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(21.4.10) フォード・モーターの孤独な闘い

Images3  フォード・モーターの孤独な闘いが続いている。ほとんど健気な努力と言ってもいいほどのがんばりだ。

 GMクライスラーが早々と公的資金の導入を求め、「政府の支援なくして自動車産業の未来はない」と泣きついているのに、フォードは泣き言も言わず、こわもてのUAW全米自動車労組)と①人件費の大幅削減や、②退職者向け医療保険基金への出資136億ドル約1兆4千億円)を、半額株式にするという合意を取り付けた。

 フォードの説明では「これでトヨタと時間当たり人件費でほぼイーブンに近づき、コスト面で遜色なくなってきた」と言う。

 さらに258億ドル約2兆6千億円)の債務のうち債権者との間で99億ドル相当の債務の株式化24億ドルで99億ドルを買い取り、残りを株式に変えた)まで実施し、自動車部門の負債の約38%の削減に成功したと言う。
これで毎年500億円相当の利息の支払いが軽減されると言う。

 市場はこの決定に好意的でさっそく20%株価がUPしたが、ひところ2ドルを下回っていた株価が4ドル近くまで持ち直した。

 一方でGMクライスラーUAWとの交渉は一向に進捗せず、債務の株式化も債権者の抵抗でまったく進まないのと好対照になっている。

 なぜフォードにできたことがGMクライスラーにはできないのか、UAWは相手を見て対応しているようだが第三者の目から見ると不思議でしょうがない。

 なぜならフォードの経営状況は最悪で、3期連続の赤字06年▲126億ドル、07年▲27億ドル、08年▲146億ドル)が続いており、GMより少しだけいいという程度の状況でしかない。
フォードとしては、09年、10年とも赤字が続くと見ており、収支が均衡するのは11年度と言うことだから、どう見ても倒産企業並だ。

 通常ならばGMクライスラーと同様に政府に泣きついてもまったくおかしくない状況と言える。

 実はフォードGM・クライスラーとのたった一つの違いは資金繰り対策である。
経営の悪化に合わせ、早々に資金対策を練ってきたおかげで、手元流動性だけは確保でき、したがって政府から公的資金を導入しなくても済んでいる。
経営はまったくダメだが、お金だけは確保した」という状況だ。

 もっともフォードの資金繰り対策は鬼気迫るぐらい迫力があった。
昨年の12月末をターゲット回転信用枠(枠の範囲で借入と返済が自由にできる融資と言う融資枠を106億ドル確保したり、フォード資産の証券化にいち早く着手したり、マツダの株式の20%を売却して520億円入手したり、ジョブ・バンク退職した従業員が新たに就職するまで、ほぼ従来の賃金を払い続ける制度)をUAWと交渉して中止したりと、できうる対策は全て打ってきたという感じだ。

 おかげで08年12月末手元流動性240億ドルになり、四半期ごとに50億ドル低下するとしても、ほぼ1年間は持たせることができるとの読みができた。
したがってフォードは公的資金の導入を考えていない」と言う。

 しかしアナリストは自動車の販売が対前年比40%も落ち込んでいる現状から、今年の半ばまでにはフォードも公的資金の申請をするのではないかと見ている。

 今後の自動車の売れ筋は従来の中・大型車小型トラックやSUV)ではなく、燃費が良くて環境に優しい小型車に移っていくことが確実と言われている。フォードは販売戦略としてサブコンパクトカーフェイスタ」を来年にも投入し小型車市場に打って出ようとしているが、これは日本のビィッツフィットと競争しなくてはならない。

 資金繰りについては綱渡りが続いており、また販売戦略では日本の優良メーカーとの競争を強いられ、まさに前門の虎と後門の狼と言う状況だ。

 こうした状況下でフォードは自己努力だけで生き残ることができるだろうか。客観的には絶望的なのだが、何か落城寸前の城にこもって、「城を枕に討ち死にしよう」と誓い合っているみたいな悲壮な決意の自己努力が続いている。

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コメント

フォードは最初にクルマを大量生産した会社という認識ですが、そのプライドもあるのだろうと思います。
好材料?なのは、マツダという小型車に長けた優良企業と組んでいて、そのノウハウを学んでいる所かな。
ただ、マツダは燃費が良いという話をあまり聞かないのが弱点かな。ちなみにFit1300をレンタルして山岳ドライブしてきたら33km/Lになり、ガソリン補給の時に千円札のお釣りが出なくて店の人を手間取らせたことがあります^_^;

投稿: 横田 | 2009年4月12日 (日) 00時27分

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