞く。
この読書会は河村義人さんが主催しているのだが、基本オープンなので誰でも、いつでも参加可能だ。
「ええ、是非来てください。今回の報告者は私ですから、参加者が多いのは大歓迎です」喜んでさそった。
「第1巻は若い人が中心だから、何ともかわいそうな死に方が多くて、特に夏目雅子なんかとても気の毒で」と観音姉さんが言う。
私も実は同じ気持ちだったので、観音姉さんと別れた後、夏目雅子についてブログをまとめてみる気になった。
女優夏目雅子が28歳の若さで、血液の癌といわれる「急性骨髄性白血病」で死去したのは1985年のことだから、私が39歳の時で、そのころ私はシステム開発の仕事をしていた。
私が夏目雅子を知ったのは彼女の代表作「鬼龍院花子の生涯」を見たからだが、正直言って何とも美しいが、おっかないお姉さんだとの印象だった。
(注)この映画はとても不思議な映画で、題名と主演女優がまったく違う。映画を見れば分かるが、花子は刺身のつまで、主演は花子を支える夏目雅子が演じる松恵(土佐の大親分、鬼龍院政五郎の養女)である。
その怖さはこの映画で夏目雅子が演じた松恵と言う女性の役柄からきている。
自分の愛した男性がヤクザの抗争に巻き込まれて死去し、その葬儀に松恵は列席するのだが、男性(元高校教員)の家族や親戚からヤクザ者といわれて葬儀の列席を拒絶される、
その時にはいた台詞がすごかった。
「なめたら、なめたら いかんぜよ!!」
しかし夏目雅子は本当に美しかった。
最後の遺作となった「瀬戸内少年野球団」の監督篠田正浩は「20代の女優さんではもっとも美しい、日本一きれいな女優さんでした。憂いを持った美貌で、彗星のごとく現れ、流れ尾を引きながらきえていったひとですね」と言ったと言う。
美人薄命とは夏目雅子のためにあるような言葉だが、それ以上に私は夏目雅子から影響を受けたことがある。
そのころ私はあるシステム開発の責任者だったが、当時の技術水準ではとても不可能な課題に取り組み、はっきり言って失敗していた。
このことをワンマンの異名を持つ上司の部長が苦々しく思い、ある会議の席上、「お前のような無能な顔は見たくも無い、この部屋から出て行け」と罵倒されてしまった。
通常サラリーマン社会では、こうした場合黙って出て行くのだが、この時私はそうせず、言い放った言葉が夏目雅子だった。
「おうさ、ならばここで すぐさま首を切られよ」
目いっぱいドスの効いた声で言ったので、後で同僚から「ヤクザのようだった」と言われたが、イメージが夏目雅子だったからヤクザぽいのは致し方ない。
もちろん金融機関のような場所で、上司と部下がヤクザさながらに罵り合ってしまっては、品性が疑われてしまったのは止む終えないが、人間追い詰められると野獣になるのはどこでも同じだ。
こうして夏目雅子は私に多大な影響を残して、他界してしまった。
(読書会参加のおさそい)
この読書会は上記に記載したとおり、参加は自由(毎回来なくても可)ですので、興味のある方は是非参加ください。
なお、最初の参加は「見学」という形式で、特に本を読んでなくともかまいません。
日程は、5/20(水)13:00~、
場所は緑図書館集会室、
テキストは山田風太郎の『人間臨終図巻1』(徳間書店、全3巻のうち第1巻のみ)、
講師は山崎
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コメント
こんばんは。
こんかいは傑作ですね。 サラリーマンならば、必ずや、言いたくなる場面に遭遇するものですが、言ってしまったのですね。
しかも、銀行で。
私は、いつも、むっとするだけですので、その勇気には、感銘いたします。
(山崎) これは勇気というよりも、とっさに言ってしまったというのが実態です。なお、サラリーマン社会では人事権は上司にありますから、決して薦められる対応とは言えません。
投稿: たか | 2009年5月14日 (木) 22時01分